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Gehen wir!「小話掲示板」へようこそ。
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[433] 題名:あるいはそれさえも平和の証な日常 名前:何処 MAIL URL 投稿日:2011年01月15日 (土) 07時03分

「狂言回し…トリックスター…ガチホモ…バイ…」

「どうした渚?」

「相田君か…最近の僕の扱いについて考えてるのさ…」

「?何だそれ?」

「どうも僕を変態扱いするリリンが多いらしくてねぇ…」

「…その際立つ個性と妖しい言動が輪をかけてるんだろうなぁ…」

「?僕はそんなに個性的なのかな?」

「はっ、やれやれ…この無自覚さは流石碇の仲間だよな…」

「うーん…シンジ君の場合は無自覚ってより無関心だからねぇ…」

「無関心は綾波じゃないか?」

「いやいや、あれでいて彼女は結構…只表に出ないだけだから。」

「惣流は隠し事苦手だよな。考えてる事ダダ漏れだし。」

「それに気付かないシンジ君の無関心さが稀に怖いけどね…」


◆◇◆


「あら?相田君と渚君が話してるわ?」

「めっづらしーわねー。」

「(…その手か…よし、渚×相田で碇が割り込むってストーリーなら…次の新刊はこれで!)」

「「ハクション!!」」


[432] 題名:ザ・天然災害 名前:銀世界 MAIL URL 投稿日:2011年01月04日 (火) 23時37分

新年の投稿で出せなかったキャラを出してみよう企画。

******************************

「ケンスケー」

聞き慣れた声に呼びかけられ、ケンスケは驚いて振り返った。

「何だ、シンジじゃないか、どうしたんだよ、こんな所に」

驚くのも無理はない。
ケンスケはサバイバルゲームの練習中、つまり1人キャンプの真っ最中。
場所は大体決まっているから、友人達なら確かにいきなり訪ねて来ることは可能だろう。
が、普通は、わざわざ足場の悪い所に好き好んで来たりはしない。

「家出して来たんだ。
 今度こそ、アスカが謝るまで、僕は帰らないぞっ!」
「振袖のこと、まだ怒ってるのか?」

元日に、結局シンジはアスカとお揃いの振袖を着させられた。
ケンスケとしては、またとない収入源確保、とホクホクものでカメラをフル活用したのだが。
シンジの振袖姿はかわいい、と、女子の写真購入が殺到する様子が目に浮かぶようだ。

「あれは嫌だったけど、アスカはドイツ育ちだから仕方がないと諦めたよ。
 問題は今日の夕食だよ!
 アスカが、お節料理に飽きたから、ハンバーグを食べたいって言ったんだ。
 でも、お節ってあれでかなり濃い味付けだから、あっさり目の方が体にいいと思ったんだよ。
 そしたら、アスカってば、『邪道よっ!』なんて言うんだ!!
 僕の渾身のレシピ、おろしポン酢ハンバーグのことをっ!!!!!」
「・・・いや、それより、振袖の件を怒った方がいいんじゃないか?」
「ケンスケは料理人の気持ちわからないんだよ!!」

シンジは、いつになく興奮している。

「だったらオレの所に来ることないじゃないか。
 委員長にでも相談しろよ」
「一瞬、そう思ったんだけど、今日、トウジが『委員長ん家で家族揃って鍋パーティする』って言ってたの思い出してさ。
 邪魔したら悪いな、と思って」

はぁ、なるほど、それでトウジの所にも行かなかったのか。
ここに来るよりはよっぽど、奴の家の方が辿り着きやすいはずだけど。
いや、そもそも・・・

「カヲルん家が1番近くじゃなかったっけか」
「そうなんだけどさ・・・カヲル君、今日、綾波を『ベジタブルカフェ』ってのに誘ってたから、やっぱり邪魔したら悪いな、って」

・・・なぜ幸せな連中に気を遣ってるんだ、シンジ・・・。

「ケンスケは、サバイバルゲームの訓練するって言ってたからさ、絶対1人じゃないか。
 だから、誰かとの時間を邪魔することないし、安心して来たんだ」

ぶちっ。

(天然だったら許されると思うなよ、シンジぃ!!)

「で、独り者のオレの所に来てノロケってわけか?」
「ノロケじゃないよ、喧嘩だって言ってるじゃないか!
 とにかく、僕はアスカが謝るまでは、今度こそ譲らないんだ!
 せっかくさ、人が健康に気を遣って考えているのに・・・ここはハッキリさせとかないと、この先どうするんだって話だよ!」
「・・・」

ケンスケは、これまで切っていた携帯電話を起動し、急いで友人の番号にかけた。

「あ、もしもし、トウジか?
 今さ、シンジの奴が困ってるんだよ。
 友達だったら、こういう時に助けに来るのが男だよな!」
「カヲル・・・くそっ、切ってやがる」
「・・・ふっ、綾波か?
 シンジが惣流と喧嘩したらしくて弱ってるみたいなんだ。
 え、『碇君が呼んでる』?
 うんうん、その通りだ!」
「ちょ、ちょっとケンスケ!! だから邪魔したら悪いって!」
「うるさい!! 死なば諸共って奴だ!!
 友達だったらな、こういう時は同じ気持ちを味わうモンだ!!」
「・・・ケンスケ・・・」

シンジは感動しているが。
実際のところ、ケンスケの心と言うのは

(くそっ、こうなったら、全てのカップルの時間を邪魔してやるぜ!!)

