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Dream On!

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ダレモイナイ コウシンスルナラ イマノウチ(ペ∀゚)ヘ
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[124]はじめに: 武蔵小金井 2002年09月19日 (木) 22時52分 Mail



 この短編はKIDさんより発売された恋愛アドベンチャーゲーム「Ever17~the out of infinity~」における、全てのシナリオのクリア設定がベースになっています。

 ようするに、ゲームの完全なるネタバレ文だということです(汗)。


 そのため、どうかゲームを最後までプレイなされていない方はお読みにならず、素晴らしきゲーム本編をプレイなされることをおすすめします。
 いえホント真面目な話、こんなモノでネタバレするのはもってのほかというか、心底そう思ったりするので(汗々)。

 とりあえず、おことわりまでに。
 
 
 
 
 


[125]短編『Everlasting Promise(前編)』≫Ever17: 武蔵小金井 2002年09月19日 (木) 23時00分 Mail

 
 
 針葉樹林が覆い尽くした、広大な緑の大地。
 起伏の大きな山々と谷。文明地を遥か、そこに人の住む気配は微塵も感じられない。
 そんな風景の一ヶ所で、ふと、何かが動いた。
 野性動物だろうか。二頭の……つがいのようにも見えるそれが、静かに、ゆっくりと山肌を降りていく。
 まさに野性の獣のように、音もなく。
 二頭の獣は、何かを狙っているようだった。生命の摂理にしたがって、糧を求めているのだろうか。
 人の背丈ほどもある二頭の獣は、器用に崖を降りて……そして、その動きが止まった。
 何かを待っている。いや、待ち伏せしているようだ。
 何を待っているのか。小鹿か、それとも野兎だろうか。
 そして……獣の見下ろす先に、それが現われた。
 大地を踏みしめる足。自然のものでは決してない、身に付けた装備。手にした武器。
 それは、人間だった。迷彩の施された機能的な衣服を身に付け、ライフルを手にした男。
 それを認めて、獣の頭部がわずかに揺れた。
 まさか、襲おうというのか。これを待っていたのか。
 と、先の一頭が飛びかかろうとする姿勢になり……それを、もう一頭が制した。
 いや、制止したのではないのかもしれない。だが、そう見間違えてもおかしくない、知性ある動きだった。
 獲物ではないのだろうか。
 頭上の岩肌に取りつく二頭の獣に気付くことなく、通り過ぎようとする人間。
 その時……
 獣の一頭、後背のそれが、姿勢をほんの少し崩した。
 足下の岩肌に、小石が転がる。小さな……しかし、確実な音が、静かな森林に流れた。
 人間が振り向いた。その目は見えない。黒光りするゴーグルだけが、不気味に輝いた。
 そして、瞬間。
 獣が飛んでいた。
 人間……男の、驚きの声。構えようとするライフルよりも遥かに速く、その身に伸しかかる獣。その動きは、尋常ではなかった。
 いや、異常だった。
 男の腕を、胴を押さえつけ、組み伏せようとする。のどぶえに牙を突き立てるでも、胸元に爪を繰り出すでもないそれは、まさに異様としか形容できない動きだった。
 男が声にならない何かを叫ぶ。そして、ままならぬ動きの中で、ベルトから……そこに備えつけられていた、ナイフを引き抜こうとした。
 獣が男の顔面を殴った。爪で裂いたのではない、殴ったのだ。
 だが、必死の男もさるものだった。片方の……押さえられた腕を渾身の力で自由にし、そして、手にしたナイフを振りあげる。
 鮮血が散った。
 伸しかかる獣の……頭部への一撃。それを防ぐようにして獣が上げた片腕を、鋭利なナイフの刃が捉えていた。
 深い手ごたえにだろうか、男が歓喜のような叫びをあげる。どこか獣じみた声がそれに続き、そして……男の頭上の獣が、変化した。
 いや、その頭部から肩口が……ぐにゃりと、溶けるようにしてめくり上がったのだ。
 漆黒が舞った。きらめく、鋼の光と共に。
 ゴーグルに隠れた男の瞳は、きっと見開かれていただろう。驚愕と、そして戸惑いで。
 頭上の獣は、獣ではなかった。
 漆黒の髪を舞い散らせた、美女。どこまでも黒い……黒曜石のような瞳が、男を見下ろす。
 この世にもっとも冷たいものがあるとすれば、それは彼女の瞳だったかもしれない。
 絶対零度……科学的な専門用語で比喩したとしても形容できぬ、冷たさに満ちた眼。相手を見下し、侮蔑し、卑下し、憎悪し……ありとあらゆる負の感情が満ちた、冷たい瞳が、男を見下ろしていた。
 その手に握られた、黒光りする小型の銃と共に。
 獣でなく、人間。だがその瞳は、獣よりも恐ろしい。
 男が何か、かすれたような声を発した。
 目の前に迫る、確実な死の銃口。引き金をしぼる漆黒の美女……死神のごとき冷酷な笑みを見上げて、男は放心していた。手にしたナイフを再度繰り出そうとする意志の力も、何もなかった。
 そして。
「やめろ、つぐみ!」
 にぶい銃声と同時だった。緑の森林に、鋭い声が飛ぶ。
 静寂、そして。
 男の脳天に穴を穿つはずの銃弾は、わずかにそれて……その耳に傷をつけていた。
 外れた弾丸。それに男が気付く前に、首筋に別の何かが押し当てられる。
 握られた、皮下浸透型の注射器。駆け寄って来た、もう一頭の獣……そうであったものの手に、それが握られていた。
 強力な薬なのか、瞬く間に効果が現われる。男は苦しそうに喉を押さえ、何度か大きく痙攣すると……放心したように動かなくなった。
 それを確認して、ホッと息をついて屈めた姿勢を戻す……獣だった、もの。
 男だった。まだ若い……二十歳そこそこだろうか、栗色の髪の青年。
 獣だった下半身が、まるで……そう、映像のようにぼやけ、厚手のコートのような布になる。
 それを脱ぎ、全身をさらした彼の前で、黒髪の美女が立ち上がった。
 いまだ変わらぬ冷ややかな視線が、倒れた男から青年へと移る。
 周囲を見回していた青年は、その視線に気付き、わずかに狼狽したようだった。
 そんな彼に、美女が口を開く。
「どういうつもりなの、武。」
 武……そう呼ばれた青年が、眉を吊り上げて言い返した。
「そりゃこっちの台詞だろ。いきなり殺そうとすることはないだろーが。俺たちは……」
「命は大切とでも言いたいの?甘いわね、武。こんな奴らに、命の価値なんて理屈が通ると思う?殺さなければ殺されるのよ。」
 自分の腕……たった今、ナイフで裂かれた部分を見せる美女。深手のはずだが、その動きにも表情にも、苦痛のそれは見当たらない。
「だからって、出会い頭に殺そうとすることはないだろ!俺たちゃ軍隊か?この先にいる奴、一人残らず皆殺しにしながら進むのか?」
「そんなこと言ってない。だけど、必要なら私はためらわない。武みたいに甘い考えじゃ、絶対に生き残れないわ。これは、殺るか殺られるか……奴らとの、命をかけた戦いなのよ。」
「ああ、もうこいつは……いいかげんに目を覚ませよ!俺たちは復讐でこんなことをしてるわけじゃないだろ?何のためか、思い出せよ!」
「わかってるわ、そんなこと。だからこそ、目的のためには他のことに構ってなんかいられない。それは武、あなたにも言えることよ。」
「なに?」
 眉をひそめた青年に、美女はさらに言い放った。
「邪魔しないで。私を巻き込まないで。あなたが勝手に殺されるなら、それでいい。でも、私を巻きぞえにしないで。私の邪魔をするなら、帰って。武みたいな考えでいられると、迷惑よ。」
「つぐみ……本気で言ってるのか?」
「本気よ。任務は私一人でやるわ。武は一人で戻って。じゃ。」
「お、おい!待てよ、つぐみ!」
 漆黒の髪を一振り、美女が駆け出す。青年はあわててその後を追いかけた。


