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[393] 投稿者:苺大福ちゃん - RES


はぁ〜
はぁぁ〜るぅぅ〜なぁぁ〜泣))
おしゃべりしたいよぉぉ〜〜

2008年02月19日 (火) 22時47分

[394] 投稿者:春菜 -


ごめんナ☆
これからはなるべくるようにするわ^^

2008年02月26日 (火) 16時39分

[392] 投稿者:苺大福ちゃん - RES


ヽ(;▽;)ノおひさっ♪♪
あんまりこのサイト
来なくなちゃったね・・・・>春菜
待ってるよぉ〜

2008年02月06日 (水) 17時45分

[391] 投稿者:苺大福ちゃん - RES


パチッ☆-(^ー'*)bナルホド
春菜なりにがんばって!!!!!
応援してるよ★

2008年01月10日 (木) 15時52分

[390] 投稿者:春菜 - 仮面  未完成 RES


人間なんて信じられない…
信じていいのは自分だけ…
信じたら

後で傷つくのは私―――




私は西条コノカ。小学6年生。
性格…人間を信じない、一人を好む小学生。
小学生で一人を好む…というのは少し珍しいかもしれない。
でも私は一人が好きなのだ…というか、人間を好んでいないのだ。
別にすっごく嫌いっていうわけでもないが、とにかく信じていない。
友達や好きな人、親まで信じていないのである。
親を信じない子供…というのも珍しいかもしれないが、私の場合親を信じないのは“あたりまえ”といえる。
人間を信じられなくなった理由のすべてが親にあるからだ。
親のせいで人間を信じられなくなった。
人間を信じられなくなった理由…両親の離婚。
小3のとき、私の両親が離婚した。
私の頭の中には泣くより先に、“両親に裏切られた”とゆう考えがうかんだ。
まだ、グチャグチャな絵しか描けない2歳とかならそんなことなかったかもしれない…小学3年生だぞ?もう勉強だって結構進んで、友達と元気に遊んでる時期…そんなときに、ばーちゃんの家に泊められて、久しぶりに母に会えたと思ったら『離婚した』っていきなり言われたんだ。
それで信じられなくなった。
親を信じなくなったら最後、友達も、好きな人も信じられなくなる。
何もかも信じられなくて…信じられるのは自分だけ…この3年間ずっとそーやって暮らしてきた。
“仮面”のおかけで辛くはなかった。
“仮面”っていうのは“作り物の自分”。
私が作り出した嘘の自分。
友達、好きな人、親…皆に見せているのは仮面なんだ。
本当の自分を隠しているだけ楽だ。
本当の自分を人間に見せる気はない。
私にとって本当の自分を見せるのは弱みを見せるのと同じことになるからだ。
私にとって人間の前で仮面をはずすのは難しい。
もとの弱虫な自分を見せるのは嫌だ。
『仮面をかぶるのは難しくない?』ってきかれることがある。
まあ同い年の子たちには難しいかもしれない。
自分の気持ちを隠さないといけないから。
自分の感情をコントロールしてすべて“おさえないといけない”から。
小学生なんてまだ子供、感情をおさえることなんてできる子、私の知ってる中じゃいないね。
それだけ大変なこと…私にとっては簡単なんだ…どーしてだろ…
こーゆー運命で生まれてきたのかな〜と思うことがよくあるのだ…
もし本当にこーゆー運命で生まれてきたというなら私が簡単にできる理由の説明がつく。
というかそれしか説明方法がない。
私は一人が好き。
人間を信じていないから一人がいい。
ずっとそうだった。思えば幼稚園のころから仮面をかぶっていたのかもしれない。幼稚園のころは感覚がなかった。仮面をかぶっていたのに気がついたのは小3だった。
そのときはもう仮面をかぶっていたからいつからはじまったのかはわからない。
私はいつからはじまったのは、知るつもりはない。
知りたいのは”どうして人間を信じられなくなったのか”だった。
最近、両親の離婚だけが原因じゃないと分かった。
なぜだか知らない…そんな中途半端な答えは嫌だった。
だからいっぱいいっぱいいっぱい考える。
足りない頭を使っていっぱいいっぱい…
それでも分からない…いくら頑張ってもわからなくて…
あきらめてしまいたくなる…でもあきらめない。
あきらめたらそこで、今までの努力は水の泡だから。
答えがあるものは最後まで答えをだしたい…
仮面と本当の自分の唯一の共通点↓
私の性格…強がりで、負けず嫌いで、中途半端が嫌い。
この性格のせいでどれだけ苦労したか…
いつも強がって人前ではあまり泣かない子供だった。
いまでは“あまり”じゃなく“全然”になった。
人前で泣かないせいで、私は強い泣かない女だと思われてた。
友達も皆私の弱いところを知らない…それならいっそのこと隠してしまおう…そう思ってたんだ。
だから人前で仮面をはずさなくなった。
辛い思いをしたくない…そう思った。
きっと本当の私をさらけ出したら皆ビックリする…注目をあびるのは苦手だし、泣いたら目立つから泣かなかっただけ…でも、いまさら本当の自分を出すのはかっこ悪い。
本当の自分は泣き虫で弱くて…何もできない。
それを見せて嫌われるのが怖い…仲良しの友達まで離れていってしまいそうで怖いんだ…
本当の自分…誰になら見せられる?
私はいつもそればっかり考えていた。
親には一生見せられない…それは分かっていた。
離婚したころから決めてた…親には絶対に見せない…
信じていた…なにもわかっていないくらい一緒にいた親に裏切られた…もう親を信じることはできない…すぐにそう思った。
信じて後で傷つくのはいつも…私なんだから…
何人の人に裏切られたか…数え切れない…
信じてた人…そんなに信じてる人なんていなかった…でも…
信じていた人の半分以上の人間に…裏切られた…
信じていた人
裏切られるのは何よりも辛いこと…分かってたのに…
信じたら自分が傷つくって…分かってたのに…
だから…もう信じないって決めたんだ…3年も前に…
でも…一人も信じないで生きていくのは大変なんじゃないか…
最近そう思い始めた。
確かに大変だろう…一人で生きていくのは人間にとってもっとも難しいことだから…一人だけ…一人だけ信じてみようかなって思い始めてしまった。
きっとまた傷つく…分かってる…分かってるけど…一人で生きていく自身なんて…今の私にはない…
だから…一人だけ信じてみようと思った。
それでもこれ以上傷つくのは嫌なんだ…だから…本当に裏切らない人が現れるまで…私は一人も信じない…
決心した…つよく誓った…
それからも仮面をかぶりつづけた。
いまだ今田に信じられる人は…いない…
やっぱり無理なのか…そう思った。
私は一生一人で暮らしていくのか…
声をかけてくれる人のすべてを疑い、すべてを信じない…こんなことで生きていけるのか?
でも…しょうがないじゃないか…私をこんなふうにしたのは…両親なのだから…
幸い友達とは仲良くやっているし、学生のあいだは大丈夫だと思う。
でも…社会人になったとき、どうなるか予想がつかない…

2008年01月09日 (水) 20時48分

[389] 投稿者:春菜 - 人間ロボット RES


「早く起きなさい!もうすぐ6時よ!」
私は池田ありす。
私の通っている学校、聖林高学校はとてつもなく暗い学校。
一応名門高校だから人気もある…入るまでは…だけど…そして毎年
の受験生の人数は200以上。
私はこの学校に好きで入ったわけじゃない。母がむりやり入れたのだ。
私は普通の高校に入って、友達をたくさん作って、高校生活を楽しくすごそうと思っていたのに…。
この学校の登校時間は7時半〜8時半まで。
家から遠い訳じゃないのに毎朝母に起こされる時間は5時50分。
いつも夜遅くに寝て朝こんな早くに起こされていて寝不。
学校が終わるとカバンを置きに家に戻りすぐに塾まで自転車をとば
す。
6時ごろから10時ごろまで塾で勉強、くたくたになって家に帰ってそ
こからまた学校と塾の宿題をする。終わるのは12時30分ごろ。
そこから明日の学校と塾の準備、お風呂に入って制服にアイロンを
かける、けっきょく寝るのは2時ごろだ。
休む時間がほしかった…でも休む時間なんて1分も、1秒さえもなか
った。
私は高校に入ってから一回も笑ったことがない。
中学3年のとき、仕事のつごうで両親が離れて暮らすことになって、
大好きだった父と離れ離れになった。
母と私は考えが違いすぎて、ケンカばかりしている。
父の家は知っている………でもいつでも行くことが出来るわけじゃな
い。
何度も家出をしようと思ったけどムリだった……。
母の言うことをきいて、まるでロボットのような生活……私は鳥かご
に閉じめられた鳥のようだ……毎日寝不足…“休む時間がほしい”
とゆう叶うことのない願いが私の心を乱す…この生活は狭くて…私
は今にも押しつぶされそうだった。
でも…これでもうこんな生活からおさらばできる………私が父の家
に行くことが出来なかった理由がなくなるから。
私は10時に塾を出てから12時までバイトをすることにした。
いつでも家出が出来るように…もちろん母には秘密だ。
もう分かるだろうけど一応言っておく…父の家にいけない理由、それは“お金”だ。私には電車に乗るためのお金がなかったんだ。
これで私の願いが“すべて”叶った…と言ったらそうじゃない。
まだ叶っていない願いもあるわけだ。
怖いことや心配なこともあるし、なに1つ不自由していないわけじゃない。
「叶う願いは自分の手で叶えるんだ…!」
私はそう決心した。
もう母の暮らしに縛られるのはイヤだ。私だってもうできる。
ご飯も掃除も洗濯も…一人暮らしだってお金があれば出来る。
でも…肝心のお金がない……バイトが母に見つかるまでに何円稼
げるかも分からない…もしかしたらもう見つかっているかもしれな
い……怖い…
一生自由になれないかもしれない……もしそうなら……自分だけで
何とかできるわけがない……
私の心には新たな悩みが生まれた。私は考える。
助けてもらおう………《誰に?》
私が心で思っていることにたいして誰かがきいてくる。
家出しよう………《どこに行くの?》
また…誰?私にはその声が誰なのかが分からなかった。
でもその声は私が考えもしないことを聞いてくる…
そうだ……父さんの家に行こう。
《それで…誰があなたを助けてくれるの?》
そんなの誰でもいい…今はお金を貯めることが大切だ…お母さんにばれるまで……がんばろう。
抜け出さなくちゃ……この世界から私を助けてくれる人を探さないと……バイトを始めてから一ヶ月たったころ………
「ここ一ヶ月塾の帰りが遅いんじゃない?何をしているの?」
私は無言。
「答えられないような悪いことなの?」
「バイト……」
「何…?バイト?」
私がうなずくとお母は私の左の頬をたいた。
「なに!?バイトをするのは私の自由よ!何でなぐられなきゃいけないの!?」
「親の言うことも聞かないで何バイトなんてしているの!?しっかり勉強してちゃんとした仕事をしなさい!!」
「なんでお母さんの言うことばかりきかなきゃいけないの!?」
「誰のおかげで生活していると思っているの!?親の言うことをきくのはあたりまえでしょ!?子供はおとなしく親の言うことをきけばいいの!」
「言うことをきくのはそれが正しいときでしょ!?今のお母さんの言うことは間違っているわ!子供も自分で考えないといけないときがある!子供だって1人の人間よ!心もあるし、考えることも出来る!かんちがいしないで!私はロボットじゃない!」
離れて暮らすようになってからの母の頭にはいっているのはお金のこと。
子供のことも弟の彰吾だけ甘やかして私のことなんて全然考えていない。
家にいれば「勉強しなさい」とか「少しは家の手伝いをしたらどうなの」とか、そうゆうことしか言わないのである。
私は部屋を飛び出して自分の部屋に行った。
することはもちろん“家出の荷物まとめ”だ。
臨海や修学旅行のときに使った大きなカバンに荷物をつめた。
もうここにはいられない……鳥かごから飛び立つ日がきたの…
さあドアを開けて…………
そのとき「やっと私は解放されたんだ」と感じることが出来た。
これが私のかなうことのない願いの1つ…“自由”なんだ……
私は初めに銀行に行った。
バイトで貯めた15万ほどのお金をシルバーのケースに入れて鍵をかける。これから歩いて駅にむかう。
駅に着き、切符を買って電車に乗る。
父の家は“花田木駅”からバスで3分ほどの所にある“花町”で、歩いて行っても10分かかるかかからないか。
花田木駅に着いたとき、ちょうど“花町”行きのバスがバス停に止まっていた。
バスが止まった。私はそのバスに乗る。
窓側の席に座る。
バスが動き出すと窓をとおして見える外の景色が流れる。
私が外を見ている間に花町についていた。
バス停の真正面の家から右に4件進んだところにある家が父の家だ。
バス停から歩く。父の家の2件前から父の駐車場が見える。
車がないことで今父は家にいないことが分かった。
近くにいれば帰ってきたことがすぐ分かるし、家の前で待てばいいのだが、急にきたものだからいつ帰ってくるかも分かっていない。
もしかしたら夜まで帰ってこないかもしれない。
何をしようか迷ったけれどまずは服を買いに行くことにした。
商店街にくるとハデな人がふえる。
この町はおしゃれな人ばかりだ、母が買ってきたシンプルな服しか持っていない私に町の人が
「くるところが間違っている」
と言っているような目で私を見る。
私とおなじくらいの年齢の女の子はきれいな服を着てすごくカワイイ。
くやしい……母の言うことばかりきいて生活していた私が前よりもっとバカらしくなってきた。
一件の店に入った。
オシャレなカワイイ店だ。
18歳くらいの店員の人がニコっと笑って
「いらっしゃいませ〜」
と言った。
入口の右側にレジがある。
私は店員さんに手伝ってもらって何とか服を選んだ。
パーカーの下から白いノースリーブの模様がのぞく。
半ズボンにはピンクのハイビスカスがさいている。
髪を結んでもらって、メイクまでしてもらった。
鏡を手渡されて見てみた。
「うそ〜!これが私!?」
と口が勝手に言っていた。
「ありがとうございます、メイクまでしてもらっちゃって…」
「かんたんなことですから…またきてくださいね〜」
と言って店員さんはニコッと笑ってくれた。
私はドアを開けて店を出た。
オシャレをしただけでこんなにもいい気分になるなんて思いもしなかった。
私はいい気分のままもう一度父の家に行こうとしたとき…
「すみませぇん」
後ろから声がした。
後ろをむくと私の腰くらいの背丈の腰の曲がったおばあさんが私を見上げている。
「何?」
私はそう言うとおばあさんが…
「田木町にはどう行ったらいいのか分からなくてねぇ〜…」
田木町は花町の隣にある町で父の家の近くだ。
父の家の前の道路をまっすぐ歩いて1つ目の交差点を右に曲がったところからが田木町だった。
「おばあさん、一緒に行きましょうか?」
私はおばあさんに言った。
「お願いしますぅ」
おばあさんは私に笑みを見せてくれた。
私はおばあさんがスーパーの袋を5袋ほど持っているのに気が付いた。
お菓子のような軽いものが入っている袋、調味料などの重いものが入っている袋、落としたら割れてしまうような、“卵”や“お酒の入ったビン”なんかもある。
おばあさんはその袋を重たそうに持ち上げ一歩一歩ゆっくり歩いていく。
「おばあちゃん、荷物持つよ!」
私はおばあさんのところに走っていって3袋を持ち上げた。
もちろん重そうな袋のほうだ。
私にとっては軽い袋だった。
「ありがとうねぇ〜大丈夫?」
「大丈夫です。軽いから」
私はそう言った。
「そういえばあなた名前はなんていうの?」
おばあさんが名前を聞いてきた。
「“ありす”です」
「可愛い名前ね、私は“美代子”よろしくね」
美代子おばあさんはまた歩き出した。
歩き始めて何分たっただろう…美代子おばあさんのペースに合わせているとどうしてもゆっくりになってしまう。
「“みよばあ”はなにをしに田木町に行くの?」
私はいつのまにか美代子おばあちゃんを“みよばあ”と呼ぶようになっていた。
「結婚した娘と暮らすことになって…“いつでもいいから準備してきてね”って言われてねぇ…」
「へぇ〜…よかったね」
「楽しみでしょうがないのよぉ」
みよばあ はすごく楽しそうに娘さんのことを話してくれた。
私の母とは違って娘を愛していたとゆうことがすぐ分かるほど楽しそうに。
父の家の前を通った。父はまだ帰ってきていない。
田木町にある、みよばあ の娘さんの家についた。
玄関には女の人が落ち着かない様子で立っている。
女の人が みよばあ を見つけて
「お母さん!」
と言って走ってやってくる。
「由梨、こんにちは」
この女の人が みよばあ の娘さん、名前は“由梨”21歳。
「遅かったじゃない!ちゃんとこれたのね!」
「ありすちゃんが連れてきてくれたのよぉ」
「ありす?」
由梨さんは私のことをじーっと見つめて
「あ!“理沙実”先輩の娘のありすちゃんね!ひさしぶり!」
理沙実とゆうのは私の母の名前。
由梨さんは母の勤めている会社の後輩だった。
「おひさしぶりです…」
私はあいさつをした。
「急いでる?少しあがっていかない?」
「はい…」
私は由梨さんに連れられてリビングにあるテーブルのイスに座った。
「少し待っててね?お母さんを部屋に連れて行くから」
「はい…」
10分たった。
「お待たせ!」
由梨さんは冷蔵庫がらオレンジジュースを出してくれた。
“カラン”とコップに氷が入る音がリビングに響く。
「はい」と由梨さんが私にコップを渡す。
由梨さんはオレンジジュースを一口飲むとこう言った。
「ありすちゃんはなんでここにいるの?」
「…家出…です…近くに父の家があるので…」
「家出…?どうしてそんな…」
「このまま家にいたら私はロボットになってしまう…」
「ロボット…!?」
「言うことをきいて動くだけじゃだめだと思ったんです…」
「…」
「だから私は母との“距離”をとることにしたんです…母が可愛がるのは彰吾だけですから…私は母にとって“不必要”な存在…私はいてもいなくても関係ないと思って……」
「そんなことないよ、自分の子供がいなくて寂しがらない親なんていないと思うけど…?」
「“思う”でしょ?もし一千万人のうち一人が自分の子供がいなくても平気な親だったら私の母はそのうちの一人なんです。」
「でも理沙見先輩はあなたを愛してくれていると思う…」
「ええ…父と母がはなれて暮らす前までは…ね…ちょうど、あなたがあの会社をやめてしまう前までは優しかったんです…あのころの私は友達もたくさんいてよく笑う子だったんですよこれでも…母も“将来はあなたのやりたいことをすればいいわ。高校に入ったらバイトをしてもかまわないから”って言ってたんです…でも……あ、私が家出した理由言ってませんでしたね…バイト見つかってぶたれたんです…私が言いたいこと分かりますよね?」
「前に言ったこととは反対のことを理沙実先輩はしている…?」
「そう…母は父とはなれて暮らすようになってから変わってしまった」
「理沙実先輩が…?優しくなくなった理由はなに?」
「……暮らし…です…」
「暮らし?」
「両親は相手が嫌ではなれて暮らしているわけじゃありませんから」
「お父さんの仕事…それと、あなたの学校の問題でしょ?」
「はい…私さえいなければ父と母ははなれて暮らすことはなかった
し…」
「…もう6時ね…どうする?」
「一度父の家に行きます。」
「いなかったら家にいらっしゃい、泊めてあげる。」
由梨さんは電話番号が書いてあるメモを渡してくれた。
「ありがとうございます」
私と由梨さんは玄関に行った。
「ありがとうございました」
私がそう言うと
「またきてねぇ」
と横の部屋から みよばあ が言った。
「うん、またくるね」
私は みよばあ に言った。
みよばあ は笑ってくれた。
本当の家よりもこの家のほうが温かい…私はこの家が好きになった。
「私がここにいることは秘密にしておいてください。」
「分かったわ…それから私にも1つお願いが…」
由梨さんは私の耳元でささやいた…“今度から敬語は無しね”
少し驚いたけど私は
「はい!」
と元気よく返事をして父の家に向かった。
私には由梨さんの言葉がすごくうれしかった。
父の家のガレージには青色の車が止まっていた。
私はインターホンを鳴らす。
《はい》
「ありすです」
《ありす…ありすか!?ちょっと待ってろ!》
父はそう言ってバタバタとあわてた様子で出てきた。
「どうした?まぁとりあえず入れ」
私はリビングに入った。
テーブルの前のイスに座った。
イスは四つあった。
毎日父はここで1人、ご飯を食べているのかな…さびしいだろうな…
「母さんは元気か?」
父は母のことをきいた。
父が母のことをきいてもおかしくない。
仕事のつごうで遠くに行くことになってしまった父が「私が転校するのはかわいそうだから」と言ったからはなれて暮らしているだけだ。
私は黙ったままでコクンと首をにふった。
「そうか、元気か…」
父はそう言ってうっすら笑った。
「それで?用は何だ?」
父は母があれから変わってしまった事を知らない…知らないほうが幸せだろう…でも…私はいままでのことを全部話した…すると…
「そうか…家に泊まっていくか?これからどーするんだ?母さん心配してしてるんじゃないか?帰って謝るなら早いほうがいいぞ?」
父が母より私のほうが悪いと言っているように思えた。
「私、謝らないよ?悪いのはお母さんだもん…前言ってたことと、今言ってることが正反対なんだし…お母さんはぶったもん…私だってぶちたかったわ!塾だって嫌でも行ってるんだからバイトくらいわがままきいてくれたっていいじゃない!」
「ぶったのも悪いけどな、ありすだって悪いところくらいあっ」
「もう!なんでお母さんのみかたばかりするの!?」
「…ありす、そんなに塾行くの嫌か?」
「あたりまえよ!勉強なんて学校でちゃんとやってるのにどーして塾なんて行かなくちゃいけないのよ!?」
「母さんはお前の将来を考えて…」
「自分の将来くらい自分で決めるわ!お母さんみたいな仕事はやらない!私は物語を書くの! いつまでも子供扱いしないでよ!」
「まだ子供だろ……」
父は入れたてのコーヒーを一口飲んだ。
いつも冷静な人でかっこいいとさえも思った父のことが今はにくたらしくてしょうがない…父のことをこんなふうに思う日がくるなんて考えたこともなかった。
「私は言うことをきいて動くだけのロボットじゃないのよ!もうお母さんにしばられるのは嫌なの!」
私は声を張り上げて言った。
「たしかにありすはロボットじゃないけどきついことも全部 “自分のため”だと思えばなんてことないさ」
私は父のその言葉をきこうとはしなかった。
「部屋…空いてるんでしょ?使うから…」
私はそう言って2階にあがっていった。
私は父からわたされた部屋の鍵をドアの鍵穴にさして右に回した。
カチッと音が鳴って鍵が開く
ドアノブに手をかけてグッと下におろして自分のほうに引っ張った。
キィィィとさびた音が鳴ってドアが開いた。
少しホコリっぽい…ずいぶん長いあいだ使われていなかったようだ。
フローリングの床のを歩くと靴下が黒くなった。
奥にあったベッドの布団をベランダの手すりにかけて手でたたいてみた。バフッバフッと音が鳴ってホコリがまう。
ホコリが出なくなるまでたたいた。
次に掃除機を借りて部屋中の大きなホコリをとる。
そのあとに雑巾で床をふいた。
ベッドには水色のシーツをかけて干していた布団をのせる。
次は荷物の整理だ。カバンから荷物を出した。
本が13冊、服は持ってきてないけどさっきの店でそろえたから上下5着づつ、折り畳み傘、サイフ、文具、使わないのに入れたものもある…あとは
「写真…?」
青色の写真たてに入れられた写真。
移っているのは3人の家族…中学1年の私と、父と母…幸せそうな笑顔…私の中学の入学式で撮ったものだった。私は気づいた…
「この私…笑ってる…?」
今の私は笑うことが出来ないのに…このころの私は出来たんだ…私は思い出した…このころのお母さんはすごく優しかった…
高校受験の合格の知らせがあった日の夜…私はのどが渇いて部屋を出た。
このときはもう父とははなれて暮らしていた。
前の家は広すぎたからマンションの5階に引っ越したんだ。
一番おくの部屋が私の部屋。
むかいにあるリビングのほうからかすかな音が聞こえる。
「ヒック…ヒッ」
(泣き声…?)
私は声に出さずに頭の中で言った。
ドアが少し開いていて…その間からかすかに光がもれていた。
そのとき彰吾は私と同じ部屋の2段ベッドで寝ていた…そうなると泣いているのは母しかいないではないか…私は隙間からのぞいた。
母が机に顔を押し当てて泣いている。
「しん…どぉしてヒック…私たちがはなれなきゃいけないの…?さびしいよぉ……」
“しん”とゆうのはお父さんの名前…漢字だと“申”と書く。
私は母の泣くところは見たことがない。
父とはなれるときも…
「私は大丈夫だよ!ありす もいるし…それに申だって仕事が終われば帰ってくるじゃん!お仕事がんばってね!」
と言って元気に見送っていた。
「お母さん」と声をかけようとも思ったけどやめた…たまには思いっきり泣かしてあげたほうがいいと思った。
いつも泣かないのは私に心配をかけないためだと分かったからだ。
(お母さんは毎晩隠れて泣いているのかな……?)
私は台所に行って水を飲むとさっさと布団に戻った。
見ていたら今までの母の苦労が水の泡になてしまう…母が必に隠していた思いがムダになってしまうと思ったんだ。
次の日の朝、母はすっかり元気になっているように見えた。
でも私には分かった。
あの笑顔はにせものだ…心から笑っているわけじゃない。
今の母の目は赤いんだ…本当はまだ泣きたいはずなのに…
「お母さん目…赤いよ…?」
「あーこれ?かゆくてこすっちゃったの!」
「私の前だからって我慢しないでいいよ…?私じゃ頼りないけど…」
「!…ありす…なんのこと言ってるの?お母さん分かんないんだけど」
「知ってるよ…昨日見ちゃったの…少しくらい泣いてもいいんじゃない?」
「……ありす………わぁぁぁぁぁ!!」
母は私に抱きついて泣いた…声を張り上げて、たくさん涙を流していた。
その次の日、やさしかった母は消えた…私の笑顔と一緒に…
この写真のころまでの私は今の私が
「本当にこれが私?」
と思うほどよく笑っていた。
キラキラ輝いて、笑うことが出来ない今の私なんかより百倍、いや千倍かわいかった。
くやしいくらい幸せそうで今の私なんて本当はいらないんじゃないかとまで思わせる。
(お父さんもお母さんのみかた…今のところ私のみかたはいない…お父さんの家を出たとしたらいくところないんだよな…さんの家しかないんだよな…友達とかいたらいいのに…もうちょっと考えな
きゃ…)
3時間たった。部屋はすっかり片付いている。お風呂に入って、寝ることにした。私はあおむけになってベッドにのった。
この部屋は2階。上には少し斜めにかたむいた平らの壁のようなものが乗っているだけの屋根。私がいる部屋のてんじょうには、はば
2mほどの天窓があってそこから星を見ることが出来た。
「きれい…」
まるで中3のころまでの私のようにキラキラ輝いている星があった。
たくさんの星の中で一番輝いている…その隣にはあまり光っていない星があった。今の私みたい…そう思った。
今の私は全然耀いていないともう一度自覚した。
いつのまにか寝ていたようだ…私が起きたのは朝5時…もう一度寝ようとしても眠れなかった。
私はメモをリビングの机の上に置いた。
“ちょっと外を走ってきます。鍵使わしてもらったよ!“ポスト”に入れておきました。仕事に行くまでに私が帰ってきていなかったら机の上にメモを置いていってください。家に入れなくなると困るので鍵はまたポストの中ね?朝食は用意しなくていいです。”
父がいつも鍵を入れているカゴから鍵を出して家を出た。
メモのとおり鍵はポストに入れた。
私は田木町にむかって走った。
みよばあ の家の台所に電気がついている。
台所の窓を見ると由梨さんが朝食をつくっていた。
「こんな時間からつくるんだ…」
私は5分くらいその場所にたちつくしていた。
由梨さんの幸せそうな顔が私の頭の中にはいってくる。
「このままここにいたら私はこの“感情”を隠すことが出来なくなる」
そう思い私はその場から離れた。
横断歩道をわたろうとしたとき“ププー”と車が私のほうへ走ってくる車はあわててブレーキをふんだがすぐには止まらない。
(ぶつかる!!)
私はあきらめて目をつむる…そのとき…私の体が浮いた。
「あっぶねぇ〜」
誰かの声…私は目を開ける…目の前には男の子がいて私はその子に抱えられていた。
「きゃぁ!!」
私は思わず叫んでしまった。
男の子は15pくらいの髪の長さ、髪を金髪に染めて、髪先5pくらいまでのところが黒い…私はその髪に見覚えがあった。
「なにが“きゃぁ”だよ!ぬ気か!?右左くらい見ろ!」
男の子は私にどなった。
「だれ?」
私は男の子に名前をきいた。
「右京!」
「私は…ありす」
「ありす?どこかできいたことあるような…気のせいか…?」
「右京もしかして大阪の人?」
「前まで大阪に住んでた。それがどーかした?」
「もしかして…」
「もしかして?」
「士左地右京…?」
「池田ありす!?」
私は赤くなってうなずいた。
士左地右京…私の初恋の人。
右京には告白もしていない…まだ好きなんだけど…ね。
右京は前住んでいた家の隣に住んでいた。
右京と初めて会ったのは3歳のとき。
私が泣いているのをなぐさめてくれたのをよく覚えている。
私と右京の部屋が隣で家と家の幅が1mより少し短いくらいだったから窓を開けて話すことも出来れば窓から窓に移って遊ぶことも出来た。
毎日こうたいで2人の家で遊んでいた。
相手がいつでもくることができるように留守のとき意外は窓の鍵を開けていた。
右京の部屋に行くとゲームをすることが多かった。
ゲームはゲームでもテレビゲームだけじゃない。
テレビゲームで対戦するのはあたりまえのこと、トランプやオセロなんかもしたし、相手の夕飯の時間が分かっていたから両方の夕食が終わったらすぐに遊ぶことが出来た。
私の部屋に来たときは小説を書いていた。
右京は私の夢を応援してくれた。
右京はゲームも好きだけど本を読むことも大好きな人だった。
私も右京も1年に250ページほどの本を200冊ほど読む。
部屋で遊ぶようになったのも2人ともゲームも小説も好きだとゆうことを知ってからだった。
右京は小説を書いたこともあってとても頼りになった。
書こうと思ったきっかけは右京の
「お前小説書く気ない?」
とゆう短い言葉。
私はもちろんOKした。
さっそく私と右京が好きなファンタジー小説を書き始めた。
右京と私で話し合って内容を細かくノートにまとめる。
ノートにまとめた内容を言葉を選びながら文章にしていく。
“小説の仕上げは2人がいるときにしよう”書き始める前にした約束。
文章の最後の文字が書かれた。
右京は喜んだ…私も笑顔を見せて…ただ笑顔を見せているだけでもきっと右京は私がすごく喜んでいたと分かったと思う…だって私の心も中には幸せで満たされていたから…見せた笑顔はいつもの笑顔じゃなかったんだ…洗面所で鏡をみたとき思った…いつもの笑顔なんて本当の笑顔じゃないんじゃないかって…私は小説が書きあがったことはもちろんうれしかった、でも好きな人と“一緒に書き上げた小説”だとゆうことがなによりもうれしかった。
最後にその小説の内容にあった“題名”をつける。
「幸せは友達と…」
右京と私がはじめて書き上げた小説…この小説は皆に好きになってほしい…そう思った。
でも私は誰にも読ませなかった…右京と私…“2人だけ”が知っている小説にしたかったから。
1歳年上の右京は面白くてスポーツ万能で、やさしくて…私の憧れだった。
私は右京の言葉、性格…すべてにひきこまれていた…右京の笑顔を見るたびにドキドキして…夜に遊ぶのがとても楽しみだったんだ。
そのとき私は中学2年生、右京は中学3年生。
右京が受験勉強で昼間遊べなくなって昼間やることもなく寝てすごした。
私は学校では地味な存在。
いつも髪をみつあみして目が悪くもないのに“度”がはいっていない眼鏡をかけていた。
家に帰って眼鏡を取って制服から着替えて…右京と夕飯まで遊んで、夕飯が終わったらまた遊んで…学校の友達は、分からない問題を教えあうくらいしかしない。私は右京がいれば満足だった。
遊ぶための友達はいらない…そう思っていた。
でも今は友達がほしいと思った。右京と会えなくて寂しさでうまった心をまぎらわすために…私はみつあみをやめてポニーテールにかえた。
眼鏡もはずして、制服のスカートもいつもより短くして…
朝、学校に行って教室のドアを開けた。
「ぉ、おはよう…」
中学に入ってはじめて言う言葉…すごくキンチョーした…
「おはよー!!」
皆はそう言ってくれた。
「だれ?あんな可愛い子いたっけ?」
「バカ!池田さんだよ!」
私の周りには、はじめて人が集まった。
「ねー友達になってー!」
「今日一緒に遊ばない?」
「池田さんってほんとはすごく可愛いんだね〜」
「前とイメージ違うねー話しやすいよ!」
「だて眼鏡だったの!?」
「メアド交換しよ!」
皆の言葉が今の私にとってうれしいことばかりで、すごくはげまされた。
私はその日から友達と遊ぶようになった。
右京に会う時間が少なくても右京のことが好きだって気持ちは変わらなかった。昼間に友達と遊ぶようになってからも夜は右京と遊んでいた。
右京が時間を作ってくれたから。
そして1ヶ月がたった。
小説の2冊目が完成した。
でもその小説は1冊目と同じように喜ぶことができなかった。
右京は喜んでいたのに…右京は気がついていたかな…?
あのとき私がとても寂しかったこと……
右京は遊んでいてもボーっとしてるし…会う時間も前よりずっと少なくなって…「大丈夫」って言葉を笑いながら言うのとても苦しかった…本当は泣いて「寂しい」って言いたかった。
今の私を右京が好きになってくれるわけがない。
もし今の私がニコニコ笑える子ならきっともう告白していたと思う。
右京は考えもしなかっただろうな…私がこんなふうになってるなんて……運命は人が思っているように楽しいばかりじゃない…未来なんて予想がつかないんだ…真っ暗な未来…前の私なら考えなかった…私がこんなふうになっているなんて…右京と離れてからの私には
“やる気”がない。
前は寂しい気持ちをまぎらわすために友達を作ったりしていたのに。
「もし未来を変えることができるなら…右京はどうするんだろう…」
私はそう思った…自分の未来を考えもしない私が…
「ありすは何してた?」
「走ってた…」
「俺も…また走る?」
右京にきかれて私は「うん」と言った。
少し母に感謝した。
家出したことで右京と会えたんだ。
右京と私は走りながら昔の話をした。
昔と言えるほど前じゃないけど10年も前のことのような気がした。
「ありすは中2のときと同じでよく笑うな」
ビックリした
「私が…よく笑う…?」
「どうした?」
「私は…笑わない…」
「え?」
「笑えない…」
「どうした!?」
「私がここにいる理由まだ教えてなかったよね?」
「…うん」
「家出したの…今はお父さんの家に泊まってる」
「どうして…」
私は由梨さんや父に話したときと同じように右京に話す。
「この話をしたの…右京で3人目なの…父は母のみかた…右京は?右京もお母さんのみかた?」
「…俺はありすのみかただよ…」
私はビックリした…右京は母のみかただと思っていたから。
それでも私は、はじめて現れた私のみかたをしてくれる…私を信じてくれる人…そんな人がいてうれしいはずなのに素直に喜べない……私は “同情しているだけの人が「みかた」になるのなら私は一生みかたなんていらない“ そう思った。
「なんで…?」
私は右京にきいた。いやな言い方…自分でも分かった…今の言い方はすごくいやな言い方だった…幼なじみの右京さえも信用していないような言い方…私は自分がいやになった…それでも右京は
「約束したから…」
「…?」
「はじめてお前と会ったとき…今みたいに ありす は ありすの母さんとけんかしてて、お父さんはお母さんのみかたばかりする…って泣いてて…そのとき、俺はずっとお前のみかたや!て約束したから。」
「そんなに前のこと…覚えててくれたの?」
「うん!大切なことは忘れない!」
右京が笑った。
「どうした?」
「な…何が?」
そのときは気がつかなかった…私の目から涙があふれていること。
10秒もたつと涙が乾いて少しかゆくなる…そのときやっと気がついた。
「右京…ごめんね…?ビックリしたでしょ?」
「ありす…」
右京は少し寂しそうな笑顔を見せて私に抱きついた。
「右京?痛いよ…?」
「ごめん…ありす…受験のとき寂しい思い…させてごめん」
「…何?何言ってるの?私分かんな」
「本当は気がついてたのに!ありすが寂しそうなの…ありすが無理して笑顔見せてるの…気がついてたのに!またありす泣かして…」
「何言ってるの?あの時私泣かなかったよ?」
「自分の部屋で泣いてたの見た!遊ぶの終わったあと机につっぷして泣いてるの見たよ!受験勉強で遊ばれなくなってから2日たったくらいから…本当にごめん!」
あの時と同じ…お母さんが泣いてるところを見たときと同じなんだ…
「…あの時…私寂しいのにたえられなくて泣いた…でも…朝に右京の顔見たらはげまされたんだ…右京泣かないで…笑って?私に笑顔をくれるのは右京の笑顔だよ?どんな言葉よりも、どんなものよりも、私には右京の笑顔が一番うれしいプレゼントだよ?右京の笑顔を見るだけで私は幸せ…だから笑っていて…ね?」
私は感じた…いまの私は笑っているって分かった。
「右京の笑顔を見るだけで幸せ」この言葉はうそじゃないただ右京を笑顔にするだけの言葉じゃない、私の本当の気持ち…私には右京が必要なんだ…私はついに決意した…告白…今言おう…
「右京…あのね私右京がす…」
「ストップ!」
「え?」
「俺から言わせろ…」
「…」
体が熱い…溶けてしまいそうなほど熱くて熱くてたまらない…もういまの私には右京の顔を見ることが出来なくなっていた。
「えっと…俺は始めてありすと会ったときからありすのことが好きだ」
「…」
「付き合って!」
「あのさ…ひとつきいていい?」
「なに?」
「右京もしかして告白はじめて?」
私の質問と右京の答えには間があいた。
「ギクッ!」
「やっぱね…」
「そーゆーありすは!?」
「断ったことはあるけど告白はしたことないよ?」
「ありす…一回父さんの家戻って荷物まとめてきて?」
「持ってきた荷物?」
「そう」
私には何がなんだか分からなかった。でも右京は私がよく分かっていないことに気がついたみたいで理由を言ってくれた。
「俺、今ここの近くのマンションで1人暮らししてて…父さん、母さんのみかただったら、ありす母さんのみかたの家にいるのつらくない?もしそーだったら家きたらいいと思って…」
「行っていいの!?」
「部屋1つあいてるからいつでもOK」
「やったー!!」
「マンションの場所ここ…メモ見てきて?部屋空けとく」
「うん!」
右京は走って家に戻った。私も家に向かって走った。

