[13826] 題名:顕謗法抄
名前:FT
◇S3OiZExQd2
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投稿日:
2025/09/15(月) 11:19
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第六に焦熱地獄とは大叫喚地獄の下にあり縦広前にをなじ、此の地獄に種種の苦あり若し此の地獄の豆計りの火を閻浮提にをけらんに一時にやけ尽きなん況や罪人の身の耎なること・わたのごとくなるをや、此の地獄の人は前の五つの地獄の火を見る事雪の如し、譬へば人間の火の薪の火よりも鉄銅の火の熱きが如し、寿命の長短は人間の千六百歳を第六の他化天の一日一夜として此の天の寿千六百歳なり此の天の千六百歳を一日一夜として此の地獄の寿命一千歳六百歳なり、業因を云わば殺生・偸盗・邪婬・飲酒・妄語の上・邪見とて因果なしという者・此の中に墜つべし、邪見とは有人の云く人飢えて死ぬれば天に生るべし等と云云、総じて因果をしらぬ者を邪見と申すなり世間の法には慈悲なき者を邪見の者という、当世の人人此の地獄を免れがたきか。
(通解)
第六に焦熱地獄とは。 大叫喚地獄の下にあり、縦横は前と同じである。この地獄には種々の苦がある。もしこの地獄の豆粒ほどの火を世界に置いたとすると、一瞬で焼き尽くされてしまう。まして罪人の身やわらかいことは綿のようなものであるから、この地獄の人は前の五つの地獄の火を見れば雪のように感じる。たとえば、人間界の火でも薪の火よりも鉄・銅の火のほうが熱いようにである。 寿命の長短は人間の千六百年を第六の他化天の一日一夜として、この天の寿命は千六百歳であり、この天の千六百年を一日一夜として、この地獄の寿命一千六百年である。 業因はというと、殺生・偸盗・邪婬・飲酒・妄語のうえに邪見といって因果を否定する者がこの中に堕ちるのである。邪見とは、ある人がいうには、人が飢えて死んだら天に生まれる等という考え方である。総じて因果を知らない者を邪見という。世間の法では慈悲なき者を邪見の者という。今の世の人々はこの地獄を免れがたい。