覚書
小説に成りきれない雑文や、日々の語りなど。| 烈火の剣 | |
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| [72] 2004年07月14日 (水) 22時01分 烈火の剣 | |
| ――――、掠れた声が名前を呼ぶ。 マシューは引き寄せられた、その体温に安堵して、目を閉じる。 抱擁は、ほんの短い時間で。 どちらかということは無く、ゆっくりと離れる。 深く吐き出された息は、どちらのものか―――あるいは、互いのか。 「ん、じゃあ」 「…あぁ」 おやすみ、だなんて、恐ろしくらしくない言葉を告げて、ラガルトはマシューに背を向ける。 マシューもまた、それ以上何かを言うでも無く、部屋を出てゆく相棒の背を見届けて。 ぱたん、 大人しい音が世界を隔てる。 と、同時に―――― 「「…アホかぁああああ………」」 襲い来る、自己嫌悪に打ちのめされる二人。 ―――慰める、つもりだったのに、 抱きしめられて、名前を呼ばれて、安心しているのは自分のほう、だなんてそんなの許せるわけがない。 ―――顔を見て、帰るつもりだったのに。 真っ直ぐに見上げる琥珀の誘惑には勝てなくて、伸びる手を止められなかった。今はできるだけ、負担をかけたくなかったのに。 触れただけて崩れてしまうような気がしていた。 ほんとうのこころ、は、まだしまっていなければならない。 ゲームのルールを破ってしまえば、互いに触れる言い訳すら消えてしまう気が、していたのだ。 出会い、求め合っていることは確かなのに、いつの間にかこんなにも不安定な関係になっていた。 想いばかりがただただ、積み重なってゆくだけで。 言い訳の上に絡み合う指先なのに、嬉しいだなんて そんな自分が嫌いだ 大嫌いだ この指先の 唇の 枷をどうか 壊す勇気を。 ―――歌詞が微妙に絡んで何がオリジナルだか。 恒例となってきました、BGM気分で小ネタです。 HY "TRUNK"より、 かなり転換されていてほとんど原形とどめてませんが(駄目だろうよ) |
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