家に着いたのは6時5分ごろ。まだ父は寝ている。
私は部屋に行って荷物をまとめた。
6時30分に私は家を出た。
メモに “友達の家に泊まることにしました。鍵はポストの中です。多分もう帰ってこないと思います” と書き残して…
右京が書いた地図を見ながらマンションを探す。
「ここが右京の住んでいるマンション?」
マンションの名前は“ポッチー”。
管理人のおじさんが飼っている犬の名前からとった名前だ。
このマンションは管理人さんが動物好きだから“動物OK”らしい。
私は10階建てのマンションの6階を見た。
右京の部屋が6階の右端なんだ。
マンションのロビーに入る。ロビーにはインターホンがついていて、部屋の番号を入力すると部屋の人と話すことが出来て、ドアのロックを開けてもらえるんだ。
私はさっそく番号を入力する。「ピッピッピ」とゆう音がロビーに響く。
“決定”を押すと
《はい?》
と声が聞こえた。間違いなく右京の声。
「私よ」
《ありす?待って、今迎えに行く。》
「分かった、待ってるよ」
私がそう言うと“プツ”っと音が鳴って話が出来なくなる。
切れてから1分もたたずに右京が走ってきた。
「お待たせ…ゼーゼー」
「ま、待ってないよ!!」
こんなに早くに来てそれでも「お待たせ」と言った右京はすごく疲れていそうだった。
右京は息を整えてから
「そう?」
と言った。
「ここ、ホコリついてるよ?」
と私は右京の頬についていたホコリをとって見せた。
「本当だ…部屋の掃除してたからそのときついたんだと思う」
そう言って右京は白い歯を見せた。
「いこう?」
右京が私の手をにぎった。すると顔が真っ赤にそまる。
「右京…まさか女の子と手をつなぐのもはじめて?」
私が聞くと右京が首を上下にふった。
「マジ…?」
私はビックリした。
手をつないだことが無いとゆうことはこんなにカッコイイ右京に彼女がいなかったとゆうことになるんじゃないかと思ったんだ。
「右京…彼女いなかったんだ…?」
「!…なんで分かるの!?」
右京が、あんまりにも おおげさな反応をするものだから私は「クスクス」と笑ってしまった。
「だって彼女と手もつながないなんてありえなくない!?」
「そんなことで分かるのか?」
「ま、100%じゃないけどね」
「へー…部屋行こう!!」
「うん」
私たちはエレベーターで5階まで上がる。
右京がポケットから出した鍵でドアを開けた。
右京が
「入って」
と言ったので私は玄関で靴を脱いで部屋に上がる。
片付いた部屋…リビングには“ピアノ”が置いてあった。
「右京…ピアノ弾くの?」
「ああ…少しだけ」
「弾いてみて!!」
「いいよ」
右京がピアノの前に座った。
「ありすが知ってる歌弾いてあげる」
右京がそう言ってくれた。
私は右京に笑顔をむけた。
右京が弾くピアノの音楽が私の頭の中に入ってくる。
♪〜
「この歌…」
「思い出した?」
その歌は私が一番好きだった歌…この歌を聴くときはいつも右京のことを考えて聴いていたんだ…CDを持っているけど右京のことを思い出すと寂しいからって押入れの奥に隠しておいた歌。
「今なら楽しく歌える」そう思った。
大きく息を吸って、歌い始めた。
私は歌った。
「ありす歌うまくなったな」
「ありがとう!右京のピアノうまかったよ!」
「ありがとう」
「この歌私前まで歌えなかったんだよ…CDだと寂しくなるんだ…この歌を歌えたのは右京のおかげ!」
私がそう言うと右京は笑ってくれた、そして右京は言った。
「俺がこの歌を弾けたのもありすのおかげなんだ。」
右京は私を見てもう一度笑ったんだ。
私も右京に笑顔を見せた。
その後だった。右京の後ろにある壁に何かが書いてあることに。
「右京…あれ、なに?」
「何が?」
「壁に何か書いてある」
私と右京が壁のほうに向かって走った。
「今も覚えているよ…何これ、詩? 長いんだけど…」
右京が壁の文字を読み出す。

〜  今も覚えているよ
私はいつもあなたの笑顔に励まされて…
私のそばにはいつもあなたがいて 
いつも微笑んでいたね…
幸せだったあの時間  私はその時間を少しだけ失った
あなたと会う時間が少なくなって 私はいつも寂しかった
それでもあなたは私と会う時間を作ってくれた
いくら会う時間が少なくてもどんなに遠く離れていても 
あなたを好きな気持ちは変わらない 私はあなたを愛していた

遠くはなれてもあなたのことを私は忘れなかった
あなたのことを考えながら一日をすごしていた
あなたの笑顔を思い出すだけで元気が出たから
ある日私はお母さんとケンカして家を飛び出た
私が行った場所であなたに出会った
8年の年月がたっていた でも私はまだ覚えていた
大好きなあなたにまた会えた
私は思い切って告白しようと思った
でもあなたが先に言ってしまった
私はすぐに答えを出した 
すぐに私はあなたの家に行くことになった
その後私はあなたの言葉をきいて自分の家に戻った
そのときお母さんと仲直りをしたんだ
私とお母さんはあなたのおかげで仲直りすることが出来た
ありがとう
私は誓った 私はあなたのことをずっと ずっと愛します 〜

私は怖くなった。
「この話の“私”って人、私にすごく似てる…」
「似てるって、どんな人か分からないのに?」
「顔とか性格とか、そうゆうのは関係ないの…似てるのは…」
「…?」
「似ているのは…運命の流れ…」
「運命の流れ!?」
「そう…私と右京がしたことや、考えたり感じたりしたことが、この詩の文章と同じなの」
「そういえばそうかも…それが何か?」
「私の運命がこの詩と同じように動いているなら次にあるのは…」
「お母さんとの仲直り!?」
「そう」
「よかったな!!」
右京は私に笑顔を見せる。
私には右京の言葉が…右京の笑顔がなぜかとても悲しかった、とゆうよりも寂しかった。
そしてあのときの母の気持ちがどんなものなのかが分かった。
父と離れるときの母の気持ちが…
「右京は私が家に帰っても寂しくないの?」
そう言いたかった。
「…ありがとう」
私は寂しい気持ちを必に隠した。
「眠くなったからもう寝るね?」
「分かった、お休み」
右京はそう言ってまた微笑んだ。
私は部屋に入るとベッドに乗った。それから少し泣いた。
本当はいっぱい泣きたいけど右京に泣いていることを知られないために少しだけ…
“泣きたいのに泣けないのはつらい”私はそう思った。
そのとき“笑いたいのに笑えないのはもっとつらい”とも思った。
私は高校に入ってから一回も思いっきり泣いたことも笑ったこともない。涙を流していても心は泣いていない、顔は笑っていても心は笑っていない…高校生の私はずっとそうだった。
私は苦しかった。“どうして私は泣いたり笑ったり出来ないのか”
考える気にもならない私が嫌だった。
「悲しいって何?」「楽しいってなんだろう」
私はそれさえも分からなかった。
私はそのときの気持ちを覚えている。
苦しい…すごく苦しい…私はずっと暗闇の中にいた。
「今の苦しい気持ちは前よりも楽なんだ」
そう言って流れる涙を止めようとしたのに涙は止まらない。
私はやっと涙が止まらない理由が分かった。
この苦しみは“泣きたいのに泣けない”のでも“笑いたいのに笑えない”のでもない。“寂しいのに寂しいと言えない”とゆう苦しみ…右京と離れたくないとゆう私の“右京のことを好き”だとゆう心が生み出す苦しみ…今まで私が感じたことのない気持ち…
今の私にはこの苦しみを消す方法は分からない…だから布団にもぐって声を小さくして泣いた。
その日は泣きつかれて寝てしまった。
次の日の朝、私が起きたとき右京はまだ寝ていた。
私はあの文字のところに行った。
私は文字を指で触ってみた、すると声が聞こえたんだ。
『ありす?』
「だ、誰!?」
『私は…未来のあなたよ』
「未来の私?」
『そうよ』
「どうして未来の私が?」
『その文章を書いたのは私なの…あなたがその文章に触ったら私がいる未来がつながるようにしたの。』
「なんとなく分かったよ」
『あなたに言いたいことがあるの』
「何?」
『あなたは夜に“今まで感じたことのない気持ち”になったはずなんだけど…』
「そうだけど…」
『その気持ちはとても大切なものなの。そのとき分かったかしら?どうしてそうなったか』
「右京が好きだってゆう気持ち…それからずっと一緒にいたいってゆう私の願い」
『そうよ。そこまで分かっていれば説明も簡単になるわ、それが分かっていても何もしなければ意味がないの…右京に言いたいことを言ってみて?そうすれば不安もなくなるから。また何かあったらここにきてね?』
「ありがとう分かった」
私は未来の私にお礼を言って壁から手をはなした。
ドアが開いて右京が起きてきた。
「おはよう右京」
私はそう言って右京に笑顔を見せた。
右京もあくびをしながら
「おはよう」
と言った。
「右京…」
「何?」
「私家に帰ろうと思うの…」
「そーか…」
「それで…お母さんとちゃんと話合おうと思って…」
「俺、そっちに引っ越す…」
「え?」
「俺、ありすの家の近くのマンションに引っ越す」
私はビックリした。
いきなりそう言われてビックリしない人はいないと思う。
「どうして…」
「ありすのそばにいたいから…」
右京はほおを赤くして言った。
「おくってく」
「うん」
右京はまだ車の免許を持っていない。
私たちは駅まで歩いていった。
駅で切符を買い、電車に乗り込む。
さっきのことを右京に話した。
右京はビックリしながらも私の話しを信じてくれた。
最後まで真剣にきいてくれた。
「じゃああそこは引っ越さないほうがいいな。」
右京は言った。
「右京さえよければ私の家に泊まってあそこは週に1回くらい行くだけでもいいんじゃないかな…」
私は言った。
「そうだな…ありすのお母さんがいいって言ったらそうする」
右京はそう言った。
とてもうれしそうな顔…
「右京、もしかしてうれしい?」
右京は「うん」と言った。
「私もうれしい」と私も言った。
電車が駅についた。
私たちはまっすぐ私の家に向かった。
恐る恐る鍵をあけて中に入った。
するとリビングのドアが開いた。
開いたリビングのドアから母が出てきた。
「お母さん…」
私は母を呼んだ。母は私に気がついた。
「ありす…」
母は私に飛びついた。
そして…泣いた…
たくさんたくさん涙を流して、流れ落ちる涙を何度もふいて、母は私に「おかえり」と言った。
「ありすが帰ってきてよかった…」
母はそう言った。
騒ぎに気付いた彰吾が部屋から出てきた。
彰吾はビックリしたような顔をして、母と私を交互にみつめた。
「おかえり。お姉ちゃん」
彰吾は笑顔で言った。
「ただいま」
私も言った。
今までにない笑顔で…

私が帰ってきてから20分くらいたった。母がやっと泣き止んで私は右京をここに泊めてもいいかきいた。
母は、私がお世話になったようだからと言って許してくれた。
私はすぐに由梨さんに電話をした。
「おせわになりました。ありがとう」と…
右京は私の家に泊まりはじめてから、1ヶ月、父が帰ってきた。
いっきに家がにぎやかになった。
休日には家族で公園に遊びにいく。もちろん右京も一緒に。
春には彰吾が小学3年生になる。
今では右京は家族の一員になっている。
右京が住んでいたマンションには、3日に一回くらい通っている。
私が家に帰って5ヶ月のとき、私はみよばあと由梨さんに手紙を書いた。

みよばあ由梨さんお元気ですか?
私たちは元気にやっています。
私が家に帰ってもう5ヶ月たちました。
本当にお世話になりました。
私に彼氏できたんです。
また彼と一緒に2人にあいに行きます。
話は変わりますが、次の春には弟が小学3年生になります。
1年てとても早いものですね^^
また手紙送ります。お元気で。

私は変わった。
あの事件(?)のおかげで。
今まで暗かったあの聖林高校も少しずつ明るさをとりもどし、残りの高校生活も明るくなった。
私は今年で卒業する。
卒業したらどうしよう…そうだ…右京とまたあのマンションで暮らすのもいいかもな…
高校卒業後、私は右京とあのマンションで暮らすことになった。
両親も彰吾が卒業したらマンションの近くの家に住むと言っている。
私は引越しの日、マンションのあの詩の隣に文字をかいた。

