No.2989 91歳の「兄弟船」 投稿者:木器 投稿日:2025年09月29日 (月) 08時41分 [ 返信] |
昨日のNHKテレビ「のど自慢」をご覧になりましたか? 今までこの番組は、知らない歌でも、また歌い手がうまくなくても、ときどきは「ほー、こんないい歌があったのか」という発見があって欠かさず見ていました。
ところが最近、出る歌出る歌、聞いたこともないような、聞き取りたくても何を言っているのかわからないし、メロディもしっくりこない、そんな歌ばかりで、しばらく遠ざかり始めていました。 昨日はなぜか見てみようという気になり、見ているうちに驚きました。91歳のじいさんがかくしゃくとして鳥羽一郎の「兄弟船」を歌い上げ、みごと鐘をたくさん鳴らしてしまったのです。
ゲスト出演の鳥羽自身も涙ぐむほどの出来栄えで、しかも7人の若い合格者を押さえてチャンピオンに輝いてしまいました。 ビックリと同時に励まされますねー。91歳でこれだけ歌えるなんて……。
90歳と言えば、久しぶりに東京・銀座の映画館「シネスイッチ」で見た犬童一心監督のドキュメント映画『六つの顔』にも、「ビックリ励まされ」の体験をしました。 現在94歳の狂言師・野村万作が、93歳で取り組んだ40分の狂言「川上」を、そこにいたる90年にわたる歩みを追いながら、全編しっかりと収録した意欲作でした。
これも93歳とはとても思えません。しかも自分から発案して、映画に撮りたいと申し出たそうですから大したものです。 描かれるテーマも、けっして古臭い昔にしかありえない話ではなく、老いとともに訪れる生老病死の苦(この作では盲目)から逃れたい思いと、世話する連れあいの苦労とのはざまで、この老人が神様との約束を破ってまで守ることに目覚めた人としての生き方が、なるほどと共感を誘いました。
シネスイッチもほんと久しぶり。思えばいろいろな名作をここに通ってみたものです。すぐ思い出すのはジュゼッペ・トルナトーレ監督の『ニュー・シネマ・パラダイス』。これは最初の封切版と、それより1時間近くも長い完全版の、いずれもこの映画館で見ました。
エンニオ・モリコーネの音楽がよかったですよねー。モリコーネのファンになってしまったのは、この映画のようなきれいな叙情を掻き立てる曲だけでなく、『荒野の用心棒』のようなマカロニ・ウエスタンのワクワクする勇壮な曲でも、見終わったとき必ず、何度も口ずさみたくなる印象的なメロディに満ちているところでしょう。
あ、いけない、まだやり残した仕事があるのに、また映画を見たくなってしまいました。それに明後日は歌例会なので、あまりのんびりもしていられません。
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