[336] 題名:庭の花ぶっきらぼうな言い方でほめて帰れる置き薬やさん≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2024/04/28(日) 08:38
今朝の新聞歌壇の『栗木京子選』での彼女の作品です。【評】。家庭に薬を常備しておき、使った分だけ販売員に支払う。「置き薬」のシステム。定期的にやってくる置き薬やさんは顔馴染みの人であろう。ぶっきらぼうだが心優しい人なのだ。置き薬へのなつかしさを感じさせる一首。▼先日の私は、笊に吊った釣銭の魚屋でしたが、今回、彼女は、置き薬やさんを詠いました。もう滅多に見ることは無かったのですが、昔は「富山の置き薬やさん」が各家庭を回り、子供がおれば『紙風船』を置いて、行ったものである。▼最近は薬の事情もややこしく、熱さましや、咳止めなどの薬が手に入りにくい状態が続いています。▼上句の大阪の人らしい、言い差しが、ユニークで、そして、下句の展開が面白いと思いました。彼女らしい歌だと思います。
[335] 題名:春の陽にひなたぼっこの亀たちは当たり前だが「裏金」知らぬ≫池中健一 名前:風太郎 投稿日: 2024/04/25(木) 11:12
白浜太郎さん、👇にお言葉を頂き(人''▽`)ありがとう☆ございました。▼今日の新聞歌壇の『永田和宏選』での私の1席の作品です。【評】。そう、思っているのは人間だけで、意外と分かって山間を眺めてもいるような風情が彼らにはある。▼この、擬人化した歌は、きっと永田先生は理解してくれるだろうと、確信をもって投稿しましたが、それに答えて頂いた、先生に1席を用意して頂き、感謝に堪えません。永田和弘先生の理性に裏打ちされた風貌は大好きです。偉大な科学者にして、大歌人、そうした先人に、袖すれ合うチャンスを与えて頂ける、新聞歌壇に🍻乾杯『ブラボー』です。
[334] 題名:読まぬまま積みおく本のまた増えてモクレンに𠮟られている午後≫池田敏子 名前:風太郎 投稿日: 2024/04/25(木) 10:20
今朝の新聞歌壇の『小島ゆかり選』での彼女の作品です。前回に引き続き全国紙でのヒットである。何だか、短歌の急所を会得したような感じの、擬人化が見事に決まった1首だと思いました。▼高齢になってから、この世界に入った彼女ですが、持ち前の気力と探求の素直さが、めきめきと力を付けて来たように思います。▼斯うして後輩の真摯なすがたを見ることによって、また。私達も刺激を頂ける、有りがたい存在です。「おめでとう、ございました」。
[333] 題名: 名前:色呆け爺 投稿日: 2024/04/25(木) 09:19
ご活躍のご様子で羨ましい限りです。
神戸には未だ昔ながらの商店街が残っていて、八百屋や魚屋がザルに釣銭を吊り下げた光景を見る事があります。しかしその様な商店も少しずつ少なくなり、仰せの様にドラッグストア等に代わっています。
水道筋商店街(王子公園の近く)や大安亭市場(なでしこジャパンの澤ほまれさんが買い物をした商店街)や港川商店街(新開地の近く)には昔ながらのお店が多く、時々遊びに行っています。
[332] 題名:釣銭をザルに吊り下げ威勢よく昭和の魚屋 街から消える≫池中健一 名前:風太郎 投稿日: 2024/04/24(水) 10:14
今朝の新聞歌壇の『坂井修一選』での、私の1席の作品です。【評】。昭和の時代、気っ風のよい魚屋が声を張り上げて鯵や秋刀魚を売っていた。そんな風景も今は無い。「釣銭をザルに吊り下げ」た情緒は消滅したのである。▼今年は『坂井修一先生』に確りと付いて行こうと決めて、詩作に当たりましたが、斯うして良い結果が続きますと、本当に気持ちが豊かになり、励まされます。▼私の町にも、歌のような、八百屋さん、魚屋さんが有り、独特の情緒がありましたが、先日、取り壊され、今はやりの大きなドラッグストアが、跡地にオープンしました。▼一抹の寂しさが有りますが、大きな時代のうねりの中で、多くの庶民に愛された文化が消える、これもまた、時代の流れと謂うものであろう。『ご苦労様でした』。
