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[413] 題名:誕生日の配達人 名前:銀世界 MAIL URL 投稿日:2010年12月04日 (土) 23時42分

惣流・アスカ・ラングレーは、荷物を抱えて街中を走り回っていた。
あっちへうろうろ、こっちへうろうろ、おつかいを頼まれた子供のように。
実際問題、やっていることは似たようなものだ。
訪ねた先々で、知り合いへの荷物を新たに頼まれるのだから。

(何が悲しくて、花の女子高生が誕生日にこんなおつかいしなきゃならないのよっ!)



発端は、今朝、上官兼保護者の葛城ミサトに叩き起こされたことに始まる。

「アスカごみーん、今日はシンちゃん、NERVで用事あるから、日中は1人で時間つぶしててねん♪」

それならそれで、睡眠中の者を起こさずに放っておいてほしいものだ。
昼過ぎに起きたら、まだ手持ち無沙汰な時間が少なくて済むというものなのに。
もっとも、誕生日に1人で過ごすということ自体がバカバカシイものではあるが。

「夜にはバーッチリお祝いしてあげるから我慢しててちょうだい。
 た、だ、し、ちょっち条件があるわ。
 私が仕掛ける勝負に勝ったら、アスカは大量のプレゼントをゲット出来る。
 負けたら何にもなし、いいわね?」

良くないと言っても撤回されないのだろう。
誕生日を迎えた少女を捕まえて酷い条件だが、問答無用でミサトは勝負の条件を出して来た。

・アスカの周囲の人達が持っている、他の誰かの物を順番に元の持ち主に返して行く。
・ただし、誰の物かは直接は言われないので、物から判断して持ち主を特定する。
・正しい持ち主の所に届け物をするたびに、プレゼント引換券を貰える。
・引換券には、1から順番に通し番号が振ってある。
・券を貰うには、届け物の他に直前の数字の番号を相手に見せること、間違っていれば貰えない。

「そんな面倒な話に乗らないわよ」
「あらぁ、アスカってば、物だけで誰のか判断出来る能力のある自信がないのね?」

とまで言われれば、負けず嫌いのアスカとしては、勝負せざるを得なかった。

「じゃ、最初は僕からのお願いだよ。
 この本を返しといて、よろしくねアスカ」
「急にミサトの後ろから出て来て頼みごとって何よ、待ちなさいバカシンジー!!」
「もうNERVに行かなきゃいけないからさ、ごめん、また夜に!」

と言うわけで、同居人の少年・碇シンジも、あっさりミサトの勝負に一枚噛んで来たわけだが。
アスカは手元の本を見た。

「なーんだ、簡単じゃないの」

お弁当のメニューのレパートリーを増やすことがテーマの料理の本。
これの持ち主として考えられるのは1人しかいない。
洞木ヒカリの家に向かった時、アスカは、ミサトの勝負がここまで時間がかかるものとは思ってもみなかった。



「ミサトっ、レイからの届け物よっ!!」

NERVの一室でアスカが叫んだ時、時は既に夕刻となっていた。

「引換券、さっさと寄越しなさいっ」

言いながら、アスカはエビチュの缶を1本、ドンと机に置いた。
ここまで不機嫌なのは、ちゃんと理由がある。
料理の本を持ってヒカリの家を訪ねた後には、写真の入ったCD−ROMを持ってサバイバルゲーム中の相田ケンスケを探し。
次に、戦自モデルの大き目のジャンパーを持って、ムサシ・リー・ストラスバーグのいる訓練所を訪ね
(ケンスケにはサイズが大き過ぎたというヒントがなければ、持ち主の特定は難しかった)。
次はと言うと、バスケットボールを持って鈴原トウジの家へ――ではなく、最初の訪問時に彼を見かけたヒカリの家に逆戻りだった。
そして、ギターのピックをNERVにいる青葉シゲルに届けた後は、公園にいる渚カヲルの元に音楽プレイヤーを持って行った。
次にはまた、霧島マナの射撃手引書を持って戦自の訓練所に行き
(これも、カヲルが『彼女によろしく』と言わなければわかりにくいところだった)。
さらに、マナに渡されたのが、伊吹マヤから借りた生物の参考書(ちゃんと記名があった)で、再度NERVに足を・・・。
要するに、同じ場所に何度も行ったり来たりを繰り返させられたのだ。

「大体、ミサトってば大勢巻き込み過ぎよ!
 マユミからヒゲ司令のサングラスを渡された時は、どうしようかと思ったじゃない!!」

いくつ目の用事だったか、赤木リツコから山岸マユミ宛に小説を渡した後に差し出されたのが、NERVマーク入りのケースに入ったサングラスだった。
もっとも、それはスペアだったらしいが・・・。
そのしばらく後には、マユミと一緒に図書館にいたはずのレイを訪ねたら、場所を移動した後という事態もあり。

「ふふっ、それだけ大勢がアスカの誕生日を祝ってる、ってことよ」
「祝ってるじゃなくて、嫌がらせしてるの間違いでしょ?!」

アスカは肩で息をしながら怒鳴った。

「まあまあ、これで最後よ、じゃあ、プレゼントを置いてある部屋に案内するわ」

ミサトはまだ気が立っているアスカを促し、隣の部屋へ引っ張って行く。
そこは、洋服箪笥が1つ置いてあるだけだった。

「はい、1番のカードと引き換えにイヤリングの右、2番は左、3番にネックレス・・・」

ミサトは歌うように言いながら、箪笥の中から、宝飾品やドレスを引っ張り出して来た。

「さぁさ、着替えて着替えて、ホールであんたの王子様がお待ちよん♪」
「シンジが王子って褒め過ぎじゃない?」
「あら、だーれもシンちゃんだなんて言ってないけど?」

そもそも、NERVにホールなんてあったかしら。
首をひねっていたアスカをミサトが引っ張って行った先は、大会議室だった。
だが、ミサトが扉を開くと、その先は、普段と見違えるような煌びやかさに包まれていた。
確かに、これなら広間と言っていいような。

「ごめんね、アスカ、今日は1人にして」

奥から、盛装に身を包んだシンジが現れた。

「今日の、ミサトさんじゃなくて、僕が考えたんだ。
 会場の準備に時間かかるから、随分とうろうろしてもらうことになったけど。
 シャンデリアとか吊り下げるの大変でさ」

外国じゃ、16歳の誕生日って結構特別って聞いたから、どうしても凝った演出にしたかったんだ、とシンジは笑った。

「料理も全部自分で作りたかったし」

それにね、とシンジは付け加えた。

「アスカも、日本に来てから、大勢の人に出会ったよね。
 それを改めて感じて欲しかったんだ。
 僕も、自分には誰もいないって思ってた時から、この街に来て随分と変わったから」

