[85] 「森友・国有地払下げ 不正の構造」 |
- 暁烏 - 2021年05月11日 (火) 22時48分
「森友・国有地払下げ 不正の構造」(緑風出版 2018年3月20日)と言う本があります。元検事・参議院議員を務められている小川敏夫氏の著作です。なお、アマゾンブックから、この本の続編になる「日本崩壊」と言う電子書籍も出ていますから、こちらも参照させていただきます。
一般に、「森友事件」で、大規模な構造汚職が存在したと主張する立場の論拠は、「瑞穂の国記念小学校」の用地にあった土中の産廃の量と公文書の改竄です。その中で、土中の産廃の量が作為的に算出されたと言う内容に焦点を当てて書いたのが、小川氏の著作です。
世間で広まっている「森友事件」についての考察は、大半が質が低く、信頼性にかけるものが多いですが、流石に弁護士であり国会議員である人が書いているので、丁寧な論証を試みています。
しかし、「政治家の関与があった」「籠池氏が不正な手段で土地の入手を試みた」と言う前提での内容になっているので、「アスベスト」の存在を前提にする私達と意見が違う点はあります。そこで、私達の視点から、本の内容について、感想を書いてみます。
1 メールの公表の問題について
本題とは少し外れますが、少し重要な問題なので触れます。
「このボーリング調査について森友学園理事長の籠池泰典氏から、小学校建築の設計事務所と担当弁護士とのメールが公表された。」(p19)
「平成二九年五月一六日に民進党が行った籠池氏のヒアリングにおいて、同氏から、森友学園が実施した二本のボーリング調査に関する校舎建築の設計事務所と担当弁護士とのメールが公表された。」(日本崩壊」) ogawa toshio. nihonhoukaimoritomojikenkuromakuwoou: moritomokokuyuutiharaisagehuseinosikumiwokyakkannshoukoniyoritetteikaimei (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1529-1533). Kindle 版.
この件について籠池氏に確認をしたところ、
「私はこのメールの内容を公表したことはない。公表に同意したこともない。そもそも、このメールの存在を知ったのも、かなり後のことだった。民進党のヒヤリングの際に、開示したのは民進党の代議士側だった。」
とのご返答をいただきました。別のところで書きましたが、民進党と関係のあるジャーナリストを自称する人物により森友学園関係の証拠が違法な手段で大量に持ち出された形跡があり、このメールもその可能性があります。
もし籠池氏のご発言が事実なら(籠池氏はパソコンの操作ができないので、私は籠池氏の発言は事実だと言う印象を受けております)いくら国政調査権の発動の場面でも、本人の同意なくメールの内容を公表するのは問題だと感じます。
さらに言うと、仮に籠池氏や森友学園の顧問弁護士が政治家に問題の国有地の取得に際して便宜をはかってもらう工作をしたとしたら、そのやりとりはこれらの証拠の中に含まれているはずです。それがないと言うことは、籠池氏は国有地取得に際して不正に手を染めていないことを示します。逆に、仮に、アスベストが掘り出した土の中から見つかり、それを業者や政府が隠蔽したとしたら、籠池氏が認知しないところですから、説明はつくことになります。
2 ごみの量について 「森友・国有地払下げ 不正の構造」の97pに「池の深さが浅いと推定される」とありますが、この点については、別のところで「溺れて死んだ人がいる」と言う証言があるなど、かなり深い池であったと言う証言が「東スポ」で紹介されております。これは、産廃の量に影響しますから確認をしておきます。籠池氏によれば、現場を掘っている最中に自転車が出てきたこともあったそうですから、やはり深い池だったと思われます。
一般に「産廃=ごみ」と言う前提で話が展開しております。そのため、ごみの量は作為的に事後に変更された、と言う主張をする人は、ごみの量が少ない点を攻撃しております。
しかし、当時の事情を知る人物(本人を保護するため身元は匿名にします)の話によると、以下のような事情があったみたいです。
「瑞穂の国記念小学校」の地下の土の状態は極めて悪く、再利用は不可能で、産廃として 処理するしかなかった。
深い池を埋め立てたので、ゴミの存在も問題ですが、同時に池の下も上も「汚泥」であり、これも産廃として処理する必要があったのです。
つまり、「産廃=ごみ+汚泥」といのが正解だと言えます。すると、産廃の量は当然、増えます。 池の深さは、当然、これに大きな影響を与えます。
すると、この本が批判している「ごみの量」についても、反論は可能だと思います。
(参考)
「土砂か汚泥かで、廃棄物処理法上での扱いに違いがあります。あなたが法律を守ろうとすればするほど「どっちも同じだ」などと処理してしまうことはできませんよね。このことは非常に大事なことだと思います。」
「汚泥は日本で排出される産業廃棄物の中ではその割合が最も多いものです。 平成25年度の実績では産業廃棄物総排出量の約43%を占め、およそ1億6400万トンも出ています。」 https://kurikuri-kyoninka.com/dosya-odei/
つまり、ゴミの「量」については、作為があったと断言できないと思います。にも関わらず、文書の改竄などをした動機は何か疑問が起きます。
私たちは、仮に「アスベスト」が土の中から出てきたら、つじつまが合うと考えております。汚泥や自転車が出てきた程度なら、産廃の処理費用が跳ね上がることはありません。しかし、アスベストが出てきたら、産廃の費用はとんでもない額になります。
つまり、ゴミの「質」に問題があったとしたら、説明がつくと考えております。
「建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)」 https://www.env.go.jp/hourei/add/k035.pdf
3 報告書は偽造か。
「 平成三〇年三月一六日、毎日新聞は、業者が、試掘報告書は虚偽で、ゴミが実際より深くあると見せかけたと検察に説明しているとのスクープ記事を掲載した。」(日本崩壊」)
ogawa toshio. nihonhoukaimoritomojikenkuromakuwoou: moritomokokuyuutiharaisagehuseinosikumiwokyakkannshoukoniyoritetteikaimei (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2567-2569). Kindle 版.