というものだった。


[431] 題名:ありがとうございます>銀世界さん 名前:ごまめーる MAIL URL 投稿日:2011年01月03日 (月) 22時51分

本当ですね。気づかなかった。あー波さんがちょっと気合入れて風呂で自分磨きしたら三人とも一巻の終わりですね。笑ってくれてありがとうございます。ごまめの今年の目標は達成されたも同然です。
-----おまけ(夢から覚めないメランコリック)-------------
「レイ、今流行りのネイルしてあげようか?」
「ネイル?」
「爪に色を塗ってオシャレするのよ。手はマニキュア、足はペディキュアって言うの」
ぴくっ
洗い終えた皿を拭いていた僕だが、体が反応した。
「まずは、爪やすりで先を整えましょう。次にニッパーで爪の甘皮を処理するの…」
アスカが、銀色に光るやすりを綾波の手の爪にあてた。
「薬指にさかむけが出来てるわね。切りましょう」
「!!」
スターン!
僕はとっさに綾波とアスカの手の間にティッシュペーパーの箱をさしこんだ。
「何すんのよシンジ!」
「い・・・いや。ゴメン。でも、そのままでいいと思うよ?綾波・・・」

カヲル君を、助けなきゃ。

----------失礼な話ですけどね。ほんとに。------


[430] 題名:明けましてミサト家 名前:何処 MAIL URL 投稿日:2011年01月03日 (月) 22時28分

私がミサトから呼び出されたのは三賀日も過ぎた在る日の夕刻だった。

部屋へ入る。

…何の事件現場かしら?

シンジ君とアスカがスプーンを握りしめ床に倒れ、ミサトは途方に暮れた表情で立ち尽くしている。
…良し、息は有るわね。

「…ミサト、一体シンジ君達に何食べさせたの?」

「何って…」

タンクトップにホットパンツの上にエプロンという恥ずかしい格好の女がボソボソ呟く。

「おせちに飽きたって言うからカレー作って出したんだけど…」

「…これ?」

「ん。」

「…見た目も香りも異常無し…」

躊躇してスプーンの端に少量のカレーを付けて舐める。

ぱく

「!?!!」

…泪目になりながらミサトに問う。

「…ミサト…何入れたの…」

「へ?いやアスカ辛いの駄目っしょ?だから隠し味にチョコとインスタントコーヒーと砂糖とトマトと蜜柑の缶詰と生クリーム…」

「隠れて無いわよ隠し味が!苦辛甘酸っぱいカレーって何よ!?…もう最悪ね…」

「そっかな〜、悪くない味だと…」

「最悪よ!全くこんな産業廃棄物を生産して…狂気な凶器で凶悪過ぎるわよこれ!」

「…その…こっちはシンちゃんに出したカレーなんだけど…」

恐る恐る差し出されたカレーの皿。

「う゛…えぇい毒を食らわば!…って…ミサト…」

「?」

「…隠し味って一体どんだけアルコール突っ込んだのよ!下手すりゃ気化したアルコール引火して火事よ火事!」

「あり?おっかしーなーそんなに入れて無い筈…」

「…じゃあ何で空き瓶が転がってるのよ…それもウォッカじゃないの!ミサト60゚以上よこれ!?」

「…あり?そりは確か冷凍庫にしまって…あ!まな板消毒するのに次亜塩切らしてそりで拭いたんだっけ。んで折角だから一口飲んで置いといて…あ!?シンちゃん達のお冷やまさか…」

テーブル上のグラスを調べる…

「…そのまさかね…」


私は二人に点滴をして帰宅した。
そして次の日、仕事を終えた私は二人の様子を見にミサト宅へ行った。

話を聞くと案の定、二人は二日酔いになったらしい。
ミサトはカレー製作禁止令が出されたようだ。…当然だろう。


「みんな〜夕御飯よぉん♪」


…だからって何で肉じゃがをカレー味にするのよこの女は…


[429] 題名:初笑いでした>ごまめさん 名前:銀世界 MAIL URL 投稿日:2011年01月03日 (月) 00時01分

とりあえず、シンジ君の夢の中で、1番いい御身分なのは、間違いなく彼女自慢のためだけに出て来たトウジですね。
カヲル君の流れに爆笑しました・・・何て微妙な場所。
ケンスケとカヲルのどちらが幸せか決めかねます。

・・・でも、シンジもゲンドウおっちゃんもカヲルも、全員お風呂で始末されそうな気がしてなりません・・・。


[428] 題名:メランコリック・初悪夢 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2011年01月02日 (日) 00時12分

「ふぅ…なんて長い廊下なんだ!これじゃ、やってもやっても終わらないよぉ…」
ごしごしごし。
「なんで僕、こんな恰好してるんだ?」
高校の制服の上に、割烹着。頭には三角巾。手にはモップ。足元にはバケツ。

そしてどこまでが果てかわからないくらい広い豪華な廊下。白黒のモザイクのデザインで、大理石だろうか?凝ったタイルが敷き詰めてある。教会のように高い天井まで延びる窓が無限に並んでる。

「ここの掃除をしなきゃいけないのか?でもここはどこ?」

「シンジ!ここで何をしている」

びくっ!
この声、父さん?

