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【凡々さんのコメント】
特選 44 夜の秋や枕に通ふ波の音 今年の猛暑では夜の秋を感じることはありません。この句で秋の気配を感じさせて頂きました。 入選 13 大叔父の二十歳の遺影終戦日 19 戦争を知らぬ子も老ゆ終戦日 22 終戦日近づく海が荒れてくる 28 終戦日特売野菜抱え持ち 46 色褪する祖父の遺影や終戦日 47 青蜜柑雲も日陰も島は秋 |
【芽笹のコメント】
特選 44 夜の秋や枕に通ふ波の音 静かな秋の訪れを感じます。 波の音がするけれど、そのことが一層静謐な感じを際立たせています。 入選 9 説明書また読み返す残暑かな 29 終戦日だれにでもある影法師 30 敗戦忌累代の墓日に灼かれ 33 町内のラジオ体操犬と人 40 迷ひたい迷ひたくない真葛原 45 終戦日飛行機嫌いは親譲り |
皆さま、7月も投句・選句とありがとうございました。
まだまだ暑い日が続きます。 どうぞ体調に気をつけてお過ごしください。 |
【屁散人さんのコメント】
特選 3 夕立去り廃船にぶく光りけり 海岸に打ち捨てられた船なんでしょう。 あちこち破れて船のかたちをなしてないのかもしれませんが、激しい夕立に命を得た如く、船が怪しく光りだした。 かつての現役のころを思い出すように。 ちょっと怖い気がする風景ですが、その光もつかの間のことでしょう。 静かに冥界へ戻ってゆくと思われます。 普通選 10 会えぬ人に会える気がする合歓の花 31 雷雨来る阿修羅幼き顔をもつ 35 幼き日の祭の記憶水中花 45 島消えて島現れて夏の霧 48 夕立の後の雫を聴いてをり 50 子の眠る夕立あとのしじまかな
[662] 朱胤 > 3 夕立去り廃船にぶく光りけり、特選、ゆたかな物語を読み込んでいただき、ありがとうございました。 (2025年08月03日 (日) 16時19分)
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【芽笹のコメント】
特選 9 石段や白雨包める羽黒山 情景が浮かんでくる句。 「白雨」と「羽黒」で、「ハク」「ハグ」と響き合っているのもよい。 古い五重塔が霞んでいるのが想像されます。 入選 24 降り立ちし駅に夕立やり過ごす 31 雷雨来る阿修羅幼き顔をもつ 32 半夏生夜がねつとり明けてくる 38 ゆだち去り匂ひの残るアスファルト 46 何ものか消えしものあり夕立あと 48 夕立の後の雫を聴いてをり |
【山本洋さんのコメント】
特選 22 若草山白雨の雄鹿動かざる 白雨の中にじっと佇む雄鹿が新鮮で雄々しい。 普通選 17 遠くより夕立見れば銀の街 23 単線を走る列車や青田風 24 降り立ちし駅に夕立やり過ごす 32 半夏生夜がねつとり明けてくる 42 砂浜を駆け夕立を逃げ切れず 46 何ものか消えしものあり夕立あと
[660] 珍辰 > 特選、ありがとうございます。この光景はありのままです。 (2025年08月03日 (日) 09時22分)
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【凡々さんのコメント】
特選 32 半夏生夜がねつとり明けてくる 熱帯夜が開けて猛暑のI日が始まる気の重い感じがよく出ていると思います。 半夏生が逆説的で上手い使い方です。 普通選 6 水替ふることを欲して水中花 12 サワと葉の揺れて夕立の気配かな 13 庄内へ最上へ分かつ白雨かな 29 望近き月の夕べをほととぎす 34 一回戦勝ちたる校歌雷雨来る 47 タマ虫のコツンと落ちてまた飛びぬ
[665] 屁散人 > 特選、ありがとうございます!
