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【凡々さんのコメント】
特選 46 マルメロの香や地球儀へ指を置く 榲桲の原産地の遠い中央アジアに想いを馳せているのでしょうか。 地球儀と榲桲の取り合わせがいいと思います。 普通選 1 亡き母の時折通る花野かな 19 マルメロや眠る穂高へ夕日落つ 22 この微熱いつまで秋の灯が潤み 26 父の忌の無月の空を仰ぎをり 32 椎の実の踏まれて白し東慶寺 50 流れ星一瞬時が止まりをり |
【酔牛さんのコメント】
特選 48 マルメロを摘みアルプスの空広げ 「マルメロを摘」む作業は、生活の営みであり、家を継ぎ、その土地で生きる生業の一つである。 舞台は北アルプスを望む日本の原風景といえる。 日本のアルプスは北アルプス(飛騨山脈)、中央アルプス(木曽山脈)、南アルプス(明石山脈)である。 北アルプスの雄壮な自然のもとに栽培されるマルメロの黄色、成熟を讃えるような秋の青い空、 その透き通る青さとマルメロの黄色という色彩の対比は信州の秋大空を広く広く押し上げているのである。 入選 18 道の端に突き刺したごと曼珠沙華 19 マルメロや眠る穂高へ夕日落つ 26 父の忌の無月の空を仰ぎをり 31 尖塔は稲妻のたび空を刺し 35 マルメロを享けば夕日の香もありぬ 42 マルメロのいびつ撫づれば香の甘き
[704] 珍辰 > 毎度過分なる講評を頂戴し感謝いたします。 (2025年11月02日 (日) 10時23分)
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皆さま、9月も投句・選句とありがとうございました。
ようやく涼しい日がやってきました。 季節の変わり目、体調に注意してお過ごしください。 9月の投句で「ありのすさび」という言葉がありました。 「蟻の巣……さび?? 錆び?」 「蟻の……すさび? さけび?」 「蟻の? 有りの? ???」 と、頭の中に疑問符が大量に押し寄せてきました。 ひとまず選句を終えて、ホームページも更新して、 ふと「ありのすさびってなんでしょね?」と気になって辞書を引きました。 「ありのすさび」漢字では「在りの遊び」と書くそうです。 広辞苑によれば「あるにまかせて、特に気にせずにいること。 生きているのに慣れて、なおざりにすること。ありのすさみ。」 とありました。 おお……、蟻とは関係なかった。「在りの遊び」とは。 分からない言葉に出会ったら、その場で辞書を引かなくてはと思った次第。 10月も皆さま、よろしくお願いいたします。 |
【松子さんのコメント】
特選 1とにかくも参加が大事鰯雲 のんびりした感じと、ざわざわごちゃごちゃした感じが混ざって、 面白い句だと思いました。 入選 3 化粧坂その香となりぬ葛の花 6 武蔵野に風巻き上がり葛の花 12 葛の花踏んで無住の生家かな 15 新米の朱鷺の里より届きけり 26 沈みゆく日の色流し秋の海 32 澄む水の底なる明かり見果てざる |
【芽笹のコメント】
特選 22 いつの間に母の仕種や茄子漬ける お母さまから教わった茄子漬。懐かしい味でしょうね。 同じレシピで漬けてみる。気づけば同じ仕種。 受け継がれる家庭の味がここにあります。 入選 2 うそ寒や癒えざることは知りつつも 12 葛の花踏んで無住の生家かな 24 湧き上がる雲求めゆく葛の花 28 葛の花もう使われぬ汽車一両 40 葛の花ダム湖の底に旧街道 48 葛の花東国武士の砦跡 |
【酔牛さんのコメント】