「拭くなら早くしろ。でなければ帰れ」
きゅこきゅこきゅこきゅこ。
「父さん、何を押しているの」
僕と同じような割烹着を着させられて、三角巾を頭に載せた父さんが、掃除道具やトイレットペーパーをいっぱい載せた四輪のカートを押している。

「これは私の商売道具だ」
「いつ転職したの!?」
「早く拭け。」
「嫌だ!なんでこんなことしなきゃいけないんだよ!」
カラーン!
モップを床に投げ捨てた。

どたどたどた!
「!わー!?」
廊下の向こうから獅子舞が飛びかかってきた。

「新年明けましておめでとう。シンジ君」

「カヲル君?なんで獅子舞なの?」
黒い腹掛けと股引き地下足袋にねじり鉢巻きしたカヲル君が獅子舞をがちがち言わせている。そして僕を踏み付けてる。

「獅子舞はリリンの極みの文化の正月…」

「言い順間違ってるよ!っ…それより僕の上からどいてよ…重い…」
「掃除しなきゃダメだよ。でないと危険だ。…気付かれた!こっちに来る!」

「何がー!?」

ふぉんふぉんふぉん

「あああ綾波!?」

がちーん!
「あいたあ!獅子舞、噛んでる噛んでる!」

「レイを呼び捨てにしちゃいけないなシンジ君」
「それおかしいでしょ!カヲル君もっと呼び捨ててるよ!」

「司令…掃除って…掃除ってやってるんですか…?」

セグウェイだろうか?変な乗り物に乗った綾波が横目で父さんを睨んでいる。なぜか振り袖を着て似合わないつけひげを鼻の下に貼ってる。

「はいただいま!」
直立不動で返答する父さん。

「そっちは?」

「シンジ君はちゃんとやっているよ。レイ。」

がちがちがち
「痛い痛い痛い!髪の毛が抜ける!」

「ふっ。まあいいわ。」
「あ…綾波!どうしてなんだ!どうしてこんなことをするんだよ!」

がちーん。
「いたーっ!」

「教えてあげるわ碇くん、わたしと碇くんはひとつになったの…。わたしは碇くん。碇くんはわたし。だからわたしには決して逆らえない…」

「嫌だあ!」
「碇くんはわたしの一部。私の大切な…左足の小指の爪…」

「そんな遠い部分だったの僕って!」

「…の甘皮。」

「僕がいなくなっても絶対気がつかないよねソレ」

「シンジ、ぜいたくを言うな。父さんにいたっては、レイの右足の親指の爪の垢なのだ。」

「それ、完全に綾波の体になくていい部分じゃないかな父さん!」

「シンジ君、僕はレイの左手の薬指の…」

「随分いい場所だねカヲル君」

「…爪の横にあるさかむけらしいよ」
「カヲル君!!いいのそれで!?わかってるの?もし綾波が爪切りでも使ったら、君は一巻の終わりだよ!?」

「僕、儚い美少年キャラだし…」
獅子舞がちがち。

***

「レイ、レーイー!お風呂が沸いたわよ!」
「アスカ!?」
振り袖にタスキ掛けのアスカがスリッパの音をぱたぱたさせてやってきた。

「早く入りましょ!」
「ええ、初湯ね」

「アスカ!アスカ!待って!嫌だ!綾波とお風呂に入らないで!」

がちーん!
「くっ…この…」
獅子舞をモップで受け止める。

「やるねシンジ君!」
「ひけるかぁっ!」

ぐぐぐ…
カヲル君の獅子舞と力比べする。背筋と腹筋をフル稼動だ。

すると、膝の裏をつっつかれた。

「わあ!」
仰向けにひっくり返った僕の首元に、左右から剣のようなものが突き立てられ床に刺さった。動けない!

「おとなしくせい」
「ふてえ野郎だ」

「トウジ!ケンスケ!君たちも綾波の一部なの!?」
二人ともなぜか夏祭りのはっぴを着て白い足袋とねじり鉢巻きをしている。

「俺達はちがう」
「わしらは別にいらんそうや。せやから、見ろこれを」

腹に巻いたさらしから、ごそごそと携帯を取り出した。

「カノジョおるねん。どや。」
ピースサインをした洞木さんが待受になってる。

「だから何さ…」

「俺だって負けてない!」
ケンスケも立派なカメラを取り出した。

「何も写ってなくて、『カメラが恋人』っていうオチだろう?アイダ君。うふふ。」

「先にオチ言うなー!お前人間じゃないくせにー!」

ケンスケがカヲル君に殴り掛かった。
「俺だって俺だってなあ!ぐおっ…おおうェう゛えっうぶえっ…あぐぅ…ヴおぇー!!」

「初泣きや!お前初泣きや!いや泣きゲロか!初ゲロや!大変や!シンジのおっちゃん!バケツ!バケツ貸して!」

「誰がおっちゃんだ!おっちゃんはおっちゃんでも私はこの世で1番恐ろしいおっちゃんなのだ!」

「どっちにしろおっちゃんや!バケツ!バケツ!」

「アスカあ!行かないで!このっ…」

槍を床から引き抜き、起きあがり駆け出した。

「わたしのものはわたしのもの。碇くんのものはわたしのもの。」

「ガキ大将みたいなことを言わないでっ!アスカ!」

「シンジごめんね…あたしはもうレイのものに…」

「嘘だあっ」

ふぉんふぉんふぉん
アスカを乗せた綾波の乗り物がスピードを増す。

走る走る僕。
「待って…待って…アスカ!!」
「さよならー」
「いやだー!まだアスカとしたいこと色々あるのにー!アスカにしたいこともたくさんあるんだー!アスカを返せー!あーやー波ぃぃ!」

***

「は!夢か!って…うぐぶえぁ」

「あんた何馬鹿なこと寝言で叫んでるのよー!あたしにしたいことって何よ!スケベ!変態!」

「…アスカ!」
僕の顔に羽枕を押し付けてる。シルクのパジャマ姿のアスカ。顔が赤い。

「アスカ!行かないで!」

「あっきゃあああ!?」

どさくさまぎれに僕のベッドに押し倒した。

「ね。僕、怖い夢みたんだよ?もう一回見直さなきゃ…」

「何を言って、言ってってってって…」あわあわ。

「いいいつまでもだらだら寝るもんじゃないわ!朝よ!シャワー浴びてきなさい!」

「じゃあ、一緒に入ろう?…うぐぶえぁ」


僕の今年の課題。まずは綾波に負けない。なのでお風呂から。
もちろん他にもたくさんあって、365日じゃ足りないぐらいだけど、何か?

