覚書
小説に成りきれない雑文や、日々の語りなど。| 烈火の剣 | |
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| [81] 2005年02月28日 (月) 04時57分 烈火の剣 | |
| 年を越し新年を迎え、恋人たちのイベントも終わった頃――― ―――レストラン理想郷のスタッフたちにも、蓄積した疲労が洗い落とせない状況になっている。 毎年のことであるが、テンションと勢いだけでクリアするクリスマスより、それ以降の持続する忙しさこそがなによりもの敵なのだ。 遅くなる帰りの時間、雪で凍りついた路面を考え、この時期は寮組のマシューは車を控え、ロイドの車に乗せてもらっている。 たまたま今日はマシューの受け持ちの仕事が定時を過ぎても残っていた為、ロイドの有志を断り徒歩で帰ることにした。 …たまには冬空を眺めて帰るのも悪くない。 疲れきった体に、歩くという行動はかえってリフレッシュさせてくれる気がしたのだ。 (続) |
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| [82] 2005年02月28日 (月) 22時44分 タカサキ | |
| ため息と一緒に厨房の鍵を閉めて、マシューは荷物の入ったカバンを肩に掛け直す。 今から帰って眠れる時間を考えては首を振り、歩き出したところへ。 「おや、奇遇だねェ。今なら空席がございますが、乗っていきますか?」 「……ラガルト」 非常灯だけが照らす廊下に、緊張感の解けた声が静かに響く。 忙しいのは事務の方も同じだったのだろう、数冊のファイル抱えたラガルトが、薄く笑いながら2階から降りてくるところだった。 自動的に開く鍵に、既に暖まった社内。 いつのまにオプションつけやがったと問えば、誰かさんがつれなくてデートに誘えない分ね、と返される。 そりゃあいい心がけだ。 マシューはそう言ったつもりだったが、言葉になる前に寝息として吐き出されてしまっていた。 「待ったく・・・コレでよく歩いて帰るなんて言えたもんだよ」 厨房から寮までは車で10分。徒歩ならその倍は掛かる。今のマシューなら5分で雪の中へダイブする様が目に浮かぶ。 サイドブレーキを引き、エンジンを止めたところで未だ目覚める気配の無い愛しい人。 起こすのはあまりに忍び無く、かといってこのまますぐに部屋へ連れ帰るのも持ったいない。 「……良い夢を、」 見ているのならどうか、オレにも分けてくれよ? 心地よさそうな寝顔へ、冗談めかした祈りを篭めた口付けを。 神様どうか、あと5分だけ。 |
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