No.2999 賤が軒端の・・・ 投稿者:tomo 投稿日:2025年10月07日 (火) 10時51分 [ 返信] |
月に叢雲…ともならず、昨夜の中秋の名月はきれいに見えました。 歌読みの木器さんは「雨月」をすぐ引っ張り出すなんてさすがです。この曲はまさに和歌の道をたたえる曲かと思います。
コンクリートジャングルに住む現在に比べたら、平安の時代は自然豊かな世であったでしょうに、もっと自然を味わいたいとわざわざ賤が家を探し求めて、移り住んだ人たちもいたといいます。 「雨月」に登場する夫婦は、月を愛でるために軒を葺かないか、雨音を楽しむために軒を葺くか議論になっています。今なら合成樹脂材を使えば両方満足できますけど、これでは物語になりません。そして隣の建物で月は見えないかもしれません。
和歌については素人の私にはよく分かりませんが、木器さんの解釈はとてもいいじゃないですか。どうも謡曲を習っている者は、登場人物、場面の表現、曲の雰囲気表現を優先してしまい、詞章の一つひとつについては、おろそかにしていたことを感じさせられました。
能の作者は板屋の雨の音を大切にしていたように思います。板屋をたたく雨の音が、琵琶の調子と合わないので、苫を取り出してきて板屋にのせ、琵琶の音を楽しんたというのが「玄象」という曲の一部にあります。秋にはしっとりとした名曲が多いように思います。
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