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[610]Believe~この星に生まれて~番外4~ 一一どうにも真紀の手が温かくて。 短編シリアスオリジナル。-------- 紫珠葉 - 2002年09月08日 (日) 21時10分 - MAIL

昔から片割れの兄と比べられた
私にしてみれば長く伸ばした髪の毛は
親に褒められたいという願掛けだったのかもしれない

それに気付いたのはずっとずっと後になってからだったけれど。

あの人達にその髪を切られたとき思い知った
私はどうやったってダメなんだって・・・


気付かせたかった
私なんかよりずっと価値のあるあなた達が
こんな事しちゃいけないって

他の道があるって 気付かせたかった

たまたま“死”という選択枝が一番近くて
そして私はそれを選んだ














初めて真紀に会ったのは 中学一年生の時。
綺麗な蒼眼にヘアバンドで雑にとめてある黒髪。
なんとなく価値観が似てると思った。

無口で表情を表に出さないけれど、本当は優しい志穂。
いつも楽しく私達を盛り上げてくれる椎名。
真紀はいつも私のことを気に掛けてくれて

もしかしたら 真紀は私にも分からない心の奥底を
知っていたのかもしれない。


心の奥底にあった私の願いを。














































「茜ってさ」
「うん?」

兄の葵がふと本から目をあげて私を見る。
親の居ない夜の家事は私の仕事。
お皿を重ねる音や、水音が聞こえる中で私は葵を促す。

「コーラス上手いよね」
「そうかな」
「うん。音のはずれてる人上手くひっぱって綺麗にハモるし」

笑顔で言う葵。
なんでいきなりそんなこと言い出すんだろう
しかも夢中になってる本から目を離してまで。


「何?いきなり・・・何かあったの?」
「歌って?ほら、あのアカペラのやつ」
「え!?でも私1人だとあれは・・・」
「僕がメゾソプラノ歌うから。」

この兄はあんなに高い声が出せるのか。
一瞬突っ込んでしまったけれど
とりあえず頭の中で音を取ってみる。


あの曲の初めは・・・“ド”と・・・“ファ”。




しっかり音を取って、小さな声でメロディーを口ずさんだ。








「A way in a manger, no crib for a bed・・・」

それを聞いた葵がにっこり笑って続ける。

「The little Lord Jesus laid down his sweet head」
「The stars in the bright sky looked down where he lay」
「The little Lord Jesus a sleep on the hay...」


そこまで歌って、一瞬歌をとめた。

「どうしたの?」
「二番も歌うの・・・?」
「うん。歌って。ソプラノやってね。」

まだ 葵が何を言いたいのかよく分からない。
とりあえず 歌うのは楽しいし、葵の歌い出しに合わせることにした。



「The cattle are lowing,」
「the baby a wakes but little Lord Jesus no crying he makes」


綺麗に重なる 声。


葵の歌声は久しぶりに聞いた気がした。
どうして・・・いきなりこんなこと言いだしたの?





「志穂は大丈夫。帝ちゃんだって・・・大丈夫だよ」

全部歌い終わって
少しの沈黙の後に葵がそう呟いた。

「・・・そうかな・・・・・・志穂、大丈夫かな・・・」
「大丈夫だよ・・・志穂はそんなに弱い子じゃないし、僕らがいる」


真紀が葵の笑顔は怖いって言ったことがあった。
全てを見透かして、説得力があるって。

その意味を その時初めて理解した。



















次の日


























私は数人の先輩に呼び出された。




























































「茜?」
「・・・・・・」


真紀に思いっきり腕を引っ張られる。









「どうしたんだ?」










一一ああ、やっぱり隠せないかな・・・ダメだなぁ・・・














だけど
どうにも 真紀の手が温かくて





どうしても 我慢できなかった。






















みんなに事情を話した。
嫌われると思ったから黙ってたわけじゃなかった
















違うんだよ














違うんだよ・・・真紀・・・





















先輩達が悪いんじゃないよ一一一一・・・












































ジャキンッ・・・





















キレのいい



ハサミの音








































その音で
考えが思いついた。
























先輩は悪くないと訴える方法

先輩達に違う道があると気付かせる方法


全てが 上手くいく方法。











他にも何かあったのかな


でも 一番いいと思った














私がいなくてもみんながいる



















ねえ 真紀。
これがどんなに嬉しいか分かる?



親友がやってくれるって思えることが
どんなに嬉しいことか・・・




その中に私がいて

どんなに楽しかったか・・・






















































手紙を書いた。
誰でも良かった

一番に浮かんだのは・・・・・・・・・














「茜」
「・・・葵・・・」
「行っちゃうんだ」
「どうして?」
「僕らは双子だよ。片割れの考えてることくらい分かる。二人で一人だからね。ねえ・・・茜は一人じゃない。覚えておいて」

「・・・覚えとく。今までありがと・・・お兄ちゃん」
「最後くらい目を合わせてほしかったかな。あの歌と僕らのこと、それから・・・一人じゃないってことを忘れないでね。僕はいつでも茜の味方だから。茜のこと・・・大好きだから」




















葵は他には何も言わないで





部屋を出ていった。


























「ありがと・・・お兄ちゃん・・・・・・」












風邪で休んでる真紀は心配だったけれど
きっと大丈夫だよね。





































風の鳴る屋上は















私の思いでの場所だった。




























“Away in a manger no crib for a bed...”


















あの歌を歌ったときから
急速に時が流れた





























私は逃げた
でも 私は後悔しない。































「あと、よろしくね・・・バイバイ」






















































































最後に伝った涙には
いったい何の意味があったんだろう





“バイバイ”
























私は 意識を手放した。















































































風の中で聞こえる
かすかな叫びは
誰かからあなたへの
真実の気持ち

旅立つあなたに伝えたい
とまどいや悲しみを越えること
木もれ陽が空にクロスして
虹のかけらになることを・・・









********The end**********


死にネタって・・・最後のオチが難しいですね・・・。特に死んだ人を思う人の心境じゃなくて、死んだ人の心境だと。結局いい言葉も浮かばず、歌詞引っ張ってきました。茜と真紀のイメージはこの歌詞なのです・・・。茜はみんなのように恋要素がないので、葵が代役ですね・・・あの“大好き”は怪しい意味じゃないですよー!!(当たり前だ)久々に1日2作。どっちも半分以上出来上がっていたので(・・・)ビリーブの番外編、あと1つあるかもしれませんが、近々第二部に入るかもです。そちらもご期待下さいvそりゃもう帝と翔の仲をぐちゃぐちゃにするのでvv(趣味悪)
前回読んで下さった皆様に感謝ーv次回もお楽しみに!あ、追記。文中の英語の歌詞はクリスマスキャロルの“AWAY IN A MANGER”より。分かりやすく訳すと“まぶねの中に”だそうで・・・。三部合唱でアカペラの歌ですv葵は歌上手そうだな~・・・あの双子は・・・。それでは。



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