※あけおめさくありことよろ※


[427] 題名:あけましておめでとうございます 名前:銀世界 MAIL URL 投稿日:2011年01月01日 (土) 19時34分

「振袖はいいねぇ・・・リリンが生んだ文化の極みだよ」
「せやなぁ・・・委員長は大和撫子やから着物がよう似合うとるわ」

相槌を打って振り返ったトウジは、カヲルの姿に固まった。

「カヲル」
「何だい、トウジ君」
「さっきのセリフ、綾波の着物姿でも見て言うたんやとばっかり思っとったわ」
「ああ、勿論レイも似合ってたけどさ、僕も似合うと思わないかい?」
「何でオノレまで振袖姿やねん!!」

新年初ツッコミ。

「洋服姿のまま、ミサトさんに新年の挨拶に行ったら、『お正月なんだから和服でも着なさい』って言われてね」
「和服はええけど、何で振袖・・・男やったら袴やろ」
「『お正月には男も振袖着るのよん♪』ってミサトさんは言ってたよ。
 考えてみれば、女子大生が卒業式で袴着るんだから、その逆で男が振袖着る日もあるはずだよね」

いや、あらへんから! 騙されとるから!!

「ところで、シンジ君はどこだい?
 ミサトさんから着物を預かって来たんだよ。
 彼女、夜勤だったから用意出来なかった、って言ってね」
「・・・まさか、それ・・・」
「勿論、振袖だよ♪
 アスカ君とお揃いだってさ、きっとシンジ君喜ぶよ」

合掌。
シンジ、すまん、ワイにはミサトさんのお楽しみ止める度胸はあらへん・・・。

トウジが頭を抱えていると、女の子達が揃ってやって来た。

「ハッピーニューイヤー!!
 あら、カヲルってば、なかなか振袖似合うじゃなーい!!
 レイとお揃いね、よく合ってるわよ」
「アスカ君もきっと似合うよ。
 ほら、これ、シンジ君とお揃いだって、ミサトさんから」
「か、葛城さんたら、碇君にまで振袖着せるつもりなの?!」
「碇君に振袖・・・似合うと思うわ。
 アスカ、早く支度して来て」
「オッケー、レイ、ちょっと待ってて!」
「ア、アスカ、待って、男の子は振袖着ないのよ!!」
「何言ってるのよ、カヲルだって着てるじゃない」
「似合うから問題ないわ・・・」

諦めぇ、委員長・・・こいつら絶対に止まらへんから・・・。

「まったく、シンジったら、新年から絶対に部屋から出ないって閉じこもってるのよね!
 すぐ着替えさせて引きずって来るわ、待っててね!!」

多分、シンジには、この展開が見えていたのだろうが。
それくらいでは防ぐ手立てはなかったということだ。

「シンジー!! 出て来なさいっ!!
 あたしとのペアルック、嫌とは言わせないわよ!!」


==============================

あけましておめでとうございます、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
そして、新年早々、私にとって「好きだけど書きにくいキャラ」のシンジ君が名前しか出ていないという(汗)。


[426] 題名:皆様良いお年をお迎え下さい 名前:何処 MAIL URL 投稿日:2010年12月31日 (金) 23時56分

【綾波さん、すっとばすゆく年くる年】

今晩は、綾波レイです。

今夜は趣向を変えて、各現場を廻って見たいと思います。

では最初に…

「…碇…」

「何だ冬月」

「…紋付き袴を貴様が着ると暴力団の組長にしか見えん…」

「…問題あるまい。怪しげな組織の長である事には変わりは無いからな。」

「自分で言うな碇…」

…では次…

「ミサト…何であたしが着物着ないといけないの?」

「あー動いちゃ駄目よリツコ、皺が寄っちゃう。」

「…着付け免状持ってるとは知ってたけど…」

「…ん!こりで良し!似合うわよーリツコ。うんうん。」

「…貴女に着せられると何か不思議ね…でも何で急に?」

「ん〜今朝からレイとアスカとマヤちゃんの着付けしてたからね〜、どうせなら皆で着物に揃えよっかと…」

「…貴女は?」

「着替えるわよ。美容院行ってね。」

…次は…

「警備部にゃ正月無いからなぁ田中(仮)」

「全くだ鈴木(仮)」

「佐藤(仮)、チルドレンの護衛は23:00からだな?」
「ああ山田(仮)、今夜は司令部全員が出るから総動員だぞ。」


「皆さんお疲れ様です!」「発令所から差し入れです。」
「お仕事頑張って下さいね!」

「「「「(マヤちゃんの振袖!)」」」」


…何?室温が上がったみたい?

