[751] 拝読しました。 |
- あんざい - 2004年09月15日 (水) 09時33分
藤代さま
はじめまして。 作品を拝見しまして、書きなれていらっしゃるなあと感心しました。 こう、ボーイズのお作法(笑)もすでに習得済み、みたいな。
わたしは「感想のないのも感想」派ですので、こうして感想を書かせていただいている時点で「感想を書きたくなるくらい面白かったんだ」と思って下さいね。 その上で、失礼を承知でいくつか気になった点を申し上げます。
・まず脇キャラの宮沢ですが、「主人公や受けキャラの説明のために出てきました」感が強すぎです。 出だしから「俺は説明をする役目です」と胸にでっかいプラカードをつけているようで白けます。
・過去のエピソードと現在のエピソードの割合のバランスが悪いです。この作品の長さであれば、過去のエピソードは現在のエピソードに混ぜ込むくらいでちょうどいいと思います。 あとこれは超個人的見解なんですが、この二人の過去って、ボーイズ界ではもう何万組もが持ってる「二人の過去」だと思うんですよ(笑)。 なので細かく「いつも俺のあとをおっかけて、俺をヒーローにしちゃったアイツ」を書いて読者にぐっとこさせるには、よっぽどのエピソードがないかぎりは難しいと思います。たいがいは「はいはい例のあれね」になっちゃう。 あとから必要なエピソードがないなら数行で「ここはお約束のあれっすよ」と読者に知らせるだけで充分だと思います。
・部活と志望校の選択、というのがこの作品の主要なストーリーで、さらにこのお話では部活の場面が重要だと思います。ですから出だしは部活の場面から入ったら作品自体が締まると思う。 全体に部活の場面で7割、過去1割、志望校のやりとりは「二人の力関係の逆転や感情の流れの転換」にアクセントとして重要に使って二割。(この書き方で藤代さんに伝わるといいのですが)
・恋愛・セックスにいたるまでがあまりに早い。前半で意地や憧れ、固執する気持ちなどが丁寧に書かれていただけに、後半の展開には「一体いつの間にそんなことになったんだ」とかなり驚きました。受けキャラがおどおどしていたのに急に攻めキャラをしのぐようになるあたりは、読んでいて「上手いな、面白いな」と 引き込まれていたのでよけい残念でした。 受けキャラが「もうおまえなんかおっかけない」と宣言してから、主人公くんにはあと一週間は悩んでいただきたかった(笑) さらにいえば、「一週間は悩む」、ここが実はこの作品の重要な恋愛場面なんだと思う。 彼に対する気持ちの揺れ、不安、葛藤、そういうものが恋愛小説の山場になりうるわけで、ここがない=恋愛が弱い、になっちゃうんだと思います。
藤代さんはとても力のあるかたで、キャラクターを魅力的に描けるのが一番の強みだと思います。 ボーイズのツボもきっちり押さえておられるようにも思います。 ただ、このごろちょっと思うのは、「作者が誰か書いていないけど、これを書いたのは○○さんだ」と分かってもらえるのが個性というもので、プロになったあと、続けて書いていけるかどうかのポイントはそこかなあ、とナマイキにも思ったりしています。 藤代さんの作品を拝見しまして、とてもいいな、面白いな、と思ったのですがそういう個性、というものはわたしは感じませんでした(きついこと書いちゃってごめんなさい)。 個性は書いてるうちに見つかってくるものだという気もするので、(すいません、全部「気がする」で)ご自分の筆力を信じてたくさん書いてください。
いろいろ生意気を書きましたが、お気を悪くなさいませんでしたでしょうか。 これでも一生懸命考えて書きましたので、次作を書かれるときにいくらかでも参考になりましたら嬉しいです。 投稿が実りある結果になるといいですね。頑張ってください。

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