〜ずっと右京を愛せますように〜

2008年01月09日 (水) 20時47分

[388] 投稿者:春菜 - MEMORI- RES


1 始まりの物語
ここは、花村第1小学校の5年A組の教室。
生徒たちがギャーギャー騒いでいる教室には1人静かに先生を待っている生徒がいた。
「先生おせー」 
とつぶやいた生徒の名前は山下(やました)翔(しょう)。運動が得意な普通の男子。
今日は4月7日。
やっと学校が始まって5年生になった。
1学期の初めだとゆうのに先生がおそい。
ガラッドアが開くと今までさわがしかった教室がいっきに静まる。
先生がきた。
廊下側のすりガラスに人影が見える。
転校生だろう。
すりガラスのせいで顔までは分からないが女の子のようだ。
「皆さん、おはようございます。今日から5年生ですね。仲良くやっていきましょうね。今日から新しいお友達がふえます。星村さん、入ってください。」    
5−Aの担任の先生は山野(やまの)美(み)湖(こ)とゆう若いきれいな女の先生だ。
すごくやさしいと生徒からの評判もいい。
少し間をおいてガラッまたドアが開く。 
するとさっきまで廊下に立っていた女の子が教室に入ってきた。
その瞬間教室がざわついた。                  
かたまであるピンクと黄色の髪。目の色も髪と同じきれいな色…                                            
一瞬見とれてしまうほど可愛くて…みんなが我にかえったときは女の子が先生に言われて自己紹介をし始めるところだった。         
「星(ほし)村(むら)未来(みらい)です。まだ、この町のことをよく知らないので色々教えてください。」
けして大きくないけどよくとおる女の子らしい声だった。
「みなさん星村さんと仲良くしましょうね。」
「はーい!」
全員で返事をした。  
「星村さんの席は村野(むらの)(流(る)実(み))さんの隣です。」
「は〜い!」
下校途中、前にあの子がいた。
転校初日だとゆうのにもう友達と帰っている。
(星村さんと一緒に帰っている子は村野さんだ。あの子の隣の席だしな)
家に帰ったら翔はすぐ寝た。
宿題が無かったからいいんだけど…
次の日、学校に行く途中に翔は会ったのだ…あの転入生に…
「あの…えっと…山下翔君だよね?」
ときかれたとき翔はほんとにビックリした。
まだ1回も話したことが無いのに翔の名前をフルネームで完璧に覚えているなんて…まぁそれはそれでうれしいけど。
当たってたから1回うなずくと
「おはよう!じゃあまたあとでね〜!」
と言って走っていってしまった。
学校に着いた、すでに星村未来(さん)は学校にきている。
翔にはもう1つビックリすることがあった。
たった1日しかたってないのに50人以上いる5年生全員の名前を覚えていた。(もちろん翔ノように一回も話したことがない生徒もいる)
未来は翔が来たことに気がついて話しかけてきた。
「あのね〜翔って呼んでいい?」
ときかれた。一瞬「えっ」と思ったけど「いいよ」と言ってしまった。
「私のこと未来って呼んでね!」
そう言って未来は村野さんの所に走っていった。
1時間目の授業が終わって休み時間になった。
未来たちが話している。
村野さんの顔が少し赤くなっていた。
話し声がかすかにきこえた。
「未来〜私○○君が好きなの…協力してくれる?」
「OK協力したげる!」
未来が言うと村野さんは「ありがとう」と頭をさげた。
「何かほしい情報ある?」
「えっと…とにかく何でもいいから探ってきて!」
「わかった!調べてくる!」
その後未来が坂口良と話をしている。
きいた事はメモを取って。
そしてそれが終わると「ありがとう」と言ってとびっきりの笑顔を見せて村野さんの所に戻っていった。
坂口は、その笑顔の可愛さに赤くなってボーっと突っ立って
「じゃま!」とか「どけ!」
なんて言われながら皆にドンドン押されていた。
ちなみに I.LOVE坂口隊とゆう変な名前の親衛隊5人はその坂口をみて赤くなって「キィー!!!」と叫びながら怒っていた。
2時間目の授業は体育。
皆、外に出てリレーのチームを決めるためにコートの半分を走ってタイムを計っている。全員が走り終わった。
先生がどんどん名前を読み上げていく。チームが決まった。
結局未来は翔がいるCチームに入ることになった。(翔はBチーム)
未来と翔以外の生徒は速くて20秒台、未来と翔は10秒台だった。
未来のすごいところはスピードだけではない。
体力もかなりすごい、それは見ていれば分かることだ。
全員走ったせいで息を切らしているのに未来だけが息もふつう、汗すらかいていない。
未来の体力がすごいと分かっていたのは翔だけじゃなく、クラスの全員が分かっていることだった。
その日Cチームは1人田村きよとゆう女の子が休んでいた。
田村きよとゆう生徒は体が弱いらしく1年のときからよく休んでいた。
田村きよは、ほとんど外で遊ばず中で本を読んでいる生徒だ。
本人も「運動は苦手」と言っている。
まあその田村きよの分を走るのが未来になったわけだ。
1人100m走るのだが未来は2人分で200m走る事になった。
休憩タイムが終わった。
「リレーを始めるー!!!」
とゆう先生の声でスタートの旗が動く。それと同時に初めの1歩が前に出る。
Cチームは2位。Bチームは1位。
全チームのバトンがどんどんわたってゆく。
Cチームのバトンがアンカーの未来にわたった。
翔の.耳元で「ビュン」っと鳴って砂ぼこりがまった。
未来が走り出したとき翔と未来の間は約40m。
あっという間に未来はBチームのアンカー翔とならんだ。
振り返ると今までいたはずの未来がいない、2位だったCチームが1位になっていたのだ。
チームはCチームを入れて4チーム。
その中のだんとつ1位だ。
「すごいスピード…」
翔はつぶやいた。
「女の子でこんなに速い人はじめて見た…」
どうやらビックリしているのは翔だけではないらしく皆ボーゼンとしている。
体育の授業が終わって教室に帰るとまた未来の机の周りに人の集まりがあった。
放課後。
(今日は未来は1人で帰るみたいだな…)
と思って翔が目をはなしたらまた未来がいない。
あたりを見回す…だけどいない…1人男がいるだけ…
(あの男…あやしいよな?)
と思って翔は男の後をつけることにした…やがて男は古ぼけたマンションに入って行った。
(声が聞こえる!)
翔はそう思って見つからないように息をひそめる。
「ここ…どこ?」
「さ〜?どこでしょう?」
「ちゃんとこたえて!!!」
男は話をそらした。
「キミのその腕輪を調べたいんですよ…」
「この腕輪を?」
男は1回コクンとうなずいた。
「ムリよ!これはお母様とお父様にもらった物だもん!」
(そうよ…どこにいるか、生きているのかさえも分からないお母様とお父様にもらった…)
「話しても無駄なようですね…ある方の命令ですからね…力ずくでもいただきます!」
「いやー!!!」
バッ!翔は思わず男と未来の間に飛び出していた。
「こっちだ!速く!」
と言った時にはもう未来の腕をつかんで走り出していた。
だが追いつかれるのも時間の問題だ。
「かくれよう!!!」
「う、うん…」
声が震えている…未来も女の子だしさっきの出来事はやっぱり怖いらしい。
「大丈夫?」
翔は心配してたずねる。
「あっ大丈夫だよ…さっきは…ありがとう」
未来はムリに笑顔を作る。
「うん…それよりさっきの男だれ?」
翔は未来が気を使っていると分かっていたからなるべくやさしく声をかけた。
「私は知らない…でもこの腕輪をねらってた…お母様とお父様のこと知ってる人かもしれない…」
さすがに未来に元気は無い。
「家の場所知られてない?」
「最近、後つけられてるのは知ってた…でも知られてないよ…」
「じゃあケータイ番号とメアド教えるよ。なんかあったら連絡してくれ。」
「うん、はい、私の番号とメアド…」
2人は自分の番号とメアドを紙に書いて交換した。
翔には未来がとても悲しそうに見えた。
「翔…今日のことはヒミツにしてほしいの…警察に届けるつもりもないし…」
未来が言った。
「えっ…でも…警察には届けたほうがいいんじゃ…」
予想外の言葉に翔はビックリしている。
「ううん…これはこの世界の問題じゃないから…この世界じゃ解決できないから…警察なんてこの問題じゃあ、あてになんないよ」
未来の声が一瞬小さくなった。
「えっ」
「ううん…なんでもない…」
未来は平然としていが、翔には違和感が感じられた。
「危ないから送っていくよ。」
と翔が言うと未来は「ありがとう。」と言って笑顔を見せた。
翔はその笑顔で少し安心した。
(立ち直りがはやいな…)
未来がムリに笑っているのを翔は分かっていたけれどなぜか安心してしまうのだ。
未来はお母さんとお父さんのことを思い出していたのだ。
5歳の時に離れ離れになったお母さんとお父さん。
そのときの記憶がなくてもさびしいと思うのは当たり前のこと。
未来もまだ小学5年生の女の子、いくら心が強くても会いたいと思うはず。
「ここが私の家だよ。」
そこは、この「星村町」の7丁目にある一戸建ての家だった。
水色の壁には所々花が飾られている。
カチッカギが開く音とほぼ同時にドアが開き、カワイイ男の子が出てきて未来にしがみつく。
「おね〜た〜んあり?おね〜たんこのおに〜たんだぁ〜れぇ〜?」
男の子が未来にしがみついたまま聞く。
「翔おに〜ちゃんだよ〜」
「しょう、おに〜、たん?」
男の子がぎこちなく言った。
「翔、送ってくれてありがとう、またきてね。」
「おう…」
翔が返事をした。
「しょうおに〜たんバイバ〜イ」
男の子が翔に手を振る。
「未来じゃぁな…えっと…」
「千男だお〜」
男の子の名前は千男とゆう名前のようだ。
「千男(ちお)君もバイバ〜イ」                                    
翔は家に帰ってすぐに自分の部屋のベッドにむかった。
翔の部屋は中学生の姉、夕月(ゆつき)と一緒の2人部屋。
二段ベッドは夕月が上の段で翔が下の段。
頭のほうには電気と小さな本棚があって漫画や小説、図鑑なんかが入っている。
今は夕月が部活で家にいないから、うるさくしても文句を言われることは無い。
翔の家は両親が働いているからほぼ毎日、家には翔1人。
翔にとってはめずらしくないことだった。
翔はぎしっと音をたててベッドに乗った。
そして考え始めた…未来のことを…。
(未来はあの時確かにこの世界の問題じゃない…この世界じゃ解決でいないと言った。どうゆう意味かは、分からないけど…とても悲しそうだった…未来はお母さんとお父さんのことを、お母様、お父様って呼んでた。もしかしてお嬢様とか?…未来ならありえるよな…皆とは少し雰囲気ちがうし…)
と思ったときに眠ってしまった。
別に眠かったわけじゃないのだが…
朝起きると頭がガンガンしていた。 
2 臨海学舎
次の日、土曜日で学校は休みだけど月曜日が臨海学舎だから学年で仲の良いメンバーが集まって
お菓子を買いに行ったり服を選んだりしている。
翔も近くのコンビニいちごにお菓子を買いにいった。
翔が一緒に買いに来たのは、山(やま)西一(にしい)信(のぶ)と坂口良だ。
翔はクラスがずっと一緒のこの2人が1番の友達なのだ。
遠足の時なんかも3人でお菓子を買いにいく。
コンビニいちごは花村第1小学校の5年生でにぎわっていた。
臨海学舎は制服は着なくていいから皆楽なのだ。
(皆とお菓子交換したいな〜)
翔はそんなことを考えていた
月曜日<臨海学舎>
「翔まって〜!一緒に学校いこ〜!」
朝早くから未来もやっぱりハイテンションで翔のほうに走ってくる。
「おう!」
翔もワクワク気分で返事を返す。
キーン・コーン・カーン・コーン!!
2人が学校の門を入ろうとしたとき学校のチャイムが鳴り出した。                
2人は走って下足室に入って上靴にはきかえて教室まで走った。
窓から教室の中をのぞいて先生が来ていないことを確かめると
「ふ〜」と一息ついた。
そしてガラッとドアを開けて教室に入ると皆がドアに注目している。
翔はいやな予感を感じた。
「山下君!どーゆうこと!?」
「2人はどーゆうかんけい!?」
「山下翔が未来の彼氏!?」
「ちがうよ!道でたまたま会ったから一緒にいこうってことになって」
翔がそう言うと皆は「な〜んだ…」とゆうふうに自分の席に戻ってまた臨海の話をしだした。
「ふぅ〜」
翔はため息をついてチラッと未来を見た。    
(未来じたいのこともよく知らないからな…)
ガラッドアが開いて先生が入ってきた。
「皆おはよう!今日から臨海学舎だね!9時にバスに乗りますね。」
「は〜い!」
皆が元気に返事をする。
学校からの泊まりは初めてだから5年生にとっては大きな祭りのようなものなのだ。
9時になった。
5−Bの汗っかき先生が
「バスに乗るぞー!!!」
と言う。
汗っかき先生とは先生のあだ名で本名は栗野(くりの)太郎(たろう)とゆう名前だ。
運動好きで、汗っかきなことからこのあだ名がついた(らしい)。
宿舎は学校から3時間ほどの所にある花村町花の丘とゆう所だ。
「海に入るから着替えてきなさい」
海とゆう言葉をきいて皆元気になって、
「は〜い!!!」
と返事をした。
女子のほうはやけに騒がしい。 
「未来の水着ってラビットってゆうブランドのんでしょ!?似合うよ!!!」
「そういえば未来カバンもラビットだったよね?」
皆未来に次々と質問をする。
「う、うん…」
未来が困ったように返事をした。
「未来ってかわいいよね〜」
「どーすればそんなに可愛くなれるの〜」
「え…どうすればって…」
「何にもしてないのにそんなにかわいいの?」
「うらやまし〜」
(女の子にカワイイなんて言われたの初めて…この学校なら楽しくすごせそう…前の学校みたいにいじめられずに…)
「ありがとう 」
未来はそう言って笑顔を見せた。
「皆…早くしないとほっていかれる…もう男子準備できてるから」
っと黒山(くろやま)理(り)実(み)とゆう生徒(田村きよの友達)が言った。
するとさっきまで騒がしかったのがうそのように静かになり、
さっさと着替え始めたのだった。
未来もさっさと着替えて部屋から出た。
(よかった……この学校の子たちがやさしくて…)
未来はそう感じたのであった。
いよいよ臨海学舎の1番のイベントきもだめしが始まる。
くじびきで2人チームになって宿舎の中を歩く。
先生と何人かのハズレくじを引いた生徒がオバケ役になる。
オバケ役は人をおどかして楽しむからかなり本気でおどかしてくる。
その場で座り込んで動かなくなった生徒もいたらしい。
チームが決まった。
未来は翔と同じチームだった。
流実は坂口と同じチームになって喜んでいる。
未来が見ているのに気がついて左目を閉じて見せた。
未来がそれにたいしてほほえむ。
「よろしくね、翔」
未来はそう言って翔に笑いかけると、翔は
「おう…」
と照れくさそうに返事をする。
「未来はオバケとか苦手なのか?」
と翔はきいた。
「少しね…」
ペロッっと舌を出して未来は言った。
「きもだめしを始める〜!第1チームスタート!!!」
ほかのチームがどんどん出発していく。
未来と翔のチームも出発した。     
「黄色い鈴を取ってゴールに行くんだよな?」        
翔が未来に確認する。
「うん」
未来は答える。
ヒューヒューっと窓のすきまから風がふいている。
未来たちの前のドアがギーッと音をならして開いた。
そこから血まみれの包帯を体にまいた女の人が地面をはいつくばって出てくる。
「きゃ〜!!!」    
未来が小さく叫んで翔の腕にしがみついた。
「未来、山野先生だよ」
翔がそう言うと未来は顔を上げておそるおそるオバケを見る。
「山下君言っちゃだめじゃなぁい!!!」
と山野先生が言った。
どうやら、山野先生もおどかすのが楽しいらしい。
山野先生だと分かったらしく翔の腕を放して
「山野先生びっくりしましたよ〜すごく怖かったです。」
「そう!?そう!?ありがとう!!!先生うれしい!!!」
と言って山野先生はニコニコした顔でもといた場所に戻っていった。
そして未来は山野先生のとき意外はニコニコしながら1回もおどろかなかった。
そうしてきもだめしは無事に終わったのだある。
3 あやつられた友達
ヒューヒュー
夜の冷たい風がなっています。
その風の中を未来が飛んでいました。
「いないな〜黒山さん…」
未来は30分ほど前に見たのだ、黒山さんの腕にはまっている
悪魔の腕輪を…
悪魔の腕輪をはめている人はあやつられている可能性がある
と言う話を小さいときに仲の良かったおじいさんから聞いたことがあった未来は、黒山さんが危ないと感じたのだ。
「あれって黒山さん?」
そこは宿舎うらの森だった。             
たくさんの木が茂っていて中は薄暗い。                         
わずかな月のあかりだけが頼りの暗い森の中で、黒山さんのきれいな長い黒い髪がフワフワと揺れている。
未来が黒山さんの後ろに下りた。
「黒山さん!!!」
未来が呼びかけると黒山さんは顔をゆっくり未来に向ける。                                                        
「やっと来たな、魔法の国の姫、未来、もしやと思って来てみれば…そうか、人間界に来ていたのか、見つからないはずだ…」
そう言った黒山さんの腕輪の宝石が光った。
その声は黒山さんの声ではなかった。
いつものおっとりした声ではなくハキハキした声。
「黒山さんをあやつっているのは…もしかして魔界の王女聖奈!?」                                                              
「そのとうりよ。あったことも無いのに良く分かったわね。あっあんたが3歳の時会ったっけ?まぁほめてあげる」
聖奈が意地悪く言った。
「あんたにほめられてもうれしくないわよ!まさか人間界にまで手を出す気!?」
未来の表情か曇った。
いつもの落ち着いた表情ではなく、怒っているかのように。                     
「そんなわけが無いでしょう!?こんな無力な国私には必要ないもの。」
「この国は無力なんかじゃないわ!」                                                
「どうみても無力じゃない!魔法も使えない人間たちがただ働いてドロドロになっているだけのこんな国!」
「そんなこと無い!この国の人達は皆で協力して生きているわ!皆で助け合って・・・魔法なんか無くたってそれだけで十分じゃない!」                                                      
「あんたはまだ小さいからそんな甘いこと言ってられるのよ!大切な人を目の前で失った私の気持ちなんかあんたには分からない!」
「目の前で失ってなくたって分かる!聖奈はまだあのときのことが忘れられないんでしょ!?」
(聖奈の恋人のことが…)