…まあ、いいわ。次…

「おーい、親方から皆に年越し蕎麦だとよー」

「主任〜、いくら何でも司令を親方は…」

「主任!装甲板張り替え終わります、バイオプラントからの試作人工筋肉腱は搬入終了。」

「おっし野郎共!作業終了後蕎麦食ってから宴会だ!気合い入れてけ!」

「「「「「「おお!!」」」」」」

そして…

「よっ、やってるな。」

「手打ち蕎麦なんて初めてですよ…」

「まあ、何にでも初めてはあるさ。要は食えればマシって事だよ。」

「又いい加減な…」

「葛城に打たせた方が良かったか?」

「…僕が打ちます。」

…あら?アスカがいない?アスカは…

「…どうしたの?」

「レイか…皆でこれからお詣りに行くでしょ?」

「ええ…」

「…アタシクリスチャンなんだけど…いいのかしら?」

「…大丈夫…ここはお寺と神社と教会が共に新年を祝う国…」

「何か節操無いわね…」

「…平和なのよ…」

「…うん…」

「さあ、行きましょう。碇君のお蕎麦が待ってるわ。」

「…アンタ最近アタシを食欲で釣ってない?」

「…行かないの?じゃあたしがお蕎麦…」

「行く!」


…さて皆様、本年もお世話になりました。来年も宜しくお願い致します。
「伊吹マヤ」
「赤木リツコ」
「葛城ミサト」
「そして私、綾波レイ」
「アーンド私惣流・アスカ・ラングレーより!」


「「「「良いお年を!」」」」

「皆、お蕎麦出来たよ〜」
「「「「「キャーッ♪」」」」」


[425] 題名:メランコリック・血も涙もない大晦日 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年12月31日 (金) 20時28分

註※このシンジ君たちは高校生みたいです。何処さん連続お借り上げすみません。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「シンジ、今年も一年お世話になったわね」

「…ど、どういたしまして。アスカ」

不思議に静かな夜。それは大晦日。
新年を迎える静謐さと高揚感にあふれた、聖なる一夜。僕とアスカは、リビングでなぜか正座して向かい合っていた。

「大晦日の今日も、あたしとヒカリとレイがバーゲンに行っている間に、マンションの大掃除してくれて…」

「いやあ…」

正座するアスカの後ろには無数のデパートやブティックの紙袋。
「これ、シンジに買ってきたの」

ごそごそと小さな紙袋を開ける。
「僕に!?」

「はい。お掃除クロス三点セットよ。安くなってたの。これでまたいっぱいお掃除してね」

「……。」

… これ、こないだ新聞の勧誘員が配ってたのと同じやつじゃないかなあぁああアスカ。いや。そんなことはどうでもいいんだ。なぜって、今夜ミサトさんはいない。日本にいない。加持さんのいるドイツに旅立った。ペンペンは洞木さんの家に放り込んできた。二人きりだ。今度こそ。他人のいる世界で二人きりになって結ばれてこそ、君とホントの絆が生まれる気がするんだ。

「…あ、アスカ! 」
お掃除クロスを脇に置いて、アスカににじり寄った。
「…な、なに、シンジ」

驚いて後ろに下がるアスカ。
じりじり。

座ったままのアスカを壁際に追い詰める。

「あ、あのね…。僕、アスカのこと好きだよ」

「…と、ととととととーぜんよね。あたしみたいないい女を好きにならない男なんているわけないわ」

顔を真っ赤にしながら、多分これ条件反射なんだろうな…憎まれ口を自動再生するアスカの唇。はぁ。でもね。

「…他の男はどーでもいいの。僕が。アスカを好きなの」

「あ、あうあうあう…」

口をぱくぱくさせてる。
「アスカは?アスカは僕を好きだよね?」

「あ、あんたバカじゃないの。なんであたしがあんたみたいな、バカじゃないのあんた!」

こういうアスカの言うことをいちいち真剣に取り合っていてはいけない。身がもたない。彼女のこういう台詞に真実はない。真実は、目とか、震える唇とか、頬っぺたの紅潮とかにある。昔の僕ならくじけていたかもしれないが、なめんなよ。伊達に一緒にいないんだ。

「アスカ」

ものを言わせては負けだ。壁に手をつき、アスカが逃げないように追い詰める。

「僕のこと、好き?」

さらに追い詰める。

「ふぁあ…」
罵ろうとしているが、そうはさせるか。青い目を見るんだ。瞳を反らさせるな。精神的マウントポジションをとるんだ。

「好き?」

「…はい…」

小さな声で答えるアスカ。

だ よ ね!知ってる!


「そ…それで、きょ、今日は、今夜は…」

言うんだ。僕。


♪ピンポン、ピンポーン♪

「…シンジ、誰か来たわ…」

「ほっとこう。きっと新聞の勧誘だよ」(大晦日に?)

♪ピンポンピンポピポピポピポピポピポピンポーン♪

「しつこく鳴らしてるわ…」

「…わかった…待ってて」

誰だよ!なんだよ!舌打ちしそうになのをこらえて応対に向かった。

「はい!」

「シーンヂーくん。あーそびーまーしょー」

「……。」

この声。

「今日はあそばない!帰ってほしい!」

♪ピンポンピンポピポピポピポピポピポピポピポポーン♪

「…」あああぁもう!

「何!カヲル君!」

ガチャッ!
マンションのドアを開けた。

その途端、すさまじい風と雪が降り込んだ。ありていに言えば吹雪だ。

ずびょおーーーー……

という降り込みと一緒に
「泣ぐ子はいねがーーー」
と、赤い顔をした巨大ななまはげが仁王立ちしていた。

***

「いないよ。じゃあ」

バタン。

♪ピンポーンピンポピポピポピポピポピポピポピポポーンピポーン♪どんどんどんどん!

