| [270] 新人生論ノート |
- 大滝 - 2024年09月02日 (月) 11時57分
木田元の「新人生論ノート」を読んだ。20年前に出版されたもので、その時にも1回読んでいるが、再度読んでまた感銘を受けた。この本を木田が執筆した当時76歳だったが、今、同年齢となった僕が読んで共感する部分が多々あった。同年齢にならなければわからないことってあるんだな。
ハイデガー研究の第一人者だった木田が、ハイデガーの「死の先駆的決意」「本来的な生活」に基づいた人生を歩んでいるであろうと想像していたが、何のことはない僕らと同じ感覚で物を見、考えていることにほっとするとともに共感も出来た。この本の最後に「貧しくても、好きなことをして、面白く生きることができれば、それに越したことはないのではないか」と書いているが、「おう、その通りだぜ」と思えた。
木田が亡くなってからもう10年になる。木田元の率直でこけおどしのない哲学者がいなくなったことが、僕のような気まぐれな読者でも残念に思っているのだ。
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