4 悲しい過去
●ここは魔界の城。
「お父様!黒を金国に行かせる気ですか!?」
12歳の時の聖奈の声だ。
「なにを騒いでおるのだ。黒はこの国1番の剣士じゃ。心配することは無い。」
黒とゆうのは聖奈の彼氏の名前。
金国に攻めに行く兵士の名前の中に黒の名があり聖奈はかなりあせっていた。                                
「ですが、金国は黒のライバル白がいる国、あちらも白を出してくるに違いありません!」                                                  
「そんなに心配なら聖奈、お前も戦場に出てみるか?」
いきなりの発言に聖奈はおどろいた。
「よいのですか!?」
「お前にその気があるのならな。」
「ぜひ行かせて下さい!!!」
そして金国に行く日になった。
ついに金国との戦いが始まる。
戦っているところは金国と魔界の間にある地図にのることが出来るかもあやしい小さな島、リークス島。
1時間で島にパチパチと音をたてて炎がともる。
キーン!キーン!と剣のあたる音が響いていた。
聖奈の心はもう恐怖でいっぱいだった。
いきなりの出来事だった。
聖奈の顔に血がとんできた。
まだあたたかい血が聖奈の顔にべっとりとつく。
聖奈は顔を上げる…目の前にいるのは黒だった。
黒の腹に剣がささっている。
黒はためらうこともなく剣の前に飛び込んだ…それは自分のためではなく、愛する人を守るため…黒は自分の命がつきるまで聖奈を守ると決めていたのだ。
聖奈は黒のを確かめると近くにあった岩のかげに黒の体を寝かした。聖奈はもういきがない黒に
「待っててね?すぐに終わるから…」
と言って立ち上がった。
顔を上げた聖奈は別人のような瞳をしていた。
今まできれいな水色だった瞳がワインのように赤くなっていた。
そのとき聖奈の本当の「力」が目覚めたのだ。
聖奈は学校で習った魔法を使おうと呪文を唱えはじめる。
いつもの聖奈なら人を魔法で吹き飛ばすほどしか出来ないはず。
今回は今までとはちがった。
呪文を唱えているだけで聖奈の周りには大きな風が起こり人が吹き飛んでゆく。
「黒を…黒をーーー!!!」
聖奈が大きな声で怒鳴りつける。
たちまち聖奈の魔法が発動し1瞬で島は火の海となった。
国に帰ってきたのはもう息も無い黒を抱いた聖奈だけでした。●
5 友達との戦い
「いやな事を思い出させてくれたわね・・・そうよ・・・でも、そのおかげでこんなにすばらしい力を手に
入れたんだもの?感謝しなきゃね?」
聖奈はいやみっぽく言う。
「聖奈!昔はそんなじゃなかった!元に戻って!!!」   
未来は必に叫ぶ。
「まだそんなことを言うか!!!あんたが言っていほど世界はそんなにあまくはない!」
そう言って聖奈は黒山理実の体をはなれた。
「私が用があるのはおまえの腕輪だけだ!すぐにわたすなら命は助けてやるぞ?」     
未来は渡すきなどさらさらないが一応聞く。
「何に使うの?それしだいで答えは変わるわよ?」
聖奈はこう答えた。
「国をもっと強くするために決まってるでしょ?その腕輪でユータムを捜すのよ…」
「それじゃあわたせないわ…」
未来はわたさないと言う。
「それならしょうがないわね…いくよ!!!」   
聖奈は体勢を整える。
「望むところよ!!!」                                     
未来が受けてたつと言わんばかりに声を張り上げた。
「まちなさい!!!」
未来の上から声がする。              
「あれ?もしかして沙羅?」
沙羅と呼ばれた少女が未来の横に下りる。
「そーよ!」
(あちゃ〜…沙羅のことすっかり忘れてた…)            
未来はちょっと困った顔になる。
「今、私のことすっかり忘れてた…って思ったでしょ!」  
未来は内心ビックリしている。
「あ〜ばれたか〜…沙羅、心読めるんだった…」
どうやら友達のことは本当に覚えていないらしい。
「そうよ!」
沙羅はそんなことまで忘れたのかと言う顔になった。                                         
「聖奈を1人で倒そうなんて考えてることおみとうし!出来るわけ無いでしょ!?あんたぬわよ!」        
たちまち沙羅は真剣な顔つきになった。           
どうやら本当に心配しているようだ。
「ゴメン……」
未来は沙羅に言われてすっかり小さくなっている。
「私も手伝うからね!!!」
ちょっとえらそうな言い方。
「うん……」
未来はうなずく。
「風使い沙羅か・・・だが2人になったところで力は変わらぬ!!!」
聖奈が言うことなんか完璧ムシ! 
2人は召還魔法の呪文を唱える。 
すると突然ヒューと冷たい風が吹いた。
「アイス!!!」
未来が言うと水色や青の衣装を身にまとった氷のガーディアンが現れた。
そのまぶしい光に聖奈の目がくらんだ。
「ヒサシブリダネ、ミライ、キョウハ、ナニヲスルノ?ヒトアバレスルヨ」
「聖奈のスキを作って!」
「マカセテ」
(このままじゃ黒山さんが危ない……どこか安全な場所に…)   
未来が意識のない黒山さんを少し離れたところの木のところに寝かせて沙羅のところに戻った。
「フー出番よ!!!」
沙羅の声…
その瞬間大きな風がアイスの横で止まって風のガーディアンが現れた。
「アイスに協力して聖奈のスキを作るのよ!!!」
「OK!ヒサシブリニアバレルヨ〜」
「ヒサシブリネフーゲンキニシテタ?」
アイスがフーに聞く。
「ゲンキダッタヨ〜コンカイモガンバロウネ!」
2人はどこにあったのかも分からないちゃぶだいの周りに座ってお茶を飲み始めた。       
2人はお茶を済ませて攻撃体勢に入った。
そのいっぽう、聖奈は呆然としていた。 
2人が戦闘中にお茶を飲んでいたのに驚いたのであろう。
(ハッ戦闘中にボーっとしているなんて敵に背をむけているのと同じだ!!!)
聖奈は心の中で自分に文句を言っている。
そして聖奈は右手を上げた。
「あ!!!」
沙羅がつぶやく。
「まずいかも!!!」
未来も声を上げる。
そして聖奈の腕についていた腕輪が光りだした。
腕輪から青い光が空にのびている。     
その光は邪悪な者が放っているとは思えないほどのきれいな光の柱になっていた。
その青かった光はとたんに黒色に変わっていた。             
その柱をわたるように紫の光がわたってきた。
未来は光の出ているところを見た。
腕輪のかざりから光が出ている。  
丸い平べったいかざりがついている。
半分が白、もう半分が黒色でそれぞれ別の顔になっている。
白のほうは天使のようなカワイイ笑顔。
黒のほうは悪魔のような、何かたくらんでいそうな不気味な笑み。                                                      
(あのかざりをこわせばガーディアンを出すのを止められる…でも結界のせいで近寄れない…)
未来はなんとか聖奈に近付く方法はないかと考えている。 
その間にも紫の光は光の柱をわたって近付いてくる。                   
紫の光が近付くにつれて風の抵抗が大きくなる。
今では風使いの沙羅も身を守るので精一杯なほどにまで風の抵抗が大きくなっていた。
紫の光が未来たちの前に止まった。            
そして…ポムっとゆう音と一緒にガーディアンが出てきた。      
未来と沙羅が叫んだ。
「カワイイ〜」                                            
そのガーディアンはムム悪魔とゆう名前で、悪魔のぬいぐるみのような姿をしていてとてもかわいい。  
でも、油断してはならない。                   
いくらかわいいからって弱いとは限らないからである。         
フーやアイスは特殊なガーディアンだから心がある。
怖いなら怖いと言うし、うれしいならうれしいと言う。                         
とゆうことで、フーとアイスはこの戦いに向いていない。                                            
フーとアイスは当てにならないから、未来とサーラがフーとアイス戻して、新しいガーディアンを出す準備を始めた
呪文を唱え終わった未来が閉じていた目をカッっと開いた。
「ガーディアン、ぴょんぴょん!」
ポワン
「ゴシュジンサマ!オヨビデスカ〜?」                 
ツボの形をしたストラップから煙が出てかわいいウサギに変わる。
「聖奈のスキを作って!!!」
「セイナ…?……セイナッテアノセイナデスカ〜!!?」
ぴょんぴょんが言った。
「う…うん…」
未来が気まずそうに言う。
「ムリッポクナイデスカ〜?」
「ぴょんぴょんなら出来るよ…たぶん・・・」
未来は大丈夫だと言うがたよりない声だ。
「タブンデスカ〜…ウ〜ン…ヤッテミマスカ〜!!!」                            
ぴょんぴょんが言い終わるとぴょんぴょんの表情が変わった。                       
「ゴルァー!!!何ふざけとんじゃワレ!!!正気に戻ったらどないや!!!」
これはぴょんぴょんの声だ。              
どうやらぴょんぴょんは表情だけでなくガラまで変わってしまったようだ。
ムム悪魔もビックリしてその場に立ったまま、ピクリとも動かない。
そのスキにぴょんぴょんが攻撃する。
ムム悪魔はあっさりたおされてしまった。
「ムム悪魔がたおされたか!!!」
聖奈が言っている。                
未来はその少しのスキを見逃さなかった。    
未来の調節した弱い風が聖奈の腹に直撃した。
「うっ……」                   
聖奈が倒れるたところを未来が受け止めた。                                 
「聖奈…悲しいことがあってもそれを受け止めて頑張らなくちゃだめだって言ったのは聖奈じゃない!元に戻ってよ!昔の聖奈にもどって!!!」
未来瞳のから一筋の涙だこぼれ落ちた            
そのとき聖奈の体が青白く光り出していた。
未来がいつの間にか流れていた涙を拭いて聖奈を見ると聖奈は目を閉じてただペタンと座ってただ
光っているだけ…光がきえたとき聖奈の体から種が出てきたのだ。
そこに小さな黒い鳥が来てその種を持っていってしまった。
「聖奈!聖奈!!!」
未来は聖奈をゆする。
「う…うぅん…」
聖奈が目を覚ました。
「聖奈!!!ちょっと待ってね!今沙羅を呼んで来るから!」
未来が沙羅を呼びに行こうとしたとき。
「未…来…ありがとう…」
未来は立ち止まって聖奈のほうを見た。
「未来が…助けて…くれたんでしょう?」                
未来はただ聖奈を見て、質問にも答えずに言った。
「聖奈…まだ苦しい?」
聖奈は答えた。
「少しね…」        
未来は聖奈に背を向けると、歩き出して、沙羅を呼んで戻ってきた。     
沙羅は桃色のガーディアンをつれてきた。
「プリティーちゃん、お願いね?」
ガーディアンはプリティーちゃんとゆう名前らしい。
「マカセテクダサイデス〜」                  
プリティーちゃんはそう言うと聖奈の手に触れた。
すると聖奈の体がピンク色に光りだした。    
聖奈の傷が治っていきます。
「聖奈はもう大丈夫よ…」 
沙羅が言った。
「宿舎に戻らないと…」
「聖奈は私にまかせて宿舎に戻ったら…?」
沙羅が言った。
未来は少し考えたが…
「沙羅・・・お願いね?」
そう言って黒山さんを連れて宿舎に戻った。
6 戦いの後に
「あれ〜未来どこ行ってたの〜?探したんだから〜!!!」
宿舎に戻ったとき、やっかいなことに未来は流実に会ってしまった。                
とっさに黒山さんだけは隠した。
「流実ちゃん…あの…えっと…散歩してきたの!!!」
未来が言い訳を言った。
「ふ〜ん…」
〜その日の夜〜
汗っかき先生がこう言った。
「今日の夜は大サービス!!!自由だー!!!体育室も11時まで使っていいぞー!!!」
そう言われて1人の男子がこう言った。
「夕飯食い終わってから皆、体育室であそぼーぜ!」
するとほかの男子も…
「おっ!いいなーそれ!!!」
1人、2人、3人と「やろう、やろう」と騒ぎ出し最後の1人の男子が…
「女子も来いよな!!!」
と言ったので女子が…
「楽しそうね〜理実ちゃんいこ〜」
と田村きよが言った。 
「うん…」
「未来行こうよ〜、ね〜」
と流実も言う。
「うん」
そして夕飯が終わった。
体育室には次々と人が集まりだして…最後には5年生全員が集まった。
はじめに言い出した男子は「全員集まったか」と言うようにニコニコしている。
「やりたいことある人〜!!!」
と男子が言った。
「はいはい、は〜い!!!カラオケしたいで〜す!!!」                                      
「そういえば、ここカラオケの機械あるな〜先生にマイク借りれば歌えるぜー!!!」
{どうして体育室にカラオケの機械があんだよ}
「カラオケに賛成の人〜!!!」
ずらずらっと手があがった。
「1、2……おっ全員だぁ!」
「翔!お前足速かったよなぁ?マイク2,3本借りてきてくれ!!!」
1人の男子が言った。
「おう!」    
(たく人使いが荒いんだから)
「借りて来たぞ!!!」    
そこからは歌合戦!
皆歌っていく…中には10曲も歌っている人もいる…歌ってないのは残り12人になった。                
「そろそろいくか…」
未来がつぶやいて立ち上がって
「次私歌いま〜す」
と言った。
「何の曲にするの?」
「これなんかどう?」
「こっちでもいいんじゃない?」
「それは未来が決めることじゃないの?」
「リクエストするぐらいいいじゃん?」
「未来ならなんでも歌えそう!!!」
「リスト見せてくれる?」
未来が言うと持っていた女子が「はい」と未来にわたした。
「MEMORI…」
未来がつぶやいた。
「未来はMEMORI―歌うの?」
と流実が聞くと未来はコクンとうなずいた。
未来が歌い始めた。    
寂しそうで、つらそうで、でも優しくて…未来の歌声にどんどん引き込まれていく。
未来の想像以上にうまい歌…
(いつもの明るい未来がこんなに悲しそうに歌っている…?)
いつの間にか未来の瞳に涙がたまっていた。
(お母様…私はこの歌をうまく歌えていますか?この…お母様の歌を…)
翔はリストを見て気がついた。
(MEMORIなんて歌、リストにのってない)
MEMORIはリストにのっていない歌だったのだ。
(どうゆうことだ…?)
「未来速く起きて!男子に寝顔、見られちゃうよ!!!」 
「う…ん…て、えぇ〜!!!」
「ふぅ、やっと起きたか〜」
「あ!流実ちゃん…じゃなくて翔だったの〜!?」
未来がビックリして声を上げる。
「2人声似てるから分からなかっ…とゆうことは翔は私の寝顔見たの〜!?」
「う、うん…そんな大げさに言わなくても…」
(忘れて〜 )
「あぁ〜未来ちゃん起きちゃってる〜!」
そのとき未来のところに流実が来て…
「未来〜今日時間あいてる〜?」
「うん、あいてるよ!」
「じゃ〜今日帰ってから遊ぼ〜」
「うん!!!」
と約束して臨海学舎は終わった。
未来は家に帰ってきて持っていくものをかばんにつめる。
「ケータイと、財布と、カギ、ゲーム…OK!千男行こうか」
「おね〜たん、流実たんにいまからいくってでんわちなくていいの?」
「あっ!そっか!電話してくるから待っててね?」
未来が電話のところに行って流実の番号を押した。
「もしもし…流実ちゃん?今からそっち行くね?うん…千男もつれていっていい?…1人にするの心配で……うん…ありがとう!」
ガチャッ電話が切れた。
未来がインターホンを押すと森のくまさんの音楽が流れた。
「未来?ちょっと待ってね!」
トンットンッ ガチャッ
「行ってきま〜す!!!」
「流実ちゃんどこ行く?」
「う〜ん……まぁとにかく星村公園で考えない?」
「うん!」
〜5分後〜
「ブランコあいてる〜」
「ラッキー」
「のろ…って…あ…」
未来がいきなり大きな声を出した。
ビックリして流実が未来のほうに振り返った。
「なんだ〜…あ!」
「翔達、なにっやってるの?」
「べつに…」
翔がゲームをしながら行った。
「俺らは行くとこないからとりあえずここにきて決めようってことになったんだよな…翔?」
一信が翔にたずねたが、翔はうなずくだけだった。
「……それでどこ行くか決まったの?」
「ゲーセン…」
翔がガムをふくらましながら言う。
「一緒に行こうよ!!!」
良と一信が目をキラキラさせる。
「俺のことはいのって呼んでね〜」
未来と流実が相談して決めた結果が…
「一緒に行かしてもらうよ!」
良と一信が…
「大歓迎だよ!!!」
翔もうなずいた。
良と一信、それから未来と流実は歩き出した。
翔もゲームをやめて歩きだした。
10分後…
場所はゲーセンチェリーだった。
星村町の中でゲーセンチェリーを知らない人はいない。
毎日けっこうにぎわっている。
「流実ちゃん!」
「なに?」
「あれやろ〜」
未来が1台の機械を指差した。
「あれってプリクラノこと?」
「うん!」
良が未来と流実のほうに振り返った。
「未来ちゃんと流実ちゃんプリクラとるの?俺らも入れて〜ほら翔も!」
良と一信が走ってきた。
「ん…」
翔も歩いてくる。
「翔!はやく、はやく〜!」
「それじゃ〜いくよ〜!ハイチーズ!」
パシャッ
初めに流実がプリクラを見た。
「一信君かわいい〜」
流実が言った。
「次何する?」
「UFOキャッチャーやりたい…」
未来が言った。
「いいよ!」
ウイーン  ゴトン
「未来UFOキャッチャーうま〜い!!!ピーじゃん!!!
かわい〜私のも取って〜!!!」
「いいよ」
「俺にはあれ取って〜!!!」
「俺もあれ!!!」
「俺も…」
男子3人も未来にたのむ。
「いいよ!取ってあげる」
そう言った未来は1回も失敗せずに、残りの4人分を取り終えたのである。
良と一信は未来に取ってもらったことがうれしくてピョンピョンはねてるし、流実はピーが可愛くてニコニコしている。
でも翔だけは違った。
(1回も失敗しなかった…未来はほかの子とは何かが違う気がする)
6時になった。
皆が家に帰っていく。
翔も家に帰った。
今日は部活が早く終わったらしく夕月が帰ってきていた。
夕月は勉強机の前のイスに座って本を読んでいた。
翔が帰ってきたのにきずいて本から目をはなす。
「翔おなかへった?」
夕月がきいた。
「おう…」
翔が答えると…
「じゃあコンビニいちごで弁当買ってきてね」                                                   
(ハーまたこれだよ…姉なんだから自分で作りゃいいのに…料理上手いくせに…)                          
夕月は本当はすごく料理が上手なのだが面倒くさいからと言ってほんのたまに作るくらいしかしない。
(こっちだって考え事してたのに…)
10分後、家に帰った翔は言った。
「自分であっためて食っとけよ〜…」
すると夕月は本に夢中になっているが、「うん」と返事をする。                       
翔は買ってきた弁当を電子レンジで温めて食べた。
食べながら翔は考えた。
(未来は周りの皆と何かが違う。走っても息切れしないほどの回復力…走っているときはかすかに息を切らしていた…俺と同じぐらいの足の速さ…臨海のとき黒山さんと一緒に突然消えた…)
と考え事をしているとやっぱり今回も寝てしまった。
未来のことを考えているときだけ寝てしまう…
だれかが未来のことを考えるなと言っているかのように
翔は昨日考えたことを未来に聞こうと思った…でもやめた。
(何か事情があるのかもしれない…)
そう思ったのだ。
その後、翔は友達から元気がないとか調子、悪いのか?とか、何かあったか?と言われた。
そのたびに
「別に…何もないけど…」
と答えた。
(やっぱり聞いておくべきだったのか?)
そう思ったりもしたでもブンブンと首を振って「だめだ!決めたじゃないか!!!」
と自分に言い聞かせた。
でもやっぱり気になるものは気になるのだ。
「そうだ!星村町には神様がいるじゃん!!!神様に聞けば…」
放課後。                             
翔は学校から10分くらいのところにある星の神殿と呼ばれる洋風の城に行った。
●ここには昔人が住んでいた。
 とてもやさしいきれいな女の人だったそうだ。
 でもその人は歳をとらなかった。
 小さかった子供がおばあさんになっても、姿ひとつ変わらなかった
 それもそのはず…その女の人は神様だったのだ。                 
 女の人が住んでいた城が星の神殿と呼ばれているここだった。●
翔は神殿に入っていった。
建物の中央には大きくてきれいな鏡つきの祭壇があった。
鏡には何かで削って書いたような文字があった。
この世界の文字じゃない。
翔には見たことのない文字だがなぜか読める。
〜選ばれし者、自分自身をこの鏡に映し、赤い羽根の天使に黄色い鈴を持たせれば神が舞い降りる〜
「鈴?」
翔はポケットを探った。
出てきたのは臨海の時に肝試しで取った鈴だった。
「これをここにはめればいいのか・・・?」
翔はその鈴を天使の手にはめた。
すると天使の手が細かく揺れ、鈴がリンッリンッと鳴った。
白い羽がヒラヒラと舞った。
「あら、お客さん?」
と高い声が聞こえた。
そのとき、ピンクの服を着た白い翼を持つ女の人が現れた。
「こんにちは。人間界の神ルーシイです。」
「本当に神様?」
「そーだけど神様なんて呼ばないでよ!ルーシイって呼んでね?」
「えっと…俺、翔っていいます…あの星村未来って知ってますか?」
「知ってるわよ?だって大親友だもの?」
「え!あの…そのこのこと教えてほしいんですけど…」
「個人情報は本人の許可をもらわないということが出来ないようになってるから…」
あ…そうですか…分かりました。」
「ごめんね…何かあったらまたきて?出来る範囲なら力を貸すから」
「はい。ありがとうございます…それじゃあ…」
「さようなら…」
ルーシイは白い羽を残して消えた。
翔は鈴を天使の手からはずすと神殿の外に出た。
「かゆい…」
翔の手がなぜかとてもかゆい。
翔は手を見て気がついた。
いつの間にか翔の手にハートの半分の模様がついていた。
ピンク色のハートの半分…ちょうどハートの真ん中のところから、うずまきがのびている。
「いつついたんだろう…まぁいっか…」
そうつぶやいて翔が歩き出そうとしたとき…
「うわ!!!」
桃色の紙が翔の顔にひっついた。
書いてあったことは…↓
翔くんへ
手にハートの半分のマークが出たでしょう?
その模様は一度神を呼び出した印なの。
でも半分足りないでしょ?
完全のハートを作りたかったらもう一人の神も呼び出すね!!!
そうすればそれと同じ黒いハートの半分が出てくるから!
でも、もう一人の神はかなり変わってるわ・・・
あなたに呼び出すことが出来るかしら?
もし呼び出すことが出来たなら、何か、ごほうびをあげてもいいわ?
これであなたと私は友達だよ。
私に出来ることなら頼まれてあげるからそのときは呼んでね!
これからもヨロシク
ルーシイより
「もう一人の神?2人もいるのか…どこにいるんだろう…」
翔は時間があまったのでもう一人の神を探しに、いそうな神殿や宮殿と呼ばれるところに行った。
もう6時になった。
星の神殿から出たときから2時間はたつ。
「やっぱり…かんたんには見つからないか…」
翔はあきらめて家に帰ってきた。
(未来のことを知ろうと思ったら、また1つナゾが増えた…未来が転校してきてからまだ1ヶ月たったか、たたないか…それでこの村の神様と親友関係?ありえないだろ普通!!!)
忘れようと思ったけれど忘れることはできなかった。
「どうしろってんだよ!!!」
こんなことを考えてもどうしようもないのに……
7 見られた戦い
次の日、翔が未来と話していると未来の腕輪が急に光った。
未来はそれに反応して「ちょっとゴメン」と言って階段を下りていく。
未来が向かった先は階段の途中にある踊場だった。
物置と5年生の教室をつなぐ階段の踊り場で普段から人道りの少ない場所だ。
チャイムが鳴った。
未来はいつのまにか教室に戻ってきている。
先生がきた。
転校生を紹介します。入ってください。」
先生がそう言うとドアが開いて女の子が入ってきた。
すごく長い髪がサラサラとゆれている。
「風陣沙羅です。これからよろしくお願いします。」
「風陣さんは星村さんの幼なじみだそうです。仲良くしてあげてください。風陣さん、あそこのあいている席に座ってください」
「はい。」
「沙羅これからよろしく。」
「さっきの話本当なの?ユータムが見つかったって…」
「うんほぼ間違いないと思う…腕輪が光ったから。」
「だれ?先生?子供の分けないよね?」
未来は下を向いて黙ってしまった。
「もしかして…子供?」
沙羅が静かに言う。
未来が気まずそうにうなずいて言った。
「あそこの男の子よ…名前は山下翔。姉の夕月との二人兄弟。両親は働いていて、夕月は中学の
部活で帰るのが遅く、ほぼ家で一人。」
「へぇ〜調べたんだ〜何日かかった?」
「3日でほぼすべて調べた。言ったこと意外にもまだ調べたことはあるけど別にこの件には関係ない。」
「さすがね。でもどうするの?まだ5年生でしょ?まきこむわけには行かないし…」
「でしょ?それで沙羅に相談したんだけど…どうする?」
「私たちにはどうすることも出来ないよ。翔君がユータムであることを自覚するまで影で見守るしか。」
「そうね…自覚するまで」
翔はまだ2人の話に自分が入ってて、すごく深刻なことであることが分からなかった(はず)…
もし話題が自分だと分かっていたとしても、なぜ話題が自分なのかとゆう低レベルな考えしか
浮かばないだろう…(バカだから)
もう4時になった。
未来は沙羅と帰っている。
今日も一応流実もいるけど、ほとんど、ほって行かれている状態だ。
後ろから翔もついてきているが、流実の様子が少しおかしくなってクスクス笑っている。
それに気がついた流実が翔をキッとにらんだ。
翔が家に着いたときは4時30分ごろ。
宿題を終わらしたので翔はヒマになった。
考えて、考えて、やっと決まったのがゲームだった。
翔はピコピコゲームを始めた。
そのころ未来たちは…
「沙羅!星村公園にダークホールが開いた!!!ワープするよ!!!」
「OK!!!」
未来と沙羅がワープで星村公園に行った。 
10秒で着いた。
着いてから20分がたった。
「なかなかしぶといよ…!」
「サンダー撃つよ!!!」
未来がそう言うと未来の手に紫のボールが出た。
沙羅は未来の攻撃があたらないところによけた。
「いっけー!!!」
ドーン!!!
そのとき翔は…
「でっかい音だな、何の音だろう……星村公園のほうからだ…行ってみるか!どうせヒマだし・・・」
翔はすぐに自転車に乗って星村公園に行った。
(だれだ?あの黒マント…)
そこには未来と沙羅と…あとナゾの黒マントがいた。
でも翔には黒マントなんかどうでもよかった。
“未来達は何をしているのか”
“さっきの音はなんだったのか”
(見ていれば分かるかもしれない!!!)
翔はそう思って見ていることにした。               
「沙羅!そいつには炎が効くよ!!!」
「分かった!!!ファイヤー!!!」
沙羅がファイヤを出したとき…ボッと敵の黒いマントに火がついた。
翔が動くとガサッと音が鳴ってしまった。
未来が気づいて翔のところに近寄ってきた。
翔はこれ以上どうしようもないとゆうようにその場で固まっていた。
「翔…見てたの…?」
「うん…」
「ビックリした?」
「少し…」
翔がそう言うと今度は未来がビックリしたような顔になった。
「そんなにビックリしなかったってこと?」
「まぁね…少し感づいてたし…」
「へぇ〜この子けっこう頭いいんだ〜…」
沙羅が言った。
翔はブンブンと首を振った。
未来はだまれと言う目で沙羅を見た。
「まぁいいか…どうしたの?何かききたいことがあるなら言えば?」
翔は少し考えてから言った。
「なんで俺が見てもいいんだよ…普通ならダメだろ?」
「それは」
未来は沙羅を見た。
沙羅はそれに気がついて言った。
「いいんじゃない?教えても…本人だし、それを教えられてどうするかは本人しだいでしょ?」
未来は決心したのかこう言ったのだ…
「翔は…魔法界の伝説の“ユータム”だから…」
「えっ!?」
未来はうなずく…ただ翔を寂しそうな目で見ながら…
沙羅は未来の様子に気がついて未来にささやいたのだ…
「きっと生きているから」
沙羅は少し間をおいてもう一度口を開いた。
●未来は魔法界の姫で私(沙羅)はその幼なじみです。
ユータムとは11年間のあいだ忘れられもせず、ずっと語りつがれてきた伝説に出てくる国の名前です。
魔法界はこの日本のように多くの町や村が集まって出来た、自然が豊かな楽しく、にぎやかな国でした。
魔法界の隣にはもうひとつ国があって悪の女王聖奈の治める国がその国でした。
未来のお父様が治める国が“魔法界”聖奈が治める国が“魔界”と呼ばれるようになりました。                                         
昔は中の良かった魔法界と魔界でしたが、最近ずっと魔界は他国との交流を一切受け入れては
いませんでした…そう…魔界の国王が亡くなってから。
魔界はどんどん力をつけていき他国からの輸入もなくなりました。
魔界の住人のほとんどは子供のときから魔法を使うようになりました。
国王どうし仲が良かったので、お互いの国を攻めることは無いと魔法界の住人は安心していました。
けれど仲が良かった魔界の国王が亡くなってからは住人も不安でたまりませんでした。
そんなある日、いきなり魔界が攻めてきました。
最近ずっと魔界と交流をしていなかったので、魔界の力がどんなものか分かっていませんでしたが、
前とは比べ物にならないほどの力だったことはすぐに分かりました。
魔法界の王様と女王様は自分がんでしまったときの国を守る者が必要だと考えました、それが未来。
未来は5歳のときに人間界に逃がされたのです。
未来を逃がした直ぐ後のことです。
魔法界が魔界に負けてしまう寸前でした…男の子と女の子が現れました。
10歳くらいの男の子と女の子です。
男の子がリュー女の子がリラと名乗りました。
男の子が剣を抜き、女の子が呪文を唱えます。男の子が走り出しました。
女の子が男の子にむかって電気の魔法を出しました。
男の子が横に剣を出すと電気の魔法が男の子が出した剣にあたりました。
男の子の剣が光だし、剣の刃に電気が通っています。
男の子が敵の親玉に向かっていって戦っています。
キンキンと剣がぶつかりあっている音が聞こえてきます。
数分後、男の子が戻ってきたのです。
敵の親玉は20歳前後の年上…なのに無傷で帰ってきました。
魔法界は戦いに勝ち、また町に平和が戻りました。
勝利に導いてくれたリューとリラを招き、せいだいなパーティーが行われました。
リューとリラはユータムから来たのだと言っていたそうです。
その夜、リューとリラは近くの宿に泊まりました…けれど朝になって2人の泊まった部屋には誰
1人いませんでした。
変わりに宿の代金と置手紙だけがあったのです。↓
魔法界の皆さんへ
いきなり手紙だけで申し訳ないと思っていますが、国の命令ですから帰らせていただきます。
王様、女王様、お忘れじゃないと思います…あの契約を…
僕達は相手国が敵に攻められたときは、兵士を送り手助けをするとゆう契約を果たしに来た兵士です。
魔法界は僕達が想像するよりも自然が豊かで、にぎやかで、楽しくて…そんなこの国が一目見ただけで好きになりました。
また機会があれば来ようと思っています。
ユータムもこんな国になれたら…そう思いました。
ただ1つ残念だったのが、魔法界のお姫様を1回も見られなかったことでしょうか。
きっと王様と女王様が人間界にお逃がしになったのでしょう?
僕たちはこの国に来ることが出来たことを誇りに思っています。
人の命を…ひとつの国を守れたことで少し自信が出ました。
また出会うことがありましたらよろしくお願いします。
リュー・リラより
「未来は5歳から両親と一緒に暮らせなかった、あのとき魔界が攻
てこなければ一緒に暮らせた
かもしれないのに…」
沙羅が悔しそうな怒ったような顔になった。
「いいの…もう過ぎたことだから…気にしないで?」
未来は沙羅に言った。
「翔?あなたがそのリューとリラの血を継いでいるのよ?」
沙羅が気を取り直して言った。
「なんで分かるんだよ…」
「未来の腕輪が光ったのが証拠よ?」
沙羅が答える。
「でも安心して!巻き込むつもりはないから・・・何かあったら守るから…」
未来が言うと沙羅が翔に石の腕輪を渡して帰っていった。
8 新たな仲間
翔はさっきのことが気になってしまって、帰った後に未来の家に行った。
ピンポーン、翔がインターホンを押すとガチャっとドアが開いて未来が出てきた。
未来は少しビックリしているようだった。
「どうしたの?」
「さっきのことで…」
未来は何も答えてはくれない。
「俺に何かできるなら…させてくれないか?」
未来はまたビックリした顔になったけど困ったように斜め下を向いてしまった。
「俺も仲間にしてくれ!!!」
未来は決心したように前を向いた。
「いいわ…」
「イェ〜イ!!!」
「良かったわね…これからはよろしく。私のことは沙羅でいいから。」
後ろから見ていた沙羅が言った。
「これからヨロシクな!!!」
そして仲間になった翔なのですが…?                     
「なぁ、なぁ、なぁ!!!なにかすることないの!!!」
翔が30分前からギャーギャーうるさい。
「何もしなくていいわよ…」
未来が本を読みながら答えた。
「何かさせてよ〜 」
「今することないんだからしょーがないでしょ!!!」
ギャーギャーギャ!!!
未来と翔が言いあいをしているのを見ていた沙羅はあきれてこう思った。
(あの2人仲がいいのか悪いのかわかんない…)
沙羅は無理やり笑顔を作って言った。
「そんなことよりケーキ食べない?買ってきたんだけど…」
「食べるー!!!」
未来と翔が一緒に言った。
未来がケーキにぱくついた。
「おいし〜」
次に翔がケーキを口の中にケーキをほりこんだ。
「うめ〜」
2人はお互いの顔を見て笑った。
「翔ったら口の周りにクリームついてるよ〜!!!」
「未来だってー!!!」
(本当に仲いいのか悪いのかわかんない…)
ピピピッピピピッ
いきなり未来の腕輪が音をならして反応した。
「ダークホールが開いた…」
「場所は…花村第1小学校(翔達が通っている小学校)〜!?」
「しょうがないよ…行こう!」
「ここからワープするから翔つかまって!!!」
「うん!」
シュッ花村第1小学校についた。
「まだマリオネット(操り人形)は来てないのかな…」
「ううん、いるよ…」
「えっ翔は居場所が分かるの!?」
未来がきくと翔はうなずいた。
「体育館のうらだ!」
「分かった!行こう!」
「俺も行く!!!」
「うん!」
(マリオネットのいる場所を特定することが出来る…これがユータムの力…?)
沙羅は考えながら走っていた。
体育館のうらには確かにマリオネットがいた。
「あれ?この前とは色が違う…」
「うん、マリオネットはマントの色でランク分けされているのよ」
沙羅が言った。
(ユータムの力は確か何個もあったはず…)
沙羅はユータムの力が気になるようだ。
「翔は攻撃があたらないところにいて!」
「えっ俺も戦いた…」
「だーめ!!!」
未来と沙羅が言った。
「翔はまだ戦ったことないんだから見て戦い方を覚えてね?」
未来が言った。
「未来話してるヒマはないみたいよ…」
「うん、あいつは最高クラスだからね…」
マリオネットはもう呪文を唱え始めている。
「シーク!!!」
未来が簡単な魔方陣の魔法を使った。            
使ったのは水の魔法。
マリオネットはその攻撃を吸い取ってしまった。
「そんな…攻撃が…」
「吸い取られた…!?」
未来にも沙羅にもこんなことは初めてだった。
そしてマリオネットは未来をかごに入れて連れ去ろうとした。
マリオネットが帰ろうとして翔達に背中を向けたときスキが出来た。
沙羅が攻撃しようとするが、気付かれて吸い取られるのが分かっていたからやめた。
(俺がもっと強ければ…戦えれば!強くなりたい!もっと…もっと強く…強くなるんだ!!!)
翔がそう思ったとき…翔の体が光りだした。
敵が目をくらまし未来が捕まっていたかごの魔法が破れたのです。
「これもユータムの力…?」
沙羅がつぶやいた。
(未来でさえ何も出来なかった相手を1回も戦ったことのない翔が倒したってゆうの…?)
「大丈夫か?」
翔が言った。
「うん!助けてくれてありがとう」
「あたりまえだろ?仲間なんだから。」
と翔がニコっと笑った。
(仲間か…新しい仲間…)
未来はなぜかうれしくなった。
「ゴメンね…助けてあげられなくて…」
「いいよー暗くなんないでー…ところであれは?」
未来がキョロキョロしながら言った。
「さがそ!」
「あれってなに?」
「あった!これよ!てきを倒すと動かしていた魂が人形になって出てくるの。この魂は人から奪ったものだから奪われた人に返すのよ?」
未来が答えた。
「魂が戻るまで奪われた人はどうなってんの?」
「病気ってことになってるはずよ?」
「ねぇ…これ魔法界に帰るための鏡だ…」
沙羅が言った
「……翔、ゴメン…少しだけ行ってくる…」
「分かった…」
そして未来と沙羅は魔法界へ旅立って行った。