「泣く子はいません」

「シンジ君!僕だってドイツから帰ってきたばかりなんだよ!クリスマスパーティーに間に合わなかったから大晦日に来たんじゃないか!」

ハア。「………もう。」

ガチャッ。

ざびょおーーーー……

「…なんでそんな恰好なのカヲル君」

「泣くごいねがー」

「…こちらの小さいなまはげはどなたですか」

「…こんばんは碇くん。綾波レイです」

「なんでそんなことしなきゃいけないの綾波。」

「わからないわ」

「シンヂ君。なまはげはとうほぐ(東北)の文化の極みだヨ…」

「やっぱり帰って」

バタン

***

♪ピンポーンピンポピポピポピピピポピポピポピポピポポーン♪どんどんどんどん!

「シンジぃ…誰が来てるの?まだ鳴ってるわ」

「いいんだ。あれでいいんだ。大丈夫。ただのなまはげだから」

「なまはげって?」

「いいんだ。それよりアスカ…大事な話しが…」


『次のニュースです。』

いつの間にかついていたテレビから、女性アナウンサーがニュースを読み上げていた。

『大晦日の寒気団は、関東地方を中心に大変激しい冷え込みをもたらしています。路面の凍結、水道管の破裂にご注意下さい。初詣の際は防寒対策を念入りに。雨は夜更けすぎに雪へと変わるでしょう…』

♪ピン…ポーン…ピ…ポ……ポ…ピ…ーン♪カリカリカリカリ…カサ…どさっ
シーーーン…

玄関に向かってダッシュした。

***

「いいお湯だったよ。おかげで文字どおり生き返った。パジャマまで借りてしまって申し訳ないね。シンジ君」

お風呂あがりの、体から湯気を立てた濡れた髪のいい男。凍結寸前だったカヲル君が僕のパジャマを着て居間に現れた。

「でもどうせなら、久しぶりにシンジ君とお風呂に入りたかったな」

「…あー…僕、もうそういうの卒業したから…。カヲル君」

「ふっ。やれやれ。いまはかつての僕らのようにレイとセカンドが一緒にお風呂に入ってるってわけかい」

ぴくっ。
僕の体が揺れた。

「シンジー。上がったわ」
「碇くん。お先に」

体から湯気を立てたパジャマ姿の二人が出てきた。


「レイ、先に髪の毛乾かしてあげるわ」
「ありがとうアスカ」

タオルで自分の髪をまとめて、リビングに膝立ちになったアスカが、床に三角座りした綾波の髪にドライヤーをあてる。
白くて細い指を綾波の髪に差し入れて、根元から美容師みたいに乾かしてゆく。

「レイ、髪の毛細いわね」

アスカは話しかけながら、手をどんどん動かしていく。…なんかいい。ん?
綾波がじっと僕を見つめている。な、なに?

「ふっ」

…気のせいだろうか。
綾波が、僕を見て勝ち誇ったような笑みを浮かべたような気がする。

「はい!出来上がり!」

最後にブラシで整えられて、ふわふわに仕上がった綾波。
「ありがとう…」
「次はあたしね」

髪をタオルからほどくアスカ。僕は立ち上がろうとした。だって、アスカの髪を乾かすのは僕なんだ。なぜそうなったかはまあ色々経緯がある。なのに、綾波がアスカからドライヤーを受け取った。

「今度はわたしがやる」
「そ?じゃお願いするわ」

「…」

しかたない。また座り直す僕。
なんか…。なんだろ。
「ねぇシンジ君。僕も髪の毛乾かしたいんだけど」

「…あ、カヲル君。えーと…はい。これでも使って」

僕は手近にあったのを手渡した。

「シンジ君。これ、うちわじゃないかい。リリンはどうやってこれで髪の毛を乾かすっていうんだい?」

「あー、うん。」

「無視かい」

***

ぶぉおおおお。

綾波がアスカの髪を乾かす。自分がしてもらったように、アスカの頭皮に指を差し入れて細かく動かしながら、僕に話しかけてきた。

「碇くん」

「なに?綾波」

「私、アスカと背中の流しっこしたわ」

「…へ。へえ。そうなの…」

「アスカと同じ湯舟に浸かったし、湯舟の中で手もつないだし、お湯の掛け合いもしたし、アスカのおっぱいもちょっと触ったわ」

「……何が言いたいのさ…」

「碇くんがしたくてもまだしていないことを先にさせてもらった」


ぶぉおおおおーん。

「二人とも、何話してるの?」
乾かして貰ってる当人のアスカにはドライヤーの音のせいで何を言っているのか聞こえないようだった。

***

「これがリリンの年越蕎麦かい。美味しいね」

「買い置きが余分にあってよかったわ」

こたつに入ってなぜか四人で蕎麦をすすっている。

「ね、紅白も終わるし、そろそろ…寝ないと明日の初日の出見れないよ…?」

帰って。帰ってよ。お願いだ。

ピッ。
箸をくわえたカヲル君がリモコンを操作してニュースを表示する。

『大晦日の寒気団の影響で、第三東京の交通網はほとんどマヒしています。出来るだけ外出は控えて、安全な屋内でお過しください。…公園と中継が繋がっています。緊急事態につき、露営テント村を設営して炊き出しを…」

