No.3027 「知らない世界」ドラマ 投稿者:木器 投稿日:2025年10月27日 (月) 14時42分 [ 返信] |
近年、かなり暇ができてテレビドラマを楽しんでいますが、見飽きたような刑事ドラマや弁護士ドラマ、男女群像もつれドラマの中にあって、今までほとんど知られなかった世界を、じつに深い部分まで取材して作られたドラマが、「うーんそうか、そういうことがあるんだ、なるほどねー」と、すごい説得力を持って見ごたえの最右翼になっています。
現在放送中のTBS日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』では、競走馬の育成にかかわる20年の壮大な物語らしく、見始めたとたんその専門性の高い、「知らない世界」の難しさを伴う魅力に圧倒されつつあります。
遡って思い出すと、放射線技師の世界を描いた『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート』もそうでした。山岳医療の世界を描いた『マウンテンドクター』というのもありました。 最近ではついこの間、今年の7月からフジテレビ系の人気時間帯「月9」枠で放送された『明日はもっと、いい日になる』は、知っているようで知らない児童相談所が舞台のドラマでした。主演の福原遥は個人的にはちょっと……の人ですが、よく問題になっている児相の複雑な問題を、よく掘り下げていたと思います。
ほかにも、よかったなーと思えるドラマを思い出すと、どこかでこの「知らない世界」ドラマの要素を持っているようです。 これも去年、日本テレビ系で放映された『放課後カルテ』は、普通の元気な子どもを持つ親には「知らない世界」である「保健室」をめぐる学校医の物語でした。 私自身にとってもほとんど「知らない世界」でしたが、孫がしばしば保健室でお世話になることがあり、毎回かたずをのんで見ていました。元気で屈託ない子どもたちにはわからない世界が、これほどあるとは、と驚かされました。
いいドラマだなーと、後々も忘れられないお気に入りになるのも、この種のドラマです。たとえば、これも去年放映されたNHKのドラマ10『宙(そら)わたる教室』というのがありました。
ともすると現代社会の中で忘れ去られがちな定時制高校の、いわゆる夜学生たちの話です。このドラマをもう一度見たくなって探していたら、たまたま今日の新聞俳壇で次のように夜学が詠まれた句が二つもあったのです。
*廊下の灯(ひ)点滅止(や)まぬ夜学かな(横浜市 塚本文武) *お互ひに歳は問はずや夜学生(大津市 星野暁)
まさにこのドラマの世界を、思い出しました。 夜の校舎の切れかけた蛍光灯が、点滅したままになっていたかどうかは忘れましたが、当たらずとも遠からずのそういう雰囲気です。
それぞれに事情を抱えた、親子ほど年の離れた仲間もいる生徒たちが、一流の科学研究家であった担任教師の呼びかけで、周囲から馬鹿にされながらも、教室に火星のクレーターを作り出す本格的な学術発表に打ち込む。その姿は、つぎつぎと自分の「知らない世界」を見せてくれて、毎回、目が離せませんでした。 まえから注目していた主役級の青年役、小林虎之介がじつにいい演技をしたのも儲けものでした。どなたかご覧になった人はいませんか。ぜひ感想を聞きたいと思います。 (今、Amazon の Prime Video の会員なら見放題になっています)
これからも多分、「知らない世界」ドラマなら、このドラマに匹敵するめっけもんの作に出会えると期待しています。とりあえずは競走馬のドラマですか……。
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