大滝・馬場人事労務研究所の掲示板

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[80] 鴉は鴉、何か怪しき
大滝 - 2022年05月30日 (月) 11時37分

先週末、思い立って良寛さんが晩年、貞心尼と交流した新潟和島に
行ってきた。そこにある良寛の里美術館をと訪れるのはこれで4

回目である。良寛の里美術館の特徴は、良寛さんの書が豊富で、僕
の座右の銘である「生涯身を立てるに物憂く〜」も展示してあった。

原文はとても読めなかったけれど、良寛さんの書はとても繊細で書
のわからない僕でもいつまでも見ていたい気持ちにさせられた。

良寛さんと貞心尼の相聞歌である蓮の露を現代風に訳した新井満の
本を買ってきた。和歌そのものは僕も読んでいるけれど、新井は良

寛と貞心尼の交流は恋愛関係にあったと解釈している。僕もその方
が人間良寛として親しみがもてる。

その中で僕が一番好きなところは、

良寛が、色が黒く衣も黒いので今から鴉と云いましょうといわれたことから、

「いずこへも 立ちてをゆかん 明日よりは 鴉てふ ひとのつくれば」
  良寛
(どこなりと発っていこう明日よりは 鴉という名前を人がつけてくれたので)

「山がらす、里にゆかば 小がらすも 誘いてゆけ 羽弱くても」
  貞心
(山鴉が里にお出でになられるのならば小鴉も連れて行ってください 羽が弱くても)

「誘いてゆかばゆかめど ひとの見て怪しめ見らば いかにしてまし」
  良寛
(連れて行くのはかまわないが人見て怪しく思うようだったら如何にしたらよいか)

「鳶は鳶,雀は雀、鷺は鷺、からすとからす 何か怪しき」
  貞心
(鳶は鳶、雀は雀、鷺は鷺、鴉と鴉が一緒に連れ立ってどこが変なのでしょうか)


良寛がひとの目を気にしているのに対し、貞心尼の腹が座っている
のには笑ってしまう。

ただ、良寛と貞心尼が宗教上でも、詩歌の上でも深いところでつな
がっていたことを忘れてはならないと思う。でないと、こんな相聞歌

は作れないと思う。







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