うん、あたしは、ここに来てから、物を見て特定の誰かが浮かぶくらいに、たくさんの人と、しっかりと関わった。
そして、ミサトにはああ言ったけど、行く先々で、みんなはちゃんと言ってくれた。
学校の友達も、NERVの関係者も、誰もが同じ言葉を。

「誕生日おめでとう」

それは、あたしがここにいることを喜んでくれているって意味の言葉。
あたしも、シンジも、ずっと求めてたこと。

シンジが腕を差し出して、アスカはそれを素直に受けた。
少年のエスコートで、少女は広間の中央に進む。
彼女の存在を祝福する、多くの人の輪の中に。


[412] 題名:あの子のことが僕は嫌い  20.誕生日禁止令 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年12月04日 (土) 20時34分

顔は笑ってるけど目は全然笑ってないミサトさんが、こめかみのあたりをひくひくさせながら、とうとう宣告した。

「へー…そこまで言う。ねぇアスカ?知ってる?
日本ではね、女は歳をとらないという伝説があるの。我が家も、その方式を採用します。すなわち
『誕生日なるものは最初から存在しない。だから決して歳をとらない。』
これで、あたしは永遠に29歳だし、あんたは永遠の14歳!おめでとう!」

アスカは、何を馬鹿なことを!とか猛抗議してたけど、こうなったらミサトさんはてこでも動かないよ。
大体、アスカがミサトさんの年齢をからかい過ぎたのがいけないんだよ…。
決して口には出さないけど、僕はそう結論づけた。

そうして、僕らの家では『誕生日』がタブーになったんだ。



週末、一緒に映画を見ていたら、アスカがぽつりと言った。

「そういえば、誕生日禁止の話したら、来週、ヒカリの家でお祝いしてくれるって。」

「へえ…」

「ヒカリのお姉ちゃんと妹も一緒にご馳走作って」

「アスカ出来るの?」

「出来るわよ!それで、みんなでドラマ見て…」

「うん」

「泊まっていけって」

「……ふーん…」

「……あんたも来る?」

ぶっ。
「やだよ!なんで僕が」

お姉ちゃんのあとをどこでもついていく弟みたいじゃないか!

「そんなことしないよ。」

「そりゃそうよね。…じゃ、もし使徒が来なかったらヒカリのおうちに行くから」

そのときは全然実感なかったけど、それってつまり、アスカがいない夜なんだった。




金曜日の放課後。

「じゃあアスカ、待ってるからあとでね!」

「ええ、あとで。今夜はよろしくね」

いそいそと下校する委員長。

一度、家に帰って着替えて荷物をとってから、アスカは洞木さんの家に行く。

「シンジ、帰るわよ」

僕らは一緒に帰る。

「…ねえ。アスカ。ミサトさんはあんなこと言ってたけど、かなりの高確率でもう禁止令のこと忘れてると思うよ。もしかしたらケーキとか買って帰ってくるかも…」

「まだ誕生日じゃないわ。今日は3日だもの」

スタスタとアスカは僕の先を歩く。顔は見えない。



「じゃ、行ってくるわね」

スポーツバッグを肩にかけて、アスカは出ていこうとした。

「…うん」

楽しんできて。
そう言えばいいのに。
僕って。

「何かあったら携帯に電話して」

そう言って、横顔の笑顔と、赤い髪の残像を残し、マンションの重い扉が閉められた。

僕のいる場所は暗くなった。




テレビから、笑い声が響く。

何が面白いんだ。

ソファにうつぶせに寝転び、片手でテレビのチャンネルをザッピングして、結局はスイッチを切った。

「いてっ!」

伸ばしてた足のふくらはぎを嘴でつっつかれた。

「クキュウ…」

「あ、ペンペン…。そうか、餌だね。ごめん」

「グワア」




まあ、いいじゃないか。
一人って楽だ。
僕は元々静かな時間が好きだし。

晩ごはんを食べる。
横でペンペンがアジを呑んでいる。
僕はごく簡単なリゾットを作って、流しこんでいる。有り合わせだけど。

タンパク質としては、ペンペンのほうが良質なのを摂取してるな…。間違いなく。


しまった。
洗濯物をとりこんでなかった。外はもう真っ暗な夜だ。ベランダに出た。

闇の中、白い洗濯物がはためき、ハンガー同士が当たってカンカンと音を立てていた。

アスカの黄色いTシャツをそっと握った。


…なんで来ないんだよ。
使徒のやつ。
…うんと弱めのがいいけど。


ん?
顔に冷たい雫が当たった。雨だ。
急いで、全部の洗濯物を取り入れた。




リビングの床に、洗濯物を放り出す。えい!

「ふー…」

散らばった洗濯物の真ん中に座りこんだけど、なんとなく心がささくれてる。

ビリリリリ!ビリリリリ!

「!」

携帯が鳴ってびくっとした。表示はアスカだった。

「…はい!もしもし」

電話に出たら次の瞬間、

どわぁーー!
という感じの騒音が耳に飛び込んだ。何!?

『…もしもし!シンジー!?』
キャーハハハ!アスカ、早くー!

アスカの声とは別に、洞木さんだろうか。女の子達のはしゃぐ声が聞こえ、テレビのものらしい音楽が聞こえた。

『今ね、すごいのよ!歌手のナントカっていうユニットのダンスの振り付けを覚えるって妹のノゾミちゃんに付き合って、皆で練習してるのー!』

「…へ、へえ… 」

そういえば、今流行ってるらしいメロディが聞こえる。
『よくわからないけど、楽しいわ!』

ザーーー―…。

僕に聞こえるのは雨音だけだ。

「…そう。よかったじゃない」

『それでね、今、雨降ってるわよ。知ってる?』

「…知ってるよ!そんなこと」

『何、怒ってんの?』

「お、怒ってないよ!」

『うそ。』

「ウソじゃない!」

『ふーん?』


ニヤニヤ笑いが見えそうな声だ。また僕のことからかってるんだ!わざわざ電話までかけて来てなんだよ!