2008年01月09日 (水) 20時45分

[387] 投稿者:春菜 - 仮面 未完成 RES


人間なんて信じられない…
信じていいのは自分だけ…
信じたら

後で傷つくのは私―――





























私は西条コノカ。小学6年生。
性格…人間を信じない、一人を好む小学生。
小学生で一人を好む…というのは少し珍しいかもしれない。
でも私は一人が好きなのだ…というか、人間を好んでいないのだ。
別にすっごく嫌いっていうわけでもないが、とにかく信じていない。
友達や好きな人、親まで信じていないのである。
親を信じない子供…というのも珍しいかもしれないが、私の場合親を信じないのは“あたりまえ”といえる。
人間を信じられなくなった理由のすべてが親にあるからだ。
親のせいで人間を信じられなくなった。
人間を信じられなくなった理由…両親の離婚。
小3のとき、私の両親が離婚した。
私の頭の中には泣くより先に、“両親に裏切られた”とゆう考えがうかんだ。
まだ、グチャグチャな絵しか描けない2歳とかならそんなことなかったかもしれない…小学3年生だぞ?もう勉強だって結構進んで、友達と元気に遊んでる時期…そんなときに、ばーちゃんの家に泊められて、久しぶりに母に会えたと思ったら『離婚した』っていきなり言われたんだ。
それで信じられなくなった。
親を信じなくなったら最後、友達も、好きな人も信じられなくなる。
何もかも信じられなくて…信じられるのは自分だけ…この3年間ずっとそーやって暮らしてきた。
“仮面”のおかけで辛くはなかった。
“仮面”っていうのは“作り物の自分”。
私が作り出した嘘の自分。
友達、好きな人、親…皆に見せているのは仮面なんだ。
本当の自分を隠しているだけ楽だ。
本当の自分を人間に見せる気はない。
私にとって本当の自分を見せるのは弱みを見せるのと同じことになるからだ。
私にとって人間の前で仮面をはずすのは難しい。
もとの弱虫な自分を見せるのは嫌だ。
『仮面をかぶるのは難しくない?』ってきかれることがある。
まあ同い年の子たちには難しいかもしれない。
自分の気持ちを隠さないといけないから。
自分の感情をコントロールしてすべて“おさえないといけない”から。
小学生なんてまだ子供、感情をおさえることなんてできる子、私の知ってる中じゃいないね。
それだけ大変なこと…私にとっては簡単なんだ…どーしてだろ…
こーゆー運命で生まれてきたのかな〜と思うことがよくあるのだ…
もし本当にこーゆー運命で生まれてきたというなら私が簡単にできる理由の説明がつく。
というかそれしか説明方法がない。
私は一人が好き。
人間を信じていないから一人がいい。
ずっとそうだった。思えば幼稚園のころから仮面をかぶっていたのかもしれない。幼稚園のころは感覚がなかった。仮面をかぶっていたのに気がついたのは小3だった。
そのときはもう仮面をかぶっていたからいつからはじまったのかはわからない。
私はいつからはじまったのは、知るつもりはない。
知りたいのは”どうして人間を信じられなくなったのか”だった。
最近、両親の離婚だけが原因じゃないと分かった。
なぜだか知らない…そんな中途半端な答えは嫌だった。
だからいっぱいいっぱいいっぱい考える。
足りない頭を使っていっぱいいっぱい…
それでも分からない…いくら頑張ってもわからなくて…
あきらめてしまいたくなる…でもあきらめない。
あきらめたらそこで、今までの努力は水の泡だから。
答えがあるものは最後まで答えをだしたい…
仮面と本当の自分の唯一の共通点↓
私の性格…強がりで、負けず嫌いで、中途半端が嫌い。
この性格のせいでどれだけ苦労したか…
いつも強がって人前ではあまり泣かない子供だった。
いまでは“あまり”じゃなく“全然”になった。
人前で泣かないせいで、私は強い泣かない女だと思われてた。
友達も皆私の弱いところを知らない…それならいっそのこと隠してしまおう…そう思ってたんだ。
だから人前で仮面をはずさなくなった。
辛い思いをしたくない…そう思った。
きっと本当の私をさらけ出したら皆ビックリする…注目をあびるのは苦手だし、泣いたら目立つから泣かなかっただけ…でも、いまさら本当の自分を出すのはかっこ悪い。
本当の自分は泣き虫で弱くて…何もできない。
それを見せて嫌われるのが怖い…仲良しの友達まで離れていってしまいそうで怖いんだ…
本当の自分…誰になら見せられる?
私はいつもそればっかり考えていた。
親には一生見せられない…それは分かっていた。
離婚したころから決めてた…親には絶対に見せない…
信じていた…なにもわかっていないくらい一緒にいた親に裏切られた…もう親を信じることはできない…すぐにそう思った。
信じて後で傷つくのはいつも…私なんだから…
何人の人に裏切られたか…数え切れない…
信じてた人…そんなに信じてる人なんていなかった…でも…
信じていた人の半分以上の人間に…裏切られた…
信じていた人
裏切られるのは何よりも辛いこと…分かってたのに…
信じたら自分が傷つくって…分かってたのに…
だから…もう信じないって決めたんだ…3年も前に…
でも…一人も信じないで生きていくのは大変なんじゃないか…
最近そう思い始めた。
確かに大変だろう…一人で生きていくのは人間にとってもっとも難しいことだから…一人だけ…一人だけ信じてみようかなって思い始めてしまった。
きっとまた傷つく…分かってる…分かってるけど…一人で生きていく自身なんて…今の私にはない…
だから…一人だけ信じてみようと思った。
それでもこれ以上傷つくのは嫌なんだ…だから…本当に裏切らない人が現れるまで…私は一人も信じない…
決心した…つよく誓った…
それからも仮面をかぶりつづけた。
いまだ今田に信じられる人は…いない…
やっぱり無理なのか…そう思った。
私は一生一人で暮らしていくのか…
声をかけてくれる人のすべてを疑い、すべてを信じない…こんなことで生きていけるのか?
でも…しょうがないじゃないか…私をこんなふうにしたのは…両親なのだから…
幸い友達とは仲良くやっているし、学生のあいだは大丈夫だと思う。
でも…社会人になったとき、どうなるか予想がつかない…

2008年01月09日 (水) 20時40分

[386] 投稿者:春菜 - 【仮面】未完成 RES


人間なんて信じられない…
   信じていいのは自分だけ…
   信じたら

   後で傷つくのは私―――


私は西条コノカ。小学6年生。
性格…人間を信じない、一人を好む小学生。
小学生で一人を好む…というのは少し珍しいかもしれない。
でも私は一人が好きなのだ…というか、人間を好んでいないのだ。
別にすっごく嫌いっていうわけでもないが、とにかく信じていない。
友達や好きな人、親まで信じていないのである。
親を信じない子供…というのも珍しいかもしれないが、私の場合親を信じないのは“あたりまえ”といえる。
人間を信じられなくなった理由のすべてが親にあるからだ。
親のせいで人間を信じられなくなった。
人間を信じられなくなった理由…両親の離婚。
小3のとき、私の両親が離婚した。
私の頭の中には泣くより先に、“両親に裏切られた”とゆう考えがうかんだ。
まだ、グチャグチャな絵しか描けない2歳とかならそんなことなかったかもしれない…小学3年生だぞ?もう勉強だって結構進んで、友達と元気に遊んでる時期…そんなときに、ばーちゃんの家に泊められて、久しぶりに母に会えたと思ったら『離婚した』っていきなり言われたんだ。
それで信じられなくなった。
親を信じなくなったら最後、友達も、好きな人も信じられなくなる。
何もかも信じられなくて…信じられるのは自分だけ…この3年間ずっとそーやって暮らしてきた。
“仮面”のおかけで辛くはなかった。
“仮面”っていうのは“作り物の自分”。
私が作り出した嘘の自分。
友達、好きな人、親…皆に見せているのは仮面なんだ。
本当の自分を隠しているだけ楽だ。
本当の自分を人間に見せる気はない。
私にとって本当の自分を見せるのは弱みを見せるのと同じことになるからだ。
私にとって人間の前で仮面をはずすのは難しい。
もとの弱虫な自分を見せるのは嫌だ。
『仮面をかぶるのは難しくない?』ってきかれることがある。
まあ同い年の子たちには難しいかもしれない。
自分の気持ちを隠さないといけないから。
自分の感情をコントロールしてすべて“おさえないといけない”から。
小学生なんてまだ子供、感情をおさえることなんてできる子、私の知ってる中じゃいないね。
それだけ大変なこと…私にとっては簡単なんだ…どーしてだろ…
こーゆー運命で生まれてきたのかな〜と思うことがよくあるのだ…
もし本当にこーゆー運命で生まれてきたというなら私が簡単にできる理由の説明がつく。
というかそれしか説明方法がない。
私は一人が好き。
人間を信じていないから一人がいい。
ずっとそうだった。思えば幼稚園のころから仮面をかぶっていたのかもしれない。幼稚園のころは感覚がなかった。仮面をかぶっていたのに気がついたのは小3だった。
そのときはもう仮面をかぶっていたからいつからはじまったのかはわからない。
私はいつからはじまったのは、知るつもりはない。
知りたいのは”どうして人間を信じられなくなったのか”だった。
最近、両親の離婚だけが原因じゃないと分かった。
私は本当の原因を知りたい…
だからいっぱいいっぱいいっぱい考える。
足りない頭を使っていっぱいいっぱい…
それでも分からない…いくら頑張ってもわからなくて…
あきらめてしまいたくなる…でもあきらめない。
あきらめたらそこで、今までの努力は水の泡だから。

2008年01月09日 (水) 20時36分

[385] 投稿者:春菜 - 人間ロボット RES


「早く起きなさい!もうすぐ6時よ!」
私は池田ありす。
私の通っている学校、聖林高学校はとてつもなく暗い学校。
一応名門高校だから人気もある…入るまでは…だけど…そして毎年
の受験生の人数は200以上。
私はこの学校に好きで入ったわけじゃない。母がむりやり入れたのだ。
私は普通の高校に入って、友達をたくさん作って、高校生活を楽しくすごそうと思っていたのに…。
この学校の登校時間は7時半〜8時半まで。
家から遠い訳じゃないのに毎朝母に起こされる時間は5時50分。
いつも夜遅くに寝て朝こんな早くに起こされていて寝不。
学校が終わるとカバンを置きに家に戻りすぐに塾まで自転車をとば
す。
6時ごろから10時ごろまで塾で勉強、くたくたになって家に帰ってそ
こからまた学校と塾の宿題をする。終わるのは12時30分ごろ。
そこから明日の学校と塾の準備、お風呂に入って制服にアイロンを
かける、けっきょく寝るのは2時ごろだ。
休む時間がほしかった…でも休む時間なんて1分も、1秒さえもなか
った。
私は高校に入ってから一回も笑ったことがない。
中学3年のとき、仕事のつごうで両親が離れて暮らすことになって、
大好きだった父と離れ離れになった。
母と私は考えが違いすぎて、ケンカばかりしている。
父の家は知っている………でもいつでも行くことが出来るわけじゃな
い。
何度も家出をしようと思ったけどムリだった……。
母の言うことをきいて、まるでロボットのような生活……私は鳥かご
に閉じめられた鳥のようだ……毎日寝不足…“休む時間がほしい”
とゆう叶うことのない願いが私の心を乱す…この生活は狭くて…私
は今にも押しつぶされそうだった。
でも…これでもうこんな生活からおさらばできる………私が父の家
に行くことが出来なかった理由がなくなるから。
私は10時に塾を出てから12時までバイトをすることにした。
いつでも家出が出来るように…もちろん母には秘密だ。
もう分かるだろうけど一応言っておく…父の家にいけない理由、それは“お金”だ。私には電車に乗るためのお金がなかったんだ。
これで私の願いが“すべて”叶った…と言ったらそうじゃない。
まだ叶っていない願いもあるわけだ。
怖いことや心配なこともあるし、なに1つ不自由していないわけじゃない。
「叶う願いは自分の手で叶えるんだ…!」
私はそう決心した。
もう母の暮らしに縛られるのはイヤだ。私だってもうできる。
ご飯も掃除も洗濯も…一人暮らしだってお金があれば出来る。
でも…肝心のお金がない……バイトが母に見つかるまでに何円稼
げるかも分からない…もしかしたらもう見つかっているかもしれな
い……怖い…
一生自由になれないかもしれない……もしそうなら……自分だけで
何とかできるわけがない……
私の心には新たな悩みが生まれた。私は考える。
助けてもらおう………《誰に?》
私が心で思っていることにたいして誰かがきいてくる。
家出しよう………《どこに行くの?》
また…誰?私にはその声が誰なのかが分からなかった。
でもその声は私が考えもしないことを聞いてくる…
そうだ……父さんの家に行こう。
《それで…誰があなたを助けてくれるの?》
そんなの誰でもいい…今はお金を貯めることが大切だ…お母さんにばれるまで……がんばろう。
抜け出さなくちゃ……この世界から私を助けてくれる人を探さないと……バイトを始めてから一ヶ月たったころ………
「ここ一ヶ月塾の帰りが遅いんじゃない?何をしているの?」
私は無言。
「答えられないような悪いことなの?」
「バイト……」
「何…?バイト?」
私がうなずくとお母は私の左の頬をたいた。
「なに!?バイトをするのは私の自由よ!何でなぐられなきゃいけないの!?」
「親の言うことも聞かないで何バイトなんてしているの!?しっかり勉強してちゃんとした仕事をしなさい!!」
「なんでお母さんの言うことばかりきかなきゃいけないの!?」
「誰のおかげで生活していると思っているの!?親の言うことをきくのはあたりまえでしょ!?子供はおとなしく親の言うことをきけばいいの!」
「言うことをきくのはそれが正しいときでしょ!?今のお母さんの言うことは間違っているわ!子供も自分で考えないといけないときがある!子供だって1人の人間よ!心もあるし、考えることも出来る!かんちがいしないで!私はロボットじゃない!」
離れて暮らすようになってからの母の頭にはいっているのはお金のこと。
子供のことも弟の彰吾だけ甘やかして私のことなんて全然考えていない。
家にいれば「勉強しなさい」とか「少しは家の手伝いをしたらどうなの」とか、そうゆうことしか言わないのである。
私は部屋を飛び出して自分の部屋に行った。
することはもちろん“家出の荷物まとめ”だ。
臨海や修学旅行のときに使った大きなカバンに荷物をつめた。
もうここにはいられない……鳥かごから飛び立つ日がきたの…
さあドアを開けて…………
そのとき「やっと私は解放されたんだ」と感じることが出来た。
これが私のかなうことのない願いの1つ…“自由”なんだ……
私は初めに銀行に行った。
バイトで貯めた15万ほどのお金をシルバーのケースに入れて鍵をかける。これから歩いて駅にむかう。
駅に着き、切符を買って電車に乗る。
父の家は“花田木駅”からバスで3分ほどの所にある“花町”で、歩いて行っても10分かかるかかからないか。
花田木駅に着いたとき、ちょうど“花町”行きのバスがバス停に止まっていた。
バスが止まった。私はそのバスに乗る。
窓側の席に座る。
バスが動き出すと窓をとおして見える外の景色が流れる。
私が外を見ている間に花町についていた。
バス停の真正面の家から右に4件進んだところにある家が父の家だ。
バス停から歩く。父の家の2件前から父の駐車場が見える。
車がないことで今父は家にいないことが分かった。
近くにいれば帰ってきたことがすぐ分かるし、家の前で待てばいいのだが、急にきたものだからいつ帰ってくるかも分かっていない。
もしかしたら夜まで帰ってこないかもしれない。
何をしようか迷ったけれどまずは服を買いに行くことにした。
商店街にくるとハデな人がふえる。
この町はおしゃれな人ばかりだ、母が買ってきたシンプルな服しか持っていない私に町の人が
「くるところが間違っている」
と言っているような目で私を見る。
私とおなじくらいの年齢の女の子はきれいな服を着てすごくカワイイ。
くやしい……母の言うことばかりきいて生活していた私が前よりもっとバカらしくなってきた。
一件の店に入った。
オシャレなカワイイ店だ。
18歳くらいの店員の人がニコっと笑って
「いらっしゃいませ〜」
と言った。
入口の右側にレジがある。
私は店員さんに手伝ってもらって何とか服を選んだ。
パーカーの下から白いノースリーブの模様がのぞく。
半ズボンにはピンクのハイビスカスがさいている。
髪を結んでもらって、メイクまでしてもらった。
鏡を手渡されて見てみた。
「うそ〜!これが私!?」
と口が勝手に言っていた。
「ありがとうございます、メイクまでしてもらっちゃって…」
「かんたんなことですから…またきてくださいね〜」
と言って店員さんはニコッと笑ってくれた。
私はドアを開けて店を出た。
オシャレをしただけでこんなにもいい気分になるなんて思いもしなかった。
私はいい気分のままもう一度父の家に行こうとしたとき…
「すみませぇん」
後ろから声がした。
後ろをむくと私の腰くらいの背丈の腰の曲がったおばあさんが私を見上げている。
「何?」
私はそう言うとおばあさんが…
「田木町にはどう行ったらいいのか分からなくてねぇ〜…」
田木町は花町の隣にある町で父の家の近くだ。
父の家の前の道路をまっすぐ歩いて1つ目の交差点を右に曲がったところからが田木町だった。
「おばあさん、一緒に行きましょうか?」
私はおばあさんに言った。
「お願いしますぅ」
おばあさんは私に笑みを見せてくれた。
私はおばあさんがスーパーの袋を5袋ほど持っているのに気が付いた。
お菓子のような軽いものが入っている袋、調味料などの重いものが入っている袋、落としたら割れてしまうような、“卵”や“お酒の入ったビン”なんかもある。
おばあさんはその袋を重たそうに持ち上げ一歩一歩ゆっくり歩いていく。
「おばあちゃん、荷物持つよ!」
私はおばあさんのところに走っていって3袋を持ち上げた。
もちろん重そうな袋のほうだ。
私にとっては軽い袋だった。
「ありがとうねぇ〜大丈夫?」
「大丈夫です。軽いから」
私はそう言った。
「そういえばあなた名前はなんていうの?」
おばあさんが名前を聞いてきた。
「“ありす”です」
「可愛い名前ね、私は“美代子”よろしくね」
美代子おばあさんはまた歩き出した。
歩き始めて何分たっただろう…美代子おばあさんのペースに合わせているとどうしてもゆっくりになってしまう。
「“みよばあ”はなにをしに田木町に行くの?」
私はいつのまにか美代子おばあちゃんを“みよばあ”と呼ぶようになっていた。
「結婚した娘と暮らすことになって…“いつでもいいから準備してきてね”って言われてねぇ…」
「へぇ〜…よかったね」
「楽しみでしょうがないのよぉ」
みよばあ はすごく楽しそうに娘さんのことを話してくれた。
私の母とは違って娘を愛していたとゆうことがすぐ分かるほど楽しそうに。
父の家の前を通った。父はまだ帰ってきていない。
田木町にある、みよばあ の娘さんの家についた。
玄関には女の人が落ち着かない様子で立っている。
女の人が みよばあ を見つけて
「お母さん!」
と言って走ってやってくる。
「由梨、こんにちは」
この女の人が みよばあ の娘さん、名前は“由梨”21歳。
「遅かったじゃない!ちゃんとこれたのね!」
「ありすちゃんが連れてきてくれたのよぉ」
「ありす?」
由梨さんは私のことをじーっと見つめて
「あ!“理沙実”先輩の娘のありすちゃんね!ひさしぶり!」
理沙実とゆうのは私の母の名前。
由梨さんは母の勤めている会社の後輩だった。
「おひさしぶりです…」
私はあいさつをした。
「急いでる?少しあがっていかない?」
「はい…」
私は由梨さんに連れられてリビングにあるテーブルのイスに座った。
「少し待っててね?お母さんを部屋に連れて行くから」
「はい…」
10分たった。
「お待たせ!」
由梨さんは冷蔵庫がらオレンジジュースを出してくれた。
“カラン”とコップに氷が入る音がリビングに響く。
「はい」と由梨さんが私にコップを渡す。
由梨さんはオレンジジュースを一口飲むとこう言った。
「ありすちゃんはなんでここにいるの?」
「…家出…です…近くに父の家があるので…」
「家出…?どうしてそんな…」
「このまま家にいたら私はロボットになってしまう…」
「ロボット…!?」
「言うことをきいて動くだけじゃだめだと思ったんです…」
「…」
「だから私は母との“距離”をとることにしたんです…母が可愛がるのは彰吾だけですから…私は母にとって“不必要”な存在…私はいてもいなくても関係ないと思って……」
「そんなことないよ、自分の子供がいなくて寂しがらない親なんていないと思うけど…?」
「“思う”でしょ?もし一千万人のうち一人が自分の子供がいなくても平気な親だったら私の母はそのうちの一人なんです。」
「でも理沙見先輩はあなたを愛してくれていると思う…」
「ええ…父と母がはなれて暮らす前までは…ね…ちょうど、あなたがあの会社をやめてしまう前までは優しかったんです…あのころの私は友達もたくさんいてよく笑う子だったんですよこれでも…母も“将来はあなたのやりたいことをすればいいわ。高校に入ったらバイトをしてもかまわないから”って言ってたんです…でも……あ、私が家出した理由言ってませんでしたね…バイト見つかってぶたれたんです…私が言いたいこと分かりますよね?」
「前に言ったこととは反対のことを理沙実先輩はしている…?」
「そう…母は父とはなれて暮らすようになってから変わってしまった」
「理沙実先輩が…?優しくなくなった理由はなに?」
「……暮らし…です…」
「暮らし?」
「両親は相手が嫌ではなれて暮らしているわけじゃありませんから」
「お父さんの仕事…それと、あなたの学校の問題でしょ?」
「はい…私さえいなければ父と母ははなれて暮らすことはなかった
し…」
「…もう6時ね…どうする?」
「一度父の家に行きます。」
「いなかったら家にいらっしゃい、泊めてあげる。」
由梨さんは電話番号が書いてあるメモを渡してくれた。
「ありがとうございます」
私と由梨さんは玄関に行った。
「ありがとうございました」
私がそう言うと
「またきてねぇ」
と横の部屋から みよばあ が言った。
「うん、またくるね」
私は みよばあ に言った。
みよばあ は笑ってくれた。
本当の家よりもこの家のほうが温かい…私はこの家が好きになった。
「私がここにいることは秘密にしておいてください。」
「分かったわ…それから私にも1つお願いが…」
由梨さんは私の耳元でささやいた…“今度から敬語は無しね”
少し驚いたけど私は
「はい!」
と元気よく返事をして父の家に向かった。
私には由梨さんの言葉がすごくうれしかった。
父の家のガレージには青色の車が止まっていた。
私はインターホンを鳴らす。
《はい》
「ありすです」
《ありす…ありすか!?ちょっと待ってろ!》
父はそう言ってバタバタとあわてた様子で出てきた。
「どうした?まぁとりあえず入れ」
私はリビングに入った。
テーブルの前のイスに座った。
イスは四つあった。
毎日父はここで1人、ご飯を食べているのかな…さびしいだろうな…
「母さんは元気か?」
父は母のことをきいた。
父が母のことをきいてもおかしくない。
仕事のつごうで遠くに行くことになってしまった父が「私が転校するのはかわいそうだから」と言ったからはなれて暮らしているだけだ。
私は黙ったままでコクンと首をにふった。
「そうか、元気か…」
父はそう言ってうっすら笑った。
「それで?用は何だ?」
父は母があれから変わってしまった事を知らない…知らないほうが幸せだろう…でも…私はいままでのことを全部話した…すると…
「そうか…家に泊まっていくか?これからどーするんだ?母さん心配してしてるんじゃないか?帰って謝るなら早いほうがいいぞ?」
父が母より私のほうが悪いと言っているように思えた。
「私、謝らないよ?悪いのはお母さんだもん…前言ってたことと、今言ってることが正反対なんだし…お母さんはぶったもん…私だってぶちたかったわ!塾だって嫌でも行ってるんだからバイトくらいわがままきいてくれたっていいじゃない!」
「ぶったのも悪いけどな、ありすだって悪いところくらいあっ」
「もう!なんでお母さんのみかたばかりするの!?」
「…ありす、そんなに塾行くの嫌か?」
「あたりまえよ!勉強なんて学校でちゃんとやってるのにどーして塾なんて行かなくちゃいけないのよ!?」
「母さんはお前の将来を考えて…」
「自分の将来くらい自分で決めるわ!お母さんみたいな仕事はやらない!私は物語を書くの! いつまでも子供扱いしないでよ!」
「まだ子供だろ……」
父は入れたてのコーヒーを一口飲んだ。
いつも冷静な人でかっこいいとさえも思った父のことが今はにくたらしくてしょうがない…父のことをこんなふうに思う日がくるなんて考えたこともなかった。
「私は言うことをきいて動くだけのロボットじゃないのよ!もうお母さんにしばられるのは嫌なの!」
私は声を張り上げて言った。
「たしかにありすはロボットじゃないけどきついことも全部 “自分のため”だと思えばなんてことないさ」
私は父のその言葉をきこうとはしなかった。
「部屋…空いてるんでしょ?使うから…」
私はそう言って2階にあがっていった。
私は父からわたされた部屋の鍵をドアの鍵穴にさして右に回した。
カチッと音が鳴って鍵が開く
ドアノブに手をかけてグッと下におろして自分のほうに引っ張った。
キィィィとさびた音が鳴ってドアが開いた。
少しホコリっぽい…ずいぶん長いあいだ使われていなかったようだ。
フローリングの床のを歩くと靴下が黒くなった。
奥にあったベッドの布団をベランダの手すりにかけて手でたたいてみた。バフッバフッと音が鳴ってホコリがまう。
ホコリが出なくなるまでたたいた。
次に掃除機を借りて部屋中の大きなホコリをとる。
そのあとに雑巾で床をふいた。
ベッドには水色のシーツをかけて干していた布団をのせる。
次は荷物の整理だ。カバンから荷物を出した。
本が13冊、服は持ってきてないけどさっきの店でそろえたから上下5着づつ、折り畳み傘、サイフ、文具、使わないのに入れたものもある…あとは
「写真…?」
青色の写真たてに入れられた写真。
移っているのは3人の家族…中学1年の私と、父と母…幸せそうな笑顔…私の中学の入学式で撮ったものだった。私は気づいた…
「この私…笑ってる…?」
今の私は笑うことが出来ないのに…このころの私は出来たんだ…私は思い出した…このころのお母さんはすごく優しかった…
高校受験の合格の知らせがあった日の夜…私はのどが渇いて部屋を出た。
このときはもう父とははなれて暮らしていた。
前の家は広すぎたからマンションの5階に引っ越したんだ。
一番おくの部屋が私の部屋。
むかいにあるリビングのほうからかすかな音が聞こえる。
「ヒック…ヒッ」
(泣き声…?)
私は声に出さずに頭の中で言った。
ドアが少し開いていて…その間からかすかに光がもれていた。
そのとき彰吾は私と同じ部屋の2段ベッドで寝ていた…そうなると泣いているのは母しかいないではないか…私は隙間からのぞいた。
母が机に顔を押し当てて泣いている。
「しん…どぉしてヒック…私たちがはなれなきゃいけないの…?さびしいよぉ……」
“しん”とゆうのはお父さんの名前…漢字だと“申”と書く。
私は母の泣くところは見たことがない。
父とはなれるときも…
「私は大丈夫だよ!ありす もいるし…それに申だって仕事が終われば帰ってくるじゃん!お仕事がんばってね!」
と言って元気に見送っていた。
「お母さん」と声をかけようとも思ったけどやめた…たまには思いっきり泣かしてあげたほうがいいと思った。
いつも泣かないのは私に心配をかけないためだと分かったからだ。
(お母さんは毎晩隠れて泣いているのかな……?)
私は台所に行って水を飲むとさっさと布団に戻った。
見ていたら今までの母の苦労が水の泡になてしまう…母が必に隠していた思いがムダになってしまうと思ったんだ。
次の日の朝、母はすっかり元気になっているように見えた。
でも私には分かった。
あの笑顔はにせものだ…心から笑っているわけじゃない。
今の母の目は赤いんだ…本当はまだ泣きたいはずなのに…
「お母さん目…赤いよ…?」
「あーこれ?かゆくてこすっちゃったの!」
「私の前だからって我慢しないでいいよ…?私じゃ頼りないけど…」
「!…ありす…なんのこと言ってるの?お母さん分かんないんだけど」
「知ってるよ…昨日見ちゃったの…少しくらい泣いてもいいんじゃない?」
「……ありす………わぁぁぁぁぁ!!」
母は私に抱きついて泣いた…声を張り上げて、たくさん涙を流していた。
その次の日、やさしかった母は消えた…私の笑顔と一緒に…
この写真のころまでの私は今の私が
「本当にこれが私?」
と思うほどよく笑っていた。
キラキラ輝いて、笑うことが出来ない今の私なんかより百倍、いや千倍かわいかった。
くやしいくらい幸せそうで今の私なんて本当はいらないんじゃないかとまで思わせる。
(お父さんもお母さんのみかた…今のところ私のみかたはいない…お父さんの家を出たとしたらいくところないんだよな…さんの家しかないんだよな…友達とかいたらいいのに…もうちょっと考えな
きゃ…)
3時間たった。部屋はすっかり片付いている。お風呂に入って、寝ることにした。私はあおむけになってベッドにのった。
この部屋は2階。上には少し斜めにかたむいた平らの壁のようなものが乗っているだけの屋根。私がいる部屋のてんじょうには、はば
2mほどの天窓があってそこから星を見ることが出来た。
「きれい…」
まるで中3のころまでの私のようにキラキラ輝いている星があった。
たくさんの星の中で一番輝いている…その隣にはあまり光っていない星があった。今の私みたい…そう思った。
今の私は全然耀いていないともう一度自覚した。
いつのまにか寝ていたようだ…私が起きたのは朝5時…もう一度寝ようとしても眠れなかった。
私はメモをリビングの机の上に置いた。
“ちょっと外を走ってきます。鍵使わしてもらったよ!“ポスト”に入れておきました。仕事に行くまでに私が帰ってきていなかったら机の上にメモを置いていってください。家に入れなくなると困るので鍵はまたポストの中ね?朝食は用意しなくていいです。”
父がいつも鍵を入れているカゴから鍵を出して家を出た。
メモのとおり鍵はポストに入れた。
私は田木町にむかって走った。
みよばあ の家の台所に電気がついている。
台所の窓を見ると由梨さんが朝食をつくっていた。
「こんな時間からつくるんだ…」
私は5分くらいその場所にたちつくしていた。
由梨さんの幸せそうな顔が私の頭の中にはいってくる。
「このままここにいたら私はこの“感情”を隠すことが出来なくなる」
そう思い私はその場から離れた。
横断歩道をわたろうとしたとき“ププー”と車が私のほうへ走ってくる車はあわててブレーキをふんだがすぐには止まらない。
(ぶつかる!!)
私はあきらめて目をつむる…そのとき…私の体が浮いた。
「あっぶねぇ〜」
誰かの声…私は目を開ける…目の前には男の子がいて私はその子に抱えられていた。
「きゃぁ!!」
私は思わず叫んでしまった。
男の子は15pくらいの髪の長さ、髪を金髪に染めて、髪先5pくらいまでのところが黒い…私はその髪に見覚えがあった。
「なにが“きゃぁ”だよ!ぬ気か!?右左くらい見ろ!」
男の子は私にどなった。
「だれ?」
私は男の子に名前をきいた。
「右京!」
「私は…ありす」
「ありす?どこかできいたことあるような…気のせいか…?」
「右京もしかして大阪の人?」
「前まで大阪に住んでた。それがどーかした?」
「もしかして…」
「もしかして?」
「士左地右京…?」
「池田ありす!?」
私は赤くなってうなずいた。
士左地右京…私の初恋の人。
右京には告白もしていない…まだ好きなんだけど…ね。
右京は前住んでいた家の隣に住んでいた。
右京と初めて会ったのは3歳のとき。
私が泣いているのをなぐさめてくれたのをよく覚えている。
私と右京の部屋が隣で家と家の幅が1mより少し短いくらいだったから窓を開けて話すことも出来れば窓から窓に移って遊ぶことも出来た。
毎日こうたいで2人の家で遊んでいた。
相手がいつでもくることができるように留守のとき意外は窓の鍵を開けていた。
右京の部屋に行くとゲームをすることが多かった。
ゲームはゲームでもテレビゲームだけじゃない。
テレビゲームで対戦するのはあたりまえのこと、トランプやオセロなんかもしたし、相手の夕飯の時間が分かっていたから両方の夕食が終わったらすぐに遊ぶことが出来た。
私の部屋に来たときは小説を書いていた。
右京は私の夢を応援してくれた。
右京はゲームも好きだけど本を読むことも大好きな人だった。
私も右京も1年に250ページほどの本を200冊ほど読む。
部屋で遊ぶようになったのも2人ともゲームも小説も好きだとゆうことを知ってからだった。
右京は小説を書いたこともあってとても頼りになった。
書こうと思ったきっかけは右京の
「お前小説書く気ない?」
とゆう短い言葉。
私はもちろんOKした。
さっそく私と右京が好きなファンタジー小説を書き始めた。
右京と私で話し合って内容を細かくノートにまとめる。
ノートにまとめた内容を言葉を選びながら文章にしていく。
“小説の仕上げは2人がいるときにしよう”書き始める前にした約束。
文章の最後の文字が書かれた。
右京は喜んだ…私も笑顔を見せて…ただ笑顔を見せているだけでもきっと右京は私がすごく喜んでいたと分かったと思う…だって私の心も中には幸せで満たされていたから…見せた笑顔はいつもの笑顔じゃなかったんだ…洗面所で鏡をみたとき思った…いつもの笑顔なんて本当の笑顔じゃないんじゃないかって…私は小説が書きあがったことはもちろんうれしかった、でも好きな人と“一緒に書き上げた小説”だとゆうことがなによりもうれしかった。
最後にその小説の内容にあった“題名”をつける。
「幸せは友達と…」
右京と私がはじめて書き上げた小説…この小説は皆に好きになってほしい…そう思った。
でも私は誰にも読ませなかった…右京と私…“2人だけ”が知っている小説にしたかったから。
1歳年上の右京は面白くてスポーツ万能で、やさしくて…私の憧れだった。
私は右京の言葉、性格…すべてにひきこまれていた…右京の笑顔を見るたびにドキドキして…夜に遊ぶのがとても楽しみだったんだ。
そのとき私は中学2年生、右京は中学3年生。
右京が受験勉強で昼間遊べなくなって昼間やることもなく寝てすごした。
私は学校では地味な存在。
いつも髪をみつあみして目が悪くもないのに“度”がはいっていない眼鏡をかけていた。
家に帰って眼鏡を取って制服から着替えて…右京と夕飯まで遊んで、夕飯が終わったらまた遊んで…学校の友達は、分からない問題を教えあうくらいしかしない。私は右京がいれば満足だった。
遊ぶための友達はいらない…そう思っていた。
でも今は友達がほしいと思った。右京と会えなくて寂しさでうまった心をまぎらわすために…私はみつあみをやめてポニーテールにかえた。
眼鏡もはずして、制服のスカートもいつもより短くして…
朝、学校に行って教室のドアを開けた。
「ぉ、おはよう…」
中学に入ってはじめて言う言葉…すごくキンチョーした…
「おはよー!!」
皆はそう言ってくれた。
「だれ?あんな可愛い子いたっけ?」
「バカ!池田さんだよ!」
私の周りには、はじめて人が集まった。
「ねー友達になってー!」
「今日一緒に遊ばない?」
「池田さんってほんとはすごく可愛いんだね〜」
「前とイメージ違うねー話しやすいよ!」
「だて眼鏡だったの!?」
「メアド交換しよ!」
皆の言葉が今の私にとってうれしいことばかりで、すごくはげまされた。
私はその日から友達と遊ぶようになった。
右京に会う時間が少なくても右京のことが好きだって気持ちは変わらなかった。昼間に友達と遊ぶようになってからも夜は右京と遊んでいた。
右京が時間を作ってくれたから。
そして1ヶ月がたった。
小説の2冊目が完成した。
でもその小説は1冊目と同じように喜ぶことができなかった。
右京は喜んでいたのに…右京は気がついていたかな…?
あのとき私がとても寂しかったこと……
右京は遊んでいてもボーっとしてるし…会う時間も前よりずっと少なくなって…「大丈夫」って言葉を笑いながら言うのとても苦しかった…本当は泣いて「寂しい」って言いたかった。
今の私を右京が好きになってくれるわけがない。
もし今の私がニコニコ笑える子ならきっともう告白していたと思う。
右京は考えもしなかっただろうな…私がこんなふうになってるなんて……運命は人が思っているように楽しいばかりじゃない…未来なんて予想がつかないんだ…真っ暗な未来…前の私なら考えなかった…私がこんなふうになっているなんて…右京と離れてからの私には
“やる気”がない。
前は寂しい気持ちをまぎらわすために友達を作ったりしていたのに。
「もし未来を変えることができるなら…右京はどうするんだろう…」
私はそう思った…自分の未来を考えもしない私が…
「ありすは何してた?」
「走ってた…」
「俺も…また走る?」
右京にきかれて私は「うん」と言った。
少し母に感謝した。
家出したことで右京と会えたんだ。
右京と私は走りながら昔の話をした。
昔と言えるほど前じゃないけど10年も前のことのような気がした。
「ありすは中2のときと同じでよく笑うな」
ビックリした
「私が…よく笑う…?」
「どうした?」
「私は…笑わない…」
「え?」
「笑えない…」
「どうした!?」
「私がここにいる理由まだ教えてなかったよね?」
「…うん」
「家出したの…今はお父さんの家に泊まってる」
「どうして…」
私は由梨さんや父に話したときと同じように右京に話す。
「この話をしたの…右京で3人目なの…父は母のみかた…右京は?右京もお母さんのみかた?」
「…俺はありすのみかただよ…」
私はビックリした…右京は母のみかただと思っていたから。
それでも私は、はじめて現れた私のみかたをしてくれる…私を信じてくれる人…そんな人がいてうれしいはずなのに素直に喜べない……私は “同情しているだけの人が「みかた」になるのなら私は一生みかたなんていらない“ そう思った。
「なんで…?」
私は右京にきいた。いやな言い方…自分でも分かった…今の言い方はすごくいやな言い方だった…幼なじみの右京さえも信用していないような言い方…私は自分がいやになった…それでも右京は
「約束したから…」
「…?」
「はじめてお前と会ったとき…今みたいに ありす は ありすの母さんとけんかしてて、お父さんはお母さんのみかたばかりする…って泣いてて…そのとき、俺はずっとお前のみかたや!て約束したから。」
「そんなに前のこと…覚えててくれたの?」
「うん!大切なことは忘れない!」
右京が笑った。
「どうした?」
「な…何が?」
そのときは気がつかなかった…私の目から涙があふれていること。
10秒もたつと涙が乾いて少しかゆくなる…そのときやっと気がついた。
「右京…ごめんね…?ビックリしたでしょ?」
「ありす…」
右京は少し寂しそうな笑顔を見せて私に抱きついた。
「右京?痛いよ…?」
「ごめん…ありす…受験のとき寂しい思い…させてごめん」
「…何?何言ってるの?私分かんな」
「本当は気がついてたのに!ありすが寂しそうなの…ありすが無理して笑顔見せてるの…気がついてたのに!またありす泣かして…」
「何言ってるの?あの時私泣かなかったよ?」
「自分の部屋で泣いてたの見た!遊ぶの終わったあと机につっぷして泣いてるの見たよ!受験勉強で遊ばれなくなってから2日たったくらいから…本当にごめん!」
あの時と同じ…お母さんが泣いてるところを見たときと同じなんだ…
「…あの時…私寂しいのにたえられなくて泣いた…でも…朝に右京の顔見たらはげまされたんだ…右京泣かないで…笑って?私に笑顔をくれるのは右京の笑顔だよ?どんな言葉よりも、どんなものよりも、私には右京の笑顔が一番うれしいプレゼントだよ?右京の笑顔を見るだけで私は幸せ…だから笑っていて…ね?」
私は感じた…いまの私は笑っているって分かった。
「右京の笑顔を見るだけで幸せ」この言葉はうそじゃないただ右京を笑顔にするだけの言葉じゃない、私の本当の気持ち…私には右京が必要なんだ…私はついに決意した…告白…今言おう…
「右京…あのね私右京がす…」
「ストップ!」
「え?」
「俺から言わせろ…」
「…」
体が熱い…溶けてしまいそうなほど熱くて熱くてたまらない…もういまの私には右京の顔を見ることが出来なくなっていた。
「えっと…俺は始めてありすと会ったときからありすのことが好きだ」
「…」
「付き合って!」
「あのさ…ひとつきいていい?」
「なに?」
「右京もしかして告白はじめて?」
私の質問と右京の答えには間があいた。
「ギクッ!」
「やっぱね…」
「そーゆーありすは!?」
「断ったことはあるけど告白はしたことないよ?」
「ありす…一回父さんの家戻って荷物まとめてきて?」
「持ってきた荷物?」
「そう」
私には何がなんだか分からなかった。でも右京は私がよく分かっていないことに気がついたみたいで理由を言ってくれた。
「俺、今ここの近くのマンションで1人暮らししてて…父さん、母さんのみかただったら、ありす母さんのみかたの家にいるのつらくない?もしそーだったら家きたらいいと思って…」
「行っていいの!?」
「部屋1つあいてるからいつでもOK」
「やったー!!」
「マンションの場所ここ…メモ見てきて?部屋空けとく」
「うん!」
右京は走って家に戻った。私も家に向かって走った。

