[376] 題名:自らも施設の介護うけ居しに友の世話する姉は生き生き≫池田裕宣 名前:風太郎 投稿日: 2024/08/14(水) 09:31
今朝の新聞歌壇の『道浦母都子選』での彼の1席の作品です。【評】・こんなケースはあるのだろう。かって介護を受けていた姉が、今度は友人の世話をする立場に。その時の姉は「生き生き」。この結句が生きた一首。▼作者の年齢は85歳とお聞きしているので、恐らく、お姉さまは、90前後で有ろうと察します。やはり人と言う存在は利他のために、身体・心を動かせば、自分自身も元気を頂けるということだろう。そこのところを見ごとに切り取った1首だと思いました。▼『人前を照らせば、我が前照らされる』ビクトル・ユーの有名な至言である。池田さんの短歌は派派手さは有りませんが、じっくりと効く漢方薬のような趣が有ります。
[375] 題名:このことは顔みて話すことだった何度もなぞるラインの言葉≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2024/08/11(日) 10:15
今朝の新聞歌壇の「大辻隆弘選」での彼女の2席の作品です。【評】・本当なら相手の顔を見て誠意をこめて告げるべき大事な事柄。が、ついつい気後れしてそれをラインのショートメッセージで伝えてしまった。当然、自分の深切な思いは相手には届かない。後悔するけれどももう遅いのだ。▼今日の歌壇は、全てが日常詠である、最近とみにこの傾向性が強いようである。やはり、少しずつ、作風も変えて行かなければ、ならないと思いますが、これが一番に難しく思えます。▼やはり、相手と直接会い想いを伝えることが基本であるが、数年のコロナ化が影響して、つい私なども、通信ツールで済ますことが多々あります。▼そこいらを、洋子さんが、見事に衝いた、1首だと思います。暫くは彼女の好調が続きそうな勢いを感じています。それにしても、日常の生活の中の1シーンを掬い取る👀に感服します。
[374] 題名:ピンポンと鳴り止まぬベル湯船から出るか出ないかまごまごしてる≫池田敏子 名前:風太郎 投稿日: 2024/08/08(木) 09:35
今朝のSK新聞歌壇の『小島ゆかり選』での彼女の作品です。日常のあるある景色を可笑しみをこめて上手く掬い取った1首だと思います。さくらさんは、日常のなんでもない一場面を切り取ることが、とても巧いと思います。▼ノースカロライナから帰り、時差の加減で体調の不良の中、斯うした、朗報は、きっと良い薬になったと喜びに堪えません。▼ぼちぼちと、アメリカでの体験・景色を詠みだしていますので、愉しみにしています。今回のヒットはグットタイミングで本当に良かったと思います。
[373] 題名:さあ乗らん窓から見下ろすジェット機にジンベエザメの描かれて居り≫森川慶子 名前:風太郎 投稿日: 2024/08/07(水) 09:24
今朝の新聞歌壇の『坂井修一選』での、彼女の作品です。歌友の「さくらさん」も長期滞在の米国から帰られた。邦人のいない、乗り継ぎ空港の不安を歌にされていますが、同年代の女性の旺盛な行動力に感嘆します。▼さくらさんなどは、未だコーラスの重鎮、山ガールでも有り、大好きな大和の『山野辺の道』の散策を続けられている。▼私の身の回りの男性はわたしも含め、昭和・平成・令和と必死に走り続けた所為なんでしょうか、もうくたくたの有様です。▼西行のごとく、何もかも捨てて全国行脚を成すことも、夢に見るだけで、遠い世界の出来事、せめてもの「うさ」を短歌に託しぼやきながら、生きて行きたいと思っています。
[372] 題名:白浜太郎さん「こんにちは」。 名前:風太郎 投稿日: 2024/08/05(月) 10:50
今日は。やはり、そちらの方は恵まれていると思っていましたが、猛暑なんですね。貴方が、お住いになっていた『樟葉』のお宅を訪問した時のことを思いだします。国道1号線を跨げば、枚方・交野ですね。あの時、連れて行った下の子が、4人の子供を授かり、大阪で頑張っています。▼平均寿命に近付きましたが、認知機能の低下や体力の劣化には、うんざりとしています。生き物の定めとは言え、身の回りや、友人が施設にお世話に成ったり、病に倒れてゆくのを見るのは、やっぱり切ないですね。どうか、奥様を大切に、有意義な人生である事を心から念じています。▼月一の、貴方のブログを愉しみにしています。無理をしないで『頑張って下さい』。
[371] 題名: 名前:色呆け爺 投稿日: 2024/08/05(月) 08:59