「…そっちはそうやって楽しんでたらいいじゃないか。用事がそれだけなら切るからね!じゃあ!」


『え!?…ま』

僕は電話を切った。


切ってしまった……。


ツーツーツー。という電話の不通音と、雨音は不思議とよく合って、惨めさ倍増だった。




僕ってやつは…。
電話ででも、「よかったね。誕生日おめでとう」って言ってあげればよかったのに。
なんで、アスカにはこんなに我慢出来なくなるんだ。もし加持さんだったら決してこんなこと言わないだろうな。

惨めだ…。
だからアスカなんて嫌いなんだよ…。

散らばった洗濯物と一緒に、僕も頭を抱えて寝っころがっていた。ふて寝だ。

ふて寝しながら、もし僕がもう少しマシなやつだったら、アスカのために一緒に楽しい誕生日を作ってあげられたんだろうか。とか埒もないことを考えた。

ご馳走作って、友達呼んで、サプライズしてあげたり。感動のプレゼント。

…実際にはこうしてうずくまってるだけだ。さっきの電話できっと怒ってるから、明日の夕方に帰ってくるとして、その後は当分、臨戦状態。
…はあ…。

夜ってこんなに長かったっけ…。

その後、ほんとにそのまま眠ってしまった。



はっ!
気がつけば、夜中だった。「くしゅっ」
うたた寝したせいで冷えたのか、くしゃみした。

今、何時?
携帯を見たら、11:30だったが、それ以上に着信履歴の多さに驚いた。

委員長から。ミサトさんから。アスカからは6件もあった。何事?!目をこすって頭を覚ましてたら、ちょうど着信があった。委員長だった。

「は…はい」

『もしもし!碇君!?良かった、やっと繋がったわ。』

「ごめん、寝ちゃってて…」

『そんなことだと思った。あのね、実はアスカ帰っちゃったの。もう家に着いた?』

「えっ!?まだ帰ってないよ!」

『今、大雨でしょ!だから心配になって電話したの。帰るのやめなさいって何度も止めたのに、どうしても帰るって…。迎えに来て貰いなよって忠告したんだけど、碇君ずっと携帯を無視してるから、アスカますます焦っちゃって…』

「無視って、違うよ!」

『どっちにしろ、迎えに行ってあげたほうが…傘は貸したけど、こんな大雨でしょ。途中でタクシーに乗ったとしても乗るまでにびしょ濡れよ』

「わ…わかった!ありがとう」

携帯を切り、傘を引っつかんだ。
エレベーターを降りマンションの玄関を抜けようとしたら、確かにバケツをひっくり返したような大雨だった。

「うわ…」

思わず躊躇して、タクシーで帰るんなら、このままエントランスで待とうかとも思ったが、なんとなく、もし歩いてたりしたらと胸が騒いだ。傘を開いて踏み出した。

水音で何も聞こえない。滝の裏側に来たみたいな。

帰って来るならこの坂の下だ。気をつけながら歩を進める。
道に小さな川の流れが出来ていてスニーカーを洗う。

街灯が頼りだ。

びちゃっ。ぴちゃっ。

はっ。足音が前から聞こえた。

白い明かりを受けた、黄色いワンピースの細い足が目の前にあった。

「アスカ!」

駆け寄り、荷物を受け取る。

「ごめん、僕、寝ちゃってたんだ…」

「…馬鹿」

「ごめんね、ごめん…」

傘で隠れて顔は見えなかった。

マンションのエントランスに入る。

「大丈夫…?」

振り向いて、目のやりどこに困った。
白く明るい人工光の下、アスカの身体にぴったりワンピースが張り付いている。

アスカは傘を閉じない。赤い傘を開いて顔を隠したままだ。室内なのに。傘からも雫がぽたぽたと垂れる。

「か…傘を、閉じないと…」

「……。」

何故か心臓がドキドキしはじめた。


もしかして…もしかして泣いてる?


僕に、僕に無視されたって思って、焦って、雨の中濡れて帰って来て…。


スカートから雫が垂れ、白い脚を水が伝っている。

君の体にドキドキしてるだけじゃない。

アスカの顔は、見えない。

もし、もしそうなら、僕は…。

傘で顔を隠したまんまのアスカを、思いきり抱きしめたい衝動をこらえた。


そしたら
「…何て言うの?」

「え?」

「こういうとき、何て言うの?」

かすれた声で質問された。

「…えーと…『ごめん』…?」


「馬鹿シンジ。アレを見なさい」

人差し指でビシッと壁を指された。備えつけの時計が零時過ぎを指していた。

「ここは、葛城邸ではないから、問題ないわよね」


「……誕生日、おめでとう……アスカ…」


そしたら傘を傾けて、濡れた頬のまま僕に満面の笑顔を見せたアスカがどれだけ可愛いかったかって?


誰にも教えたりしない!




家に帰って、シャワーを浴びたアスカは、すっかり元気になって、同時に怒り出した。
本当は電話させようと思ってたらしい。零時になったら、僕にお祝いを言わせようって。

でも、全然そうならなかったから、腹が立ってしかたなくなって、それから…。
それから本気で不安になったの?って聞いたらパチン!てはたかれた。

アスカが洞木さん姉妹と作ったっていう料理を二人で食べてたら、濡れたケーキの箱を持ったミサトさんがそーっと帰ってきたことは、まあまあ僕の想定の範囲内だった。


今回、こんなになった原因はひとつだと思う。次の誕生日は、一緒に迎えようね。

僕がいる理由。
僕が戦う理由。

君の誕生日でもいい。

---------------------------
誕生日編ー。20いってしまった。月日のたつのは早いですね。


[411] 題名: 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年12月01日 (水) 23時00分

しまったー修正せずにUPしてしまった。。


[410] 題名:あの子のことが僕は嫌い 19.君は特別 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年12月01日 (水) 22時02分

「こないだの、落下する使徒を受け止めた、三人のコンビネーションは素晴らしかったですね」

オペレーター席で、コーヒーを飲みながら、伊吹さん達とおしゃべりをしていた。

「作戦終了後にラーメンを食べにいったのも良い感じだったわ。もっと三人との信頼関係をしっかり固められたらいいんだけど…」

「そーいうことなら!」

「わっ。な…何よ日向くん」

少し離れた自席にいた日向くんが、椅子に座ったままガーッとローリング移動してきた。あたしを轢く気?