今年の半夏生は7月1日で、この日雨が降ると大雨になるといわれてます。 ただ、実際は午後ちびっと降っただけでしたね。 いずれにせよ、これから本格的な夏になるんだなぁ、という感じ。 29もありがとうございます♪ (2025年08月04日 (月) 08時30分) |
【珍辰さんのコメント】
特選 32 半夏生夜がねつとり明けてくる この「半夏生」は夏至の第三候ですから、7月初旬。夏の湿気、ねっとり感が始まったという思いですね。 そういう季節が「明けてきた」のです。暦は日本人が長く生活のリズムを形作る指針でしたが、今は忘れられがちです。 しかしよく周囲を見回し、空を眺めていると、ちゃんと暦通りに地球は動いているのではないですか。 異常気象と叫ぶのも否定はしませんが、冷静に見守りたいものです。 俳句のメッセージによるしとやかに訴え、好感が持てます。大声で叫ぶ人ほど怪しかったね。選挙見ていると。 普通選 11 北斎の波の底にも穴子棲む 北斎の波といえば神奈川沖浪裏を誰もが思い浮かべます。 その波の底に穴子が棲んでいる取り合わせは面白いのですが、 穴子はというより浅瀬に棲んでいるので、ちょっと無理があるかな。 浅瀬の穴子が沖波を見ているとかしたらよいかも。 36 故郷に縁者もう無く青嵐 縁者がいなくなった故郷に変わらぬものは緑の風景。作者の故郷へ思慕が読み取れますね。 45 島消えて島現れて夏の霧 海の霧も山の霧も生き物のように動きます。その変化の様子は見ていて飽きません。 48 夕立の後の雫を聴いてをり 激しい雨が去って明るい日差しが戻り、やれやれという安堵感が伝わってきますね。 52 東京湾渡りて安房の夕立に 東京湾という海の一線によって随分気候は変わるものです。落語「大山詣り」で ほら熊さんが、参詣一行のうその遭難話に、横須賀米ガ浜の祖師に詣でる船を出して 疾風に巻き込まれて全員水死というシーンがあります。それを思い出しました。 53 夕立やはずむ話も途切れたる 雷鳴というものは、やはり怖いものです。犬や猫も反応します。根源的にもっている 生き物の恐怖心なんでしょうね。
[666] 屁散人 > 特選、ありがとうございす!
半夏生は大方梅雨の時期なのですが、今年は梅雨はどこへ行った感がありましたな。 けれども、これから暑くなる予感というか定めなので、7月という語感の爽やかさとは裏腹に、ねっとりと重い日々が始まるのでありますね。 (2025年08月04日 (月) 08時35分) |
【朱胤さんのコメント】
【特選】 41 向日葵に囲まれ行方失へり 向日葵畑の中で迷ったのでしょうか。 見渡す限り咲く向日葵の景と途方に暮れる失調感のとりあわせが面白いと思いました。 【選】 1 寒山と拾得笑まふ夕立かな この句自体が一幅の水墨画のようです。 5 夕焼けを暮るるまで見し帰り道 ノスタルジーに浸りました。 31 雷雨来る阿修羅幼き顔をもつ 美少年のような美少女のような興福寺阿修羅像が浮かびます。 40 朝涼や手の届くかに雲流れ 身体感覚に訴えてくる中句が秀逸です。 45 島消えて島現れて夏の霧 島のリフレインが魅力的です。 48 夕立の後の雫を聴いてをり ひと時のなんともいえない感じが伝わってきます。 今月もありがとうございました。
[661] 珍辰 > 自分で作ってなんですが、阿修羅が幼い顔を持つ、と俳句に残した人はたくさんいるでしょうね。 (2025年08月03日 (日) 09時25分)
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【まゆ子さんのコメント】
特選 46 何ものか消えしものあり夕立あと 突然空が暗くなり大きな雨音。 ドキドキしているうちに収まる夕立ちってとても神秘的な感じがして何かがなくなったように思えます。 入選 12 サワと葉の揺れて夕立の気配かな 33 足引いて炎天の中友来る 38 ゆだち去り匂ひの残るアスファルト 44 響きたるロックの如き夕立来る 50 子の眠る夕立あとのしじまかな 55 黙々と白雨囲いのテント飯
[663] 朱胤 > 46 何ものか消えしものあり夕立あと、特選ありがとうございました。止めば、それが嘘だったかのような静けさ。 (2025年08月03日 (日) 16時35分)
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【松子さんのコメント】