神戸の山中とは言え、今年の夏は例年に無く暑く、エアコン無しでは過ごせません。
樟葉(楠葉)に住んだ事がありますので、交野・枚方方面に遊びに行った事があります。天の川や機物神社や七夕橋・逢合橋等を散策しました。
風太郎氏のお陰で小川様のお歌は度々拝見していましたが、交野方面にお住まいでしたか。私は老いましたので、もう枚方交野方面に行く事はありまえんが。
[370] 題名:交野(かたの)線の本数減りてよみがえる若き日のこと恋のことなど≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2024/08/03(土) 17:54
長い間、大阪に住んでいますが、こんな殺人的な夏の暑い日が続くのは、今まで体験をしたことが在りません。神戸の六甲の山麓に住む「白浜太郎さん」の処はどうなんでしょうね。もう、短歌どころではなく、命の危険さえ感じます。▼少し前の『大辻隆弘選』での彼女の1席での作品ですが、一服の清涼剤になればと思いました。【評】・交野線は大阪府の枚方から伸びる京阪電車の支線。『伊勢物語』にも登場する美しい地名を持つ線である。人々の足が鉄道から遠のいてゆく。それと同時にこの線で通学した若き日も遠ざかる。その感慨が美しい調べで歌われている。▼交野は万葉の里でもあり、「天の川」と言う川が流れ、彼の、『在原業平』の和歌でも名を馳せています、歌の郷でも有ります。▼やはり、短歌は固有名詞の使い方の有無が歌を大きく左右することが見て取れます。歌を詠む人なら『交野』の地名を聴くだけで、一気に心象世界が、『伊勢物語』の華麗なる世界に引き込まれます。▼洋子さんは、その心模様を上手く導き出し、下句≪若き日のこと恋のことなど≫とサラっと、詠い込む見事さに脱帽です。
[369] 題名:岩波の国語辞典が朽ちてゆく十三歳の春に買いしが≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2024/07/28(日) 10:34
今朝の新聞歌壇の『米川千嘉子選』での彼女の作品です。少し可笑しみが無いようにも思いますが、圧倒的な固有名詞と数詞が効いた1首だと思います。▼彼女は日常の言われてみれば、なるほどと言う景色を掬いだす👀が長けていると思います。▼歌友の「さくらさん」が、娘さん・お孫さんのいるアメリカに長期滞在されていますが、A新聞歌壇の情報を、LINEで送りましたら、返事が届き、いまさらながら、世界のどこまでも繋げる、このツールの凄さに感嘆しました。ニュースなどではスマホでリモートしている場面を度々見ましたが、もう戦争などやっている時代では無いと思いますが、争いは人間の業の為せる断ち切ることの出来ない現実を呻吟します。
[368] 題名:満州の戦語らず逝った父アルミの飯盒(はんごう)ひとつ残しぬ≫池中健一 名前:風太郎 投稿日: 2024/07/24(水) 09:37
今朝の新聞歌壇の『坂井修一選』での、私の1席の作品です。【評】・満州戦役がいかに悲惨だったか、父はついに語らなかった。今、そこにつながるのは、アルミの飯盒ひとつだけ、逆にこの「ひとつ」に万感がこもる。▼厳しい暑さに創作意欲も無くなっていた中、嬉しいというより、勇気を頂き感謝しています。「評」の「ひとつ」の数詞に万感がこもる。とまで評していただきました。▼今年は自分のホームグランドに力を注ごうと年初に誓い、斯うして、この歌壇で七か月連続を続けて居られるのも、皆様の応援のお陰と感謝に堪えません。『(人''▽`)ありがとう☆ございました。』
[367] 題名:妹に習ったハングル「チャレッソヨ」いちばん先に自分に言った≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2024/07/22(月) 09:57
今朝の新聞歌壇の『栗木京子選』での彼女の2席の作品です。【評】・韓国語の「チャレッソヨ」は「よく頑張った」の意味。日本語で自分に言うと少し照れるが、韓国語ならばすんなりと受けとめられる。私も真似をしたいと思った。▼好調の波は、やはり、存在するのかも知れません。何だか乗りに乗ってるという感じを彼女に持ちます。▼日常生活の中にある、具体的な意外性、そういったところに、自然と👀が向くのは、やっぱり彼女のなかに内在する真似のできない才能だと感嘆しています。「栗木京子先生」をして「私も真似をしてみたい」と言わしめた。