「あのですね、僕の田舎の友人が、兄弟多かったんですよ。全員親に常にフォローしてもらうなんて無理じゃないですか。でね、たまに親が、自分だけ喫茶店とかに連れて行ってくれたんですって。そして、『今日はお前だけだからな。他の兄弟にはナイショだぞ』って言われるんです。それだけで、ああ自分は1番大切に思われてる。特別なんだ。って満たされたんですって。」

「はあ…」

「でね、大人になってみたら、結局兄弟全員それをして貰ってて、親の作戦勝ちだったって話なんですけど、ちょっとちゃんと聞いて下さいよ!」

「何が言いたいのかわからないわよ!」

「だから、葛城さんがそれをチルドレンに対してするんですよ!あなたは特別よ、信頼しているわ、他の子には内緒よ。って伝えるんです」

「成程ね、チルドレン同士の連携というより、葛城さんとパイロットというタテの関係が強化されるわけか」
青葉くんがうなずく。

「そんなうまくいく?」

伊吹さんが小首をかしげる。
だがあたしは、あたしとのタテの関係を強化するという魅惑の響きに抗えなかった。

※〜※〜※

「シンジ君、美味しい?」

「…はい!でも、いいんですか?こんなに…」

「いーの、いーの。ここ、ご飯と味噌汁オカワリ自由だから、好きなだけ食べなさい」

ビールジョッキをあおりながら答える。あたしの行きつけの居酒屋だけど、定食もいけるのよ。
シンジ君、最近いい食べっぷりになってきたわね。男の子らしいわ。アスカとおかずの取り合いしてるからかしら。

「…ごちそうさまでした!」

「満足した?」

「はい!お腹いっぱいですこの唐揚げとか、すごく美味しかったです」

「そ、よかったわ〜!あ、今日のこと、アスカには内緒よ!いつも頑張ってくれてるからシンちゃんだけ特別のご褒美よん!」

「…!」

お腹をさすってたシンちゃんの頬が赤らむ。嬉しそうね。かわいいじゃない。やば。コレ癖になったらどうしよ〜。

「…」

ポーッとしてたシンちゃんだけど、眉をひそめて考えるような顔になった。

「あの、アスカの分は…」

「ん?今日ぐらいありあわせでなんとかなるでしょ。」


「…ミサトさん。今日食べた料理、僕とっても美味しかったです。だから、アスカにも食べさせたいです。いけませんか。お願いします。」

「………。」

結局、アスカの分の折り詰め弁当をオーダーして、お持ち帰りした。

「あ、彩波にも、ここの何かをお土産にしていいですか?レトルトのやつ。」

「あは、あはは…いいんじゃない別に」

「ありがとうございます!」



「お支払いはカードでよろしいですか?」

※〜※〜※

ま、シンちゃんは優しいからね…。その点、アスカはエリート意識が強いし、プライド高いから特別って言葉に弱いと見たわ。

「どう?美味しい?アスカ。」

「そうね…まあまあね。はむ」

「まあまあって、ここのパティシェは一流なんでしょ。わざわざ郊外のこの店まで車飛ばして連れてきてあげたのに」

「だって、最初はあんなダサい喫茶店に連れて行こうとするから、こっちがいいって言っただけじゃない!」

ちなみにこの店、味も一流。値段も一流。確かに美味しいけどさ。でもあたしは、もうちょっとこう、ホットケーキとかカステラとか甘食みたいな懐かしい味のケーキでいいんじゃないかなーって思ってたわけよ。お値段的にも。

「紅茶、おいし〜…」

「そ、よかったわ!今日は、アスカだけ特別サービスよ。他の二人には内緒ね。」

「…何か悪だくみしてる?」

「い、いつも頑張ってくれてるからご褒美よ!ごほうび!」

「ふ…ふーん。ま、当然よね!何たってあたしはエースだもん」

「そうそう。その意気よ。さ、じゃそろそろ帰ろうか」

「待って。シンジの分も買わなきゃ」

「あんた人の話聞いてた!?」

「えーっ!だって…こんな美味しいケーキ、シンジだって食べたいに決まってるじゃん!あ、しょうがないからファーストにも。あ、ペンペンの分も」

…本音はそうやってポロッとこぼすのがアスカなのね。美味しかったんなら最初からそう言いなさい…。
損な子。

「あと、あたしがおうちでシンジと食べるケーキも買ってよね?」

前言撤回。
あんたは地球が破裂しても生き残るわ。

※〜※〜※

「レイ、テスト終わったのね。食堂にいらっしゃい」

「なんでしょうか?」

「これ、あげるわ。いつも頑張ってくれてるからご褒美。伊吹さんが取り寄せた京都の老舗の抹茶ゼリーだって。」

「……」

「ここで食べてもいいのよ」

「…はい」

誰もいない食堂で、向かい合って座る。食べるところを見られるのも嫌だろうから、視線を窓の方に向ける。ここにやってくる陽射しはみんな柔らかい。曇りの日の雲ごしの日光のようだ。
美味しくもない食堂のお茶をすすりながらボンヤリしていたら、レイがむせるのに気がついた。

「…ケホッ、ケホッ、ハー…」

「…どしたの?大丈夫?」

「息を」

「はい?」

「…息を吸うのを忘れていました」

「………ぷぷっ!そ、そんなに必死にならなくても。気に入った?」

「はい」

こっくりうなずく。

「こういうものを、食べたことはありません」

「そう…誰もとらないからゆっくり味わって食べなさいよ」

「…?もし、とるとしたら、葛城三佐しかとる人はここにはいません」

「だからとらないっての!…美味しい?」

「おいしい…。はい。これはおいしいです。」

レイが小さな口にクリームをスプーンで運び終えるのを見ながら、定型化したセリフを言うことにする。

「…いつも頑張ってくれてるから、今日はレイにだけ特別サービスよ。他の二人には内緒の、あたしのご褒美。」

「…」

じっとあたしの目を見る。

「あ…ありがとう」

そのあと、シンジくんそっくりの眉のひそめかたをした。この二人はなんだか似ている。

「…でも、碇君とセカンドにも…」

「そう。皆まで言わなくてもいいわ。

実はね。ここにあと二つあるの。レイから二人に渡してあげなさい。ネルフの冷蔵庫に入れておけばいいから。」


そう言って座席の横に置いていた白いポリ袋を手渡した。

「…ありがとう…ございます……」


※〜※〜※

「第一の問題点。あの三人は14歳だった。もし、8歳ぐらいの子供だったら、ミサトの作戦もうまく行ったかもしれないわね。社会性がありすぎたわ。」

「ほー。で、第二は?」

「第二は、ミサトはあの三人の親じゃないから。」

「……」

「日向君の友人が、内緒の約束を他の兄弟にばらさずに守り続けたのは、誰よりも大好きな親との約束だったからよ。信じていたい約束だから、破られることがなかった。…と推理するわ」