 二人は無言で進み続けた。森を潜り、川を越え、そして小さな谷にたどりつく。周囲を崖に囲まれた、空からでも見つけられないような、山合いの小さな盆地だった。
 そこに、建物があった。緑や茶色のシートで擬装され、この距離ですらはっきりとそれと気付かせないような、巧妙なカモフラージュ。
 黒髪の美女、そして青年が、木陰からそれを見下ろした。
 取り出したスコープのついた調査装置で、建物の子細を確認する。
 手首の時計で時間を確認。夜は間もなくだった。
 二人は身にまとっていた衣を隠し、別の装束に着替えた。ボディにフィットした、黒と青のスーツ。体に回されたベルトにつけられた、様々な小型の特殊機器。そして、銃。
「つぐみ、準備はいいか?」
 先程の口喧嘩を忘れたかのような、真剣な青年の表情。美女もまた、黙ってうなずいた。
 互いの装備を確認し、再び建物を見張る。そうしながら、青年がつぶやくように言った。
「さっきの怪我……大丈夫か?」
「皮肉のつもり?こんな傷……何ともないわ。」
 青年は苦笑し、美女は無言でその横顔を睨んだ。
 そして、山間に闇が降りる。
「行くぜ、つぐみ。」
 無言の同意。視線を重ねて、二人はうなずきあった。何か、決して断ち切れることのない、絆のような輝きを放つ一瞬。
 夕闇の森林。
 建物に向かって、二人は身を躍らせた。


 21世紀。かつて、夢の未来と呼ばれた時代。
 人類はまだ、恒久的な平和を掴んではいなかった。
 いや、そもそもそんなものが、この世にあるのだろうか。
 願っては裏切られ、望んでは絶望し、決して掴めないそれ。
 国家間の争い。経済、宗教、政治……ありとあらゆる問題が争いの火種となる時代は、まだ続いている。
 やはり、人は……戦っていた。



     Everlasting Promise



 かつて、楽園と呼ばれた地を遥か。
 海中を旅してきた一隻の潜水艇が、その施設に到着した。
 開かれたハッチから、二人の男女が降り立つ。
「お帰りなさい、倉成さん。小町さん。」
 二人を待っていたのは、海藻のようになめらかな髪を伸ばした、美しい女性だった。
 いつものように、白を基調とした大胆なドレスを身に付けている。
 窮屈そうに特殊スーツの襟元を広げていた青年……倉成武は、にこやかに笑った。
「ただいま、空。とはいえ……くーっ、ハナからちょっときつかったぜ。危うく死にそうになるしな。」
「大変だったようですね。モニターしていて……とてもハラハラしました。お怪我はありませんか?」
「あ、そりゃ大丈夫。それより空。まったくもって、いつも奇麗だな。」
 女性……茜ヶ崎空の頬が、真紅に染まった。
「あ、ありがとうございます……擬体の調整も終わったばかりで、とても快適です。」
 ニッコリと笑う空の声に重なるようにして、鈍い音が二人の背後から響いた。
 二人が見ると、潜水艇から重い装備を下ろした女性……小町つぐみが、それを投げ捨てるようにして放っている。
 一瞬、三人の視線が重なった。
「そ、それでは倉成さん。小町さん共々、博士の所に報告をお願いします。」
 無言のまま、つぐみが発着ベイを出ていく。武もまた、肩をすくめるとうなずいてそれに続いた。
 残された空は、扉の向こうに消える二人の背を見つめて……それが閉まると共に、静かに目を伏せた。


 合金製の廊下。ライトの照らすそこに、足音が響いていた。
 静かな、だがハッキリとした足音に、テンポのずれたようなそれが続く。
「なに怒ってるんだよ、つぐみ?」
「別に、怒ってなんかいない。」
「じゃあ、どうしてそんなにカリカリしてんだ?さっきだって、空に挨拶もしないでさ。」
 少し遅れて歩く武の言葉に、つぐみの目尻がかすかに狭まった。
「空は関係ない。武が鈍いだけ。」
「俺?俺がどうかしたか?俺は別に……」
「鈍感。ううん……わざとやってるなら、それこそ許せない。」
「だから、何だよそれは?お前、さっきから……いや、そもそも今回の任務の最初から変だぞ?俺はな……」
「私はまともよ。おかしいのは、武の方。」
「なっ。こ、この……!」
 歩みを止めて、睨み合う二人。
 と、回廊の曲がり角から、現われる人影。
 黒髪を左右の白いリボンで止めた、まだハイティーンの少女だった。
 二人を見つけ、その顔が嬉しそうに輝く。
「おかえりっ!パパ、ママ!」
 飛び込んできた少女……松永沙羅は、二人をそろって抱き締めるように両手を広げた。
 その嬉しそうな顔に、武の表情も緩む。
「おう、沙羅か。ただいま。」
「みんな心配してたんだよ。でもよかった、無事で……」
「あぁ、沙羅のおかげだ。ウィルスもバッチリだったし。警備システムの乗っ取りも、即興でやってくれたしな。」
 額を小突く武の手。くすぐったそうに身をよじって、沙羅は笑った。
「あの時は、空に呼び出されてビックリしたんだから。でも、間に合ってよかったよ。予備のコンピュータがあるなんて、思わなかったから。」
「まったくだ。ホント、沙羅は命の恩人だ。な、つぐみ?」
 今まで黙って二人の会話を聞いていたつぐみは、突然の問いに目をまたたかせた。
「えっ……あ、うん……そうね。」
「えへっ、そんなことないよ。でも、よかった。お兄ちゃんと二人で祈ってたんだ。パパやママが、どうか怪我しないようにって。」
 純朴な顔を覗かせた沙羅に、つぐみがほんの少しだけ口元をほころばせた。だが、すぐ真顔に戻る。
「武、報告に行かないと。」
「あぁ、沙羅、ありがとな。話はあとでゆっくりとするから。今は、こわーい女先生にお話をな。」
 寂しそうな顔になりかけた沙羅だが、すぐに納得したのか、うなずいて笑った。
「あ……うん。それじゃ私、お兄ちゃんといっしょに待ってるね。」
 手を振って去っていく沙羅。それを見送って、二人はお互いの顔を窺い……
 そしてまた、歩き出した。


