| 第3機材(P2赤道儀2軸化・電気編) |
|
|
今回は、電気編をご紹介いたします。
1,OnStep-X(赤道儀コントローラー) 天文ガイド誌連載で紹介されているOnStepの最新版(OnStep-X)を採用しました。 ATLUXでは、ディスクリート(各種電子部品の組合せ)基板とOnStepの組合せでしたが、 下記理由でOnStep-Xにバージョンアップしました。 同時に、ATLUXもOnStep-Xにバージョンアップしています。 ・単純に「新しいモノ」を試してみたい。 ・OnStep-X作者推奨の「FYSETC E4」基板は簡単そう。 ・SWS(Smart_Web_Server)機能を使ってみたい。 →ATLUXで採用した回路の場合、SWSを動作させるためのデバイスが技適(技術基準適合) を通っておらず、日本国内では使用不可でした。 一方でOnStep-Xって、情報不足は否めないのですが、ATLUX用PCをWindows11マシンに バージョンアップした際に、うまく動作しなくなったので、「前に進むしかない」 という思いで取り組みました。 実装: ・タカチ製プラスチックケースに組み込んでいます。 ・RTC(Real_Time_Clock)モジュールが遊休状態だったので組み込みました。 ・モーターとの接続は、中継ケーブルを作成し、ケースを開けずに取付&取外しが可能 です。 ・中継ケーブルとモーターとの接続部は、中継コネクタの形状・ピン数・極性を変えて、 誤接続を防止しています。 ・ケース底面には、オムロン製DINレール取付板をネジ止めし、DINレールへワンタッチ で取付&取外し可能です。
結果: ・「FYSETC E4」は、半田付け無しで、赤経赤緯、フォーカーサ2台の合計4台のモーター を駆動出来ました。 →フォーカーサーは、ASCOM経由でモーター切替が少々煩わしかったので、1台のみ使用 し、もう1台は、従来から採用しているmyFP2ESP32というフォーカーサを使っています。 ・モータードライバーはTMC2209なので、兎に角静かです。 ・SWSは、モーター減速比・モーター回転方向・パーク位置設定・モーター駆動電流等々 がWebブラウザ経由で変更できるため、とても便利です。 ・N.I.N.A.、SharpCap、FireCaputer等の撮像ソフトから、ASCOMドライバー経由で 赤道儀・フォーカーサ共に制御出来ます。 ・PHD2にも対応済み。 ・ST4端子を持てないため、初期のSHC(Smart_Hand_Controller)は使用できない。 ・SHCは、最新ファームウェアにバージョンアップすると、OnStep-XをWiFi経由で コントロール可能。(詳細はSHC項参照) 最初は、WiFi接続回りで躓きましたが、ここをクリアした後は、「バージョンアップ して良かった」と思えるように成りました。 関連URL: https://onstep.groups.io/g/main/wiki/32747
2,SHC(Smart_Hand_Controller) OnStep/OnStep-Xには、SHCというユニットがサポートされています。 「Sky-Watcher ハンドコントローラー」と同様にマイコン(EPS32)を搭載したハンド コントローラーです。 私のSHCは、ATLUX/OnStep用に作成した旧タイプなので、ST4インターフェースで OnStepコントローラーと接続するタイプです。 最近はSHC2という、バッテリー&WiFi対応の最新版が開発されていますが、 SMT(表面実装)部品が採用されているため、ディスクリート製作は困難です。 そこで物は試しと、旧SHCへ最新SHC2ファームウェアを組み込んだところ、WiFi経由 でOnStep-Xとの接続が可能と成りました。 接続先のOnStep-Xユニットは、3個まで設定出来て、SHC起動直後に選択出来るように 成りました。 ATLUX用&P2用OnStep-Xを並べておいても、それぞれに接続&制御出来ます。 SHCの電源は、USB経由で供給出来るように改造して、ON/OFFスイッチも追加しました。 こうすることにより、リビングからリモート接続でOnStep-Xをコントロールしながら、 SHCでコントロールも出来るようになり、より便利に成りました。 関連URL: https://baheyeldin.com/astronomy/onstep-esp32-smart-hand-controller-shc.html https://onstep.groups.io/g/main/wiki/7152
3,myFP2ESP32(フォーカーサ) 従来から使用しているフォーカーサです。 ESP32マイコンを搭載し、WiFi経由で動作します。 合計8台目と成りますが、各フォーカーサには個々のIPアドレスを割り当てていますの で、どのPCからも制御出来ます。 ASCOMドライバーもあるので、N.I.N.A.、SharpCap、FireCaputerからも制御出来ます。 OnStep-Xでは、2つのフォーカーサをASCOM上で切り替える場合、一旦撮像ソフトを終了 しないと切り替え出来ないので、C8用フォーカーサをmyFP2ESP32に変更しました。 こちらも、タカチ製プラスチックケースに実装し、且つオムロン製DINレール取付板経由 でDINレールへ取り付けています。 関連URL: https://sourceforge.net/projects/myfocuserpro2-esp32/
4.PC ウェイトを兼ねて、超小型PCを搭載しました。 採用した超小型PCは、「HP ProDesk 400 G5 DM」。第9世代のIntel/Core5_CPUを搭載 しています。 最近流行しているミニPCでも良かったのですが、信頼性を重視してHP製を採用して います。 Windows11_ProとWiFiを内蔵していますので、リモートデスクトップ経由ですべての操作 が可能です。 この時、PCにはI/Oデバイスを認識させるために、無線マウス用USBアダプター、 無線キーボード用USBアダプター、ディスプレイ用DisplayPortダミープラグを接続して あります。 PCを赤道儀へ搭載すると、CMOSカメラのUSB3ケーブルが純正品の長さで使用できるよう に成るので、安定した高速キャプチャリングが可能に成ります。 ZWO製ASIAIRやアストロアーツ製GearBOXと類似コンセプトですが、Windowsマシンなので 汎用性に優れていると思っています。 異なるカメラ、好みの撮像ソフトや天文シミュレーションソフトを組み合わせることが 出来ます。 弱点といえば、ZWO製初期EAFがASCOM非対応なので使えないという事かもしれません。 →最近「ZWO New EAFスタンダード」がASCOM対応に成ったようですね。 なを、データ領域用として500GB_HDDを搭載したので、容量を気にせず動画撮影が出来 ます。
5.ケーブル配線 最近の撮影システムは電子デバイスを多用するため、ケーブル配線のお化けと成りま す。 このため子午線反転を自動で行おうとすると、「ケーブルが赤道儀に絡んで最悪断線」 となる危険性があります。 この対策として、私は次の対策を施しています。 ・各種ケーブルを鏡筒先端側に集約させる。 ・ケーブルは結束バンドで整形して、ウェイト側へ渡らせる。 ・ウェイト側からケーブルを地上(床上)へ降ろす。 可動部のケーブル長を適切に調整すると、ケーブルが赤道儀に絡む危険性が激減しま す。 トータルケーブル長は長くなるデメリットが有りますが、ケーブル断線の危険性よりは 優位性があると思っています。 GN26sやATLUXも同様の対策を施しています。 今回のP2赤道儀改造では、まだ赤緯クランプ部へ絡む危険性が残っているので、今一歩 改善したいと思っています。
やまぎし [329] 07/15/(火) 11:48:50
|
|