「所詮は他人か…。わかってるつもりだけどさ〜。いじけちゃうな。」

「悪いことばっかりじゃないじゃない?ある意味感動的よ。」

「何が感動的よ!こんなことなら三人まとめてどっかに連れて行った方がよっぽど安く上がったわよ!」


「第三に、日向君の言うことを真に受けてしまった…。以上、三つの敗因。いかが?」

「第三の理由は、言われなくてもわかってるわ!」


「…葛城さぁん!どうでしたか!あの作戦…」

バタバタと日向君がこっちに走ってきた。こいつ、シンちゃんとは別の意味で犬みたいだわね…。

パンダ犬。ってとこかしら?
眼鏡がさ。


[409] 題名:何処さん 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年12月01日 (水) 21時55分

毎度の消毒ですね。どもです。
キリ番リクエスト作品、私がリクエストしたんじゃないですよね?過去は覚えていないタチなので… オチかわいいw


[408] 題名:ごまめさん遅れてすんません。 名前:何処 MAIL URL 投稿日:2010年11月29日 (月) 23時58分

キリ番リクエスト作品

【三人揃えば…】

「これ?」
「ええ、三馬鹿の学祭漫才大会練習風景VTR。シンジが隠してたわ。」
「どんなのかしら…鈴原も教えてくれないのよね…」「ま、どーせ大したもんじゃ無いわ。」
「あの…いいんですか?勝手に持ち出したりして…」
「マユミ…そう言いながら何プレーヤーにセットしてるのよ…」
「じゃあ再生…」
「あ、綾波さん!?」


『トウジでーす!』
『シ…シンジです』
『南春夫で』
スパーン!

『トウジ!未だ名乗り終わって無いぞ!』
『じゃかしぃわ!ええ加減他のネタ無いんか!』
『い、いやトウジお約束だし』
『あかん!シンジええかキサン甘いんや!』
『甘い?』
『そうか!お客様の期待の通りじゃ未だ甘いんだ!』
『おお、ケンスケよう判っとるやないけ、ほなもう一回や!』
『え?あの』
『行くぜトウジ!』
『おう、来いやケンスケ!』
『あ、いやだから』

『どーも〜!トウジでぇーす!』
『え?あ、シンジです』
『坂本竜馬で』
スパーン!
『あ。』

『…脳までやられた…わしゃもうあかんわ…』
『竜馬!畜生誰がこないな事を!』
『い、いやトウジ自分で』
『竜馬ぁ!日本の夜明けは直ぐそこや!死んだらあかん!』
『い、いやだから』
『ワシが死んだら後は頼むぜい…』
『死ぬな竜馬ぁ〜!』
『だ、だからあの』
『さらばじゃ…』
『竜馬ー!』
『あ、あのさ』
『…どや、こんなんでええか?』
『んー、もう少し捻りが欲しいな…』
『…は?』
『捻りがのう…』
『んー、やっぱり歴史ネタはくどいよな…』
『あ、あの』
『よっしゃもう一回や』
『おっし来い!』
『え?』

『トウジでーす!』
『…シンジです…』
『木村拓』
スパパーン!

『…む〜、今一やな…』
『一寸タイミング早かった…』
『なぁ…今本気でどつかなかったか?』
『気のせいや。』
『ね、もういい加減止めない二人共…』
『何やセンセ乗り悪いのう、もう一回だけ、もう一回だけや!』
『はぁ…トウジも好きだねぇ…じゃ一寸だけだよ…』
『イテテ…じゃ今度は…』

『トウジでーす!』
『シンジです!』
『碇アスカで』
撲ッ

『はぁ、はぁ、はぁ…』
『うわぁ…モロドタマどつきおった…』
『ま…マジ痛い…』
『い…今のは僕悪く無い、こ、この台詞はケンスケが言っちゃいけなかったんだ言っちゃいけなかったんだ…』
『…へっ…い、いいパンチだったぜ…』
『ケンスケ…そこまでネタに身を捧ぐたぁ、お前は最高の相棒や!』


「…馬鹿ばっか…」
「…綾波さん、突っ込みキツい…」
「マユミもそう思う?…あれ?洞木さんアスカは?」
「え?あら?いつもなら真っ先に…」

「…」

「“見た?”」「“見た見た”」「“耳まで真っ赤”」「?発熱?」

「…(碇アスカ碇アスカ碇アスカ碇アスカ碇アスカ碇アスカ碇アスカ碇アスカ碇アスカ…)…」

「ねねね、皆一寸耳貸して。」「え?」「?」「霧島さん何?」「いいから…ゴニョゴニョ…」
「…ぷっ!」「…了解…」「クスクス…」
「じゃあ、せーの…」

「「「「どぉしたのぉ碇アスカさぁん?」」」」

「は、はぃいっ!」

「へー、ほぉ〜。」「成る程ぉ」「いかり」「あすかねぇ」

「え?うぇっ!?い、いやあ、あのあのあ、あ、う、え、あ、あ、ぁぁぁ…」

「ぷっ!」「クククッ!」「クスクス…」「な、何皆で…プククッ!」

「な!?なな何よみ皆でばばばばっ!バ、バッカじゃなななな!」

「「「「クスクスクスクス…」」」」


[407] 題名:銀世界さん 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年11月28日 (日) 17時15分

「ヘレンちゃん」ってそんなに長引かせるつもりなかったんだけど、クレームなければ続けます。ケンスケ役って誰だろう・・w


[406] 題名:AEOE@WEST 11  LOVEできるかな 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年11月28日 (日) 17時00分

※これはギャグ※お笑い※シリアスでスタティックな方は読まんでええ※60歳〜70歳のばあちゃん二人の会話文で進行します※登場人物 トンちゃん(トウジ)の祖母とその友達のおばあさん。お客さんのジン君(シンジ)と、ジン君を追いかけてきたヘレンちゃん(アスカ)。カラオケ喫茶のボーイをやってる花畑ミツル(本名、青葉シゲル)※一応連載※「誰にも喜ばれないSS」※読んだ人が悪い※


それにしても、困ったなぁ。困った。こまった。はてさてほほーや。

何、それ。

ちゃうねん。
ヘレンちゃんのことやけどな、あの子、女の子やろ。

見たらわかるわ。あれで男やったらびっくり仰天や。はるなちゃんに名前変えにゃ

まぜっ返さんといて。
で、うちにおるのはトンちゃんと、ジン君やろ。やっぱりこの年頃の男女を一つ屋根の下に置くいうのは問題ある。それにジン君とヘレンちゃんは付き合っとるんかしらんけど、そんなややこしいもん、うち、ようさわらんで。