 縦横にパイプやケーブルが行き交う、無機質そのものの廊下が続く。
 天井も床も装飾はほとんどなく、言うなれば機能的にのみ作られた冷たい世界。
 そんな回廊を進んでいった二人が、やがて終着点にたどりついた。
 大きめの扉だった。ドイツ語で記されたドアプレートがかけられている。咳払いした武が、ドアの開閉装置に触れようとした途端……不意にそれが開き、一人の少女が飛び出して来た。
「うわっ!」
「キャッ!」
 危うく衝突しそうになった少女と武。たが、寸前でそれは回避された。バランスを崩した二人が、互いの正体を認め合い……
「あっ……」
「なんだ、優か。アブねぇな、気を付けろよ……ってお前、血相変えてどうしたんだ?」
 潤んだ瞳に、赤い頬。噛んだ唇は結ばれ、肩が小刻みに震えている。何かの感情が吹き出した直後であるということは明白だった。
 優……田中優美清『秋』香菜は、武とつぐみを見て、ばつが悪そうに顔を背けた。
「なんでもない。悪かったわね……それじゃ。」
「お、おい、優。待てよ。」
 行こうとする優。その二の腕を掴んで、武は引き止めた。
 優が、キッと武を睨み返す。
「何よ!あの人に……お母さんに用があるんでしょ。さっさと行けばいいじゃない。」
「そりゃそうだが、どうしてそんな顔してるんだ?先生と何かあったのか?」
 優の瞳が震えた。口元が結ばれ……大きな瞳が、何かを耐えるようにギュッと閉じる。
「ううん……何もないよ。だから、手を離して。私、これからラボに行かなきゃならないから。」
 きっぱりと、断固とした調子の物言いに、さすがの武も手を引いた。
「悪かったな……でも、何かあったら言ってくれよ。俺たちは仲間だし……」
「仲間……?」
 優が武を見つめた。厳しい、翡翠のような瞳。
「勝手なこと言わないで。倉成……さん。あなたの知ってる優は、私じゃないでしょ。私と同じ顔した、あの人……お母さんのことじゃない!私は、あなたなんて知らない……だから、勝手に仲間みたいな顔しないで!」
 叩きつけるように言うと、走り去る優。
「な、何だってんだよ……あいつ……」
 唖然とそれを見送った武の横で……腕を組んだつぐみが、冷ややかに彼を見つめた。
「鈍感……」


「御苦労さまでした。」
 輝く室内で、二人は彼女と対面していた。
 立体表示装置を内蔵したシステムデスク。その向こうに腰掛けた人物。
 肩までの短髪。二十歳そこそこの美顔でありながら、その表情に掘り込まれた陰影は深く、濃い。
 この施設の責任者であり、武を含めた皆のリーダーである、もう一人の優……田中優美清『春』香菜博士。
 毅然とした態度で二人に言葉をかけた優は、パネルを操作していくつかのデータを表示させた。
「ミッション遂行の概要は空から聞きました。具体的にはどうでしたか?」
「それなんだけどな……ん?」
 口を開きかけた武を制して、つぐみが進み出る。
「潜入は成功。目標到達後、ターゲットの被験者四名を確保。研究所の電子システムはデータ奪取後、ウィルスによって破壊。データバンクも同様です。」
 つぐみが小さなディスクを差し出す。それを受け取って、優はうなずいた。
「被験者は全て、待機していたネットワークの保護員に引き渡しました。その後、帰還。追尾された形跡はありません。口頭報告は以上です。」
 半歩下がるつぐみに、優はうなずいた。
「見事でした。後日詳細な報告書を提出して下さい。ご苦労さま。」
「失礼します。」
 抑揚のない口調で、身を翻して歩み去るつぐみ。慌てて呼び止める武の声に振り向きもせず……ドアの向こうに退室していく。
「……お、おい!つぐみ……!」
「倉成くん、報告は終わったわ。あなたも行っていいわよ。」
「ち、ちょっと待ってくれ。何もそんな事務的に……つぐみは置いといても、そうだ!優……あんたの娘のことだ。何かあったのか?」
 優……『春』香菜は、表情も変えずに答えた。
「別に何も。あなたが気にするようなことではないわ。」
「気にせずにいられるか!俺たちは仲間だろ?しかも今は、一つ間違えば命の危険をはらんだ状況にいるんだ。目的のために協力しあう仲間同士、お互いのことを気にしないでいられるかよ!」
 沈黙。そして、小さな吐息。
 そして……優は初めて笑った。
「あの子は、私に実動メンバーへの編入を希望して来たの。」
「えっ……?」
「もちろん却下したわ。あの子はキュレイじゃない。ただでさえ危険で過酷な任務につけるわけにはいかない。そう言ってね。」
 武は無言でうなずいた。自分の腕を見る。
 そこに、小さな傷跡があった。今回の任務遂行中に受けた傷だった。だが、もうほとんど消えかけている。
「でも、あの子はどうしても納得しなかった。あげくには、自分でキュレイになりたいとまで言ったわ。私はそれを叱咤して……あの子の頬をはたいた。それだけのことよ。」
「そうか……悪かったな。でも、優の奴が……」
 武は黙った。複雑な表情の彼の前で、優『春』がつぶやくように言う。
「あの子は、自分自身が歯がゆいのよ。」
「歯がゆい?」
「えぇ。キュレイでないから、私たちのように前線には立てない。沙羅さんや空のように、バックアップ要員として特筆すべき能力を持っているわけでもない。だから、自分を役立たずと思って……」
「そんなバカなことがあるか!優は……あんたの娘は俺たちの大切な仲間だぜ?キュレイであるか、能力がどうだとか関係あるか!そんなこと、負い目に感じる必要なんてない!」
 じっと武の瞳を見つめて、優はうなずいた。
「ありがとう、倉成くん。本当はあの子も、それはわかっていると思う。」
「そうだぜ。ココみたいな奴もいるし、何を気にすることがあるんだよ。」
 優は微笑した。彼女としてはめずらしい、自然な笑みだった。
「あの子には才能があるの……同じ遺伝子を持つ者として、私には確信があるわ。でも、それは同時にあの子の負い目でもある。あの事件を計画して、引き起こしたのはまぎれもない私……その娘だという、負い目が。」
「それも納得したことだろう?ああしなきゃならなかったんだし、だからこそ俺もココもこうして生きてる。それは感謝してるし、だからこそ……」
「そう、私たちは目的に向かって努力している。二度と繰り返させてはならないし、だからこそ、こうしなければならない。それが、私たちの選んだ道……」
 永劫の決意。瞳に宿った、炎のようなそれを覗かせて、優は立ち上がった。
「ありがとう、倉成くん。お疲れさま。今日はゆっくり休んで。」
「わかった。じゃあな……」
 ドアの前で、武は立ち止まって振り向いた。
「優、あいつは強い奴だぜ。大丈夫だ……ホクトもいるしな。」
 また、かすかに笑う優『春』。
「そうね。親同士としては、子供の動向を暖かく見守っていればいいのかしら。」
「そうだ。信じてやろうぜ、あいつらをな。」
「ありがとう。倉成くん。」
「くん、はよしてくれよ。倉成でいい。」
「そうもいかないわ。でも……ありがとう、倉成。」
 ドアが閉まる。
 それと共に消えた、なつかしい響きの韻を含んで……優はそのままたたずんだ。
 ふと、デスクの小さな引き出しを開く。古いサインペンが、そこにしまわれていた。
 じっと、それを見つめる優。
 しばらくの後……部屋の奥にある別のドアが開き、予定通りに青年が入ってくるまで、彼女はそうしていた。
 そして、入って来た者の顔も見ずに、また微笑する。
「桑古木……彼は、変わらないわね。」
「えぇ……そうですね。あの時のままの武……俺がなりきろうとして、それでもできなかった、本当の『武』……」
 扉から出て来た青年……桑古木涼権もまた、かすかな笑みを浮かべていた。
「目の前に何があってもあきらめない……仲間か。」
「仲間ですよ、俺たちは。」
 肩に乗せられる手。それにうなずいて、優は立ち上がった。
「ありがとう、桑古木……あなたがいてくれたから、ここまで来れたと思う。本当に、ありがとう……」
「水くさいですよ、博士。俺はいつまでも博士と共にいます。だから……」
「ありがとう。あなたの想いもきっと、いつか届くと思うわ。」
 涼権の瞳が、わずかに揺れた。そして、無言でうなずく。
「未来は一つじゃない……ですからね。」
「そうね。その通りよ……」
 優は瞳を閉じた。
 それが開いた時、もうそこには感情的な色はなかった。
「さあ……仕事よ。私たちを待っている人たちのため、あの子たちのため……」
「はい。」
 終わりはないかもしれない。それは考えるだに果てしなく、そしてきりがない道のりに思えた。
 だが、二人は不屈だった。
 信じれば、やり遂げることが可能なことを……誰よりも知っている二人だから。