ピッ。
「リリンとは大変だね。ずずず。」

「………。」

「あ。除夜の鐘だわ。。」

ゴ〜ン。。ゴ〜ン。。

「リリンの煩悩の数は108なんだってね。その数だけ鐘を叩くことで欲望がオールグリーンになるらしいよ。レイ」

「そうなの。」

「微妙に違うよ…」

「それより、新年よ!明けましておめでとう!」

「おめでとう」

「おめでとう」

「『明けまして』ってつけようよ・・」

***

「リビングに布団を四つ並べましょう。レイ、そっち持って」

「ええ」

「なんだか修学旅行みたいね!あたし達、中学ではいけなかったけどね」
はしゃぐアスカ。

「シンジ君、どうして白い壁に向かって正座して、ひたいを壁に押し付けているんだい?」

「…別になんでもないよカヲル君…」

はっ。
「碇くん」

「な、なに?」

気付けば綾波が僕の隣にしゃがんでいる。

「私は、今でも碇くんとひとつになりたいと思っているわ」

「え!?…な、何を言って…」
動揺した。

「わたしは碇くん。碇くんはわたし。つまり碇くんの欲しいものはわたしも欲しくなってきたの。」

「……」

「今日はわたしが三馬身ぐらいリードね。ふっ」

立ち上がった綾波が、アスカの元に行く。

「わたし、アスカの隣で寝たいわ」

「!!」

「僕はシンジ君とレイの隣で寝たいよ」

…そーなるってことは…。

***

アスカが1番左端に寝て、綾波がその隣に寝て、カヲル君がいて、僕が壁際の1番右になった…って僕らが1番遠ざかってるじゃないか!なんだこれ!

そしてリビングの角にはなまはげの衣装が二人ぶん。

これもおかしいけどさ!

***

「電気消すわよ」

「はーい」

「くすくす。明日は雪が止むといいわね」

「ええ。みんなで初詣…」

「平和って、いいわねぇ!」

壁際の布団で丸くなった僕。壁に向かってる。

「何が平和だ何が平和だよ僕だって大嵐だ…」
ぶつぶつぶつ。

「シンヂ君」

「…何。カヲル君」

カヲル君が僕の耳にそっと口を近付けてきた。

「泣グ子、イネガ?」

うるさいっっ!!

…フランス語みたいに発音してるけどそれ津軽弁だからね!!

***

「除夜の鐘が鳴り響くが、煩悩は消えない。碇シンジは、いつも不幸な少年だった」

「なに、このナレーション…父さん?」

「シンジ、父さんは本当はナレーションも得意なのだ」

「知らないよっ!」

***

「ごめんねシンジ。もうちょっと待っててね。まだ勇気でなくて…」
布団の中でつぶやくアスカ。

「レイとカヲルも、来てくれてありがとう。今夜は断りきる自信が無かったの」

「いいの。楽しかった」

「けど、あんな変な衣装でなくてもよかったのに…」

「あれはカヲルの趣味。それより、手をつないで寝てもいい?」

「は?!べ…別に…いいけど」

「照れるところがかわいいわ」

***

「シンジ、お前は当分不幸だ」

「嫌な宣言しないで父さん!」

「来年も不幸だよシンジ君」

「やめろーーっ!」

***

2010年最後の汚し。読んでくださった方、遊んでくれた方、文句も言わず放置してくれた方、そして管理人さん、ありがとうございました。
2011年も良き一年となりますように。


[424] 題名:メランコリック・メリー・クリスマス 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年12月25日 (土) 22時46分

註※今までの過去の話を知ったほうが面白いかも
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「メリクリや!」
「碇君、アスカ、今日はお招きありがとう」
「ようこそ!ヒカリ、鈴原、相田。今日はね、あたしとレイが料理したのよ!どう?」
「マジ!?写真に撮ってやるよ」
「それいいじゃない!」

一同が葛城邸のリビングに通された。その光景は。

「………」

テーブルの真ん中に巨大なクリスマスケーキ。それはいい。

鯛の尾頭付き。
鯛と大根のあらだき。
お造り盛り合わせ。
鯛の子。
赤飯。

スープは潮汁。ではなくミサト特製トムヤム味噌汁。

「…食卓が茶色い…醤油くさい…」

「鯛ばっかりじゃない。お正月と間違えてない?」

「このバラバラな食事のセンス…懐かしいなー。わしの大阪の実家こんなんやねん」

「しょうがないじゃない!だって……シンジがクリスマスには鯛が食べたいって言うんだもん」

エプロンの端っこをいじいじ指でこねまわしながら照れ臭そうにつぶやくアスカ。

「まあいいじゃない!はじめましょう!平和な暮らしにかんぱーい!」
乾杯の音頭をミサトがとる。手にした飲み物はビール、ではなく冷酒。「だって和食だし」

「そうや!乾杯!明けましておめでとー!」

「イエーイ!ハッピーニューイヤー!めで鯛ー!」

「それ違うってば…」

ちからなくツッコミをいれるシンジ。

***

「立派なクリスマスツリーねぇ。本物の樅の木?」
見上げるヒカリ。

「そうよ。加持さんがドイツからわざわざ空輸してくれたの。さすが加持さん」

「あいつはホントにやることがいちいち気障ったらしいったら!けっ!」
あらだきを口に放り込みつつ、冷酒をあおるミサト。

「とか言いながら、加持さんが贈ってくれたドイツワインを、大事にしまってるのよね、ミサト…」

***

「なあ綾波、なんで赤飯なんだ?」
鯛の身をほぐしながらケンスケが尋ねた。

「クリスマスパーティーに碇くんのリクエストで鯛を焼くと司令に報告したら、『そうか…とうとうなるようになったか…。よくやったな、シンジ』と遠い目をしてつぶやかれ、『鯛だけでは祝いに足りない。赤飯も炊きなさい』と命令されたわ」

