| 第3機材(P2赤道儀2軸化・C8編) |
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今回は、C8(セレストロン製シュミットカセグレン)編をご紹介いたします。 松天OB会にも所有されている方々がおられるようなので、参考になれば幸いです。
C8の改造は数年前(1次)と今回(2次)の2回に分けて実施しています。 →それぞれ説明の中に(1次、2次)の区分を記述しておきます。
1,FAN追加(1次) Webでは先駆者の体験談を見かけることもありますが、私もやってみました。 下記のように、合計6個40mm角ファンを追加しました。 ・主鏡セル後面:吸込み ・補正板側:吐き出し 主鏡側、補正板側のそれぞれにスイッチを追加してあります。 更にPWMコントローラーを介して、回転数を調整出来るようにしてあります。 「実際の効果は?」というと、そこまで使い込んでいないので、判らないです。 一方で、中途半端に開放状態と成っているので、少なからず埃が入りやすく成ります。 対策が必要と思いますが、良いアイデアが見つからないです。 空気だけが透過し、水分や埃を遮断するエアーフィルターが手に入れば良いのですが、 中々無いです。
2,エアーワンタッチ継手追加(1次) 主鏡セル後面に「エアーワンタッチ継手」を3個追加しています。 工場現場の圧縮空気を扱う場所用の部品で、外径φ4mmのウレタンチューブを経由して 鏡筒内に乾燥空気を送り込む目的で追加しました。 主鏡セルにはM5ネジを切ってあります。 こちらも、効果の度合いは未検証です。 参考URL: https://www.smcworld.com/webcatalog/ja-jp/fittings-and-tubing/fittings-for-general-purposes/KS-KX
3,補正板中心合わせネジ追加(1次) 補正板を横から押すネジを3本追加しました。 私のC8は、補正板とセル間に最大1mmm弱の隙間が有るので、補正板(副鏡)の中心を合 わせ易くするために実施しています。 構造は、以下の通りです。 ・補正板セルに横からM4タップを3か所加工し ・φ3アルミ棒を介して ・M4イモネジで補正板を押す ・M4イモネジはM4ナットで緩み止めを行う ノギスで測りながら微調整を行いますが、誤差±0.1位までは追い込めそうです。 →測定誤差の方が大きいかもしれません。
4,ハンドルをアルミプレート化(1次) 私のC8はかなり古いモデルなので、ハンドルはベルト状のモノでした。 持ち運ぶだけであればこれでも良かったのですが、赤道儀へ鏡筒を上げ下げする際には 不安定なので、アルミ板(幅25mm、厚さ5mm)に交換しました。 だいぶ作業性がアップしています。
5,フード作成(1次) 8mm厚アルミロールマットで作成しています。 鏡筒への取り付け部は、ロールマットの弾力を利用してはめ込んでいます。 一方で、先端部はロールマットだけでは形状が安定しないので、ポリバケツ蓋の中央部 をくり抜いて補強として追加しています。 ポリバケツの蓋って、PP(ポリプロピレン)だったので、プラスチック用接着剤を使用し ています。
6,オーバーホール(2次) 1昨年11月、単身赴任から帰ってくる際、シリカゲルを同梱して持ち帰り、1年半近く梱包状態で保管していました。 この度開梱したところ、補正板に薄っすらとしたカビが発生していました。 →7項&8項用の追加工を兼ねて、オーバーホールを施しました。 オーバーホールの内容は、 ・補正板を外して、洗浄。 →食器用中性洗剤で洗浄し、精製水と無水アルコールで拭きあげました。 ・主鏡を取外して、精製水と無水アルコールで拭きあげました。 →主鏡にはスライダーを兼ねたチューブがネジ止めされているのですが、主鏡を洗浄 しようとすると、このネジを外さなければならないので、洗浄までは未実施です。 ・上記スライダー部のグリスアップ。 補正板はノンコート或いは単層コート仕様なのですが、全面にコートムラが残る結果と 成りました。 メンテナンス専門メーカーへ依頼すれば、もっと良くなると思いますが、これで良し としました。
