[77] 藤原工業が出している民事調停について |
- 暁烏 - 2021年04月14日 (水) 09時33分
報道でご存知の人もいると思いますが、森友学園の疋田管財人が、突然、休園(実質的な閉園ですが)を宣言しました。このため、職員から抗議を受け、学園の状態が混沌としております。
ところで、施工業者の藤原工業は、国と森友学園の管財人に対して「土地と校舎の一体売却の交渉に応じるよう求める調停を2019年12月、大阪簡裁に申し立てた。」と報道されました。
https://www.sankei.com/photo/story/news/200219/sty2002190004-n1.html
国は、この土地を買い戻しにより取得した以上は、建物を取り壊して更地に戻すのが筋であるという建前を言っています。これに対して、藤原工業は、「いやいや、せっかく建てた建物ですから、何とか有効使用してください」と言っています。要するに、国がこの建物を壊さずに、土地と建物をまとめて誰かに売ってくれたら、藤原工業はその売り上げ代金から自分の債権を回収できるので、万々歳という次第です。
民事調停は、口頭弁論など公開の場でのやり取りがないので、各当事者がどういう主張をしているかは不明です。
従来、籠池泰典前理事長は、森友事件に関して藤原工業が背信行為をしたと度々、指摘しております。ですから、現在の藤原工業も従来の行きがかりから、建前としては籠池町浪理事長には安易には協力はできないことになります。が、この場面では、籠池理事長には、藤原工業との民事調停の当事者適格(資格)はありません。対して、管理型の民事再生手続きの管財人である疋田淳弁護士はスタンスが違います。この場合、法律上の森友学園の代表者は疋田弁護士になります。民事再生が決まってから、森友学園に関わったのですから、森友事件とは無関係に動けます。 普通の管財人だと、この場合、藤原工業に協力するのが筋になります。
というのは、もし、藤原工業の主張が通れば、国は「瑞穂の国記念小学校」を満額に近い価格で売却できます。すると、建物の代金は、ほとんど減額無しにそのまま藤原工業に入ります。そうすると、森友学園の民事再生債権のうち、一番目に大きい藤原工業の債権と2番目に大きい国の債権が、ほとんど減額無しに消えます。森友学園の従来の職員も管理権を取り戻せます。これで、森友学園の民事再生の手続きは、みんながハッピーな形で終わります。
ところが、藤原工業が主張する点については、国側が同意せず、ために民事調停の手続きが進んでいない、と言うのが疋田弁護士の説明でした。藤原工業は、この建物に留置権を主張していますが、これは国側が無理があると指摘しております。これは、理屈の上ではそうかもしれません。
ただし、法理上は無理があるとしても、私個人は、法律の世界で言う「社会経済上の利益」と言う観点から考えると、藤原工業の言うことは間違いだとも思いません。建てたばかりの立派な建物を、「法律上の問題」というだけで、とり壊すのは、納税者の理解も得られないでしょう。さらに、この藤原工業の提案は、おそらく籠池家側や労働組合も賛同すると思います。
それに、私たちの調査では、この土地の中には、アスベストが埋まっている可能性が極めて高いです。そのような土地で更地にする工事をしたら、アスベストが出てきて、大変な時間とお金がかかります。それなら、土地の表面をシーリングしてアスベストが出ないようにして、土地と建物を一括して売却した方が経済的にはるかに合理的です。
民事調停という手続き上は、従来の法律構成とは異なる結論を出すことも可能で、それを期待して、藤原工業もこの手続きを選択したと思われます。
経済的な合理性に欠ける理由に国は固執すべきではないし、裁判所も認めるべきではないです。また、疋田弁護士も藤原工業との民事調停の手続きが終わるまでは休園を待つべきです。疋田管財人がどのような主張をされているかは不明ですが、疋田弁護士は、ここはもっと藤原工業に協力するべきです。籠池理事長には、これをいう権限はないかもしれませんが、幼稚園が閉鎖されたら職を失う塚本幼稚園の労働組合はこれを言う権利はあると考えます。法人である塚本幼稚園と、職員からなる塚本幼稚園の労働組合は別の人格です。塚本幼稚園が主張できないことも、労働組合は言えます。
もし、藤原工業の提案が通れば、藤原工業にとっても、他の人にとっても、ベストな解決になります。
ですから、労働組合がここは頑張るべきだと思います。また、藤原工業側も、この点については、籠池氏や労働組合と話し合いの提案をするべきだと思います。
それでも、疋田管財人が休園をすると主張するのなら、職員が納得するような、丁寧な説明が必要だと思います。
*この点については、一部、ご指摘を受けて、すぐに内容を訂正しました。ご指摘に感謝申し上げます。
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