「命令って…」

「一万円札も一緒にくれたわ」

「あずき代か」

「めでたいことって。おぉ!シンジ!お前とうとうアレか!先に進めたか!」

喜色を浮かべたトウジが、もくもくと赤飯を口に運ぶシンジをヘッドロックした。

「…」
ヘッドロックされたまま、もくもくもくもくと赤飯を口に運ぶシンジ。

「シンジ…お前、赤飯のあずきだけ箸でつまんで食べてるの…?」
気付いたケンスケが引き気味になった。

「碇くん、箸づかいが上手…」
綾波が感嘆する。 

なんだか得体のしれないものを抱えてる気になったのか、トウジがそっとシンジを解放した。

「まあ、まだまだ、わしらこれからやしな。元気だせや。シンジ…」

もくもくもくもくもく。

「シンジ、米粒だけつまむのはさすがにやめておけよ…」

***

「それにしても立派なツリーねぇ…。鈴原、相田何してるの?」

色のついたメモに、マジックで何やら書き込んでいる。

「よし出来た!これも飾ろうぜ」

「何それ。願いごと?!あなたたち七夕と間違えてない!」

「ヒカリの分の短冊もあるで。ほれ」

「あ…ありがと」

「料理がちゃんぽんなんだから、祝い方もちゃんぽんでいいわよねん!」

もくもくもくもく。
黙って赤飯を食べ続ける主人公。
「…あずきがなければこれは赤飯じゃない。赤飯じゃない。ただの色付きのご飯さ…。めでたくない。めでたくなんかないんだよ父さん…。」
ぶつぶつぶつ。


全員盛り上がり、願いごとを書いた短冊を飾る。

ぽん。
シンジの肩をミサトが叩く。
「はい。シンちゃんのぶんの短冊よ」

さながら慈母のような微笑みを浮かべるミサト。

「…ミサトさん…」

「槍 シ ネ ダキ 進み…」

「前回のミサトさんの謎々じゃないですか!全然効果無かったし!」

「シンジ〜!お前落ち込みなや!元気のないお前のために、今夜は朝までゲームやるで!ボードゲーム天国や!」

「ますます正月らしいわね…」

機嫌のいいトウジがシンジに再びヘッドロックをする。
「ト、トウジ、酔ってる?シャンパン飲んだ?」

***

海の波のように寄せては返す地響き。ではなく入り交じる寝息といびき。

みんな、さんざん盛り上がったあげく、リビングで気絶も同然に眠りこけていた。

「ふぅ…みんな風邪引かないでよ」

つぶやきながら、皆に毛布を掛けていくシンジ。ふと気付けば、さりげなくトウジとヒカリが手をつないで向かい合い眠っている。

ほほえましく思い、二人に一枚の毛布をかけた。

「毛布を蹴飛ばすなよ、トウジ」

***

一人ベランダに出た。
星が輝いている。

「クリスマスか…」

「…シンジは、メリークリスマスじゃなかった?」

「!」

気付けば横にアスカがいた。

「そ、そんなことないよ」

「嘘。だって全然楽しそうじゃ無かった。…あたしの作った料理、美味しくなかった?レイの作ったお赤飯ばっかり食べてた!」

「ち、違うんだ。鯛を食べてたらその、なんだか涙が出そうで…」

「なんで泣くのよ」

「その、うれし過ぎてというか…」
(アスカの見当外れっぷりが情けないやら悔しいやらで涙が出るとは口が裂けても言えない。全然二人っきりじゃなかったし)

「嘘!嘘!うそ!」

声は抑えているがきつめに叫んで、シンジの胸をグーで叩いてきた。

「わわ!ご…ごめん」

殴りかかるアスカの手首を掴む。彼女の力はすぐに抜けた。

「シンジのバカぁ…」

「ごめんアスカ、美味しくないわけないよ、アスカが作ってくれたんだもの。僕が悪かったんだ、ごめんね、ごめん…」

「ごめんって言わない約束じゃない…」

たまらなくなって、泣きそうなアスカの頬に自分の頬を寄せた。何も言わず擦り寄せていたら、なめらかな頬の先に柔らかい唇があったので、いつものようにした。

でもいつもよりちょっと長めで深かったかもしれない。

***

ベランダに立って、背を向けるアスカを後ろから抱き抱えて、ウエストに両手を回して二人で星を見る。シンジを柱みたいにして、背中をもたせ掛けるアスカの重みが愛おしかった。いつかより重くなってくれた。あの泣きそうな軽さは二度とあってほしくない。命の重み。

「シンジ」

「なに」

首だけ振り向いて、片腕を伸ばして僕の首にまわして口づけしてくれた。
君の体は柔らかい。人魚姫みたい。

君の命の重みとカラダの重みで、正直スパーク寸前なんだよ…。とほほ。

「あ、あたしの作った料理、ホントのホントに美味しかった?」

「美味しかった」

「鯛のあらだきも、鯛の塩焼きも、鯛の生殺しも?」

「鯛の『活き作り』って言うんだよ…。全部、美味しかったよ。また作ってね」

「うん」

嬉しそうにアスカが微笑む。自分の顔のそばで。髪と体からはいい匂い。



ああ、アスカ。

生殺しは、僕です。



※↑なんじゃこりゃ。※真面目なクリスマスのお祝いしてる人に申し訳のない話。※
※オー、イヅコッティ、Youもオールユアセルフアッホーだったのね!よかったわ※ていうかわかりにくいねん。ちゃんと書いて。※イヅコッティってビスコッティみたいでイタリアぽくない?って思ったけどやっぱりそんなこと無かった。イタリアに謝る。※雲っていいよね。※予測不能は何処さんの親父ギャグやっちゅうねん※




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