7,フォーカスノブ部ベアリング交換(2次) フォーカスノブを回した際、ゴリゴリ感を感じたので、ベアリングを新規品に交換 しました。 1次改造時にも交換したかったのですが、当時はベアリングがインチ規格品なので 入手困難で断念しました。 →今回は、アマゾンで入手出来ました。
8,電動フォーカーサ追加(2次) オーバーホールで主鏡セルを分解したので、電動フォーカーサ取付用タップを加工しま した。 電動フォーカーサ仕様は以下の通りです。 ・モーター:42mm角x23mm厚、200step/周(1.8度ステップ)ステッピングモータ ・駆動方法:ベルトドライブ ・モータ側プーリー:歯数=20枚、軸径=φ5mm ・C8側プーリー:歯数=60枚、軸径=φ12mm→φ12.7mmに拡大 ・コントローラー:myFP2ESP32 ミラーシフトが残っているものの、ほとんど気にならないレベルです。 フォーカシング時に揺れは皆無に近く、細かい調整が出来るので、非常に便利です。
9,微動雲台追加(2次) ガイド鏡(Nikonズームレンズ+CMOSカメラ)を同架し、且つ光軸調整を行うために微動 雲台を追加しました。 微動雲台仕様: ・垂直方向微動:中央精機製60mm角ゴニオ(微動可動範囲=±15度) ・水平微動:中国製60mm角回転ステージ(フリー可動範囲=360度、微動可動範囲=±5度) ・鏡筒取付部:アルカスイス互換クイックシュー ・C8への取付:4項アルミ板に20mm角アルミフレームを取付て、アルミフレーム上に ゴニオステージを取り付けています。 ゴニオ&回転ステージの耐荷重は3Kg近くあるので、十分な強度だと思います。 微調整は、いわゆるX-Y方向(水平・垂直)に動くので非常に扱い易いです。
10,光軸調整ネジ(1次、2次) シュミカセの光軸調整用ネジは、六角穴付きボルトが採用されていますが、インチ規格 であるのと、レンチが小さいので、作業性は非常に悪いです。 改善用品としては、Bob's knobsが有名ですが、結構なお値段です。 そこで、1次改造時に「アイネックス(AINEX)ハンドルネジ インチタイプ PB-031A」を 採用しました。 しかしながら、ネジ頭部のRが災いして、指への引っ掛かりが甘く、操作性が今一歩 でした。 2次改造時には、アイネックスハンドルネジ頭部に、M5六角ボルト&ナットを接着し、 指先へより引っ掛かる様にして、満足の行く結果と成りました。 なを、M5六角ボルト頭部には、M3六角穴付きボルトを埋め込んだので、対辺2.5mmの 六角レンチ(M3用)も使用可能です。 光軸調整ネジを2本同時に指先で操作出来るので、非常に調整しやすいです。
11,光軸調整(2次) 今回、CMOSカメラと新赤道儀システムを組み合わせて光軸調整を行いましたが、従来の 眼視方式に比較して飛躍的に操作性&精度共に向上したと思います。 今回得られたメリットは以下の通りです。 ・ノートPC上のリモートデスクトップ画面を見ながら、光軸調整が出来る。 ・画面から星像がはみ出そうな時、SHCで中央に戻せる。 ・フォーカスをずらして「ドーナツ形状を確認する」という作業も、電動フォーカーサ で用意に可能。 ・指先で直接ネジ操作できるため、微妙な調整が可能。
12,課題(補正板の結露対策) 梅雨明け前にテスト撮影したところ、補正板が夜半過ぎに見事に結露しました。 当日はまだフードを未使用でしたが、根本対策として結露対策が必要と痛感しました。 →ヒータの追加を検討しています。 理想は、露点温度を検知して、「露点温度+α温度」でヒーターをON/OFFするという システムです。 https://sourceforge.net/projects/esp32-dew-controller/ ↑これが使えそうなので、必要部品を手配中です。 出来上がったら、ご報告致します。
やまぎし [356] 07/26/(土) 19:50:13
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