縛めを解かれることはなく
少女の瞳は光を失ったまま
少年は光を取り戻すため
闇の中へと消えてゆく・・・・・・
クリスマスの夜から急速に時は過ぎていった。何度かリーマスはシリウス達に色々指摘されていた。あの3人とはいつも一緒にいる。潮時なのは分かっていた。満月の夜、シーナはなるべくリーマスと一緒にいる。ホグワーツの中にいるジェームズ達は少なくとも安心だが、リーマスは人狼である上に満月の夜は一人で彼処にいるからだ。
「あれから、刺客来ないね」
「そうね。水を使う・・・リラか」
「ライラはあれからどうしたの?」
「消えちゃった。・・・雪、溶けちゃった・・ね」
「うん」
氷柱なんてもってのほかだ。シーナはそこらの木にもう積もっていない雪を思い出して、寂しそうに行った。リーマスはその様子をただ見ている。自分を庇って死んでしまったのだ。何の接触もなくたって悲しい。
「シーナ、夏は・・・どうするの?」
「ん?帰らないで漏れ鍋に泊まるつもり。」
「寂しくない?」
リーマスの問いに、シーナは目を見開いた。そして何とも言えないような微笑みをして呟いた。
「彼処へ帰る方が寂しいよ。これでもう・・・私の帰りを待ってくれる人は居ない」
「そう・・・。気を付けてね」
「分かってる。・・・リーマスも。」
「僕は大丈夫だよ」
“自分の身くらい自分で守れるよ”と付け加えれば、シーナは“それもあるけど”と言われる。
「夏休みの間は満月の夜一緒にいられないから。そんなに遠くには飛べないの。力消耗しちゃうし」
「そうなんだ・・・。大丈夫だよ。シーナも気を付けて・・・力が爆発したら今度こそ助からないよ。僕も助けられない」
「それじゃ、リーマスがいない方が好都合ね。あなたを殺したくない」
「いいんだよ。それに僕・・・」
一一嬉しかったから
その言葉を 言っていいのか分からなかった。
「何?リーマス」
「・・・ううん。なんでもない・・・ね、シーナ」
「ん〜?」
大分昇ってきた朝日に向かってのびをするシーナに、リーマスは少し小さめな声で尋ねる。
「・・・“呪縛”って、何?」
表面に出して驚くわけではないが、シーナは少し驚いた。言葉を二言三言探して答える。
「・・・呪いのことだよ。」
「そうじゃなくて」
“真面目に答えて”と促す。
「・・・私元々寿命が短い方なんだけど、あ、そうは言ってももう100年は生きてるけど。・・・呪いで寿命が縮まってるの。あと4,5年かな」
「・・・卒業は無理なの?」
「ん。無理だと思う・・・」
「どうしてそんな呪いがかかってるの?」
沈黙。
「・・・それは、もう少し言わないでおこうかな」
「分かった。・・・教えてくれて有り難う」
「リーマスには知る権利があると思ったから。」
「・・そっか・・・。そろそろ寮に戻ろう。みんな起きてくる」
「そうね」
今はまだ
言うときじゃないから。
それからまた数ヶ月が経ち
夏休みまで数えるほどになった。
「シーナ、家に帰らないんだって?ピーター残さず食え」
「え?どうして知ってるの?ねぇこんなに食べられない」
「リーマスが言ってた。それでさ、その事で話があるんだ。これくらいいけるだろ。食え」
夕食の時間。いつものメンバーで夕食を食べながらシーナとシリウスは2つの話題を平行して喋っていた。
「何?話って。分かった・・・食べるよ・・・」
「家来るか?よし。それでいいんだ」
ガチャンッ
ガタッ
ぐしょっ
一番に意味を認識したのはシーナ。フォークを落とす。二番目はリリー。イスから落ちそうになる。三番目はジェームズ。スープにパンと腕を突っ込む。
「な、なんだお前ら・・・」
「それはこっちのセリフだシリウス。お前そんなにシーナと一つ屋根の下で暮らしたいか?ブラック家の息子のお前がそんなこと女の子にいうのはプロポーズと一緒だぞ!」
