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やまぎし [328] 07/13/(日) 22:52:43
現在天文ガイド誌にて「旧式機材改造計画」という特集が連載されています。 私の動機もぼほ同じです。
赤道儀は、タカハシP2赤道儀とビクセンSP赤道儀が遊休状態だったのですが、 ・C8を同架するので、赤経だけでもベアリングが入っているP2の方が良さそう。 ・そもそも、P2赤道儀をこのままお蔵入りさせるのは忍びない。 という理由で、P2赤道儀に手を加えて、2軸化して自動導入改造することにしました。 ここでは、改造内容詳細(機械編)をご紹介いたします。
1,赤緯軸全周化 周知のごとく、P2赤道儀の赤緯微動は、押しネジによるダンジェント部分微動 なので、微動可動範囲は限られています。 2軸オートガイド化だけであれば、「この押しネジにモータを直結させる」という 手段も有るのですが、全自動導入化をするには、全周駆動化する必要が有ります。 最近は、ハーモニックドライブが流行りつつありますが、 ・まだまだ高価。 ・個人では入手性に難がある。 という理由から、昔ガイドマウント用に使用していたスペースボーイ赤緯体の 流用を思いつきました。 この赤緯体は、 ・ウォーム歯数=100枚 ・スリーブベアリング方式(転がりベアリングでは無い) というデメリットは有りますが、赤緯なので、あまり精度を要求しなくて良いので 十分と考えました。 P2赤道儀への取付は、 ・10mm厚アルミ板をコの字形に組合せる ・コの字の両端面をP2の鏡筒バンド取付部&ウェイト軸穴を利用して取り付ける。 ・コの字の一番広い面にスペースボーイ赤緯体を取り付ける。 ・コの字中央部で、P2赤道儀赤緯体の側面にネジ止めを行い、ネジレ剛性を向上させる。 という方法で行っています。 なをP2赤道儀の赤緯部は、部分微動ネジを一杯に締め付けて完全固定しています。 さらにクランプ部は、M6ボルトに置換ています。
2,モーター いわゆるNAME17規格(42mm角)の0.9度ステップ(400step/周)のステッピングモータ を赤経&赤緯共に採用しました。 一般的には、NEMA17というと1.8度ステップ(200step/周)なのでより滑らかに動き ます。 ATLUXでは、「200step/周+減速ギヤ付きモータ」を採用したので、「減速ギヤ無で トルクは足りるか?」という不安が有りましたが、取り越し苦労に終わりました。 →ウォームギヤのかみ合せ調整を行うことにより、1200倍速相当で自動導入動作して います。
3,モーター駆動力伝達 モーター駆動力伝達方法は、タイミングベルトを採用しました。 理由は、 ・コンパクトになる。 ・廉価。 ・ATLUXは直結方式を採用したので、流行のタイミングベルトを試してみたかった。 タイミングプーリーは、赤経・赤緯共にモーター側=20枚、ウォーム側60枚として、 ここで減速比1:3にしています。 プーリー選択で困ったのは、赤経側のウォーム軸径。P2はφ9mm。オリジナルは クラッチでφ9からφ6に変換していますが、φ6部を曲げてしまったので使用できず。 更に、φ9mm軸径用プーリーって、ミスミ以外では入手できません。 オマケにミスミって、企業営業だけで、個人向けには販売していません。 しかたないので、φ8軸用とφ9リーマーの中古品を入手して穴径拡大を行いました。 重要な赤経用なので追尾精度が気に成りましたが、実際に撮影してみると、C8直焦点 がどうにかガイド出来たので一安心です。
4,モーター取付 アルミ板をL型に組み合わせて、フレームを形成しています。 赤道儀への取り付け部には、押しネジと引きネジ穴を追加して、ウォームのかみ合わせ 微調整が可能な構造としています。 また、モーター取付は、モーター取付板(移動用)を追加して、ベルト張力の微調整が 出来るようにしてあります。
