[508] 題名:命の器 名前:色呆け爺 MAIL 投稿日: 2025/06/09(月) 11:32
昨年お知らせ頂いた「宮本輝」の「命の器」とのエッセイ集、半年以上経過しましたが、やっと図書館でお借り出来ました。
神戸出身の作家ですから、神戸では借りる方が多いのでしょう。
「南紀の海岸線」では「枯れ木灘の海の不思議なうねり」「私にとって南紀は恐ろしい場所である」・・・と書かれていましたが、多分私の感受性は鈍いのでしょう、今まで熊野・枯れ木灘でそんなことを感じた事はありません。
「命の器」では「類は友を呼ぶ」と似た者同士が集まるそうですが、言われてみれば確かに仰る通りです。私の周辺には、私の様な偏屈者が多いよういです。
[507] 題名:スーパーのお米の棚にみつけたる青天の霹靂(へきれき)といふ名(めい)を買う≫森川慶子 名前:風太郎 投稿日: 2025/06/08(日) 11:07
今朝の新聞歌壇の「内藤明選」の慶子さんの1席での作品です。【評】・米不足の昨今、棚にたまたま見つけた米が、「青天の霹靂」だったという。その驚きこそがまさに青天の霹靂だが、稲光は稲の実りを促すともいう。「名を買う」が生きていることはいうまでもない。▼慶子さんにとっては、恐らく偶然とも思われますが、これを見逃さなかった、彼女の歌詠みとしての👀が瞬間に働いたのだろう。当に彼女の真骨頂だと思いました。▼こんな、固有名詞を見つけられた日には、潔く私も降参です。結句の『名(めい)を買う』がきりりとして、良いですね。
[506] 題名:「春もののコート」と気象予報士が言うたび思うわれは持たぬと≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2025/06/07(土) 10:25
7月号月刊誌『大口玲子選』での洋子さんの作品です。【評】・気象情報に加え、洗濯や外出についても具体的なアドバイスをすることがある最近の天気予報。「春もののコート」を持っている人の割合はどのくらいだろうか。作者はまっすぐに違和感を表明する。▼斯ういう景色を歌に出来る、主婦感覚の旺盛な視点には、何時も感心させられます。同時に「俳句」欄にも掲載された≪春の庭ばあばは飛べない走れない≫シンプルな詠みの中に、彼女の巧みな詩心を感じます。▼真似をして真似られないのは承知の上ですが、普通の生活空間を縦横無尽に切り取る巧みさは、これはもう天性と云うものだろう。
[505] 題名:若き日に粋を学びし池波の『男の作法』老いてまた読む≫池中健一 名前:風太郎 投稿日: 2025/06/05(木) 09:18
今朝の新聞歌壇の「伊藤一彦選」での私の作品です。この、1首は大好きな、「池波正太郎」の『男の作法』をテーマにして詠み、チョッピリは自信があったので、ヒットして良かったです。▼やはり、男の矜持として、老いても尚且つ、だらしない風体は諫めなければと思い、日々、自分に言い聞かせています。私の愛読書の1冊です。
[504] 題名:小癪にもアラジンのランプ撫でるごとスマホ操る三歳の孫≫池中健一 名前:風太郎 投稿日: 2025/06/02(月) 10:39
今朝の新聞歌壇の「小池光選」での私の作品です【評】・最近は三歳の子供でもスマホをいじる。おじいちゃんよりよほど巧みに。まったく小癪なものだが、時代なれば致し方なし。▼現代の、彼、彼女らを眺めていますと、当たり前ですが、いろんな面で恵まれていると、感嘆します。でも、君らは知るまい、裏山でターザンごっこ、口を真っ赤にしての「山桃」、雨の降るごと「椎の実」が降ってくること、海で、蟹や海鼠を掬って遊ぶこと。▼昭和、100年の佳節を迎えていますが、彼、彼女たちが、キナ臭い戦禍の中に巻き込まれないように、ただただ、祈るばかりです。