 低い音と共にドアがスライドし、そこから武が顔を出す。
 生活感あふれる……どこか雑然とした部屋。そこにいた少年が、武の顔を見て飛び上がった。
「あ、お父さん!おかえり!」
「よ、ホクト。」
 走り寄ってくる少年……ホクトをぐいっと押しのけて、武は室内を窺った。
「どうしたの?父さん……」
「いや、実はな……ホクト、つぐみを見なかったか?」
 小声になった武に、ホクトは目をまたたかせた。
「母さん?うん、さっき一度戻って来たけど……着替えたら、そのまま出てっちゃった。」
「そうか……もしかして、怒ってたか?」
 神妙な顔で、ホクトはうなずいた。
「う……うん。あの様子は、かなり……怒ってたんじゃないかな。」
「そうか……参ったな。あいつ……」
「お父さん、お母さんとケンカしたの?」
 心配そうなホクトの目。武は苦笑いすると、その頭部に腕を回した。ギリギリと締め上げる。
「わ……い、痛い!痛いよ、父さん……!」
「黙れ、不肖の息子。それより、沙羅はどうした?確か、お前と部屋にいるって話だったが……」
「沙羅?沙羅は……ホールじゃないかな?ココの勉強につきあうって、昨日言ってたから。」
「ココ?あぁ、例の奴だな。また、空が根をあげてるんだろ?」
「だと思うよ。ココって沙羅の言うことだと、割と素直に聞くんだよね。」
「ううむ、謎だな。それはともかく、よし息子よ。お前に特別任務を与える。」
「えっ……?」
 ヘッドロックの体勢でホクトを固めた武は、その耳元にささやくように告げた。
「田中優……オータムの方だ。彼女を捜し出せ。」
「えっ、優……優がどうかしたの?」
「どうもしない。とにかく厳命だ。お前は彼女を捜し出すこと。基地中、くまなく捜せ。ラボ方面が怪しい。いいな?」
「えっ、い、いいけど……どうして?」
「それを知る必要はない。とにかく捜し出すのだ。いいな?」
「う、うん……わかったよ。それで、見つけたらどうするの?お父さんのところに連れて行けばいいの?」
「そんな必要はまったくもって完全にない。優がいたら、あとは好きにしろ。そうだな……デートでいいんじゃないか?何でもいいから語らえ。楽しくな。」
「え、デ、デート?だって、そんな……お父さん!」
「わかったな。任務は必ず遂行しろよ。お父さんは、ママと重要な話がある。」
「え、ええっ……あ、お父さん!」
 走り去る武。呆然とそれを見送って……ホクトはどうしようかと立ち上がった。
 父を追いかけて問うことも考えられたが、その任務は重要そうだった。それに、彼にとっても、ある意味願ってもない任務だった。いわば、御墨付きだ。
 ホクトは部屋を飛び出した。
 
 


[126]短編『Everlasting Promise(後編)』≫Ever17: 武蔵小金井 2002年09月19日 (木) 23時14分 Mail

 
 