5,追加ウェイト 6kg近くのC8+αを搭載するとなると、オリジナルウェイトだけでは不足なので、 φ20mm穴径5kgウェイトを追加しています。 たしか、ケンコー製EQ6R用だったと思います。 GN26s用として使用していたのですが、GN26sにはバーベルウェイトを追加したので、 玉突きで遊休と成っていました。 φ18のタカハシシャフトへφ20穴ウェイトを追加するに当たっては、オリジナルシャフト 先端にM10x40高ナットを取付て、ここにΦ20穴ウェイトを取り付けています。 M10ナットの最大寸法は19.6mm程なので、そのまま使えます。 更に、ウェイトシャフトの延長効果も得られますので、一石二鳥でした。
6,PC&電気制御ユニット類同架 PCを初めとして、OnStep-X&フォーカーサーの電子制御ユニットを同架しています。 これらのユニットは、ウェイト軸と平行に配置したDINレールに取り付けています。 各ユニットには、オムロン製DINレール取付板を取り付けてあるので、ワンタッチで 取付取り外しが可能です。 バランスウェイトの補助にも成りますし、ASIAIRやGearBox相当の機能が実装されて います。 詳細は、電気編でご説明致します。
7,アルミ三脚対応 私のP2赤道儀は、木製三脚です。 ルーフバルコニーへの設置方法は検討中ですが、最悪三脚部が雨ざらしに成る可能性 が有るため、ビクセン製アルミ三脚への対応も可能としました。 30mm角アルミフレームを3本使用したハーフピラーを介して、P2の三脚座毎ビクセン 製アルミ三脚に乗る様にしました。 アルミフレームとP2三脚座の接合部は、インロー勘合とM8ボルトで行います。 恒久的にどちらの三脚をしようするか?、実践の中で検討予定です。
8,オーバーホール 30年物の機材ですので、この際思い切ってオーバーホールしました。 8-1,P2赤道儀 赤経ウォームの動きが渋いので、ウォーム軸部を分解・清掃・グリス入替を行いました。 古いグリスは、軽油で洗い落としました。 新しいグリスは、モリブデングリスを使用しました。ウォームホイルとの合わせ部にも モリブデングリスをグリスアップしています。 本来であれば、赤経軸回りを全分解したいところですが、何せ内部構造が判らないのと、 思い当たる部分のネジが硬くて緩まないので、全分解はお預けです。 オーバーホール後のウォーム軸トルク測定結果をアップロードします。 300gf・cm~1200gf・cmの間を連続的に変化し、且つ1か所でトルクが高く成っています。 →ウォームホイルが偏芯しているようです。 研磨砂等を使用してすり合わせをすればこの偏芯は軽減できると思いますが、その際 際には、全分解してベアリング内部も清掃またはベアリング交換が必要となる可能が 高いため、見送りました。 また分解次いでに、ウォーム軸受け部にかみ合わせ調整用ネジ(引きネジ用)の 追加工を施しました。 なを、赤経軸の動きは、C8を載せた状態でも滑らかに動きます。 基本剛性が高く、ベアリングが入っている恩恵だと思います。
8-2,スペースボーイ赤緯体 こちらは、粗動&ウォーム軸動作共に重かったので、全解体してフルオーバーホール しました。 予備がもう1個あるのと、赤緯なので少々精度的にも甘く出来るという理由で思い切り ました。 グリスは、モリブデングリスとリチュームグリスを併用しています。 2種類を併用した深い理由は無く、粗動部に粘度が高め目リチュームグリスを入れて 見たというところです。 当初、「転がりベアリングを使用していない構造で、C8重量(約6kg超)」に耐えら れるか?という懸念が有りましたが、思いのほかスムーズに動いています。 またP2同様、ウォーム軸受け部にかみ合わせ調整用ネジを追加すると共に、モーター 取付用ネジも追加工しています。
9,操作性 赤緯部にスペースボーイ赤緯体を流用したため、 ・鏡筒部が北側にオフセットした ・且つ、極軸から遠ざかった という2点が功を奏して、子午線付近で鏡筒が赤道儀本体及び三脚に当たりにくくなり 非常に操作性が良くなったと思います。 →天頂付近通過約2時間半後にC8に接続したCMOSカメラが三脚に接触します。
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