投稿者:宮田 学
岩永勝君(国際農林水産業研究センター[JIRCAS]理事長、2006年「日本農学賞・読売農学賞」受賞)の新著(監訳)をご紹介します。
1970年にノーベル平和賞を受賞したノーマン・ボーローグをはじめとする農学者たちの努力により、世界では十分な食糧生産ができるようになりました。 しかし、現実には、世界各地で(特に、アフリカ諸国で)多くの人が飢え死んで行っています。 本書は、ロジャー・サロー、スコット・キルマンの2著者が、「ウォールストリート・ジャーナル」紙で、その現実を知らせ、かつ、先進国のエゴが原因であると論証した力作です。
岩永君がこの本を監訳した動機は、「監修者あとがき」の中の次の言葉から、推察できるでしょう。
「日本社会もこの飢餓問題と無縁ではない。日本では毎年1200トン以上の食糧が無駄にされている。・・・もし、この無駄にしているものをアフリカへ運ぶことができれば、現在東アフリカで飢餓に直面している全ての1200万の人々に、必要な食糧を十分に提供できる。食糧自給率が40%しかない日本は大量の食糧を輸入し、そしてその大切な食糧をゴミ箱に捨てている。経済的に豊かな日本が食糧を大量輸入することによって、食糧の国際価格は高くなり、最貧国の人々には手の届かない価格にしてしまっている。」
「東日本大震災によって、我々は『当たり前の生活』の大切さを身に染みて感じた。その『当たり前の生活』には食べ物が重要な役割を果たしている。家族そろって夕食の卓を囲み、『頂きます』といって会話が始まる。これが『当たり前の生活』の原風景である。世界の6人にひとりの割合で、その『当たり前』の食事ができず、空腹のまま床に就かなければならない人がいるこの悲惨な世界を、1日でも早く終わらせなければならない。我々の世代に課せられた課題である。」
(2011年10月悠書館発行、四六版本文421頁、本体価格3200円)
「東京佐世保会」の掲示板では紹介していたのですが、つい、こちらのほうで紹介するのを忘れていました。m(__)m
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