 明るい照明が照らし出す、巨大なホール。
 この施設内の常か、どこか無骨なデザインながら、ここにはある程度の装飾が行われている。
 清潔感のある壁面に……なぜか、あちこちにラクガキのような絵が描かれていた。
 そこにある、たくさんのテーブルの一つで……今また、楽しそうな笑い声があがる。
「はーい、先生!答えは……わっかりーませーんっ!」
「え……」
「こらぁ、わからないとは何事じゃ、ちゃんと計算後に答えが出るじゃろう!何だとぉ、誰が産後じゃ、産後のひだちじゃー!」
 桃色がかった髪が元気に揺れ、お腹を抱えて大笑いする女の子。その足元で、吼える子犬。
 テーブルに置かれたノートパソコンが、ガタガタと揺れた。
 笑う少女の脇に腰掛けた美女……空が、頭を押さえて深く息を吐く。
「わ、わかりましたから……ほら、ココちゃん。次は問いの四番。えっとですね、この約分をした場合、結果がどうなるかを……」
「へいらっしゃい、約ブン一丁!へへえ、旦那も通だねえ。いえいえ親ブンこそ、オツトメご苦労さんです。へい、あっしらもお帰りお待ちしておりやした。おうっ、兄弟ブン。親ブン、子ブン、約ブン!」
 破滅的な空気が流れ、空の両目が明滅した。ため息に似たポーズのまま、その四肢が硬直する。
「え、えっと、ココちゃん……今は国語の時間ではなくて、算数……いえ、数学の時間なんですけど。」
「えーっ? やだー!国語がいい!国語がいい!国語がいいー!ね、ピピ!」
「ワンワン!」
「ダ、ダメです。国語はまた今度。」
「だったら体育がいい!空先生、ひよこごっこしよう?」
「ひ、ひよこごっこ……」
 恐怖の表情で仰け反る空。どこまでも楽しそうに大笑いする少女……ココ。
「よっ、楽しそうだな。」
 異様に明るい雰囲気に満ちたホールに、武が姿を見せた。通路から現われたその姿を見て、二人がそれぞれ目を輝かせる。
「く、倉成さん!」
「あー、たけぴょん!おっかえりーっ!」
 救いの神を見つけた如き表情で、空が立ち上がる。
 と、それより早く椅子からピョンと飛び降りたココが、猛然とダッシュ……武に体当たりした。
「うおっ!ははは、ココ。元気だったか?」
「うんっ!もっちのロンドンブーツぅ!それよりたけぴょん、新作のコメッチョがあるんだよ。ねぇねぇ、聞いてくれるっしょ?」
「おうおう、いいぜ。俺もココのコメッチョが聞きたくてしかたなかったんだ。今度はどんなのだ?」
「うん。あのね、西部劇のアメリカのお話だよ。ばんばーんって、荒くれ者が銃を撃ちまくって暴れていました……
『野郎ども、今日は鉄道を大襲撃だ!ぬかるんじゃねぇぞ!』
『へい親分。よーしみんな行くぜ!』
 ところが、そこで現われたのは正義のお医者さんでした。
『こら、無法ものども!人の命を奪うことは許さんぞ!そもそも命というものは……』
 お医者さんは、命の大切さをとーとーと語ります。
 初めはビックリしてそれを聞いていた無法者たちですが、やがてイライラしてきました。
『うるさい、このヤブ医者!』
 バーン!親分の銃で、あわれお医者さんは撃ち殺されてしまいました。
 ところがどっこい、お医者さんが頑張っていたおかげで、そこに騎兵隊がとうちゃーく!
 悪者どもを、いちもうだじんにします。
『やい悪党、観念しろ!お前たちはこの列車で、刑務所まで直行だ!』
『ちきしょう、ついてねぇぜ。あんなへんちくりんな医者さえいなければ。』
 騎兵隊の人たちと、列車の人たちは、身を挺して自分たちを救ってくれたお医者さんを、列車で故郷まで運んであげることにしました。なきがらを特等席のベッドに寝かせて、列車がガタンゴトンと揺られていきます。
『見てごらん、死んだお医者さんを乗せて列車がいくよ。』
『おいおい、しくしく。でもまさに、あれこそシンダイシャだねぇ。』
 というわけでした。きゃはははははは!」
 お腹をかかえて、大爆笑するココ。
 少しだけ頬を引きつらせて、武も笑った。
 と、傍らで静かに微笑んでいる空に気付き、笑いかける。
「空先生、一人でてこずってるみたいだな。」
「はい。あ、いいえ……倉成さんのように優しく教えているつもりなのですが、やっぱり私、先生はまだまだ修行が足りないみたいです。」
「いやいや、かなり堂にいってるよ。でもまあ、そうだな。とりあえず……外見から直した方が言いかもな。」
「服、ですか?」
「そうだ。そのいつものファッションじゃな。いや、それはそれで血気盛んな男子学生にはたまらんだろうが、やはりそう、女教師といえば膝丈のピチピチミニにハイヒール!」
「は、はい、倉成先生。」
「うむ。それで斜め45度で構えて、教壇に立つのだ。もちろん三角メガネに薄いルージュも忘れちゃいかん。そうすれば、たちまち男子生徒は色めきたち、出席率100%間違いなし!」
「そ、そうなんですか。でも、倉成先生。私の生徒はココちゃんと、沙羅さんと、ホクトさんの三名だけですし……唯一の男子であるホクトさんはきちんと出席してくれますから、あまり意味がないのでは?」
「うっ……そ、そうか。まあ何だな、一つの例として覚えておきたまえ。それより茜ヶ崎君、沙羅はともかく……つぐみを見なかったか?」
「えっ……いえ。見ていませんが。御一緒なのではないのですか?」
 わずかに空の声のトーンが落ちるが、武がそれに気付くことはなかった。
「んにゃ。あいつ、何だか機嫌が悪いんだよ。せっかく無事に終わったってのに……」
「あの、よろしければ……基地内のどこにいらっしゃるか、スキャンしてみましょうか?」
 武は手を振ってそれを断った。
 気が付けば、いつのまにかココが片腕にぶら下がって、何やら即興の歌を口ずさんでいる。そのスカートの裾に、ピピがさらにぶら下がっていた。
 武は笑った。
「ココ。空先生の言うことをよく聞いて、勉強すること。そうしたら、俺が遊んでやるから。」
「ホント?たけぴょん?」
「ああ、もちろん。だから今は真面目に勉強すること。」
「うんっ!空先生、早く勉強しよう!わーい!たけぴょんとあっそぶ、あそぶー!」
「よし、約束だ。じゃあな、空。頑張れよ。」
 ココに急かされて焦りながら、空は武に深く頭を下げた。
「どうもありがとうございます、倉成さん。」
 うなずいて、武はホールをあとにした。