特選 46 何ものか消えしものあり夕立あと とても美しい句です。何ものは、人それぞれでいいのでしょうね。 入選 1 寒山と拾得笑まふ夕立かな 寒山と拾得が夕立の中を走り回っているようで楽しい句です。 5 夕焼けを暮るるまで見し帰り道 暮るるまでがかわいい。どこで誰とみているのかも気になるところ。 18 大仏の膝下に逃れ夕立かな 守られているようでわかりやすい句だと思いましたが、観念的かも。 24 降り立ちし駅に夕立やり過ごす そんな旅をしてみたいです。 44 響きたるロックの如き夕立来る 夕立来るが、気になった。夕立来てだと無理かなあ。 47 タマ虫のコツンと落ちてまた飛びぬ 描写が素敵です。だから何だと言われそうだけれど。
[664] 朱胤 > 46 何ものか消えしものあり夕立あと、特選ありがとうございました。雨後、呆然としつつ、かろうじて夕立前の自分と後の自分が同じであること...。 (2025年08月03日 (日) 16時37分)
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【犬客さんのコメント】
特選48 夕立の後の雫を聴いてをり 懐かしい経験です。 入選 7 団扇かぜ月山和紙の匂ふ朝 34 一回戦勝ちたる校歌雷雨来る 40 朝涼や手の届くかに雲流れ 41 向日葵に囲まれ行方失へり 42 砂浜を駆け夕立を逃げ切れず 55 黙々と白雨囲いのテント飯 その他良いと思った句 22 若草山白雨の雄鹿動かざる 24 降り立ちし駅に夕立やり過ごす 38 ゆだち去り匂ひの残るアスファルト |
【酔牛さんのコメント】
特選 49 波音のわずかに寄すや夏座敷 厳しい暑さの中で涼しさを求めてさまざまな意匠が凝らされた夏座敷。 襖、障子、簾、藤筵など風通し良く見た目も涼しげな空間に癒される。 「山も庭も動き入るるや夏座敷」芭蕉は山や庭の景色がまるで動きだし、 夏座敷に入ってくるように感じられると情景を描写した。 「波音のわずかに寄すや」は聴覚的にその「わずか」さの中にかえって涼しさが沁みてくる。 一人なのか話し相手がいるのか、いずれにしてもしめやかな時間の流れがあるように感じられる。 普通選 4 山小屋へ鎌尾根越えて来る夕立 13 庄内へ最上に分かつ白雨かな 24 降り立ちし駅に夕立やり過ごす 29 望近き月の夕べをほととぎす 45 島消えて島現れて夏の霧 50 子の眠る夕立あとのしじまかな |
皆さま、6月も投句・選句とありがとうございました。
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【松子さんのコメント】
特選 3 事多き月も過ぎけり走り梅雨 時が走っているように早く過ぎる。 いろいろあっても、早く過ぎる。疾走感がなんとも身にしみた。 もっとゆっくり流れてほしい。 選 1 木下闇ときをり栗鼠の揺らす枝 可愛いですね、栗鼠という漢字もこうして見ると可愛い。ときをりというのも、いい感じだと思いました。 8 枇杷甘し女一人に夜の更ける つい選んでしまったのに、なんだかもやっとする。枇杷甘しの「し」が気になる。それと、女一人の「に」も気になる。 23 白靴に予想外れの雨となり そうだよなあ、天気予報がよく当たる昨今、なんか悔しい。白靴が目に浮ぶ。白い靴、白い白い靴。 33 竿先は全く揺れず梅雨に入る 竿先を見つめて時を過ごすというのも、身につまされる。丸めた背中か、伸びた背中か、どっちを想像する? 41 時鳥去りたる昼が眠くなる 身につまされる。昼が眠くなる、ということを日々感じている身としては、これも老いだなと思うのです。 56 父の日を祝ふ父なく梅雨の月 梅雨の月とはどんなことだろうと、まだ考えています。
[643] 屁散人 > 41 時鳥去りたる昼が眠くなる
選、ありがとうございます! 今年は時鳥がよく鳴きます。いまだに鳴いています。時鳥がいなくなると、谷戸が静かになります。 まぁ、時鳥がいようといまいと眠いのだけれど……。 (2025年07月04日 (金) 13時41分) |
【芽笹のコメント】
