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投稿日:2004年07月26日 (月) 02時48分
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昨年度の伊東市防災講演会において「市民が主役の防災まちづくリ」
の演題で講演された 富士常葉大学 重川 希志依先生は、月刊雑誌・
近代消防に連載中の「災害教育と災害に強い人づくり」のなかで、
大災害を自分たちが日頃体験することのできない異文化として捉え、
「 災害とはどういう文化なのか、被災地では何がおきるのか、
災害現場に居合わせた人たちが何を見、何を聞き、
何を考えて、何を決めていったのか」 について、被災者自身の言葉を聞き、その人たちにとってその災害がど
う映ったのかということを系統的に整理し、災害文化を再構築するため
に、災害エコノグラフィ(災害民族誌)の必要性を提唱されています。
災害エスノグラフィは、災害現場に居合わせなかった人々が、それを
追体験、共有化できるようなかたちに被災者個々の体験を組み立て、
将来に向かって何が残すべき教訓なのか、
他の災害にも普遍化できる知恵や事実は何であるのかを
具体的かつ網羅的に記録していくことで、
自分達が知り得なかった異文化を体系的に伝えられるように
翻訳することを、その目的としています。
重川先生は、これまでに阪神・淡路大震災やニューヨークのテロ事件に
関する災害エスノグラフィを作成した経験から、
「 災害は所詮他人事だ! という傍観者の視点を捨て、
わが事として捉えること」
このことこそが、3つの能力を兼ね備えた人材の育成の出発点だと考え
ると、提言されています。
これは大変に重みのある言葉です。
「天は自ら助くる者を助く」であり、災害に遭遇したときは自らの実力
行使で生き残りを企てるとの強い意志を持ち、トレーニングを積み重ね
ていく。
これが、災害の危機から脱出するための鉄則です。
DRV伊東の活動の原点は、すべてこれに帰すると考えています。
伊東市は狩野川台風による被災以後、幸いにしてこれまでに甚大な
被災体験もなく「喉元すぎれば」とのたとえ話が、現実のものとなって
います。
このまま災害の危機に遭遇しなければ、無上の幸運ということになり
ますが、「どうなるかは天のみぞ知る」であります。
「備え有れば憂い無し」こそ危機管理のモットーです。
( つづく )
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