「えーっと、確か……」
 一方、父の密命を受けたホクトは、リフトに乗ってラボのある区画までやって来ていた。
 だが、優の姿が見当たらない。一応、思いつくだけの部屋を覗いてみたが、それでも彼女はいなかった。
「あー、もう……どこにいるんだよ、優……」
 諦めようかと思いもしたが、やはり父……武の厳命が思い出される。何より優に会う合法的な口実を逃してはならない気がして、ホクトはもう一度辺りを捜してみることにした。
「そうだ、もしかしたら……」
 この施設はまだ完全に改修が行われていない。もとからあった広大なブロックを、半分も使用していないのだ。それは予算よりもむしろ人手の問題だったが、そういったエリアの多くは立ち入り禁止にされていた。そこはホクトや他のいわゆる『子供たち』にとって、格好の遊び場になっていたのである。
 最も近い未改修区域に向かったホクトは、立ち入り禁止の鎖をくぐってそこに侵入した。フロアはさらに無骨な様相を見せ、扉のいくつかは電源が落とされて開閉もしない。どこかなつかしい感覚をおぼえつつ、ホクトはゆっくりとそこを進んでいった。
 と……何やら前方から声が聞こえてくる。
「なっきゅ先輩……」
「わかってる、マヨ。私だってわかってるんだ。あの人が、正しいって……」
 開かれたままの扉から、室内の光が漏れている。そこから聞こえてくる話し声に、ホクトは思わず立ち止まった。
「娘……というかさ、やっぱり同じ人間だからかな。なんとなく、言いたいこともわかっちゃうんだ。それに、考えてることも。結局、私は……あの人には、かなわない。」
「そんなこと……なっきゅ先輩は、なっきゅ先輩です!かなうとか、かなわないとか……そういうことじゃないですよ。」
「うん、ありがと。本当はね、私……この生活が、イヤになってたのかもしれない。最初はビックリして、次は夢中になって、正義心丸出しで頑張ってたけど……いざ考えるとさ、これってまるで……あの時の、LeMUの事故の時と同じじゃないのかなって。」
「事故……?」
「うん。そりゃ、外に出られないわけじゃないわ。マヨや空のおかげで、ネットワークの大学にも通える……でも、私たち自身も狙われている以上、自由気ままに出歩くことなんてできない。協力してくれる人たちもいるけど、奴らの勢力は大きすぎて想像もできない。私たちに勝算なんてあるの?ここだって、いつか見つかるかもしれないじゃない。実際、いつまで生きられるの?終わりはいつ来るの?結局、これじゃまるであの事故の時のLeMUと同じ……そう考えたら、私……」
「先輩……」
「あ、ゴメンね。でもさ、やっぱり……」
 沈黙が訪れた。
 部屋の外にいたホクトも、また、唇を結んでいた。
 優の言いたいことはわかる。そして、彼女が感じている感覚も。自分もまた、程度の違いさえあれ、どこかでそう考えている。
 こんなことをして何の意味があるのだろう。無理だ。優の言うように、いつかきっと、僕たちは……!
 ホクトの思考を断ちきったのは、室内から聞こえる快活な笑い声だった。
 楽しくてたまらない、そんな笑い。
 沙羅……?
「先輩、らしくないです!ダメですよ、そんなことじゃ!」
 そしてまた、沙羅の笑い声が響いた。
「先輩、ヒーロー番組とか知らないんですか?強大な悪の組織に立ち向かう勇者は、絶対に諦めたりしないんです!そして、必ず勝利を掴む!そんなの常識ですよ!」
「マ、マヨ……だって、それはお話じゃない。都合のいい作り話……私たちのは、現実なのよ……」
「あー、ダメだなぁ、そういう夢のない話をしちゃって!はじめからそんな風に思ってたら、勝てる勝負も勝てなくなりますよ?ほら、それこそ先輩の十八番、例のヤツじゃないですか!」
「えっ……」
 また、沙羅の笑い声。
「第三視点、でござるよ!」
「第三視点が……どうかしたの?」
「もうっ、やだなあ!先輩が教えてくれたことなのに。ほら、可能性は無限にあって、全ては変化し続けるって……言ったじゃないですか。未来は一つじゃない、私たちは限りない選択肢によって、無限の未来に向かってるって。」
「うーん、ちょっと違うけど……そうだよ。」
「それって、人生にはあらゆる結末が想像できるってことですよね。だとしたら、私たちが連中に大勝利して、地球に平和を取り戻すハッピーエンドもあるってことじゃないですか?やりましたぞ海底の九人、我らのヒーロー&ヒロインでござる!って。」
「そ、それは……可能性としてなら、ないわけじゃない……あ!」
「はい、そうでござる。拙者は、そう信じているでござるよ。なっきゅ先輩のお母さんや、ニセ倉成どのや他のみんな……力をあわせれば、可能性がどんなに小さくたって、必ずそこにたどりつけるって。だから、拙者は日々がんばっているでござる、ニンニン!」
「マヨ……」
「あ、何だかカッコいいことをぬかしてしまったでござるな。それじゃ先輩、気を取りなおして……さ、続きをするでござる。」
「えっ、あ……うん。そうだったね。ごめん、マヨ……」
「どういたしまして。へへっ、普段慰めてもらってばかりだから、今回は楽しかったかも。それじゃなっきゅ先輩、今度は私が攻めってことで……」
「う、うん……優しくしてね。痛くしちゃ、イヤだよ。」
 不意の話の変化に、ホクトはどうしてか赤面した。
「そんなことしませんよ……ほら、こんな感じで……どうですか……?」
「あ……あ、そこ……マヨ……!」
 ドキン。心臓が怒涛のように波打ち始めた気がして、ホクトは思わず胸に手を当てた。と、焦っていたからだろうか……そこを走っていたケーブルに、不意に足を取られる。
「わ……わあっ!」
 派手な音と共に、ものの見事に転倒するホクト。頭部をしたたかにぶつけ、周囲の資材や何やらを引っかけ、騒音のオーケストラがその区域に響き渡った。
「な……し、少年?どうしたの!」
「お、お兄ちゃん!大丈夫、しっかりして!」
 星が散らつく脳裏。目を回すホクトの視界に……二人の天使が現われていた。
「あ……さら、ゆー……」
 左右から抱きかかえられて、介抱されるホクト。それでもまだ痛みは酷く、ろれつも回らない。
「だ、大丈夫!お兄ちゃん!」
「マヨ、とりあえず部屋に入れよう。寝かせてあげないと。」
「は、はい!」
 二人に持ち上げられ、部屋に運び入れられる自分。かすかな意識の中で、ホクトは情けなさすぎる自分を感じていた。
 なんてことだ。ボクはやっぱり、頼りないアニキで、おまけに友達以上彼氏未満なんだ。
 でも、今の怪しすぎる会話はなんだったのか。ぼんやりとそう思いながら、ホクトは揺れる視界を眼前にしていた。
「マヨ、ゲームしまって!ここに寝かせるから。」
「は、はい!でも残念、せっかく私の番だったのに……」
「続きはまた今度。それより少年、おいこら、大丈夫?」
 ゲーム……続き?ホクトは視線をめぐらせた。
 ノート型のコンピュータだろうか。二つのそれを抱えていく沙羅の姿が見える。画面はまだついていて、そこに……対戦型のゲームが映っていた。戦車を使って戦う有名なネットゲームだ。
「そ、そんな……」
「ち、ちょっと少年!大丈夫?」
「お、お兄ちゃん?」
 あまりに俗っぽい結末に、ホクトは意識を失った。