せやったら、帰ってもらわなしゃあないやん。

実はな、そう言うてん。
あんたが男の子やったら別にジン君と一緒におってくれてもかまわんけど、女の子や。
彼氏を追い掛けてきたんかしらんけど、近いうちに出てってくれって。親のとこにおった方がええって。
あの子「はい。わかりました。ごもっともです。」って了承してん。そしたら、ジン君が襖を開けて転がり出てきてな。「アスカ!出ていくってどこに!?どこに帰るつもりなの!」って詰め寄ってん。

ほう、ほう。

そしたら、「あんたに関係ないでしょ!」ってまたジン君にキツい言い方しよってんけど、うちも気になったからな、つい聞いてしもうてん。「あんた、ここ出てどこ行く気?」って。
そしたらな、うちの予想どおり、やっぱり行くとこないねんて。
多分このままやったら国に、外国やで。送還されて、二度と日本に来ること無いやろうって。
だからその前にジン君のとこ来て、一発殴ってやってから去ろうと思っててんて。

一発どころか百発ぐらい殴ってるみたいやけどな。

ほんまやな。で
ジン君が、「そんな、第三東京のネルフは」とかしきりに質問しとったけど、「あんなとこにあたしの居場所はない。最後の決戦で惨めに敗北した人間が今更、同情されてあそこで生きるつもりないわ!」みたいなことを言うてたわ。
ジン君がまたなんやわあわあ言うてたけど、多分な、あの子意地悪されてたんやと思うわ。

意地悪って何ぇ。

だってそうやんか。
何の試合に負けたんかは知らんけど、勝負に負けたことと、居場所があることは別の問題やんか。
あんなわけのわからん怪我したのにやで。あの子は自分から捨ててやったんや!って言うけど、ほんまはとてもおられんような雰囲気にされたんちゃうかと思うわ。


はー。何の試合やろうかな。ということはあの子、スポーツ選手か。

きっとそうやわ。
ジン君に、「ぽっと出のあんたと違って、あたしは四歳からえバーに乗ってたんだからね!」とか言うとったもん。

エ婆ぁ?

バー言うたら、棒やろ。
鉄棒のことちゃう。

せやったらあの子、体操選手か。四歳のときから、ということはあれや。オリンピックでも目指してたんやろかな。

きっとそうやわ。大怪我するのも合点が行くわ。
いい成績とれんかったからって放逐するとは、スポーツの世界言うのはほんまに厳しいなぁ。
外国からわざわざ呼ばれたんやろ。

それで、ヘレンちゃんはもう自分には生きる価値がないと思い込んでもうてるわけか。

その気持ちもわからんではないけどな。
そんな小さいうちからずっと打ち込んでたもんでくじけたら、生きる目標を失ったみたいになって、落ち込むわ。当たり前やっちゅうねん。
そんな選手のケアをするのもな、スポーツ指導のうちとちゃいますか!!なあ!

うちに怒っても、んなもんしゃーないがな。

怒ってへんわ。

めっさ怒っとるわ。

とにかくやな。そんな気の毒な事情もあるんか。しかも外国に行くんやったら、この子ら離ればなれか。
どないしょーかなーって思ってたら、ジン君がやな。いきなりうちに土下座しよるん。

へー!

んでな、「トウジのおばあさん!アスカの代わりに僕が出ていきます。だから、アスカは、アスカだけは追い出さないで下さい!」って頭下げて来てん。

そんなん言うたかて、シンジ君はどこに行くねん。

せやろ。
そしたら、「僕は、大丈夫です。実は家出は何回か経験済みで、野宿もしたことあるんです。」って妙に自信満々やねん。

そういう問題か?
それに、ジン君がおらんのやったら、ヘレンちゃんがあんたのとこにおる意味ないやないか。

そのとおりや。
そんなん、ただのホームステイやがな。
またうちの孫がやなあ。「二人を追い出すんやったら、ばあちゃん、わしが出て行くわ!」って言い出してん。

トンちゃん、このウチの子やないか。

せやろ。何で自分の孫追い出して、よその子供二人住まわせなあかんねん。意味わからんわ。

難儀やなあ。

難儀やわ。なんやねん。結局子供らで共謀しよるわ。でな。
結局、
「おばあさんが心配するようなことには僕たち絶対なりません。アスカを傷つけるようなことを、僕は絶対しません」とジン君が約束して、ヘレンちゃんにも
「ほら、アスカからもちゃんとお願いするんだ。よろしくお願いしますって。」
って諭したらやな、ヘレンちゃんなんやもごもご言うてたけど、
「もう少しだけ、いさせて下さい」ってはっきり言うてん。

そうなん。

しゃあないわ。そのかわり、わけのわからん喧嘩しよったら、うちは容赦なく叩き出すからな。
トンちゃん、あんたもやで!

なんやねん急に。わかっとるわ。
わし、麦茶飲みに通りかかっただけやのに、なんで叱られんねん。


それにしてもそろそろ、包帯巻き終えるかしら。

ヘレンちゃんかわいそうになあ。
医者はな、この怪我はもう治ったようなもんやから、包帯はいらんでって言うてるのに、あの子、この包帯とったらあかん、巻いとかなあかんの。絶対とらへんから!って言いはって、とろうとせえへんねん…。
医者は、心の病かもしれんから、また来なさい。言うとったな。

気丈にふるまってるけどほんまは怖いことだらけなんかな。

ミツルちゃんが、またなんか急に現れて、せやったら近所にええ病院が出来たから、そこに連れて行ったらええですよ。ってアドバイスしたからまた連れて行くわ。

あの子いっつもウロウロしとんな。大丈夫なんか?



ヘレンちゃんは、包帯巻き直すのも、必ずシンジ君にさすねんな。白い腕に一生懸命、包帯巻いて、いじらしい。

でも変な気おこされても困るから、こうして見張ってんねんけど。


…起こさへんな。


…起こさへんわ。


…ほんまになあ。(←孫)



スラッ
(襖が、開いた。)

「アスカの包帯巻き終わりました。」って、あらジン君。ご苦労さん。

全部丸聞こえでしたよ。なんぼ鈍い僕でも気がつきますわ!って、いやそんな。

ほんとは、変な気起こしてほしいんですか!って、そんなこと、あらへんよ?!なぁ!

ところでジン君、あんたもヘレンちゃんと一緒にくるくる回ったり、跳ねる練習してたんか?

