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覚書

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ベルウィックサーガ
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[102] 2005年10月17日 (月) 00時50分 ベルウィックサーガ
強くあらねばならない。
強くならねば、ならない。
ちからを持たない私は、誰よりも強く、いなければ。

目の前を、緋が走る。
流れた色が頬にかかった。
その温かさに、イゼルナは震えた。
「恐いか」
 夕焼けの髪をした青年が、静かな声で尋ねてきた。
生まれて初めて目にする戦場におののく修道女を嘲るでもなく、慮るでもなく、ただただ無機質な物言いだった。
そして、それに対し、イゼルナはすぐには答えられなかった。
恐くない、それは嘘だ。
しかし、恐いからと、この場を逃げることはできない。

[103] 2005年10月17日 (月) 01時09分 携帯一臣
命を奪うこと。それはヴェリアの教えに背くことだ。
しかし、彼は、自分を守るために、その罪を独りで背負っている。
彼を置いて、自分だけ安全な道など選べない。
自分には何ができる?
何をすべきか?
つよく
強くなれ。
息を吸い込み、イゼルナは己に言い聞かせた。
この現実から目をそらすな。
この人の役に立てるよう。
強くあれ。

頬の血を拭い、彼女は目を開ける。
「背中は守ります」
青年が一瞬、振り返る。
表情は見えない。
微かに、すまないと聞こえた。


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