最初にお断りしておきますが、私たちも理由は異なりますが、一連の書類に作為が加えられていると疑っています。ただし、私達は、その理由を「アスベスト」にあると考えているのは、別のところで説明をした通りです。
ところで、この「業者」は、時期を考えると、中道組から工事を引き継いだ藤原工業だと思われます。
最初に申し上げると、森友学園側は、藤原工業が自身の民事、刑事、行政上の責任を回避するために、その責任を森友学園側になすりつけていると激しく非難しております。つまり、仮にゴミの量を作為的に変更した場合、藤原工業と森友学園は、共犯関係にあります。その場合、どちらが「主犯」かで量刑が変わりますから、いわゆる「責任のなすりつけあい」が起きます。
そう言う視点で考えると、この報道は割り引いて考えるのが普通だと思います。
次に、この報道では、「誰が業者に命令したか」と言う部分が欠落しております。籠池氏は、そのような命令をした記憶はないと話しております。だいたい、国有地の払い下げは籠池氏ではなく、顧問弁護士が担当していました。弁護士がそのような違法行為をするはずがないですし、その証拠もありません。
すると、もし、上の報道が事実だとしたら、政府機関が命令をしたことになります。しかし、ゴミの量については、もともと、それほど作為があるとは思えないのは上に書いたとおりです。それでも、ゴミの量を作為したとする報道が事実だとすると、別の動機があると考えるべきです。
この場合、仮にアスベストが存在したとしたら、政府機関が書類の改竄をする動機にはなります。
4 政治家の関与はあったのか
一連のゴミ問題に関連して、小川氏は、「当局が明らかに且つ重大な間違った道を進んだ裏に、政治の関与があったのではないのか。それも相当に強力な政治の関与が。」(「森友・国有地払下げ 不正の構造」144p)と主張しています。
これも別のところで書きましたが、この土地の所有権者は、国土交通省です。近畿財務局はあくまでも代理人という立場です。そして、国土交通省の大臣は、当時も今も公明党出身です。
この文章を書くため、改めて調べましたが、森友学園と公明党や創価学会との関係はかなり悪いです。「最悪」と言っても良いでしょう。籠池氏は、森友学園は以前から創価学会の人達から再三、嫌がらせを受けてきたと主張され、それは現在も続いていると言われています。実際、実乗光さん(野田町会会長、もと公明党市会議員で議長まで務めた方)が森友学園に不利な証言をし、それが信用できないことは別のところで書きました。
そのような両者の関係を考えると、公明党が森友学園の土地取得に際して、便宜を図ることは考えにくいです。逆に、妨害工作をしたと考える方なら説得力があります。少なくとも、違法な行為をしてまで、協力をするのはあり得ないでしょう。
それでも、仮に「相当に強力な政治の関与が。」あったとしたら、ゴミの偽装などをする必要はそもそもありません。正規の土地の価格を提示してから、後で補助金を付与すれば合法的に値引きができます。実際、隣にある野田中央公園はその方法で、実質的に2300万円で購入されています。
(参考)
「実はこの土地取得に関連して豊中市には国から、住宅市街地総合整備事業補助金約7.1億円と地域活性化公共投資臨時交付金約6.9億円が支払われています。その合計約14億円。
つまり豊中市は、実質約2,300万円で購入したということになります。森友の価格が約1億3,400万円ですから、それよりも安かったということになります。」
https://blog.goo.ne.jp/japan-n/e/72887a8a2507bc7758ae07d19d9d15e9
そう考えると、「当局が明らかに且つ重大な間違った道を進んだ裏に」、「政治の関与があった」と考えると、つじつまが合わなくなります。しかし、「アスベスト」があったと仮定すると、つじつまが合います。
メルカリやヤフオクで不用品を出品した経験のある人なら、無価値で不要で邪魔になる物品はタダ同然で出品した人がいると思います。アスベストが出てきた土地は、国土交通省にとっては、「無価値で不要で邪魔になる」土地のはずです。それなら、タダでも良いから引き取ってもらう方が助かるはずです。そう考えると、説明はつきます。
逆に、メルカリやヤフオクで格安だと思って購入したら、説明にない欠陥があり使い物にならなかったが、「ノークレーム、ノーリターン」(つまり、瑕疵担保責任の免除)と言う条件のため、泣き寝入りをした人もいると思います。
同じように、土地を売却しようとしたら、途中で問題が発覚した場合に、悪い事とは知りながら、隠すことはあり得る話です。仮に小学校の用地からアスベストが見つかったと仮定したら、辻褄が合うと私達は考えております。
そう言う観点から、「アスベスト」がキーワードだと私たちは考えている次第です。
別のところで書いたとおり、2017年3月1日の東スポの記事で「石綿(アスベスト)の破片」が出てきたと言う記述もあります。また、小学校をめぐる裁判で藤原工業社長の裁判における「飛散性のものではない、と聞いている」という証言もされました。
国会に提出された藤原工業調査報告書の写真も保有しております。これらの写真は、私たちの知人の建築業者や、何人かの専門家の方たちが見て「これは年代的、形態的に見てアスベスト含有波板スレートの可能性が高い」と証言しております。
我々は決して根拠のない主張をしているわけではありません。
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