特選 24 湧き上がる雲求めゆく葛の花 富士山や鳳凰三山への登山が人気となっている昨今、里から峠へ峠から山頂へ 登山者のそれぞれのペースで山登りが楽しまれる。 山頂の上にはさらに「湧き上がる雲」が漂っている。 山頂からの絶景、さまざまな雲の様子には心癒される時の流れがある。 葛の花も里から峠へ峠から山頂へとその蔓を自在に延ばし、葉を広げ花を咲かせている。 まるで雲の高さへの憧れを抱くように。 普通選 6 武蔵野に風巻き上がり葛の花 7 葛の葉の裏見晴明母恋ふる 8 尋ぬれば教へられし名葛の花 25 山裾を縁取るやうに葛の花 36 葛の花水が自慢の村廃れ 48 葛の花東国武士の砦跡
[690] 珍辰 > 大変立派な講評をいただき、恐縮に存じます之介。 (2025年10月01日 (水) 15時11分)
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【屁散人さんのコメント】
特選 27 独り居のありのすさびや鉦叩 この鉦叩は、家の中に入って鳴いているやつでしょう。 独居は、いつ何をしようが、自分で勝手に決めれば良いわけで、お気楽生活満開。 そんな時、チン チン チン チン……と小さいながらもしっかりと鳴く鉦叩。 侘しいながらも、そばにいて鳴いてくれる鉦叩は、ありのすさびの親しい友と言っていいでしょうね。 普通選 13 鬱々と朝を待ちつつ秋灯す 15 新米の朱鷺の里より届きけり 28 葛の花もう使われぬ汽車一両 31 村会選は全員当選葛の花 40 葛の花ダム湖の底に旧街道 48 葛の花東国武士の砦跡 |
【朱胤さんのコメント】
【特選】 35 葛の花をのこは姉の手にひかれ どういう物語でしょうか。雰囲気があり惹かれます。 【入選】 3 化粧坂その香となりぬ葛の花 語調がきれいです。 5 萩ゆれて薄ももいろに道を染め 素直で美しい句。 7 葛の葉の裏見晴明母恋ふる 数奇な物語が含まれている。 26 沈みゆく日の色流し秋の海 ダイナミックですね。 40 葛の花ダム湖の底に旧街道 湖底に過去の世界がある。 46 湖に風のさざ波秋澄める さわやかです。 今月もありがとうございました。
[692] 屁散人 > 46 湖に風のさざ波秋澄める
選、ありがとうございます! 爽やかさを感じ取っていただき、感謝です。 (2025年10月15日 (水) 17時34分) |
【凡々さんのコメント】
特選 36 葛の花水が自慢の村廃れ 葛の生命力の強さと花の可憐さがよく感じられる句だと思います。 葛の花、湧き水、廃れた村の取り合せが絶妙です。 普通選 2 うそ寒や癒えざることは知りつつも 12 葛の花踏んで無住の生家かな 15 新米の朱鷺の里より届きけり 19 流れ星どうぞ世界を幸せに 29 とこしへに去りゆくものに秋の水 31 村会選は全員当選葛の花
[691] 珍辰 > 原句を上回るような素晴らしい講評、恐縮至極に存じまする (2025年10月01日 (水) 15時14分)
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【山本洋さんのコメント】
特選 38 運針は進まぬままに桐一葉 ぴたりと時が止まったままの静謐を桐の一葉が表しているような気がします。 入選 5 萩ゆれて薄ももいろに道を染め 6 武蔵野に風巻き上がり葛の花 32 澄む水の底なる明かり見果てざる 46 湖に風のさざ波秋澄める 47 大佛の燭となりたる葛の花 51 靴脱げて坂道転がり秋時雨 |
【珍辰さんのコメント】
特選 40 葛の花ダム湖の底に旧街道 こういう句好きです。 秋になりダムの貯水量が減り、旧街道が底に見えてきた。 時間が巻き戻されたように作者には葛の咲いている故郷の景色が見えてきたのでしょう。 普通選 2 うそ寒や癒えざることは知りつつも 情感は十分伝わりますが、明るく句は読みたいねぇ 15 新米の朱鷺の里より届きけり 「新米の」は「新米や」ではないかな 22 いつの間に母の仕種や茄子漬ける 母の仕草はどんな仕草なのかな 26 沈みゆく日の色流し秋の海 夕日の動きをうまくとらえたと思います 34 病む妻と思ひ出話秋の夜 温かな夫婦関係の歴史を感じます 37 不揃ひの雲の散らかる九月かな 雲の散らかるとは、うまい表現ですね