家に着いたのは6時5分ごろ。まだ父は寝ている。
私は部屋に行って荷物をまとめた。
6時30分に私は家を出た。
メモに “友達の家に泊まることにしました。鍵はポストの中です。多分もう帰ってこないと思います” と書き残して…
右京が書いた地図を見ながらマンションを探す。
「ここが右京の住んでいるマンション?」
マンションの名前は“ポッチー”。
管理人のおじさんが飼っている犬の名前からとった名前だ。
このマンションは管理人さんが動物好きだから“動物OK”らしい。
私は10階建てのマンションの6階を見た。
右京の部屋が6階の右端なんだ。
マンションのロビーに入る。ロビーにはインターホンがついていて、部屋の番号を入力すると部屋の人と話すことが出来て、ドアのロックを開けてもらえるんだ。
私はさっそく番号を入力する。「ピッピッピ」とゆう音がロビーに響く。
“決定”を押すと
《はい?》
と声が聞こえた。間違いなく右京の声。
「私よ」
《ありす?待って、今迎えに行く。》
「分かった、待ってるよ」
私がそう言うと“プツ”っと音が鳴って話が出来なくなる。
切れてから1分もたたずに右京が走ってきた。
「お待たせ…ゼーゼー」
「ま、待ってないよ!!」
こんなに早くに来てそれでも「お待たせ」と言った右京はすごく疲れていそうだった。
右京は息を整えてから
「そう?」
と言った。
「ここ、ホコリついてるよ?」
と私は右京の頬についていたホコリをとって見せた。
「本当だ…部屋の掃除してたからそのときついたんだと思う」
そう言って右京は白い歯を見せた。
「いこう?」
右京が私の手をにぎった。すると顔が真っ赤にそまる。
「右京…まさか女の子と手をつなぐのもはじめて?」
私が聞くと右京が首を上下にふった。
「マジ…?」
私はビックリした。
手をつないだことが無いとゆうことはこんなにカッコイイ右京に彼女がいなかったとゆうことになるんじゃないかと思ったんだ。
「右京…彼女いなかったんだ…?」
「!…なんで分かるの!?」
右京が、あんまりにも おおげさな反応をするものだから私は「クスクス」と笑ってしまった。
「だって彼女と手もつながないなんてありえなくない!?」
「そんなことで分かるのか?」
「ま、100%じゃないけどね」
「へー…部屋行こう!!」
「うん」
私たちはエレベーターで5階まで上がる。
右京がポケットから出した鍵でドアを開けた。
右京が
「入って」
と言ったので私は玄関で靴を脱いで部屋に上がる。
片付いた部屋…リビングには“ピアノ”が置いてあった。
「右京…ピアノ弾くの?」
「ああ…少しだけ」
「弾いてみて!!」
「いいよ」
右京がピアノの前に座った。
「ありすが知ってる歌弾いてあげる」
右京がそう言ってくれた。
私は右京に笑顔をむけた。
右京が弾くピアノの音楽が私の頭の中に入ってくる。
♪〜
「この歌…」
「思い出した?」
その歌は私が一番好きだった歌…この歌を聴くときはいつも右京のことを考えて聴いていたんだ…CDを持っているけど右京のことを思い出すと寂しいからって押入れの奥に隠しておいた歌。
「今なら楽しく歌える」そう思った。
大きく息を吸って、歌い始めた。
私は歌った。
「ありす歌うまくなったな」
「ありがとう!右京のピアノうまかったよ!」
「ありがとう」
「この歌私前まで歌えなかったんだよ…CDだと寂しくなるんだ…この歌を歌えたのは右京のおかげ!」
私がそう言うと右京は笑ってくれた、そして右京は言った。
「俺がこの歌を弾けたのもありすのおかげなんだ。」
右京は私を見てもう一度笑ったんだ。
私も右京に笑顔を見せた。
その後だった。右京の後ろにある壁に何かが書いてあることに。
「右京…あれ、なに?」
「何が?」
「壁に何か書いてある」
私と右京が壁のほうに向かって走った。
「今も覚えているよ…何これ、詩? 長いんだけど…」
右京が壁の文字を読み出す。

〜  今も覚えているよ
私はいつもあなたの笑顔に励まされて…
私のそばにはいつもあなたがいて 
いつも微笑んでいたね…
幸せだったあの時間  私はその時間を少しだけ失った
あなたと会う時間が少なくなって 私はいつも寂しかった
それでもあなたは私と会う時間を作ってくれた
いくら会う時間が少なくてもどんなに遠く離れていても 
あなたを好きな気持ちは変わらない 私はあなたを愛していた

遠くはなれてもあなたのことを私は忘れなかった
あなたのことを考えながら一日をすごしていた
あなたの笑顔を思い出すだけで元気が出たから
ある日私はお母さんとケンカして家を飛び出た
私が行った場所であなたに出会った
8年の年月がたっていた でも私はまだ覚えていた
大好きなあなたにまた会えた
私は思い切って告白しようと思った
でもあなたが先に言ってしまった
私はすぐに答えを出した 
すぐに私はあなたの家に行くことになった
その後私はあなたの言葉をきいて自分の家に戻った
そのときお母さんと仲直りをしたんだ
私とお母さんはあなたのおかげで仲直りすることが出来た
ありがとう
私は誓った 私はあなたのことをずっと ずっと愛します 〜

私は怖くなった。
「この話の“私”って人、私にすごく似てる…」
「似てるって、どんな人か分からないのに?」
「顔とか性格とか、そうゆうのは関係ないの…似てるのは…」
「…?」
「似ているのは…運命の流れ…」
「運命の流れ!?」
「そう…私と右京がしたことや、考えたり感じたりしたことが、この詩の文章と同じなの」
「そういえばそうかも…それが何か?」
「私の運命がこの詩と同じように動いているなら次にあるのは…」
「お母さんとの仲直り!?」
「そう」
「よかったな!!」
右京は私に笑顔を見せる。
私には右京の言葉が…右京の笑顔がなぜかとても悲しかった、とゆうよりも寂しかった。
そしてあのときの母の気持ちがどんなものなのかが分かった。
父と離れるときの母の気持ちが…
「右京は私が家に帰っても寂しくないの?」
そう言いたかった。
「…ありがとう」
私は寂しい気持ちを必に隠した。
「眠くなったからもう寝るね?」
「分かった、お休み」
右京はそう言ってまた微笑んだ。
私は部屋に入るとベッドに乗った。それから少し泣いた。
本当はいっぱい泣きたいけど右京に泣いていることを知られないために少しだけ…
“泣きたいのに泣けないのはつらい”私はそう思った。
そのとき“笑いたいのに笑えないのはもっとつらい”とも思った。
私は高校に入ってから一回も思いっきり泣いたことも笑ったこともない。涙を流していても心は泣いていない、顔は笑っていても心は笑っていない…高校生の私はずっとそうだった。
私は苦しかった。“どうして私は泣いたり笑ったり出来ないのか”
考える気にもならない私が嫌だった。
「悲しいって何?」「楽しいってなんだろう」
私はそれさえも分からなかった。
私はそのときの気持ちを覚えている。
苦しい…すごく苦しい…私はずっと暗闇の中にいた。
「今の苦しい気持ちは前よりも楽なんだ」
そう言って流れる涙を止めようとしたのに涙は止まらない。
私はやっと涙が止まらない理由が分かった。
この苦しみは“泣きたいのに泣けない”のでも“笑いたいのに笑えない”のでもない。“寂しいのに寂しいと言えない”とゆう苦しみ…右京と離れたくないとゆう私の“右京のことを好き”だとゆう心が生み出す苦しみ…今まで私が感じたことのない気持ち…
今の私にはこの苦しみを消す方法は分からない…だから布団にもぐって声を小さくして泣いた。
その日は泣きつかれて寝てしまった。
次の日の朝、私が起きたとき右京はまだ寝ていた。
私はあの文字のところに行った。
私は文字を指で触ってみた、すると声が聞こえたんだ。
『ありす?』
「だ、誰!?」
『私は…未来のあなたよ』
「未来の私?」
『そうよ』
「どうして未来の私が?」
『その文章を書いたのは私なの…あなたがその文章に触ったら私がいる未来がつながるようにしたの。』
「なんとなく分かったよ」
『あなたに言いたいことがあるの』
「何?」
『あなたは夜に“今まで感じたことのない気持ち”になったはずなんだけど…』
「そうだけど…」
『その気持ちはとても大切なものなの。そのとき分かったかしら?どうしてそうなったか』
「右京が好きだってゆう気持ち…それからずっと一緒にいたいってゆう私の願い」
『そうよ。そこまで分かっていれば説明も簡単になるわ、それが分かっていても何もしなければ意味がないの…右京に言いたいことを言ってみて?そうすれば不安もなくなるから。また何かあったらここにきてね?』
「ありがとう分かった」
私は未来の私にお礼を言って壁から手をはなした。
ドアが開いて右京が起きてきた。
「おはよう右京」
私はそう言って右京に笑顔を見せた。
右京もあくびをしながら
「おはよう」
と言った。
「右京…」
「何?」
「私家に帰ろうと思うの…」
「そーか…」
「それで…お母さんとちゃんと話合おうと思って…」
「俺、そっちに引っ越す…」
「え?」
「俺、ありすの家の近くのマンションに引っ越す」
私はビックリした。
いきなりそう言われてビックリしない人はいないと思う。
「どうして…」
「ありすのそばにいたいから…」
右京はほおを赤くして言った。
「おくってく」
「うん」
右京はまだ車の免許を持っていない。
私たちは駅まで歩いていった。
駅で切符を買い、電車に乗り込む。
さっきのことを右京に話した。
右京はビックリしながらも私の話しを信じてくれた。
最後まで真剣にきいてくれた。
「じゃああそこは引っ越さないほうがいいな。」
右京は言った。
「右京さえよければ私の家に泊まってあそこは週に1回くらい行くだけでもいいんじゃないかな…」
私は言った。
「そうだな…ありすのお母さんがいいって言ったらそうする」
右京はそう言った。
とてもうれしそうな顔…
「右京、もしかしてうれしい?」
右京は「うん」と言った。
「私もうれしい」と私も言った。
電車が駅についた。
私たちはまっすぐ私の家に向かった。
恐る恐る鍵をあけて中に入った。
するとリビングのドアが開いた。
開いたリビングのドアから母が出てきた。
「お母さん…」
私は母を呼んだ。母は私に気がついた。
「ありす…」
母は私に飛びついた。
そして…泣いた…
たくさんたくさん涙を流して、流れ落ちる涙を何度もふいて、母は私に「おかえり」と言った。
「ありすが帰ってきてよかった…」
母はそう言った。
騒ぎに気付いた彰吾が部屋から出てきた。
彰吾はビックリしたような顔をして、母と私を交互にみつめた。
「おかえり。お姉ちゃん」
彰吾は笑顔で言った。
「ただいま」
私も言った。
今までにない笑顔で…

私が帰ってきてから20分くらいたった。母がやっと泣き止んで私は右京をここに泊めてもいいかきいた。
母は、私がお世話になったようだからと言って許してくれた。
私はすぐに由梨さんに電話をした。
「おせわになりました。ありがとう」と…
右京は私の家に泊まりはじめてから、1ヶ月、父が帰ってきた。
いっきに家がにぎやかになった。
休日には家族で公園に遊びにいく。もちろん右京も一緒に。
春には彰吾が小学3年生になる。
今では右京は家族の一員になっている。
右京が住んでいたマンションには、3日に一回くらい通っている。
私が家に帰って5ヶ月のとき、私はみよばあと由梨さんに手紙を書いた。

みよばあ由梨さんお元気ですか?
私たちは元気にやっています。
私が家に帰ってもう5ヶ月たちました。
本当にお世話になりました。
私に彼氏できたんです。
また彼と一緒に2人にあいに行きます。
話は変わりますが、次の春には弟が小学3年生になります。
1年てとても早いものですね^^
また手紙送ります。お元気で。

私は変わった。
あの事件(?)のおかげで。
今まで暗かったあの聖林高校も少しずつ明るさをとりもどし、残りの高校生活も明るくなった。
私は今年で卒業する。
卒業したらどうしよう…そうだ…右京とまたあのマンションで暮らすのもいいかもな…
高校卒業後、私は右京とあのマンションで暮らすことになった。
両親も彰吾が卒業したらマンションの近くの家に住むと言っている。
私は引越しの日、マンションのあの詩の隣に文字をかいた。