そうです。そんなこともありました。どうして知ってるんですか?やって。

ほらな。ウチの言うことに間違いはないねん。
選手や。
コマネチやな。


※これギャグ※お笑い※それにしてもオカマほど世の流れにうつろいやすいものはないよね。一応はるなちゃんってしたけどさ※エ婆ァ※「婆」という漢字は「波の女」と書きますね。あっ。※綾波。式波。真希波。「…波女」。あぁっ。まさかっ…エヴァンゲリオンの核心に近づいたか※プラグスーツ着た女子は全員コマネチ※なんかもうどうでもいい※読んだ人が悪い※


[405] 題名:『眼鏡眼鏡〜』はゲンドウにやらせたかった。 名前:何処 MAIL URL 投稿日:2010年11月27日 (土) 21時38分

【綾波さん、すっとばす世界の料理ショー】

「ヘイスティーブ、もう番組は始まっ…何お客さん口説いてんだよ、…おいスティーブ、だから…え?好きにやれ?オーケー好きにやらせてもらうさ。ハーイ本日は葛城邸から生放送だ。綾波レイの世界の料理ショー、始まるぞ。イェーイ。」

「「「「…は?」」」」

「その…いつもの調子で淡々と“イェーイ”って言われても…」

「て言うか…」

「…ね、ねえレイ、その…」

「…スティーブって…誰?」

「…再放送の料理番組に出てくるディレクター…」

「「「「?」」」」

「リツコ知ってる?」

「さ、さあ…」

「ね、ねえシンジ、レイは一体何を言ってるの?」

「わ、解んないよ…なんか悪い物でも食べ…」

「「「まさか…」」」

「…何であたしを皆で見るのよ!」

「だ、だって」「ねえ?」「…よね?」「「うんうん。」」

「…先ずは形から入ってみました…」

「形って…」

「…先ずはこれが世界の三大料理の一つを真似た、トムヤム味噌汁だ。」

「げっ!?」「司令!?」「…父さんまで…」「…い、一体何事!?」

「…ミサトが料理なんかするから…」

「あ。」「成る程。」「シンちゃん、アスカ…なーに納得してんのよ…」「不様ね…」

「赤木博士…葛城君が何故一応は食べられる物を作れるようになったか、理由を説明しよう。」

「へ!?」「は!?」「知っているのですか碇司令!?」「一応って…ぶちぶち…」

「レイ、葛城君に例の物を。」「はい。」

「ん?」「エビチュ?」
「エビチュね…」

「あ、い、いえ司令、私今はアルコールはちょっち…」

「「「ええええー――っっ!?!!」」」

「ミミミミサトさん、ダダダ大丈夫ですか!?」
「た、大変よシンジ!すす直ぐに救急車救急車!」
「ななな何ですって!?あ…あり得ない…あり得ないわ…有る筈が…あぁ誰かミサトを助けて…」

「碇君…アスカ…赤木博士…ミサトさん泣いてます…では碇司令、解説を…」

「…つまりだ、彼女はアルコールによって味覚を麻痺させていたのだ。」

「あ!」「成る程!」「道理で…」
「…何で?何で皆納得するのょぅ…シクシク…」

「後は私が…アルコールを抜いた状態ならばまともに舌が機能する筈…私は葛城三佐にそう進言したの。」

「…アル中になりたくはなかったからこの機会に一月程禁酒してたんだけど…」
「後は皆知っての通りだ。第二東大次席の肩書きは伊達ではなかったな。」

「でも…」「何でまた…」「…ミサトが禁酒ねぇ…」
「…何故?私がちょっち肝臓を労る位でなんで皆騒ぐ訳!?」

「「「当然でしょ。」」」「…同意します…」「…ふっ…」

「…シクシクシクシク…」

◇◆◇


「…で?碇、何故葛城君の後任を探さねばならんのだ?」

「…彼女はおそらく休職するだろう…半年程。」

「む?」

「禁酒、味覚嗜好の変化、そして家事参加行動…」

「…!?まさか碇!?」

「確証は無い…だが発覚してから慌てるより早めに準備はしておくに越した事は無い…」

「…そうだな…しかし碇、良く気付いたな?」

「…葛城君の雰囲気があの頃のユイに似てきた…」

「…そうか…」

「…冬月、では後を頼む。」

「ああ…ユイ君に宜しくな…」


◇◆◇


「ユイ、新しい命が育まれる…新しい時代が再び巡る…」

プシュ!

「…君も飲め…君が守った世界だ。祝杯を揚げよう…ありがとう、ユイ…」

タプタプタプ…


『まぁあなた、私を酔わせてどうするの?』


「…ふっ…」


◇◆◇


「誰だぁ!?初号機のゲージにビールなんか持ち込んだ奴はぁ!」
「片せ片せ!こんな物司令に見付かったら大目玉だぞ!」
「あぁあぁ溢しやがって…誰か雑巾と消臭剤持ってこい!」


『…ごめんなさい…ヒック。』


「あ?今誰か何か言ったかぁ?」「何か聞こえましたよね?」「へ?そうかぁ?」

「主任!モップと消臭剤持って来ましたっす!」
「おうし、とっとと掃除するぞ!」「「へ〜い」」


[404] 題名:お弁当にまつわるボーイズトーク ――チルドレンの愛した数式 名前:銀世界 MAIL URL 投稿日:2010年11月23日 (火) 23時06分

ごまめさんのおかげで、西川夫妻がシンジとアスカにしか見えなくなってきました。
本日、関西ローカルで目撃した夫妻のエピも、シンジとアスカおよびケンスケで脳内再生されましたとも。
それにしてもトウジが入ると、真面目な話しても深刻にならんで良いですな。

############################

「なぁ、ごぉえっくすひくななわにぃえっくすたすごぉって、どないすればええんや?」

鈴原トウジの謎の問いに、碇シンジと渚カヲルはぴたりと手を止めた。
現在、チルドレンのための終日訓練の日の昼休み。
要するに弁当タイム。
それなのに。

「ト・・・トウジ、何言ってるのさ?」
「えっくす・・・エックスと言えば方程式だけど・・・まさかね、トウジ君だしね・・・」
「いや、カヲルの言う通り方程式っちゅうやつやで?」

2人の混乱した様子に構わず、トウジは改めて聞く。

「せやから、『5x−7=2x+5』ってどないしたらわかんねん」

トウジが、1文字の単語を長音化させる関西弁独特の発音で改めて尋ねた。

「あ、あのさ、トウジ・・・方程式では『は』じゃなくて『イコール』だよ?」
「ほぅ、イコールか、おおきにシンジ」

違う・・・僕は、こんなことを指摘したいんじゃない・・・。

「トウジ君・・・一体どうしたんだい?
 君が弁当箱を開けることなく、食べ物じゃなくて方程式を口にするなんて・・・。
 どこか具合が悪いんじゃないのかい?」
「そ、そうだよトウジ、熱でもあるんじゃないの?!」
「何や、失礼な奴らやのう! ワイは見ての通りピンピンしとるわ!!」