[693] 屁散人 > 2 うそ寒や癒えざることは知りつつも
選、ありがとざんす! 明るいときは明るく、そーでないときはそれなりに、ってやつですな♪ (2025年10月15日 (水) 17時36分) |
【まゆ子さんのコメント】
特選 51 靴脱げて坂道転がり秋時雨 さぞ痛かったことでしょう。同じ体験をしたものとして実感があります。 秋時雨という季語になぐさめられるような優しさを感じました。 入選 16 葛の花香れば隠れやうもなく 40 葛の花ダム湖の底に旧街道 45 芒原遠くの山に雲沸ゐて 46 湖に風のさざ波秋澄める 47 大佛の燭となりたる葛の花 |
皆さま、8月も投句・選句とありがとうございました。
10年に一度の暑さになっているとか。 9月も体調に気をつけてお過ごしください。 |
【まゆ子さんのコメント】
特選 6 終戦日包丁を研ぐ父の背中 ドキッとしました。寡黙にひたすら包丁を研いでいる。 危険な作業にぴりっとした緊張感、終戦日の心持を感じました。 入選 9 説明書また読み返す残暑かな 19 戦争を知らぬ子も老ゆ終戦日 20 地をつつく鳩を見てゐる敗戦日 39 来し方や折り鶴白き終戦日 49 終戦日戦没の名を指で撫づ 50 待合室はカノンの調べ秋の午後 |
【珍辰さんのコメント】
特選 17 己が毒ゆゑに憎まれ子蜈蚣も 世の中の不条理。毒をもって生まれたことは自分が選択した生き方ではない。 愛されて生まれたっていいのに、毒虫、咬まれる、と唾棄される運命を負わされてしまっている。 俳句ならではの作品ですね。 普通選 8 生きたれば人かく集ふ終戦日 日常的に人は群れて活動しています。それは生きているから。生きているから何でもできるのですね 20 地をつつく鳩を見てゐる敗戦日 鳩が無心に餌をついばんでいる。当たり前だけど当たり前が平和であり、安寧なんですね 22 終戦日近づく海が荒れてくる 海の荒れ。日本の一番長い日に向けて国が分裂するところでした。そんな雰囲気が伝わります 28 終戦日特売野菜抱え持ち なんと平和な日でしょう。新鮮で安く野菜が溢れるほど手に入る世の中 30 敗戦忌累代の墓日に灼かれ 先祖の墓が並び、これだけの人の上に現在の自分がいる、そう考えると日差しに責められているよう 34 秋日傘しやかしやか畳みもの言はず 【珍辰さんのコメント】 特選 17 己が毒ゆゑに憎まれ子蜈蚣も 世の中の不条理。毒をもって生まれたことは自分が選択した生き方ではない。 愛されて生まれたっていいのに、毒虫、咬まれる、と唾棄される運命を負わされてしまっている。 俳句ならではの作品ですね。 普通選 8 生きたれば人かく集ふ終戦日 日常的に人は群れて活動しています。それは生きているから。生きているから何でもできるのですね 20 地をつつく鳩を見てゐる敗戦日 鳩が無心に餌をついばんでいる。当たり前だけど当たり前が平和であり、安寧なんですね 22 終戦日近づく海が荒れてくる 海の荒れ。日本の一番長い日に向けて国が分裂するところでした。そんな雰囲気が伝わります 28 終戦日特売野菜抱え持ち なんと平和な日でしょう。新鮮で安く野菜が溢れるほど手に入る世の中 30 敗戦忌累代の墓日に灼かれ 先祖の墓が並び、これだけの人の上に現在の自分がいる、そう考えると日差しに責められているよう 34 秋日傘しやかしやか畳みもの言はず オノマトペー効果、日傘の麗人に何か起こっているのか、不機嫌な様子が感じ取れます |
【山本洋さんのコメント】
特選 18 みんみんの不意に鳴止む夕立かな こんな夕立を誰もが経験しているはずだが、句で見たのは初めて。斬新な句。 入選 1 終戦日隣家と交わす非常食 3 水槽の最後の一尾終戦日 4 残暑かな錆びた廃線海岸へ 13 大叔父の二十歳の遺影終戦日 20 地をつつく鳩を見てゐる敗戦日 50 待合室はカノンの調べ秋の午後