「誰も暮らそうとは言ってないだろ!夏休みの間だけ泊まるかって聞いてるんだ!!」
「・・・いいの?」
ジェームズとシリウスの言い合いに早くも終止符を打つのはシーナ。少しぽかんとしてシリウスを眺めている。
「だってそしたらさ、夏休みみんなで集まれるだろ?ジェームズは親父達の会合に着いてくるし。リリー達は家まで迎えに行く。そうするとシーナを漏れ鍋まで迎えに行く手間が省けるんだ」
シリウスが一息に言うと、ジェームズ達はおとなしく座り直し、ぽんと相槌を打った。
「さすがだな相棒!よし、夏休みは新学期に向けて新しいイタズラを考えるぞ!」
「セブルスへのな!」
「宿題もね」
食事中にも関わらず不適な笑みを発する二人と冷静に突っ込みをいれるリーマス。この時点でシーナはシリウスの家に行くことが決定したらしい。シーナが何も言えず、それでも少し不安な表情でいると、シリウスは微笑んで言った。
「大丈夫。客室なら山ほどある。一人や二人住人が増えたところで特に変わりないよ。」
「・・・でも・・・」
「行きなよシーナ。“大丈夫”だから」
その言葉にシーナはハッとする。まさか、結構前に聞いてきたのは・・・。
「まさかリーマス!わざと・・・」
「一人で居るよりずっといいよ。ね。」
小さな声で言って、リーマスがにっこりと笑う。
「・・・ありがとう」
シーナも小さな声で呟いて、そして夏休みはシリウスの家に泊まることにした。シリウスが今度は狙われるかも知れない。けれど、シーナはあまり恐れてはいなかった。
一一私は魔女だから
自分に言い聞かせて、ふと上座のダンブルドアと目があった。
一一楽しそうじゃな
リーマスとはまた違う、だが心地の良い言の葉が流れ込んでくる。
一一とっても楽しい。彼らが・・・光なのかも知れない
一一見つかるといいの。君の寿命までに。“彼”に勘づかれる前に
一一無理な注文よ。きっとあの人は気付いてる。こうしている間にもね
一一水使いが近付いておるの
一一リラが・・・。私はシリウスの近くにいて・・・
一一大丈夫、君は魔女じゃろう?
一一・・・・・・・・・そうね・・・
「シーナ?来るだろ?」
「・・・うん。お邪魔させてもらおうかな」
「やった!シーナ!君も案出してよセブルスをこらしめる案!」
「いいよ。あ、そういえばこの前教科書に面白いの載ってたから教えたげるね」
そろそろマクゴナガル先生からお咎めが来るなと思いながら、シーナはシリウスに盛られた大盛りのサラダやパンを完食すべく頭を食事に切り替えた。
縛しめを解かれることはなく
少年は散って転生を繰り返せぬまま
少女は光を見つけ
光の中へ散ってゆく・・・・・・
**********to be continued?***********
あぁ〜!!試験のこと書くの忘れちゃった・・・次回書かなきゃ・・。ダンブルドアっていい位置にいるから使いやすいです(使い!?)。段々とシーナの正体が明かされてきたような。呪いについては上級生になるまで殆ど触れる予定ないです。多分。さて夏と言えばプール!プールといえば水!水と言えばリラってなわけで(どういう式だよ)シリウスが狙われますvやっとシリウスだ・・・リーマス今までありがとう。ていうかこのペースで1年終わらせると6年までやるから60話ですね・・・来年からクイディッチもあるからもっとか。まぁ・・・頑張ります・・・。でもシーナの実年齢が明かされたお陰で、これマジで11才のやることか!?っていう謎は解けたかと。どうしてこういう姿で今更ホグワーツに通ってるのかはこれから・・・です。前回の流血はまだマシな方でしたが・・・あんなんで大丈夫でしょうか?
それでは。前回読んで下さった皆様に感謝v次回をお楽しみに〜v・・・来週の土曜から期末なのに書くペースが全く持って衰えない問題アリな紫珠葉でしたv