[331] 題名:男の子ふたりの孫の守り終えて夫と聴いてる吉田拓郎≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2024/04/21(日) 09:11
今日の新聞歌壇の「米川千嘉子選」での彼女の1席の作品です。【評】。作者と夫、まだ若い祖父母は二人の男孫をその親に帰して、やっと訪れた静かな時間を楽しむ。聴くのは、吉田拓郎、七、八十年代の二人の青春はすぐそこにあるよ。上句と下句の対比が鮮やか。▼歌を詠む上に於いて、今日の米川先生の評論は、大変に勉強になります。私も常日頃、心掛けています、上句&下句の対比、景色の距離感です。▼『辻褄を合わせない事』世界観が離れれば離れるほど良いと、お世話になったK先生から教えられたもので、👆の歌でまた再確認しました。
[330] 題名:ヒオキ貝をたまずさとして供え置く海の好きだった母の墓前に≫池中健一 名前:風太郎 投稿日: 2024/04/19(金) 09:12
NHK短歌・五月号、山崎聡子選『なぜか忘れられない人』での私の作品です。ヒオキ貝は、赤・青・黄色・紫と扇型の二枚貝である。▼海で働いていた母はこの貝が好きでした。▼『たまずさ』は古語で、手紙や消息の意味で使われます。一度、この言葉を歌に使いたかったのですが、今回、ようやく、日の目を見た思いがします。
[329] 題名:茹で立ての菜の花みどりの鮮やかさ確かに春は近づいている≫池田敏子 名前:風太郎 投稿日: 2024/04/11(木) 09:13
今朝の新聞歌壇の『小島ゆかり選』での彼女の作品です。珍しく、池田の姓が二日続きました。彼の方には昨夜、伝言が届き、丁寧なお返事を頂きました。▼👆のお歌ですが、下句の言い差しで、上句が活きて、短詩になったと思いました。中々、ヒットしない全国紙で、彼女も随分とここ最近、歌の力を付けて来ました。▼やはり、先輩にとっては後輩の成長は嬉しいものです。
[328] 題名:弾く人の心が音色ひき出すとビオラ作者がしみじみと言う≫池田裕宣 名前:風太郎 投稿日: 2024/04/10(水) 09:36
今朝の新聞歌壇の『道浦母都子選』での彼の1席の作品です。【評】。「ビオラ作者」だから、ビオラを作る人。その人が言った言葉に魅かれる。三句までの言葉に成程と共感し、短歌作者の私も心の音色を奏でたいと思った。▼先日、退院後の彼の歌からは、👀が離せないと、言いましたが、85歳、選者が私も歌人として心の音色を奏でたいと、言わしめた、彼の会心の一首だと感心しました。▼哲学的には、己のあらゆる分野の作品も作者本人の心根がすべて作品に投影すると言われますが、まさに、そこいらを見事に衝いた彼の1首だと思いました。▼惰性という心の隙を見事に打ち砕かれました。先輩の今日の作品でした
[327] 題名:しんとしたドアの向こうに先生の声して夫の検査はじまる≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2024/04/06(土) 15:59
月刊誌『大口玲子選』5月号の彼女の作品です。私の4ヶ月の連続は果たせませんでしたが、それは欲張りと気持ちを切り替えました。▼今回は彼女のウイットに跳んだ、いつもの歌と違い、事実を冷静にふまえて、淡々と呼んだ一首です。▼短歌の言葉は不思議な働きをします。斯うして感情を抑えて詠むことで、余計に作者の緊迫感が伝わります。▼私どもの年代になりますと、殆どの友人が、斯様な暮らしが余儀なくされる状態です。▼『生老病死』の四苦は人間にとっては、避けて通れない問題だけに、苦しみが付きまといます。