特選 4 風入れてアイロン掛ける梅雨晴れ間 梅雨の晴れ間、久しぶりに爽やかな風が入ってくる。 さあ、アイロンをかけよう。布がパリッと伸びていく。 入選 9 噛み合はぬ親子の会話梅雨の夜 17 梅雨深し廊下の奥の保健室 19 カナダより梅雨の羽田に着陸す 28 右脚の瘡蓋とれて夏近し 40 梅雨晴れ間テラスの席にレモネード 53 梅雨深し拭ふ眼鏡の指の痕 |
【山本洋さんのコメント】
特選 5 入梅とぽかり泡吹くどぢやうかな 入梅とどぢやうの取り合わせがとてもしっくり来ます。 普通選 3 事多き月も過ぎけり走り梅雨 21 梅雨晴れ間ガラクタ市のせわしなく 25 はかはかと急いて梅雨間に藪を刈る 32 あめんぼの水輪の当たる亀の首 45 風くれば風に遊びて花菖蒲 55 競走馬梅雨の芝生を撥ね散らし |
【まゆ子さんのコメント】
特選 17 梅雨深し廊下の奥の保健室 廊下の奥の保健室、色んなドラマが生まれて、と想像させられます。 入選 28 右脚の瘡蓋とれて夏近し 38 梅雨雲の動かずにゐる潦 51 太宰忌の三鷹に偲ぶ跨線橋 56 父の日を祝ふ父なく梅雨の月 59 夕凪や誰が呼ぶ声の聞こえける 61 黒板を白墨の打つ梅雨の明け
[647] 朱胤 > 17梅雨深し〜の特選、61黒板を〜の選、ありがとうございます。そうですね、ご指摘のように「梅雨深し」「廊下の奥」「保健室」はそれぞれ多くの(ちょっと暗めの)連想の働く語でしたね。今年はもう明日にも梅雨明けだそうですが。
(2025年07月06日 (日) 16時40分) |
【屁散人さんのコメント】
特選 17 梅雨深し廊下の奥の保健室 保健室にお世話になった記憶はありませんが、忘れているだけでしょう。 この句にある暗い雰囲気は、なんとなく身の内で分かっている感じがします。 事実は女の先生(というのかな)が優しく接してくれ、生徒にとっては絶好の避難場所でもあったと思います。 でも、この句の持つ拠り所のない人間が、最後に行き着くところ、といった感じがするのは否めません。 保健室に何が待ち構えているのか。 誰も知らない、暗い保健室……。 普通選 4 風入れてアイロン掛ける梅雨晴れ間 8 枇杷甘し女一人に夜の更ける 32 あめんぼの水輪の当たる亀の首 46 閉ざされて梅雨深みたる中雀門 56 父の日を祝ふ父なく梅雨の月 57 雨の音ばかりが梅雨の病室に
[648] 朱胤 > 17梅雨深し〜の特選ありがとうございます。保健室に特に思い出があるわけではないのですが、「梅雨」からの連想で暗いイメージの語が集まってしまいました。もうすぐ梅雨が明けて猛暑が到来するそうですが、背筋が涼しくなるような評、ありがとうございました。 (2025年07月06日 (日) 16時47分)
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【珍辰さんのコメント】
特選 23 白靴に予想外れの雨となり 「予想外れの雨」にきっと多くの読者は共感したことでしょう。こんなことある、ある、です。 白靴などめったに履かないもの。そこから精一杯のおしゃれをしたことが分かります。その想いをみごとに覆す雨。 「雨となり」としたことで余韻も深まりました。どこかの大会に出したら上位入賞間違いなし。 普通選 8 枇杷甘し女一人に夜の更ける ひとり枇杷をすするように食べる女。何だか不気味なような幸せのような。不思議感がいいね。 16 六月の木蔭はまろし師の忌来る わが師の命日、柔らかな木陰に包まれていたと改めて思いますねぇ。 41 時鳥去りたる昼が眠くなる 鳥の声の中でもホトトギスはやかましい部類です。それが鎮まると四囲に眠気が 56 父の日を祝ふ父なく梅雨の月 梅雨の月のどことない寂寥感と親への想い。身に沁みます。 57 雨の音ばかりが梅雨の病室に 梅雨の薄暗い病室。安静時間の無聊。音が聞こえるくらいだから本降りで滅入ります。 58 風の谷戸山車も一つとなりにけり 谷戸を吹き下ろす軽やかな風に山車がゆるゆると進みだし、いよいよ祭りも静から動に変わり始めるのでしょう。
[644] 屁散人 > 41 時鳥去りたる昼が眠くなる
選、ありがとうございます! 去年に比べ、今年ははっきり大きく鳴く感じであります。お昼寝も静かな方がいいですな。 58 風の谷戸山車も一つとなりにけり 汐入のお祭りであります。町内会館の前に山車が一つだけぽつんと置かれてありました。 以前はたくさんあっただろうに、時代は山車をも消していくんですねぇ。 (2025年07月04日 (金) 13時46分) |