[503] 題名:初夏をおしえてくれるいちはつが気付けば咲いてる梅の木の下≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2025/06/01(日) 10:07
今朝の新聞歌壇の「大辻隆弘選」での洋子さんの作品です。なんでもない景色ですが、さらっと詠いあげた気持ちの良い歌だと思いました。▼「いちはつ」という花を知らなかったので、調べましたら「アヤメ」によく似た花で春から初夏へ季節の変わり目に咲く花だと解りました。そういえば、今日から6月、月日の流れの速さに驚きを憶えます。
[502] 題名:昨日より今日は先まで歩かんと霧島つつじの咲く所まで≫森川慶子 名前:風太郎 投稿日: 2025/05/27(火) 10:25
先日の洋子さんに続いての『栗木京子選』での慶子さんの作品です。【評】・無理をしないように、少しづつ散歩の距離を伸ばしている。何か目標のあった方が励みになるので、霧島つつじの咲く場所を行先に設定したのだろう。咲き満ちる花々が声を掛けてくれるようで、明るさを感じさせる光景である。▼何の派手さもない、普段の普通の日常詠みですが、漸く夫君の別離から落ち着き、選者の言う通りの、明るさを感じさせてくれる1首です。▼この歌壇は年齢記入が必須ですので、上句の景色に加算されると思いますし、下句の『霧島つつじ』の固有名詞が、実に鮮やかに浮かび上がる、下句句の景色だと思いました。
[501] 題名:これからも写真とるとき端に立つ子になる予感入園の孫≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2025/05/25(日) 10:02
今朝の新聞歌壇の『栗木京子選」での洋子さんの作品です。今回も慶子さんと大阪勢が並び立ちました。【評】・入園の記念写真。他者を押しのけて真ん中に立つ子もいれば、そっと端による子もいる。作者の孫は後者のタイプ。その控えめな性格はこれからも変わらないかもしれない。孫への眼差しのやさしさが伝わる歌である。▼やはり、こう言う日常詠みの何気ない景色のの一瞬を切り取る洋子さんの👀は天才的なものが有ります。私も今回、自信のあった作品の投稿でしたが、お二人に完敗です。▼でも、こうした、同年代の強豪の歌詠みさんが、いるお陰で、また次こそはと、闘争心が湧き立ちます。
[500] 題名:訪へる箸墓古墳道の辺に軽トラとまり春耕の音≫森川慶子 名前:風太郎 投稿日: 2025/05/20(火) 09:13
先日の「米川千嘉子選」での慶子さんの作品です。【評】・古代の巨大な前方後円墳として知られる箸墓。卑弥呼が被葬者だという説もあるがいまだ確定を見ない。そんな古代の謎を秘めた古墳の時間のそばに、人の営みの〈今〉がある。「軽トラ」の一語がよく効いている。▼私の住むこの地域は世界有数の古墳群が点在する事でも有名ですが、米川先生が言う通り、上句の景色と下句の対象がお見事だと思いました。「軽トラ」の4句の景色が、技ありと読ませて頂きました。▼衰えることなき、洋子さん、慶子さんの詠みぶりに、何時も元気をもらっています。
[499] 題名:妹とカバン屋さんでガシャポンをワーワー言ってグリッと回す≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2025/05/18(日) 10:01
今朝の新聞歌壇の「米川千嘉子選」での洋子さんの作品です。今朝は、慶子&洋子さんが並び立ちました。【評】。大人向けのものも多くなったガシャポン。中身にカバンが入ったのを私も見たことがある。姉妹で買い物か旅か。「ガシャポン」「ワーワー」「グリッと」、それぞれの音も楽しく、姉妹ならではの賑やかさだ。▼洋子さんにこう言う景色を詠ませたら、一瞬のうちに、彼女は👀の前をスナップショットします。▼これは、もう、持って生まれた天性の為すものでしょう。また、それを見逃さない選者の👀も好感が持てます。