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[220]イノセント
kojoro
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桜を見たいと思った。 また、貴女とみた、あの桜並木を・・・
薄紅に染まる景色。雪のように舞い散る花びら。 川沿いに立ち並ぶ桜並木で、春風に髪を押さえながら、木漏れ日のもとをゆっくり進んでいく貴女の後ろ姿を、僕は少し離れた位置から後を追う。 駆け寄れば、すぐ抱きしめられる距離に貴女はいた。でも、その距離があまりにも遠くに感じた。それは、僕らの年の差だったり、立場だったり。そして、貴女の心だったり・・・ 不安になって貴女の名を呼んだ。 振り向きざまにみせた、貴女の横顔があまりにも寂しげで、僕を見つめる瞳は、いつも悲しい色をしていた。 貴女が何か言いかけて、口を開きかけたとき、とても強い風が僕らの間を通り抜けた。吹き抜ける風に、貴女の言葉はさらわれて、僕に届かず。舞い散る花びらに、貴女の姿がかき消されていく・・・
[2005年08月07日 (日) 21時02分]
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