[783] 温度差。 |
- PON - 2004年10月14日 (木) 23時25分
はじめまして。 感想が遅くなりましたが、PONというものです。
タイトルがよいですね。 ストーリーが進むにつれ「あ、兄弟だったのね」とわかっていく過程がライトでありながら、少し深刻で、でもそうでもなく、という曖昧さ。 いい味だと思います。
本作の中核をなすのは「温度」であり「温度差」なのだろうと思うのですが、いかがでしょうか。 二人でもぐりこんでいるベッドの温度も「少し生温かくて」、 弟が出ていった後のベッドの温度も「あの生暖かい温度も消えうせて、自分の熱が生温く足の周りにまとわり付いていた」とあります。
「あたたかさ」に関し、あまり変化がないように思われます。ちなみに後の方の「生暖かい」と「生温かい」は、字を変えてありますが、意味を変えて読み取る必要があるのかどうなのか、と迷う箇所でもあります。「生暖かさが消えうせて」の後で、いったいどういう温度になったのかというのを書かれると、変化が出るかと思います。
指の冷たさについての表現がよいだけに、惜しいと思いましたので、ちょっと書かせていただきました。
私のような古いタイプの読者にとって、自ら積極的に行う近親相姦はそれなりの苦悩をともなう「ヘドの出るような関係」であります。近年は、というか、このジャンルではそうでもないのかもしれないけれど、 ヘドは出ないまでも、本作では兄の方が少し苦悩しており、弟の態度に対して何事か感じるところがある、というように読めました。
弟の「何も感じてないよ」という態度、兄も「恋愛なんかちゃんちゃらオカシイ」と装う態度、うらはらに指にこもる力、そういうところをもう少しだけ掘り下げて読んでみたかったかも、と思いました。
失礼の数々おゆるしくださいませ。 面白かったです。 次回も楽しみにしております。
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