 武もまた、閉鎖区画を訪れていた。
 ホクトと同じく、施設内を捜し回った挙げ句だった。一つの場所が思い当たり、そして……その扉が開く。
 無言のつぐみが、椅子に腰掛けていた。
「ここにいたのか、つぐみ。」
 彼女の前の小さなスクリーンに、深海の映像が映されていた。部屋の照明はそれ以外なく、とても暗い。
 映像に照り返されたつぐみは一瞬、ばつの悪そうな表情をみせると、すぐに顔を背けた。
 武は笑いながら部屋に入り……足下に駆け寄って来た小さな姿に気付いた。それを拾いあげる。
「よっと。よっ、チャミ。元気だったか?まったく、ブクブクと太りやがって。いいかげん、芸の一つでもおぼえろよな?」
「チャミをいじめないで、武……おいで!」
 つぐみの声に、チャミは武の手から飛び降りて暗闇へと消えた。
 武は苦笑いを浮かべて、部屋の中をそろそろと歩き出す。 
「まったく、お前も沙羅もホクトも……暗いのが平気ってのはわかるが、俺のことも少しは考えてくれよ。隠れんぼは嫌いじゃないが、お前を探して基地中を歩き回って、どれほど苦労したか……」
 チャミをあやしていたつぐみが、ムッとしたように武を見た。
「武が一人で歩いたんでしょ。用があるなら、通信で呼び出せばいいじゃない。」
「む、それもそうだが。とにかく……隣、いいか?」
 無言のつぐみ。武は隣に腰掛けた。
「なあ……今回の任務のことなんだけどさ。」
 一息つくと、武は意を決したように喋り始めた。
「俺が未熟だってことは認めるよ。確かに、俺はまだ訓練不足だ。お前や少年……桑古木の奴に比べればまだまだ一般人と変わらないだろう。そんな俺を連れてって、足手まといだってお前が怒るのもわかる。優……田中の先生も、よく俺の同行を許してくれたよ。」
 つぐみは、スクリーンに映し出された深海の光景を見つめていた。
「だけどな、俺は自分の判断が間違ってるとは思わない。いくらライプリヒの連中だって、むやみに殺していいって理由にはならないだろ。俺たちは殺し屋じゃない。奴らに捕まってる連中を、解放するのが役目だ。」
 つぐみの瞳が走った。激情の走る、それが。
「だから甘いのよ、武は。あいつらは人間じゃない。他人の命なんて何とも思ってない、人でなしの集団よ。被験者は実験動物。死のうが生きようが関係ない、ゴミみたいにしか思ってない。常に他人より上に立って、あざ笑ってる連中。そんな奴らに情けをかけるなんて、ドブにお金を捨ててるようなものよ。」
 つぐみの物言いに、武は笑った。
「それでもいいさ。命を奪うよりは、ずっといい。」
「なら、いつかあなたは一文なしになる。最後に、命という代償を払って……それでもいいの?」
 つぐみの視線を真っ向から受けて、武は首を振った。
「とりあえず、死ぬつもりはないし、予定もないからな。」
「勘違いしてるんじゃないの?キュレイだって不死じゃないわ!爆弾でバラバラにふっとんだら?脳や心臓を丸ごと持っていかれたら?その時は、いくら私たちだって……」
「助からないだろうな。わかってる。だけどな……俺は、生きているかきり俺自身でいたいんだ。もちろん、俺だって手を汚さないですまそうなんて思ってないぜ。相手はハンパじゃない。奇麗ごとじゃ渡れない世界だってこともわかる。潜入、情報操作、破壊工作……何でもやるよ。だけど、人殺しだけが目的の殺し屋になるつもりはない。自分の判断で、物事に対処する。それでダメだったら……」
「ダメだったら……どうするの?」
 つぐみの低い声に、武は頭をかいた。
「そうだな……何かいい方法を考えるさ。どうにかなるだろ、きっと。」
「無責任ね。根拠も何もないじゃない。どうにかならなかったら、どうするの?見逃した相手に、背中から刺されたら?他に手段がなくなったら、他人をどうにかしてでも助かってはいけないの?武、そんな状況が来たとしても、本当にどうにかなると思ってるの?」
 叫びに近い問いに、武は……難しい顔をしたあと、また、笑った。
 普段の自分のままに。
「どうにかなるだろ、きっと。だってさ、俺……今までにどうにかならなかったこと、ないからな。」
 見開かれる、つぐみの瞳。武は、その揺れる眼差しを受けて、照れたように頭をまたかいた。
「あのLeMUの事故の時だって、何度死にそうになったかわからない。だけど、俺はまだこうして生きてる。そりゃ、田中の先生や桑古木、それにみんなのおかげだってわかってるさ。でも、そういう理屈は抜きにして、俺は自分が生きてることに自信があるんだ。いつ死ぬかなんて、わからないけどな。だけど、今生きてるから、そんなことは考えない。そりゃまあ、俺だって何百、何千年と生きられるだろうなんて考えちゃいないよ。こんな体だって、いつか最後の時が来たら……死ぬんだろう。とりあえず、それでいいんじゃないか?」
「武……!」
 黒髪が舞った。
 自分に重なってくる体。それを、武は感じた。
 抱き締めてくる、つぐみの熱さ。ほとばしる感情が、つぐみの唇を震わせていた。
「ダメ!ダメ……それじゃダメなのよ!武、それじゃダメ……あなたは、あなたは死んではダメよ……」
「お、おい……」
 つぐみの涙。そして、叫び。張りつめた何かが切れたように、つぐみが叫んでいた。
「私を……私を置いていかないで!ううん、私だけじゃない。あの子たちも……お願い、武……!」
「つぐみ……」
「失いたくない。二度と、失いたくないの。もう、一秒だって一人じゃいられないから……あの子たちも、あなたも、絶対に失いたくない。はなればなれになんてなりたくない……だから、武が危険な目にあうの……見ていられないの。怖いの……そのためなら、こんな任務なんて、私たちの目的なんて、どうでもいいって……」
 慟哭、だった。
 そして流れる、永劫の時間。等しくそれを共有する二人は、ただ……じっと、見つめあった。
「つぐみ、俺は……」
「わかってる。武の気持ちは……みんなの気持ちも。私だってそう。奴らを許せるわけがない。奴らの痕跡が、この世界中から一つ残らず片付くまで、私たちは戦う。私たちのような悲劇を、もう二度と繰り返させないため……」
「そうだ。誰かがやらなきゃならない。だからこそ、俺たちが……」
「わかってる!わかってるわ!でも、それでも苦しいの……怖いのよ!今、武を失ったら……私、きっともう生きていけない。あの時の絶望を、もう……もう二度と、絶対に味わいたくないの!」
 むせび泣き、つぐみは武の胸にすがった。まるで十代の乙女……外見のそれと同じであるかのようにつぐみは泣きじゃくり、そして、武もまた……その頭を撫でた。
 目の前に映る、静かなる深き海。
 地上を遥か、水深119mの静寂だった。
 ここで始まった。ここで別れた。そして、ここで再会した。
 武は、笑った。
「バカだな、つぐみ。」
 つぐみがゆっくりと顔をあげた。
 涙を拭う、武の指。その優しい行為に、つぐみはさらなる大粒のそれをこぼした。
「約束しただろ。俺は、死なない。あの約束は、終わったわけじゃないんだ。」
 つぐみの漆黒の瞳が震えた。
 忘れようもない記憶。閉ざされた水密扉。消えて行くシルエット。
 絶望の淵。明日なき日々。その中で、繰り返し否定しても、どこかで持ち続けていたかすかな希望。
 もしかしたら……それが、かなった瞬間。
 奇跡。
 そしてそれはまた、皆が集った日でもあった。愛すべき、信頼できる仲間たちが。
「武……!」
「バカ、泣くな。安心しろ、俺は死なない。何しろ、つぐみ直伝の不死身の体だからな。」
「もう、バカ……」
「ああ、バカだよ。17年眠って起きても、まだバカだ。だから、ずっと変わらないぜ。」
「うん……武はバカ……バカよ……」
「嫌いか?俺みたいなバカな男と、こうなっちまって……」
「そんな……そんなことない。私、武のこと……」
 二人の唇が重なっていく。そっと……
 と、突然けたたましいブザーが鳴り響き、目の前のスクリーンの映像が変化した。
 誰かがいる。アップになったそれ……そして、文字通り画面から飛び出してくる、美女。
「く、倉成先生!助けて下さい!」
 それは、空だった。白いシャツ、下はピチピチのミニを身に付け、ハイヒールを履いた、空。
「そ、空……ど、どうしたんだ?奴らの襲撃か?この基地が見つかったか?」
 絶句するつぐみと、取り乱す武。
 画面から飛び出して実体化した空は、半泣きで武にすがりついた。
「あーん!倉成先生……私、先生に言われた通りにしたんです。でも、そうしたら、沙羅ちゃんと優さんが……」
「さ、沙羅が?優がどうした?」
「ココちゃんといっしょになって、私のことをいじめるんです……それに、ホクトくんも加わって……みんなで、『がくえんどらまごっこ・おんなきょうしのじゅなん』だって……私、どうしたらいいのかわからなくて、もう、もう……」
 よく見れば、武に抱きつく空……この場のそれは映像なのだが……の頭には、何やらチョークの粉のようなものがついていた。さらに、スカートの裾にはガム。わずかに乱れた胸元。
「な、な、なにぃー!なんてうらやましい……じゃない、とんでもないことをしてやがるっ!」
「ふぇーん、倉成先生ー!」
 さらにすがりつく……ように、空の画像が武に重なる。
 と、今の今まで呆然とそれを見つめていた傍らのつぐみが……その目を大きく吊り上げた。
「な、何をしてるのよ!空、武にくっつかないで!」
 空はふるふると首を振った。
「いやです!小町さんはずるいです……いつも、倉成さんをひとりじめして!私だって、私だって本当は……」
「お、おい!空、つぐみも!とにかく二人とも、落ち着けよ。な?」
「武は黙ってて!空、はっきり言っておくけど……」
「うえーん!倉成さん、早く助けに来て下さいー!」
 掴みかかろうとするつぐみから、ヒラリと身をかわして……空は、画面に飛び込んだ。
 瞬間、悪戯っぽい彼女の表情だけが、残像のようにそこに残る。
 再び静寂に包まれた、その場。
 唖然としたつぐみと武は、目を丸くして……しばらく見つめあった。
「な、なんだったんだろうな……って、あ。」
 映像は、ホールの様子を表示したままだった。
 べそをかいている空。なぐさめるようにピピがすりより、その隣でけたたましく笑っているココ。優が沙羅に何やら怪しげなポーズで迫り、その前で顔を真っ赤にして両手を振っているホクト。
 幸せな光景だった。
 ふと武が見ると、つぐみもまた……口元を緩めて、そんなホールの喧騒を見つめていた。
 そしてまた、二人の視線が重なる。
「守ってやらなきゃな。」
「うん。」
「頑張ろうぜ。」
「うん……」
 二人の手が重なった。それで十分だった。
 重い使命。まだ見ぬ未来。押し潰されそうになるほど、それは途方もない道程だった。
 だが、進まなければならない。いつかたどりつく、結末を信じて。 
 果てしないかもしれない。無限の時が必要かもしれない。
 だが、二人の瞳に絶望はなかった。
 永遠は、自分たちの味方なのだから。