[677] 松子 > ありがとうございます。はげみになりました
(2025年09月07日 (日) 09時15分) |
【松子さんのコメント】
特選 20 地をつつく鳩を見てゐる敗戦日 特選にいただいたわけは、敗戦日という言葉。 一時は盛んに使われていたのに、今年はあまり効かない言葉。何故かしら。 入選 11 終戦日今日も落日一つあり そう言ってしまえばそうなのですが、それを見られるのは生きているしるしかも。 19 戦争を知らぬ子も老ゆ終戦日 戦後のベビーブームの翌年生まれとしては、そうですねとしか言いようがない。 31 青浄き切子皿なる冷奴 もう、涼やかな情景ですね。 32 終戦日名前の数は死者の数 39 来し方や折り鶴白き終戦日 45 終戦日飛行機嫌いは親譲り
[679] 朱胤 > 20の特選、11、32の選、ありがとうございました。この句で「終戦」だとひと事のようで客観的すぎるかと思いました。 (2025年09月07日 (日) 18時54分)
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【朱胤さんのコメント】
【特選】 33 町内のラジオ体操犬と人 なんでもない句ですが、とてもいい感じがします。 【選】 5 八月の空飛行機雲が二分せり シンプルに大きく景をとらえていて、気持ちいい。 9 説明書また読み返す残暑かな けだるさが伝わってきます。 14 窓辺なる妣の朝顔青浄く しんみりします。 22 終戦日近づく海が荒れてくる 雰囲気のある句。 42 終戦日父が語りしことわずか 強い陽光のもと、景色がモノクロに見えます。 44 夜の秋や枕に通ふ波の音 感じが伝わってきます。 【惹かれた句】 7 青蜜柑雲も日陰も島は秋 雰囲気のある句。 10 たましひのいづこに在るや終戦日 18 みんみんの不意に鳴止む夕立かな 24 世阿弥忌や朱鷺の白色田に需め 色のきれいな句。 30 敗戦忌累代の墓日に灼かれ 31 青浄き切子皿なる冷奴 41 狂ひ咲く藤の一枝秋立てり 今月もありがとうございました。 |
【屁散人さんのコメント】
特選 37 日傘さしディサービスの迎え待つ デイサービスの迎えの車がもう来るか、と日傘をさして待っている。 ただそれだけの光景ですが、妙に実感がありました。 強い日差しと、それを受ける日傘が眩しい。 ちょっと大げさだけど、日常の一コマが命の輝きのよう。 「日傘さし」がいいですね。 普通選 10 たましひのいづこに在るや終戦日 20 地をつつく鳩を見てゐる敗戦日 28 終戦日特売野菜抱え持ち 30 敗戦忌累代の墓日に灼かれ 44 夜の秋や枕に通ふ波の音 50 待合室はカノンの調べ秋の午後 |
【酔牛さんのコメント】
特選 42 終戦日父が語りしことわずか 戦後八十年、繰り返し語られてきた歴史もあれば、戦没された方々で遺骨も見つからぬ数多くの歴史もある。 沖縄戦でのある少女の話がある。沖縄のガマに逃げ込んだ老夫婦と少女の話である。 老婆は手足の不自由となった爺の褌をちぎり白旗として少女に渡したのである。 少女はその白旗により救われる話である。 「褌を白旗としてちぎる婆少女の命救はんとして 酔牛」稚拙な歌を読んでみた。 「父が語りしことわずか」は語らないのではなく語れない現実があったのではないだろうか。 終戦記念日の俳句を作る難しさを改めて感じた。 普通選 13 大叔父の二十歳の遺影終戦日 17 己が毒ゆゑに憎まれ子蜈蚣も 19 戦争を知らぬ子も老ゆ終戦日 28 終戦日特売野菜抱え持ち 47 青蜜柑雲も日陰も島は秋 50 待合室はカノンの調べ秋の午後
[678] 珍辰 > 戦時中の話は大まかなことは聞いていましたが、具体的にどうしていたか、
までは聞けずにいました。もっと詳しく聞いていたらと思うばかりです。 (2025年09月07日 (日) 10時42分) |