トウジはむっとした顔で、持っていた紙をぺらっと見せた。

「この方程式を順番に解いてって、こっちの表にある字を拾て行ったらやな、暗号になっとって、その・・・」

紙には、いくつかの方程式と、数字とひらがなを対応させた表が書いてあった。

「い・・・委員長からの(愛の)メッセージが読めるねん」
「・・・そうなんだ」
「考えたね、洞木さん・・・」

シンジとカヲルはようやく納得した。

エヴァパイロットのチルドレン達のデータ管理を預かる赤木リツコによって、委員長こと洞木ヒカリに弁当の効能が伝えられて以降。
ヒカリはトウジのやる気が出るようにと、弁当に手紙を添え始めた。
最初こそ短いラブレターと言った風情だったが、同じ文章を書くのもどうかと思ったのだろうか。
栄養バランスやら何やら、その日の弁当の配慮ポイントが記されるようになった。
それが意外な効果を生んだのが、先日の定期テストだった。
トウジの学業成績が、国語の漢字書き取り及び家庭科の筆記で大幅に伸びたのである。
ヒカリの手紙を読むために字引と格闘したり、弁当でのヒカリの配慮を常に心に置いたりした結果だった。
その展開に大いに気を良くしたヒカリは、今度は数学に手を伸ばした――ということらしい。

「シンクロ率とかだけじゃなくて、学校の成績まで委員長にかかってるんだね、トウジ・・・」
「直接言うよりも効果が上がっているみたいだしね。
 暗号はいいねぇ・・・リリンが生んだ文化の極みだよ」

シンジは半ば呆れて、カヲルは楽しげに、眉間に皺を寄せて方程式と格闘するトウジを見た。
カヲルは自分の名前が暗号みたいなものなので、暗号に親近感があるのかもしれない。
それにしても・・・

(委員長、数学が終わった後は、理科や社会の用語でまた暗号作る気かな)

アメーバやゾウリムシや蘇我入鹿や田沼意次とともに弁当を食べる・・・あまり楽しそうではないな、とシンジは思った。

「あ、トウジ君、そこは足すんじゃなくて引かないと」
「ほんまや、で・・・次は両方を・・・3で割ったらええんか」

その間に、トウジはカヲルの助けを借りつつ、方程式を解いていった。

「終わった・・・出来たでシンジ! 感謝するで、カヲル!
 これで読めるんや・・・」
「えっと・・・おめでとう」

メッセージの分量的に、それだけ時間をかけたに見合う長さとは言い難いと思うが・・・。
そんなことを言って幸せに水を差す気はシンジもない。

「方程式はいいねぇ・・・リリンが生んだ文化の極みだよ」
「カ・・・カヲル君・・・」

これは水を差さなくては。
シンジは決して勉強が苦手な方ではない。
が、ごく一般的な感覚を持つ中学生としては、異議を表明しておきたかった。

「カヲル・・・」

トウジが先に口を開いた。
うん、そうだよね、さっさとツッコんでよトウジ!

「ワイは今、猛烈にお前に賛成したい気分や!!」

そんなぁ・・・。

「だよね、方程式を作った人は、好意に値すると思うんだ!」
「おう、方程式には、漢のロマンっちゅうモンが溢れとるで」

数学者が聞いたら涙して喜びそうな言葉だが、別に方程式の本質を称えているわけでも何でもない。
これは止めないといけない、とシンジは思った。
しかし。

(熱く語り合ってるよ、2人とも・・・)

本来、異を唱えるのはシンジの得意ではない。
カヲルがピントのズレたことを言った時も、笑って流すことが多いのだ。
そうこうするうちに、トウジがツッコミを展開するのが常だった。
しかし今は、トウジがカヲルに賛同したおかげで、ツッコミ要員が不在である。
止められるのは、シンジだけ。

(逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ・・・)

方程式が文化の極みにして漢のロマンだなんて、どう考えても受け入れられない。
しかし。

「なあ、シンジ!」
「ねえ、シンジ君! 君もそう思うよね?」
「お前かてそない思うやろ?」

ユニゾンで同意を求められた。
こういう時は――

「うん・・・ははは・・・」

笑えばいいと思うよ。

(やっぱり反論って苦手だ)

遠い目をしてシンジは内心で呟いた。
ふと、遠くに、自分の父親にしてNERV総司令の碇ゲンドウの姿が見えた。

(父さん・・・僕にはこの2人が同時にボケに走ると荷が重いです・・・)

訴えるような眼差しを投げかけたのだが・・・。

「いいのか碇、シンジ君が何か言いたそうにしてるぞ」
「ふ・・・問題ない」

(問題・・・あり過ぎだよぅ・・・)

内心で呻き声を上げたシンジだが、ふと手元に目が留まる。
そうだ、今日は月曜日だった。

(周りの事なんか気にしないで、アスカのお弁当を楽しむことだけを考えよう)

ミニハンバーグとミートボールが同居している無理のある献立ではあるが。
シンジが幸せに浸るには十分だった。
いつしか、トウジとカヲルも静かになっている。

「弁当はええのぉ・・・」

満足気に金時豆をつまんでいるトウジの呟きに、カヲルが野菜コロッケを眺めながら微笑んで答えた。

「リリンが生んだ文化の極みだよね・・・」

それから2人は満面の笑みでシンジを見た。

「ねえ、シンジ君」
「なあ、シンジ、お前かてそない思うやろ?」
「君もそう思うよね?」

今度はシンジも、問題なく同意することが出来たのだった。

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1文字単語を長音発音は、関西人自身があまり知らない関西人の見分け方です(私も、大学の言語学の授業で聞いて初めて知りました)。
言われてみれば、関西人は「蚊が飛んでる」を「カァがとんでる」と発音します。
トウジの関西弁は厳密には「河内弁」なんですが、私が関西弁圏ではあるものの河内弁圏じゃないので、やっぱり微妙にニセモノ臭いと思います。
いやそれよりも、シンジのあの台詞をギャグ場面に転用してホンマすいません(大汗)。

今回の3人の立ち位置は、それぞれの彼女の立ち位置とほぼ一致してるんですが・・・(レイ&カヲル=暴走、ヒカリ&トウジ=ツッコむはずがつられて暴走、アスカ&シンジ=常識人)。
これは書く時の癖なんですけど(メタ構造意識して書いちゃう)、そうなるとペアのいない某眼鏡少年の扱いは本当に困ります。




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