〜ずっと右京を愛せますように〜

2008年01月09日 (水) 20時34分

[384] 投稿者:春菜 - MEMORI-1 RES


1 始まりの物語
ここは、花村第1小学校の5年A組の教室。
生徒たちがギャーギャー騒いでいる教室には1人静かに先生を待っている生徒がいた。
「先生おせー」 
とつぶやいた生徒の名前は山下(やました)翔(しょう)。運動が得意な普通の男子。
今日は4月7日。
やっと学校が始まって5年生になった。
1学期の初めだとゆうのに先生がおそい。
ガラッドアが開くと今までさわがしかった教室がいっきに静まる。
先生がきた。
廊下側のすりガラスに人影が見える。
転校生だろう。
すりガラスのせいで顔までは分からないが女の子のようだ。
「皆さん、おはようございます。今日から5年生ですね。仲良くやっていきましょうね。今日から新しいお友達がふえます。星村さん、入ってください。」    
5−Aの担任の先生は山野(やまの)美(み)湖(こ)とゆう若いきれいな女の先生だ。
すごくやさしいと生徒からの評判もいい。
少し間をおいてガラッまたドアが開く。 
するとさっきまで廊下に立っていた女の子が教室に入ってきた。
その瞬間教室がざわついた。                  
かたまであるピンクと黄色の髪。目の色も髪と同じきれいな色…                                            
一瞬見とれてしまうほど可愛くて…みんなが我にかえったときは女の子が先生に言われて自己紹介をし始めるところだった。         
「星(ほし)村(むら)未来(みらい)です。まだ、この町のことをよく知らないので色々教えてください。」
けして大きくないけどよくとおる女の子らしい声だった。
「みなさん星村さんと仲良くしましょうね。」
「はーい!」
全員で返事をした。  
「星村さんの席は村野(むらの)(流(る)実(み))さんの隣です。」
「は〜い!」
下校途中、前にあの子がいた。
転校初日だとゆうのにもう友達と帰っている。
(星村さんと一緒に帰っている子は村野さんだ。あの子の隣の席だしな)
家に帰ったら翔はすぐ寝た。
宿題が無かったからいいんだけど…
次の日、学校に行く途中に翔は会ったのだ…あの転入生に…
「あの…えっと…山下翔君だよね?」
ときかれたとき翔はほんとにビックリした。
まだ1回も話したことが無いのに翔の名前をフルネームで完璧に覚えているなんて…まぁそれはそれでうれしいけど。
当たってたから1回うなずくと
「おはよう!じゃあまたあとでね〜!」
と言って走っていってしまった。
学校に着いた、すでに星村未来(さん)は学校にきている。
翔にはもう1つビックリすることがあった。
たった1日しかたってないのに50人以上いる5年生全員の名前を覚えていた。(もちろん翔ノように一回も話したことがない生徒もいる)
未来は翔が来たことに気がついて話しかけてきた。
「あのね〜翔って呼んでいい?」
ときかれた。一瞬「えっ」と思ったけど「いいよ」と言ってしまった。
「私のこと未来って呼んでね!」
そう言って未来は村野さんの所に走っていった。
1時間目の授業が終わって休み時間になった。
未来たちが話している。
村野さんの顔が少し赤くなっていた。
話し声がかすかにきこえた。
「未来〜私○○君が好きなの…協力してくれる?」
「OK協力したげる!」
未来が言うと村野さんは「ありがとう」と頭をさげた。
「何かほしい情報ある?」
「えっと…とにかく何でもいいから探ってきて!」
「わかった!調べてくる!」
その後未来が坂口良と話をしている。
きいた事はメモを取って。
そしてそれが終わると「ありがとう」と言ってとびっきりの笑顔を見せて村野さんの所に戻っていった。
坂口は、その笑顔の可愛さに赤くなってボーっと突っ立って
「じゃま!」とか「どけ!」
なんて言われながら皆にドンドン押されていた。
ちなみに I.LOVE坂口隊とゆう変な名前の親衛隊5人はその坂口をみて赤くなって「キィー!!!」と叫びながら怒っていた。
2時間目の授業は体育。
皆、外に出てリレーのチームを決めるためにコートの半分を走ってタイムを計っている。全員が走り終わった。
先生がどんどん名前を読み上げていく。チームが決まった。
結局未来は翔がいるCチームに入ることになった。(翔はBチーム)
未来と翔以外の生徒は速くて20秒台、未来と翔は10秒台だった。
未来のすごいところはスピードだけではない。
体力もかなりすごい、それは見ていれば分かることだ。
全員走ったせいで息を切らしているのに未来だけが息もふつう、汗すらかいていない。
未来の体力がすごいと分かっていたのは翔だけじゃなく、クラスの全員が分かっていることだった。
その日Cチームは1人田村きよとゆう女の子が休んでいた。
田村きよとゆう生徒は体が弱いらしく1年のときからよく休んでいた。
田村きよは、ほとんど外で遊ばず中で本を読んでいる生徒だ。
本人も「運動は苦手」と言っている。
まあその田村きよの分を走るのが未来になったわけだ。
1人100m走るのだが未来は2人分で200m走る事になった。
休憩タイムが終わった。
「リレーを始めるー!!!」
とゆう先生の声でスタートの旗が動く。それと同時に初めの1歩が前に出る。
Cチームは2位。Bチームは1位。
全チームのバトンがどんどんわたってゆく。
Cチームのバトンがアンカーの未来にわたった。
翔の.耳元で「ビュン」っと鳴って砂ぼこりがまった。
未来が走り出したとき翔と未来の間は約40m。
あっという間に未来はBチームのアンカー翔とならんだ。
振り返ると今までいたはずの未来がいない、2位だったCチームが1位になっていたのだ。
チームはCチームを入れて4チーム。
その中のだんとつ1位だ。
「すごいスピード…」
翔はつぶやいた。
「女の子でこんなに速い人はじめて見た…」
どうやらビックリしているのは翔だけではないらしく皆ボーゼンとしている。
体育の授業が終わって教室に帰るとまた未来の机の周りに人の集まりがあった。
放課後。
(今日は未来は1人で帰るみたいだな…)
と思って翔が目をはなしたらまた未来がいない。
あたりを見回す…だけどいない…1人男がいるだけ…
(あの男…あやしいよな?)
と思って翔は男の後をつけることにした…やがて男は古ぼけたマンションに入って行った。
(声が聞こえる!)
翔はそう思って見つからないように息をひそめる。
「ここ…どこ?」
「さ〜?どこでしょう?」
「ちゃんとこたえて!!!」
男は話をそらした。
「キミのその腕輪を調べたいんですよ…」
「この腕輪を?」
男は1回コクンとうなずいた。
「ムリよ!これはお母様とお父様にもらった物だもん!」
(そうよ…どこにいるか、生きているのかさえも分からないお母様とお父様にもらった…)
「話しても無駄なようですね…ある方の命令ですからね…力ずくでもいただきます!」
「いやー!!!」
バッ!翔は思わず男と未来の間に飛び出していた。
「こっちだ!速く!」
と言った時にはもう未来の腕をつかんで走り出していた。
だが追いつかれるのも時間の問題だ。
「かくれよう!!!」
「う、うん…」
声が震えている…未来も女の子だしさっきの出来事はやっぱり怖いらしい。
「大丈夫?」
翔は心配してたずねる。
「あっ大丈夫だよ…さっきは…ありがとう」
未来はムリに笑顔を作る。
「うん…それよりさっきの男だれ?」
翔は未来が気を使っていると分かっていたからなるべくやさしく声をかけた。
「私は知らない…でもこの腕輪をねらってた…お母様とお父様のこと知ってる人かもしれない…」
さすがに未来に元気は無い。
「家の場所知られてない?」
「最近、後つけられてるのは知ってた…でも知られてないよ…」
「じゃあケータイ番号とメアド教えるよ。なんかあったら連絡してくれ。」
「うん、はい、私の番号とメアド…」
2人は自分の番号とメアドを紙に書いて交換した。
翔には未来がとても悲しそうに見えた。
「翔…今日のことはヒミツにしてほしいの…警察に届けるつもりもないし…」
未来が言った。
「えっ…でも…警察には届けたほうがいいんじゃ…」
予想外の言葉に翔はビックリしている。
「ううん…これはこの世界の問題じゃないから…この世界じゃ解決できないから…警察なんてこの問題じゃあ、あてになんないよ」
未来の声が一瞬小さくなった。
「えっ」
「ううん…なんでもない…」
未来は平然としていが、翔には違和感が感じられた。
「危ないから送っていくよ。」
と翔が言うと未来は「ありがとう。」と言って笑顔を見せた。
翔はその笑顔で少し安心した。
(立ち直りがはやいな…)
未来がムリに笑っているのを翔は分かっていたけれどなぜか安心してしまうのだ。
未来はお母さんとお父さんのことを思い出していたのだ。
5歳の時に離れ離れになったお母さんとお父さん。
そのときの記憶がなくてもさびしいと思うのは当たり前のこと。
未来もまだ小学5年生の女の子、いくら心が強くても会いたいと思うはず。
「ここが私の家だよ。」
そこは、この「星村町」の7丁目にある一戸建ての家だった。
水色の壁には所々花が飾られている。
カチッカギが開く音とほぼ同時にドアが開き、カワイイ男の子が出てきて未来にしがみつく。
「おね〜た〜んあり?おね〜たんこのおに〜たんだぁ〜れぇ〜?」
男の子が未来にしがみついたまま聞く。
「翔おに〜ちゃんだよ〜」
「しょう、おに〜、たん?」
男の子がぎこちなく言った。
「翔、送ってくれてありがとう、またきてね。」
「おう…」
翔が返事をした。
「しょうおに〜たんバイバ〜イ」
男の子が翔に手を振る。
「未来じゃぁな…えっと…」
「千男だお〜」
男の子の名前は千男とゆう名前のようだ。
「千男(ちお)君もバイバ〜イ」                                    
翔は家に帰ってすぐに自分の部屋のベッドにむかった。
翔の部屋は中学生の姉、夕月(ゆつき)と一緒の2人部屋。
二段ベッドは夕月が上の段で翔が下の段。
頭のほうには電気と小さな本棚があって漫画や小説、図鑑なんかが入っている。
今は夕月が部活で家にいないから、うるさくしても文句を言われることは無い。
翔の家は両親が働いているからほぼ毎日、家には翔1人。
翔にとってはめずらしくないことだった。
翔はぎしっと音をたててベッドに乗った。
そして考え始めた…未来のことを…。
(未来はあの時確かにこの世界の問題じゃない…この世界じゃ解決でいないと言った。どうゆう意味かは、分からないけど…とても悲しそうだった…未来はお母さんとお父さんのことを、お母様、お父様って呼んでた。もしかしてお嬢様とか?…未来ならありえるよな…皆とは少し雰囲気ちがうし…)
と思ったときに眠ってしまった。
別に眠かったわけじゃないのだが…
朝起きると頭がガンガンしていた。 
2 臨海学舎
次の日、土曜日で学校は休みだけど月曜日が臨海学舎だから学年で仲の良いメンバーが集まって
お菓子を買いに行ったり服を選んだりしている。
翔も近くのコンビニいちごにお菓子を買いにいった。
翔が一緒に買いに来たのは、山(やま)西一(にしい)信(のぶ)と坂口良だ。
翔はクラスがずっと一緒のこの2人が1番の友達なのだ。
遠足の時なんかも3人でお菓子を買いにいく。
コンビニいちごは花村第1小学校の5年生でにぎわっていた。
臨海学舎は制服は着なくていいから皆楽なのだ。
(皆とお菓子交換したいな〜)
翔はそんなことを考えていた
月曜日<臨海学舎>
「翔まって〜!一緒に学校いこ〜!」
朝早くから未来もやっぱりハイテンションで翔のほうに走ってくる。
「おう!」
翔もワクワク気分で返事を返す。
キーン・コーン・カーン・コーン!!
2人が学校の門を入ろうとしたとき学校のチャイムが鳴り出した。                
2人は走って下足室に入って上靴にはきかえて教室まで走った。
窓から教室の中をのぞいて先生が来ていないことを確かめると
「ふ〜」と一息ついた。
そしてガラッとドアを開けて教室に入ると皆がドアに注目している。
翔はいやな予感を感じた。
「山下君!どーゆうこと!?」
「2人はどーゆうかんけい!?」
「山下翔が未来の彼氏!?」
「ちがうよ!道でたまたま会ったから一緒にいこうってことになって」
翔がそう言うと皆は「な〜んだ…」とゆうふうに自分の席に戻ってまた臨海の話をしだした。
「ふぅ〜」
翔はため息をついてチラッと未来を見た。    
(未来じたいのこともよく知らないからな…)
ガラッドアが開いて先生が入ってきた。
「皆おはよう!今日から臨海学舎だね!9時にバスに乗りますね。」
「は〜い!」
皆が元気に返事をする。
学校からの泊まりは初めてだから5年生にとっては大きな祭りのようなものなのだ。
9時になった。
5−Bの汗っかき先生が
「バスに乗るぞー!!!」
と言う。
汗っかき先生とは先生のあだ名で本名は栗野(くりの)太郎(たろう)とゆう名前だ。
運動好きで、汗っかきなことからこのあだ名がついた(らしい)。
宿舎は学校から3時間ほどの所にある花村町花の丘とゆう所だ。
「海に入るから着替えてきなさい」
海とゆう言葉をきいて皆元気になって、
「は〜い!!!」
と返事をした。
女子のほうはやけに騒がしい。 
「未来の水着ってラビットってゆうブランドのんでしょ!?似合うよ!!!」
「そういえば未来カバンもラビットだったよね?」
皆未来に次々と質問をする。
「う、うん…」
未来が困ったように返事をした。
「未来ってかわいいよね〜」
「どーすればそんなに可愛くなれるの〜」
「え…どうすればって…」
「何にもしてないのにそんなにかわいいの?」
「うらやまし〜」
(女の子にカワイイなんて言われたの初めて…この学校なら楽しくすごせそう…前の学校みたいにいじめられずに…)
「ありがとう 」
未来はそう言って笑顔を見せた。
「皆…早くしないとほっていかれる…もう男子準備できてるから」
っと黒山(くろやま)理(り)実(み)とゆう生徒(田村きよの友達)が言った。
するとさっきまで騒がしかったのがうそのように静かになり、
さっさと着替え始めたのだった。
未来もさっさと着替えて部屋から出た。
(よかった……この学校の子たちがやさしくて…)
未来はそう感じたのであった。
いよいよ臨海学舎の1番のイベントきもだめしが始まる。
くじびきで2人チームになって宿舎の中を歩く。
先生と何人かのハズレくじを引いた生徒がオバケ役になる。
オバケ役は人をおどかして楽しむからかなり本気でおどかしてくる。
その場で座り込んで動かなくなった生徒もいたらしい。
チームが決まった。
未来は翔と同じチームだった。
流実は坂口と同じチームになって喜んでいる。
未来が見ているのに気がついて左目を閉じて見せた。
未来がそれにたいしてほほえむ。
「よろしくね、翔」
未来はそう言って翔に笑いかけると、翔は
「おう…」
と照れくさそうに返事をする。
「未来はオバケとか苦手なのか?」
と翔はきいた。
「少しね…」
ペロッっと舌を出して未来は言った。
「きもだめしを始める〜!第1チームスタート!!!」
ほかのチームがどんどん出発していく。
未来と翔のチームも出発した。     
「黄色い鈴を取ってゴールに行くんだよな?」        
翔が未来に確認する。
「うん」
未来は答える。
ヒューヒューっと窓のすきまから風がふいている。
未来たちの前のドアがギーッと音をならして開いた。
そこから血まみれの包帯を体にまいた女の人が地面をはいつくばって出てくる。
「きゃ〜!!!」    
未来が小さく叫んで翔の腕にしがみついた。
「未来、山野先生だよ」
翔がそう言うと未来は顔を上げておそるおそるオバケを見る。
「山下君言っちゃだめじゃなぁい!!!」
と山野先生が言った。
どうやら、山野先生もおどかすのが楽しいらしい。
山野先生だと分かったらしく翔の腕を放して
「山野先生びっくりしましたよ〜すごく怖かったです。」
「そう!?そう!?ありがとう!!!先生うれしい!!!」
と言って山野先生はニコニコした顔でもといた場所に戻っていった。
そして未来は山野先生のとき意外はニコニコしながら1回もおどろかなかった。
そうしてきもだめしは無事に終わったのだある。
3 あやつられた友達
ヒューヒュー
夜の冷たい風がなっています。
その風の中を未来が飛んでいました。
「いないな〜黒山さん…」
未来は30分ほど前に見たのだ、黒山さんの腕にはまっている
悪魔の腕輪を…
悪魔の腕輪をはめている人はあやつられている可能性がある
と言う話を小さいときに仲の良かったおじいさんから聞いたことがあった未来は、黒山さんが危ないと感じたのだ。
「あれって黒山さん?」
そこは宿舎うらの森だった。             
たくさんの木が茂っていて中は薄暗い。                         
わずかな月のあかりだけが頼りの暗い森の中で、黒山さんのきれいな長い黒い髪がフワフワと揺れている。
未来が黒山さんの後ろに下りた。
「黒山さん!!!」
未来が呼びかけると黒山さんは顔をゆっくり未来に向ける。                                                        
「やっと来たな、魔法の国の姫、未来、もしやと思って来てみれば…そうか、人間界に来ていたのか、見つからないはずだ…」
そう言った黒山さんの腕輪の宝石が光った。
その声は黒山さんの声ではなかった。
いつものおっとりした声ではなくハキハキした声。
「黒山さんをあやつっているのは…もしかして魔界の王女聖奈!?」                                                              
「そのとうりよ。あったことも無いのに良く分かったわね。あっあんたが3歳の時会ったっけ?まぁほめてあげる」
聖奈が意地悪く言った。
「あんたにほめられてもうれしくないわよ!まさか人間界にまで手を出す気!?」
未来の表情か曇った。
いつもの落ち着いた表情ではなく、怒っているかのように。                     
「そんなわけが無いでしょう!?こんな無力な国私には必要ないもの。」
「この国は無力なんかじゃないわ!」                                                
「どうみても無力じゃない!魔法も使えない人間たちがただ働いてドロドロになっているだけのこんな国!」
「そんなこと無い!この国の人達は皆で協力して生きているわ!皆で助け合って・・・魔法なんか無くたってそれだけで十分じゃない!」                                                      
「あんたはまだ小さいからそんな甘いこと言ってられるのよ!大切な人を目の前で失った私の気持ちなんかあんたには分からない!」
「目の前で失ってなくたって分かる!聖奈はまだあのときのことが忘れられないんでしょ!?」
(聖奈の恋人のことが…)