 長年に渡り地球の薬学界をリードしてきた巨大企業、ライプリヒ製薬。
 世界に数万の死者をもたらしたTB事件、及び数々の人体実験や非合法な研究が発覚、国際的な非難・査察を受け、同社は国連決議により完全解体された……はずだった。
 だが。
 日独両政府、さらに世界各国に深いパイプを持つ同企業体の息の根は、それで絶えることはなかった。本社の解体と時を同じくして、その残党とも言うべき支部や子会社は各地にその身を隠し、未だ公開されぬさまざまな極秘資料・研究機関と共に地下に隠遁した。
 その勢力は、莫大な資金と共に暗黒街、裏社会に新たな根を張り、今や世界的な闇の組織として再構成されつつあった。
 そして、過去に学ぶことのない者たちの手によって……いや、どこまでも利益と欲望を優先する者たちの手によって、今もなお、世界の影で非合法かつ非人道的な実験・研究が繰り返されている。
 それを食い止めるため。悲劇を繰り返させないため。
 あえて戦いの道を選んだ、九人の男女がいた。

 時に、西暦2035年……
 
 
 
  


[127]Nuff Saidなあとがき+: 武蔵小金井 2002年09月19日 (木) 23時24分 Mail

 
 
 パロです。

 何というか、先日の休日を利用して、ゲーム本編を終わらせて……興奮のまま、ただズズズズっと。
 本当はもっとハードタッチにしたかったのですが、どうも私のサガというか、愛らしいキャラクターたちの魅力というか、血みどろのダークにはなりきれませんでした。ごめんなさい。

 えーっと、お読みになった方については、色々と解釈その他あると思いますが……とりあえず、「こんな未来も可能性の一つ」としてお許し下さい。
 説明不足、イメージ先行などの相変わらずの部分はもちろん……何よりもあのすがすがしく、希望に満ちた晴れのグランドエピローグの後にこんな未来があるわけはない……と、私もまったくもってそう思いますが、とりあえず(赤面)。

 いや実の所、つぐみさんの設定を知ったファースト・プレイ時から、色々と書きたくて書きたくて……とはいえやはり、ラストを迎えてからと思って、いざカキカキしたら、こんなになってしまったという情けない楽屋オチが(笑)。
 やっぱり初心のまま、「闇の月海」(仮)という題名でハードボイルドに走ればよかったのかもしれないとか……いや、皆さんにピューッとひかれてしまいそうで怖かったりも(これも十分そういう内容な気がしますが(笑))。
 さらには「愉快な倉成一家」というバカ文を最初に投稿しようと考えていたのですが、とりあえず時間がたつと怖くてアップできなさそうな方から先にしようと思いました(笑)。

 えっと、絶対にそうなどとは気付かれないと思われますが、初ネタはアメコミちっくな雰囲気を目指しておりました。その結果がアメリカンホームドラマになってしまったというか、あうう何だか(爆汗)。
 くくっ、長い上にミステイクっぽい作品ですが、とりあえず「えばー」を終了した感動に酔って、今日のところはこんな感じで。

 あと、私的にこの場を借りて、えばーについてほんの少しだけ……

 今の世の中で、家庭用の(言い代えれば全年齢向きの)ゲームで、ここまで独創的かつ挑戦的なストーリー(仕掛け)のゲームがあることに感動しました。いや、もちろん嬉しくて、ですっ♪
 なんというか……SF、でした。
 私的に断言します。間違いなく、これはSFです。恋愛アドベンチャーと書いてありますが、これはまぎれもなくSFゲームです。
 本当に、プレイし終えて……昔、少年時代(笑)に追い求めたハヤカワSFの数々を思い出してしまいました。本当に凄いことだと思います、こういうゲームがあることって。

 とりあえず、プレイできたことに感謝します(久しぶりに没頭プレイした、三十数時間にも(笑))。

 それでは。
 お読みになってくれた方につきましては、本当に御礼の言葉もありません。

 (本音では、まだE17における全ての事象を理解していないかもしれない自分にドキドキしてるのですが(赤面))

 PS.「愉快な倉成一家」という題名の時点でもう大バレだということに気が付きました。ど、どうすれば(笑

 付記:各所を少しだけ変更しました。いや、エンディングの年表を確認して、優「春」さんが大学院で博士号を修得していらっしゃることに気が付いて、「先生」から「博士」に。
 実のところ、最初の頃は「博士」として表記していて(いやその、それっぽいじゃないですか。秘密チームを組織した人物で、いかにもで(笑))。今更のように設定でちゃんと博士になっていてビックリ……というか私的に大赤面。深いです、E17.
 いやそもそも、読み返すと色々と恥ずかしい限りですね、コレ(汗)。まさに夢中でタイプしたのがモロバ(粛

 そ、それではっ。



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