4 悲しい過去
●ここは魔界の城。
「お父様!黒を金国に行かせる気ですか!?」
12歳の時の聖奈の声だ。
「なにを騒いでおるのだ。黒はこの国1番の剣士じゃ。心配することは無い。」
黒とゆうのは聖奈の彼氏の名前。
金国に攻めに行く兵士の名前の中に黒の名があり聖奈はかなりあせっていた。                                
「ですが、金国は黒のライバル白がいる国、あちらも白を出してくるに違いありません!」                                                  
「そんなに心配なら聖奈、お前も戦場に出てみるか?」
いきなりの発言に聖奈はおどろいた。
「よいのですか!?」
「お前にその気があるのならな。」
「ぜひ行かせて下さい!!!」
そして金国に行く日になった。
ついに金国との戦いが始まる。
戦っているところは金国と魔界の間にある地図にのることが出来るかもあやしい小さな島、リークス島。
1時間で島にパチパチと音をたてて炎がともる。
キーン!キーン!と剣のあたる音が響いていた。
聖奈の心はもう恐怖でいっぱいだった。
いきなりの出来事だった。
聖奈の顔に血がとんできた。
まだあたたかい血が聖奈の顔にべっとりとつく。
聖奈は顔を上げる…目の前にいるのは黒だった。
黒の腹に剣がささっている。
黒はためらうこともなく剣の前に飛び込んだ…それは自分のためではなく、愛する人を守るため…黒は自分の命がつきるまで聖奈を守ると決めていたのだ。
聖奈は黒のを確かめると近くにあった岩のかげに黒の体を寝かした。聖奈はもういきがない黒に
「待っててね?すぐに終わるから…」
と言って立ち上がった。
顔を上げた聖奈は別人のような瞳をしていた。
今まできれいな水色だった瞳がワインのように赤くなっていた。
そのとき聖奈の本当の「力」が目覚めたのだ。
聖奈は学校で習った魔法を使おうと呪文を唱えはじめる。
いつもの聖奈なら人を魔法で吹き飛ばすほどしか出来ないはず。
今回は今までとはちがった。
呪文を唱えているだけで聖奈の周りには大きな風が起こり人が吹き飛んでゆく。
「黒を…黒をーーー!!!」
聖奈が大きな声で怒鳴りつける。
たちまち聖奈の魔法が発動し1瞬で島は火の海となった。
国に帰ってきたのはもう息も無い黒を抱いた聖奈だけでした。●
5 友達との戦い
「いやな事を思い出させてくれたわね・・・そうよ・・・でも、そのおかげでこんなにすばらしい力を手に
入れたんだもの?感謝しなきゃね?」
聖奈はいやみっぽく言う。
「聖奈!昔はそんなじゃなかった!元に戻って!!!」   
未来は必に叫ぶ。
「まだそんなことを言うか!!!あんたが言っていほど世界はそんなにあまくはない!」
そう言って聖奈は黒山理実の体をはなれた。
「私が用があるのはおまえの腕輪だけだ!すぐにわたすなら命は助けてやるぞ?」     
未来は渡すきなどさらさらないが一応聞く。
「何に使うの?それしだいで答えは変わるわよ?」
聖奈はこう答えた。
「国をもっと強くするために決まってるでしょ?その腕輪でユータムを捜すのよ…」
「それじゃあわたせないわ…」
未来はわたさないと言う。
「それならしょうがないわね…いくよ!!!」   
聖奈は体勢を整える。
「望むところよ!!!」                                     
未来が受けてたつと言わんばかりに声を張り上げた。
「まちなさい!!!」
未来の上から声がする。              
「あれ?もしかして沙羅?」
沙羅と呼ばれた少女が未来の横に下りる。
「そーよ!」
(あちゃ〜…沙羅のことすっかり忘れてた…)            
未来はちょっと困った顔になる。
「今、私のことすっかり忘れてた…って思ったでしょ!」  
未来は内心ビックリしている。
「あ〜ばれたか〜…沙羅、心読めるんだった…」
どうやら友達のことは本当に覚えていないらしい。
「そうよ!」
沙羅はそんなことまで忘れたのかと言う顔になった。                                         
「聖奈を1人で倒そうなんて考えてることおみとうし!出来るわけ無いでしょ!?あんたぬわよ!」        
たちまち沙羅は真剣な顔つきになった。           
どうやら本当に心配しているようだ。
「ゴメン……」
未来は沙羅に言われてすっかり小さくなっている。
「私も手伝うからね!!!」
ちょっとえらそうな言い方。
「うん……」
未来はうなずく。
「風使い沙羅か・・・だが2人になったところで力は変わらぬ!!!」
聖奈が言うことなんか完璧ムシ! 
2人は召還魔法の呪文を唱える。 
すると突然ヒューと冷たい風が吹いた。
「アイス!!!」
未来が言うと水色や青の衣装を身にまとった氷のガーディアンが現れた。
そのまぶしい光に聖奈の目がくらんだ。
「ヒサシブリダネ、ミライ、キョウハ、ナニヲスルノ?ヒトアバレスルヨ」
「聖奈のスキを作って!」
「マカセテ」
(このままじゃ黒山さんが危ない……どこか安全な場所に…)   
未来が意識のない黒山さんを少し離れたところの木のところに寝かせて沙羅のところに戻った。
「フー出番よ!!!」
沙羅の声…
その瞬間大きな風がアイスの横で止まって風のガーディアンが現れた。
「アイスに協力して聖奈のスキを作るのよ!!!」
「OK!ヒサシブリニアバレルヨ〜」
「ヒサシブリネフーゲンキニシテタ?」
アイスがフーに聞く。
「ゲンキダッタヨ〜コンカイモガンバロウネ!」
2人はどこにあったのかも分からないちゃぶだいの周りに座ってお茶を飲み始めた。       
2人はお茶を済ませて攻撃体勢に入った。
そのいっぽう、聖奈は呆然としていた。 
2人が戦闘中にお茶を飲んでいたのに驚いたのであろう。
(ハッ戦闘中にボーっとしているなんて敵に背をむけているのと同じだ!!!)
聖奈は心の中で自分に文句を言っている。
そして聖奈は右手を上げた。
「あ!!!」
沙羅がつぶやく。
「まずいかも!!!」
未来も声を上げる。
そして聖奈の腕についていた腕輪が光りだした。
腕輪から青い光が空にのびている。     
その光は邪悪な者が放っているとは思えないほどのきれいな光の柱になっていた。
その青かった光はとたんに黒色に変わっていた。             
その柱をわたるように紫の光がわたってきた。
未来は光の出ているところを見た。
腕輪のかざりから光が出ている。  
丸い平べったいかざりがついている。
半分が白、もう半分が黒色でそれぞれ別の顔になっている。
白のほうは天使のようなカワイイ笑顔。
黒のほうは悪魔のような、何かたくらんでいそうな不気味な笑み。                                                      
(あのかざりをこわせばガーディアンを出すのを止められる…でも結界のせいで近寄れない…)
未来はなんとか聖奈に近付く方法はないかと考えている。 
その間にも紫の光は光の柱をわたって近付いてくる。                   
紫の光が近付くにつれて風の抵抗が大きくなる。
今では風使いの沙羅も身を守るので精一杯なほどにまで風の抵抗が大きくなっていた。
紫の光が未来たちの前に止まった。            
そして…ポムっとゆう音と一緒にガーディアンが出てきた。      
未来と沙羅が叫んだ。
「カワイイ〜」                                            
そのガーディアンはムム悪魔とゆう名前で、悪魔のぬいぐるみのような姿をしていてとてもかわいい。  
でも、油断してはならない。                   
いくらかわいいからって弱いとは限らないからである。         
フーやアイスは特殊なガーディアンだから心がある。
怖いなら怖いと言うし、うれしいならうれしいと言う。                         
とゆうことで、フーとアイスはこの戦いに向いていない。                                            
フーとアイスは当てにならないから、未来とサーラがフーとアイス戻して、新しいガーディアンを出す準備を始めた
呪文を唱え終わった未来が閉じていた目をカッっと開いた。
「ガーディアン、ぴょんぴょん!」
ポワン
「ゴシュジンサマ!オヨビデスカ〜?」                 
ツボの形をしたストラップから煙が出てかわいいウサギに変わる。
「聖奈のスキを作って!!!」
「セイナ…?……セイナッテアノセイナデスカ〜!!?」
ぴょんぴょんが言った。
「う…うん…」
未来が気まずそうに言う。
「ムリッポクナイデスカ〜?」
「ぴょんぴょんなら出来るよ…たぶん・・・」
未来は大丈夫だと言うがたよりない声だ。
「タブンデスカ〜…ウ〜ン…ヤッテミマスカ〜!!!」                            
ぴょんぴょんが言い終わるとぴょんぴょんの表情が変わった。                       
「ゴルァー!!!何ふざけとんじゃワレ!!!正気に戻ったらどないや!!!」
これはぴょんぴょんの声だ。              
どうやらぴょんぴょんは表情だけでなくガラまで変わってしまったようだ。
ムム悪魔もビックリしてその場に立ったまま、ピクリとも動かない。
そのスキにぴょんぴょんが攻撃する。
ムム悪魔はあっさりたおされてしまった。
「ムム悪魔がたおされたか!!!」
聖奈が言っている。                
未来はその少しのスキを見逃さなかった。    
未来の調節した弱い風が聖奈の腹に直撃した。
「うっ……」                   
聖奈が倒れるたところを未来が受け止めた。                                 
「聖奈…悲しいことがあってもそれを受け止めて頑張らなくちゃだめだって言ったのは聖奈じゃない!元に戻ってよ!昔の聖奈にもどって!!!」
未来瞳のから一筋の涙だこぼれ落ちた            
そのとき聖奈の体が青白く光り出していた。
未来がいつの間にか流れていた涙を拭いて聖奈を見ると聖奈は目を閉じてただペタンと座ってただ
光っているだけ…光がきえたとき聖奈の体から種が出てきたのだ。
そこに小さな黒い鳥が来てその種を持っていってしまった。
「聖奈!聖奈!!!」
未来は聖奈をゆする。
「う…うぅん…」
聖奈が目を覚ました。
「聖奈!!!ちょっと待ってね!今沙羅を呼んで来るから!」
未来が沙羅を呼びに行こうとしたとき。
「未…来…ありがとう…」
未来は立ち止まって聖奈のほうを見た。
「未来が…助けて…くれたんでしょう?」                
未来はただ聖奈を見て、質問にも答えずに言った。
「聖奈…まだ苦しい?」
聖奈は答えた。
「少しね…」        
未来は聖奈に背を向けると、歩き出して、沙羅を呼んで戻ってきた。     
沙羅は桃色のガーディアンをつれてきた。
「プリティーちゃん、お願いね?」
ガーディアンはプリティーちゃんとゆう名前らしい。
「マカセテクダサイデス〜」                  
プリティーちゃんはそう言うと聖奈の手に触れた。
すると聖奈の体がピンク色に光りだした。    
聖奈の傷が治っていきます。
「聖奈はもう大丈夫よ…」 
沙羅が言った。
「宿舎に戻らないと…」
「聖奈は私にまかせて宿舎に戻ったら…?」
沙羅が言った。
未来は少し考えたが…
「沙羅・・・お願いね?」
そう言って黒山さんを連れて宿舎に戻った。
6 戦いの後に
「あれ〜未来どこ行ってたの〜?探したんだから〜!!!」
宿舎に戻ったとき、やっかいなことに未来は流実に会ってしまった。                
とっさに黒山さんだけは隠した。
「流実ちゃん…あの…えっと…散歩してきたの!!!」
未来が言い訳を言った。
「ふ〜ん…」
〜その日の夜〜
汗っかき先生がこう言った。
「今日の夜は大サービス!!!自由だー!!!体育室も11時まで使っていいぞー!!!」
そう言われて1人の男子がこう言った。
「夕飯食い終わってから皆、体育室であそぼーぜ!」
するとほかの男子も…
「おっ!いいなーそれ!!!」
1人、2人、3人と「やろう、やろう」と騒ぎ出し最後の1人の男子が…
「女子も来いよな!!!」
と言ったので女子が…
「楽しそうね〜理実ちゃんいこ〜」
と田村きよが言った。 
「うん…」
「未来行こうよ〜、ね〜」
と流実も言う。
「うん」
そして夕飯が終わった。
体育室には次々と人が集まりだして…最後には5年生全員が集まった。
はじめに言い出した男子は「全員集まったか」と言うようにニコニコしている。
「やりたいことある人〜!!!」
と男子が言った。
「はいはい、は〜い!!!カラオケしたいで〜す!!!」                                      
「そういえば、ここカラオケの機械あるな〜先生にマイク借りれば歌えるぜー!!!」
{どうして体育室にカラオケの機械があんだよ}
「カラオケに賛成の人〜!!!」
ずらずらっと手があがった。
「1、2……おっ全員だぁ!」
「翔!お前足速かったよなぁ?マイク2,3本借りてきてくれ!!!」
1人の男子が言った。
「おう!」    
(たく人使いが荒いんだから)
「借りて来たぞ!!!」    
そこからは歌合戦!
皆歌っていく…中には10曲も歌っている人もいる…歌ってないのは残り12人になった。                
「そろそろいくか…」
未来がつぶやいて立ち上がって
「次私歌いま〜す」
と言った。
「何の曲にするの?」
「これなんかどう?」
「こっちでもいいんじゃない?」
「それは未来が決めることじゃないの?」
「リクエストするぐらいいいじゃん?」
「未来ならなんでも歌えそう!!!」
「リスト見せてくれる?」
未来が言うと持っていた女子が「はい」と未来にわたした。
「MEMORI…」
未来がつぶやいた。
「未来はMEMORI―歌うの?」
と流実が聞くと未来はコクンとうなずいた。
未来が歌い始めた。    
寂しそうで、つらそうで、でも優しくて…未来の歌声にどんどん引き込まれていく。
未来の想像以上にうまい歌…
(いつもの明るい未来がこんなに悲しそうに歌っている…?)
いつの間にか未来の瞳に涙がたまっていた。
(お母様…私はこの歌をうまく歌えていますか?この…お母様の歌を…)
翔はリストを見て気がついた。
(MEMORIなんて歌、リストにのってない)
MEMORIはリストにのっていない歌だったのだ。
(どうゆうことだ…?)
「未来速く起きて!男子に寝顔、見られちゃうよ!!!」 
「う…ん…て、えぇ〜!!!」
「ふぅ、やっと起きたか〜」
「あ!流実ちゃん…じゃなくて翔だったの〜!?」
未来がビックリして声を上げる。
「2人声似てるから分からなかっ…とゆうことは翔は私の寝顔見たの〜!?」
「う、うん…そんな大げさに言わなくても…」
(忘れて〜 )
「あぁ〜未来ちゃん起きちゃってる〜!」
そのとき未来のところに流実が来て…
「未来〜今日時間あいてる〜?」
「うん、あいてるよ!」
「じゃ〜今日帰ってから遊ぼ〜」
「うん!!!」
と約束して臨海学舎は終わった。
未来は家に帰ってきて持っていくものをかばんにつめる。
「ケータイと、財布と、カギ、ゲーム…OK!千男行こうか」
「おね〜たん、流実たんにいまからいくってでんわちなくていいの?」
「あっ!そっか!電話してくるから待っててね?」
未来が電話のところに行って流実の番号を押した。
「もしもし…流実ちゃん?今からそっち行くね?うん…千男もつれていっていい?…1人にするの心配で……うん…ありがとう!」
ガチャッ電話が切れた。
未来がインターホンを押すと森のくまさんの音楽が流れた。
「未来?ちょっと待ってね!」
トンットンッ ガチャッ
「行ってきま〜す!!!」
「流実ちゃんどこ行く?」
「う〜ん……まぁとにかく星村公園で考えない?」
「うん!」
〜5分後〜
「ブランコあいてる〜」
「ラッキー」
「のろ…って…あ…」
未来がいきなり大きな声を出した。
ビックリして流実が未来のほうに振り返った。
「なんだ〜…あ!」
「翔達、なにっやってるの?」
「べつに…」
翔がゲームをしながら行った。
「俺らは行くとこないからとりあえずここにきて決めようってことになったんだよな…翔?」
一信が翔にたずねたが、翔はうなずくだけだった。
「……それでどこ行くか決まったの?」
「ゲーセン…」
翔がガムをふくらましながら言う。
「一緒に行こうよ!!!」
良と一信が目をキラキラさせる。
「俺のことはいのって呼んでね〜」
未来と流実が相談して決めた結果が…
「一緒に行かしてもらうよ!」
良と一信が…
「大歓迎だよ!!!」
翔もうなずいた。
良と一信、それから未来と流実は歩き出した。
翔もゲームをやめて歩きだした。
10分後…
場所はゲーセンチェリーだった。
星村町の中でゲーセンチェリーを知らない人はいない。
毎日けっこうにぎわっている。
「流実ちゃん!」
「なに?」
「あれやろ〜」
未来が1台の機械を指差した。
「あれってプリクラノこと?」
「うん!」
良が未来と流実のほうに振り返った。
「未来ちゃんと流実ちゃんプリクラとるの?俺らも入れて〜ほら翔も!」
良と一信が走ってきた。
「ん…」
翔も歩いてくる。
「翔!はやく、はやく〜!」
「それじゃ〜いくよ〜!ハイチーズ!」
パシャッ
初めに流実がプリクラを見た。
「一信君かわいい〜」
流実が言った。
「次何する?」
「UFOキャッチャーやりたい…」
未来が言った。
「いいよ!」
ウイーン  ゴトン
「未来UFOキャッチャーうま〜い!!!ピーじゃん!!!
かわい〜私のも取って〜!!!」
「いいよ」
「俺にはあれ取って〜!!!」
「俺もあれ!!!」
「俺も…」
男子3人も未来にたのむ。
「いいよ!取ってあげる」
そう言った未来は1回も失敗せずに、残りの4人分を取り終えたのである。
良と一信は未来に取ってもらったことがうれしくてピョンピョンはねてるし、流実はピーが可愛くてニコニコしている。
でも翔だけは違った。
(1回も失敗しなかった…未来はほかの子とは何かが違う気がする)
6時になった。
皆が家に帰っていく。
翔も家に帰った。
今日は部活が早く終わったらしく夕月が帰ってきていた。
夕月は勉強机の前のイスに座って本を読んでいた。
翔が帰ってきたのにきずいて本から目をはなす。
「翔おなかへった?」
夕月がきいた。
「おう…」
翔が答えると…
「じゃあコンビニいちごで弁当買ってきてね」                                                   
(ハーまたこれだよ…姉なんだから自分で作りゃいいのに…料理上手いくせに…)                          
夕月は本当はすごく料理が上手なのだが面倒くさいからと言ってほんのたまに作るくらいしかしない。
(こっちだって考え事してたのに…)
10分後、家に帰った翔は言った。
「自分であっためて食っとけよ〜…」
すると夕月は本に夢中になっているが、「うん」と返事をする。                       
翔は買ってきた弁当を電子レンジで温めて食べた。
食べながら翔は考えた。
(未来は周りの皆と何かが違う。走っても息切れしないほどの回復力…走っているときはかすかに息を切らしていた…俺と同じぐらいの足の速さ…臨海のとき黒山さんと一緒に突然消えた…)
と考え事をしているとやっぱり今回も寝てしまった。
未来のことを考えているときだけ寝てしまう…
だれかが未来のことを考えるなと言っているかのように
翔は昨日考えたことを未来に聞こうと思った…でもやめた。
(何か事情があるのかもしれない…)
そう思ったのだ。
その後、翔は友達から元気がないとか調子、悪いのか?とか、何かあったか?と言われた。
そのたびに
「別に…何もないけど…」
と答えた。
(やっぱり聞いておくべきだったのか?)
そう思ったりもしたでもブンブンと首を振って「だめだ!決めたじゃないか!!!」
と自分に言い聞かせた。
でもやっぱり気になるものは気になるのだ。
「そうだ!星村町には神様がいるじゃん!!!神様に聞けば…」
放課後。                             
翔は学校から10分くらいのところにある星の神殿と呼ばれる洋風の城に行った。
●ここには昔人が住んでいた。
 とてもやさしいきれいな女の人だったそうだ。
 でもその人は歳をとらなかった。
 小さかった子供がおばあさんになっても、姿ひとつ変わらなかった
 それもそのはず…その女の人は神様だったのだ。                 
 女の人が住んでいた城が星の神殿と呼ばれているここだった。●
翔は神殿に入っていった。
建物の中央には大きくてきれいな鏡つきの祭壇があった。
鏡には何かで削って書いたような文字があった。
この世界の文字じゃない。
翔には見たことのない文字だがなぜか読める。
〜選ばれし者、自分自身をこの鏡に映し、赤い羽根の天使に黄色い鈴を持たせれば神が舞い降りる〜
「鈴?」
翔はポケットを探った。
出てきたのは臨海の時に肝試しで取った鈴だった。
「これをここにはめればいいのか・・・?」
翔はその鈴を天使の手にはめた。
すると天使の手が細かく揺れ、鈴がリンッリンッと鳴った。
白い羽がヒラヒラと舞った。
「あら、お客さん?」
と高い声が聞こえた。
そのとき、ピンクの服を着た白い翼を持つ女の人が現れた。
「こんにちは。人間界の神ルーシイです。」
「本当に神様?」
「そーだけど神様なんて呼ばないでよ!ルーシイって呼んでね?」
「えっと…俺、翔っていいます…あの星村未来って知ってますか?」
「知ってるわよ?だって大親友だもの?」
「え!あの…そのこのこと教えてほしいんですけど…」
「個人情報は本人の許可をもらわないということが出来ないようになってるから…」
あ…そうですか…分かりました。」
「ごめんね…何かあったらまたきて?出来る範囲なら力を貸すから」
「はい。ありがとうございます…それじゃあ…」
「さようなら…」
ルーシイは白い羽を残して消えた。
翔は鈴を天使の手からはずすと神殿の外に出た。
「かゆい…」
翔の手がなぜかとてもかゆい。
翔は手を見て気がついた。
いつの間にか翔の手にハートの半分の模様がついていた。
ピンク色のハートの半分…ちょうどハートの真ん中のところから、うずまきがのびている。
「いつついたんだろう…まぁいっか…」
そうつぶやいて翔が歩き出そうとしたとき…
「うわ!!!」
桃色の紙が翔の顔にひっついた。
書いてあったことは…↓
翔くんへ
手にハートの半分のマークが出たでしょう?
その模様は一度神を呼び出した印なの。
でも半分足りないでしょ?
完全のハートを作りたかったらもう一人の神も呼び出すね!!!
そうすればそれと同じ黒いハートの半分が出てくるから!
でも、もう一人の神はかなり変わってるわ・・・
あなたに呼び出すことが出来るかしら?
もし呼び出すことが出来たなら、何か、ごほうびをあげてもいいわ?
これであなたと私は友達だよ。
私に出来ることなら頼まれてあげるからそのときは呼んでね!
これからもヨロシク
ルーシイより
「もう一人の神?2人もいるのか…どこにいるんだろう…」
翔は時間があまったのでもう一人の神を探しに、いそうな神殿や宮殿と呼ばれるところに行った。
もう6時になった。
星の神殿から出たときから2時間はたつ。
「やっぱり…かんたんには見つからないか…」
翔はあきらめて家に帰ってきた。
(未来のことを知ろうと思ったら、また1つナゾが増えた…未来が転校してきてからまだ1ヶ月たったか、たたないか…それでこの村の神様と親友関係?ありえないだろ普通!!!)
忘れようと思ったけれど忘れることはできなかった。
「どうしろってんだよ!!!」
こんなことを考えてもどうしようもないのに……
7 見られた戦い
次の日、翔が未来と話していると未来の腕輪が急に光った。
未来はそれに反応して「ちょっとゴメン」と言って階段を下りていく。
未来が向かった先は階段の途中にある踊場だった。
物置と5年生の教室をつなぐ階段の踊り場で普段から人道りの少ない場所だ。
チャイムが鳴った。
未来はいつのまにか教室に戻ってきている。
先生がきた。
転校生を紹介します。入ってください。」
先生がそう言うとドアが開いて女の子が入ってきた。
すごく長い髪がサラサラとゆれている。
「風陣沙羅です。これからよろしくお願いします。」
「風陣さんは星村さんの幼なじみだそうです。仲良くしてあげてください。風陣さん、あそこのあいている席に座ってください」
「はい。」
「沙羅これからよろしく。」
「さっきの話本当なの?ユータムが見つかったって…」
「うんほぼ間違いないと思う…腕輪が光ったから。」
「だれ?先生?子供の分けないよね?」
未来は下を向いて黙ってしまった。
「もしかして…子供?」
沙羅が静かに言う。
未来が気まずそうにうなずいて言った。
「あそこの男の子よ…名前は山下翔。姉の夕月との二人兄弟。両親は働いていて、夕月は中学の
部活で帰るのが遅く、ほぼ家で一人。」
「へぇ〜調べたんだ〜何日かかった?」
「3日でほぼすべて調べた。言ったこと意外にもまだ調べたことはあるけど別にこの件には関係ない。」
「さすがね。でもどうするの?まだ5年生でしょ?まきこむわけには行かないし…」
「でしょ?それで沙羅に相談したんだけど…どうする?」
「私たちにはどうすることも出来ないよ。翔君がユータムであることを自覚するまで影で見守るしか。」
「そうね…自覚するまで」
翔はまだ2人の話に自分が入ってて、すごく深刻なことであることが分からなかった(はず)…
もし話題が自分だと分かっていたとしても、なぜ話題が自分なのかとゆう低レベルな考えしか
浮かばないだろう…(バカだから)
もう4時になった。
未来は沙羅と帰っている。
今日も一応流実もいるけど、ほとんど、ほって行かれている状態だ。
後ろから翔もついてきているが、流実の様子が少しおかしくなってクスクス笑っている。
それに気がついた流実が翔をキッとにらんだ。
翔が家に着いたときは4時30分ごろ。
宿題を終わらしたので翔はヒマになった。
考えて、考えて、やっと決まったのがゲームだった。
翔はピコピコゲームを始めた。
そのころ未来たちは…
「沙羅!星村公園にダークホールが開いた!!!ワープするよ!!!」
「OK!!!」
未来と沙羅がワープで星村公園に行った。 
10秒で着いた。
着いてから20分がたった。
「なかなかしぶといよ…!」
「サンダー撃つよ!!!」
未来がそう言うと未来の手に紫のボールが出た。
沙羅は未来の攻撃があたらないところによけた。
「いっけー!!!」
ドーン!!!
そのとき翔は…
「でっかい音だな、何の音だろう……星村公園のほうからだ…行ってみるか!どうせヒマだし・・・」
翔はすぐに自転車に乗って星村公園に行った。
(だれだ?あの黒マント…)
そこには未来と沙羅と…あとナゾの黒マントがいた。
でも翔には黒マントなんかどうでもよかった。
“未来達は何をしているのか”
“さっきの音はなんだったのか”
(見ていれば分かるかもしれない!!!)
翔はそう思って見ていることにした。               
「沙羅!そいつには炎が効くよ!!!」
「分かった!!!ファイヤー!!!」
沙羅がファイヤを出したとき…ボッと敵の黒いマントに火がついた。
翔が動くとガサッと音が鳴ってしまった。
未来が気づいて翔のところに近寄ってきた。
翔はこれ以上どうしようもないとゆうようにその場で固まっていた。
「翔…見てたの…?」
「うん…」
「ビックリした?」
「少し…」
翔がそう言うと今度は未来がビックリしたような顔になった。
「そんなにビックリしなかったってこと?」
「まぁね…少し感づいてたし…」
「へぇ〜この子けっこう頭いいんだ〜…」
沙羅が言った。
翔はブンブンと首を振った。
未来はだまれと言う目で沙羅を見た。
「まぁいいか…どうしたの?何かききたいことがあるなら言えば?」
翔は少し考えてから言った。
「なんで俺が見てもいいんだよ…普通ならダメだろ?」
「それは」
未来は沙羅を見た。
沙羅はそれに気がついて言った。
「いいんじゃない?教えても…本人だし、それを教えられてどうするかは本人しだいでしょ?」
未来は決心したのかこう言ったのだ…
「翔は…魔法界の伝説の“ユータム”だから…」
「えっ!?」
未来はうなずく…ただ翔を寂しそうな目で見ながら…
沙羅は未来の様子に気がついて未来にささやいたのだ…
「きっと生きているから」
沙羅は少し間をおいてもう一度口を開いた。
●未来は魔法界の姫で私(沙羅)はその幼なじみです。
ユータムとは11年間のあいだ忘れられもせず、ずっと語りつがれてきた伝説に出てくる国の名前です。
魔法界はこの日本のように多くの町や村が集まって出来た、自然が豊かな楽しく、にぎやかな国でした。
魔法界の隣にはもうひとつ国があって悪の女王聖奈の治める国がその国でした。
未来のお父様が治める国が“魔法界”聖奈が治める国が“魔界”と呼ばれるようになりました。                                         
昔は中の良かった魔法界と魔界でしたが、最近ずっと魔界は他国との交流を一切受け入れては
いませんでした…そう…魔界の国王が亡くなってから。
魔界はどんどん力をつけていき他国からの輸入もなくなりました。
魔界の住人のほとんどは子供のときから魔法を使うようになりました。
国王どうし仲が良かったので、お互いの国を攻めることは無いと魔法界の住人は安心していました。
けれど仲が良かった魔界の国王が亡くなってからは住人も不安でたまりませんでした。
そんなある日、いきなり魔界が攻めてきました。
最近ずっと魔界と交流をしていなかったので、魔界の力がどんなものか分かっていませんでしたが、
前とは比べ物にならないほどの力だったことはすぐに分かりました。
魔法界の王様と女王様は自分がんでしまったときの国を守る者が必要だと考えました、それが未来。
未来は5歳のときに人間界に逃がされたのです。
未来を逃がした直ぐ後のことです。
魔法界が魔界に負けてしまう寸前でした…男の子と女の子が現れました。
10歳くらいの男の子と女の子です。
男の子がリュー女の子がリラと名乗りました。
男の子が剣を抜き、女の子が呪文を唱えます。男の子が走り出しました。
女の子が男の子にむかって電気の魔法を出しました。
男の子が横に剣を出すと電気の魔法が男の子が出した剣にあたりました。
男の子の剣が光だし、剣の刃に電気が通っています。
男の子が敵の親玉に向かっていって戦っています。
キンキンと剣がぶつかりあっている音が聞こえてきます。
数分後、男の子が戻ってきたのです。
敵の親玉は20歳前後の年上…なのに無傷で帰ってきました。
魔法界は戦いに勝ち、また町に平和が戻りました。
勝利に導いてくれたリューとリラを招き、せいだいなパーティーが行われました。
リューとリラはユータムから来たのだと言っていたそうです。
その夜、リューとリラは近くの宿に泊まりました…けれど朝になって2人の泊まった部屋には誰
1人いませんでした。
変わりに宿の代金と置手紙だけがあったのです。↓
魔法界の皆さんへ
いきなり手紙だけで申し訳ないと思っていますが、国の命令ですから帰らせていただきます。
王様、女王様、お忘れじゃないと思います…あの契約を…
僕達は相手国が敵に攻められたときは、兵士を送り手助けをするとゆう契約を果たしに来た兵士です。
魔法界は僕達が想像するよりも自然が豊かで、にぎやかで、楽しくて…そんなこの国が一目見ただけで好きになりました。
また機会があれば来ようと思っています。
ユータムもこんな国になれたら…そう思いました。
ただ1つ残念だったのが、魔法界のお姫様を1回も見られなかったことでしょうか。
きっと王様と女王様が人間界にお逃がしになったのでしょう?
僕たちはこの国に来ることが出来たことを誇りに思っています。
人の命を…ひとつの国を守れたことで少し自信が出ました。
また出会うことがありましたらよろしくお願いします。
リュー・リラより
「未来は5歳から両親と一緒に暮らせなかった、あのとき魔界が攻
てこなければ一緒に暮らせた
かもしれないのに…」
沙羅が悔しそうな怒ったような顔になった。
「いいの…もう過ぎたことだから…気にしないで?」
未来は沙羅に言った。
「翔?あなたがそのリューとリラの血を継いでいるのよ?」
沙羅が気を取り直して言った。
「なんで分かるんだよ…」
「未来の腕輪が光ったのが証拠よ?」
沙羅が答える。
「でも安心して!巻き込むつもりはないから・・・何かあったら守るから…」
未来が言うと沙羅が翔に石の腕輪を渡して帰っていった。
8 新たな仲間
翔はさっきのことが気になってしまって、帰った後に未来の家に行った。
ピンポーン、翔がインターホンを押すとガチャっとドアが開いて未来が出てきた。
未来は少しビックリしているようだった。
「どうしたの?」
「さっきのことで…」
未来は何も答えてはくれない。
「俺に何かできるなら…させてくれないか?」
未来はまたビックリした顔になったけど困ったように斜め下を向いてしまった。
「俺も仲間にしてくれ!!!」
未来は決心したように前を向いた。
「いいわ…」
「イェ〜イ!!!」
「良かったわね…これからはよろしく。私のことは沙羅でいいから。」
後ろから見ていた沙羅が言った。
「これからヨロシクな!!!」
そして仲間になった翔なのですが…?                     
「なぁ、なぁ、なぁ!!!なにかすることないの!!!」
翔が30分前からギャーギャーうるさい。
「何もしなくていいわよ…」
未来が本を読みながら答えた。
「何かさせてよ〜 」
「今することないんだからしょーがないでしょ!!!」
ギャーギャーギャ!!!
未来と翔が言いあいをしているのを見ていた沙羅はあきれてこう思った。
(あの2人仲がいいのか悪いのかわかんない…)
沙羅は無理やり笑顔を作って言った。
「そんなことよりケーキ食べない?買ってきたんだけど…」
「食べるー!!!」
未来と翔が一緒に言った。
未来がケーキにぱくついた。
「おいし〜」
次に翔がケーキを口の中にケーキをほりこんだ。
「うめ〜」
2人はお互いの顔を見て笑った。
「翔ったら口の周りにクリームついてるよ〜!!!」
「未来だってー!!!」
(本当に仲いいのか悪いのかわかんない…)
ピピピッピピピッ
いきなり未来の腕輪が音をならして反応した。
「ダークホールが開いた…」
「場所は…花村第1小学校(翔達が通っている小学校)〜!?」
「しょうがないよ…行こう!」
「ここからワープするから翔つかまって!!!」
「うん!」
シュッ花村第1小学校についた。
「まだマリオネット(操り人形)は来てないのかな…」
「ううん、いるよ…」
「えっ翔は居場所が分かるの!?」
未来がきくと翔はうなずいた。
「体育館のうらだ!」
「分かった!行こう!」
「俺も行く!!!」
「うん!」
(マリオネットのいる場所を特定することが出来る…これがユータムの力…?)
沙羅は考えながら走っていた。
体育館のうらには確かにマリオネットがいた。
「あれ?この前とは色が違う…」
「うん、マリオネットはマントの色でランク分けされているのよ」
沙羅が言った。
(ユータムの力は確か何個もあったはず…)
沙羅はユータムの力が気になるようだ。
「翔は攻撃があたらないところにいて!」
「えっ俺も戦いた…」
「だーめ!!!」
未来と沙羅が言った。
「翔はまだ戦ったことないんだから見て戦い方を覚えてね?」
未来が言った。
「未来話してるヒマはないみたいよ…」
「うん、あいつは最高クラスだからね…」
マリオネットはもう呪文を唱え始めている。
「シーク!!!」
未来が簡単な魔方陣の魔法を使った。            
使ったのは水の魔法。
マリオネットはその攻撃を吸い取ってしまった。
「そんな…攻撃が…」
「吸い取られた…!?」
未来にも沙羅にもこんなことは初めてだった。
そしてマリオネットは未来をかごに入れて連れ去ろうとした。
マリオネットが帰ろうとして翔達に背中を向けたときスキが出来た。
沙羅が攻撃しようとするが、気付かれて吸い取られるのが分かっていたからやめた。
(俺がもっと強ければ…戦えれば!強くなりたい!もっと…もっと強く…強くなるんだ!!!)
翔がそう思ったとき…翔の体が光りだした。
敵が目をくらまし未来が捕まっていたかごの魔法が破れたのです。
「これもユータムの力…?」
沙羅がつぶやいた。
(未来でさえ何も出来なかった相手を1回も戦ったことのない翔が倒したってゆうの…?)
「大丈夫か?」
翔が言った。
「うん!助けてくれてありがとう」
「あたりまえだろ?仲間なんだから。」
と翔がニコっと笑った。
(仲間か…新しい仲間…)
未来はなぜかうれしくなった。
「ゴメンね…助けてあげられなくて…」
「いいよー暗くなんないでー…ところであれは?」
未来がキョロキョロしながら言った。
「さがそ!」
「あれってなに?」
「あった!これよ!てきを倒すと動かしていた魂が人形になって出てくるの。この魂は人から奪ったものだから奪われた人に返すのよ?」
未来が答えた。
「魂が戻るまで奪われた人はどうなってんの?」
「病気ってことになってるはずよ?」
「ねぇ…これ魔法界に帰るための鏡だ…」
沙羅が言った
「……翔、ゴメン…少しだけ行ってくる…」
「分かった…」
そして未来と沙羅は魔法界へ旅立って行った。

2008年01月09日 (水) 20時32分



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