[459] 題名:ようやくに六年を経て会う友は柱の前に杖つきて居り≫森川慶子 名前:風太郎 投稿日: 2025/02/26(水) 10:08
今朝のS紙歌壇の『坂井修一選』での彼女の作品です。等身大に自分の身の回りを詠んだ1首ですが、淡々と現実を境涯に応じて活写していると思いました。▼私などより、齢を重ねた先輩であるが、連日の活躍を👀の辺りにしますと。エンジンを蒸かして、もっと気合を入れなければと思います。▼私の身の回りにも、お歌のような、昭和を生きぬいた多くの人たちが高齢を迎え、懸命に立ち向かう姿を自分も含め遭遇します。▼作歌にいそしむ中に、仲間が頑張っている姿に、お力を頂き、切磋琢磨してゆきたいと思いました。
[458] 題名:朝に夕いくら呼んでもしんとして白骨(しらほね)の夫もう耳が無い≫森川慶子 名前:風太郎 投稿日: 2025/02/25(火) 07:45
昨日のM紙歌壇の『米川千嘉子選』での彼女の作品です。K紙歌壇で長い付き合いのある選者は、まさに彼女にとっては、母のような存在であろうか、その縁は羨ましい気がします。▼👆のお歌は、ここ最近、亡くなられた、御主人に対しての挽歌である。下句の景色の、臨場感に富んだ景色のリアリティは、体験して初めて知るものであると思いますが、余りにも切なく、読む者の肺腑をえぐります。▼短詩が何故これほどの、人の心を鷲掴みにするのか、あと少し残された人生に、少しでもいいから、肉薄できたら良いなと思う今日、この頃です。
[457] 題名:そっとしておいてと言われて帰る道 登るしかない坂道登る≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2025/02/24(月) 19:48
彼女には、👆のような作品がある。【評】・「そっとしておいて」は誰に言われたのだろう。そうなれば、離れるしかない。帰りの路は上り道。彼女のやるせない気持ちが伝わる。▼私は良く風太郎塾の後輩には、口を酸っぱくして、短歌も短詩である以上、詩であり、短編の文学のような、はっとするような、色々な景色が想像ができる、要素が大切と折に触れて言います。▼👆の31音の短い詩の中に読者は、自分勝手に、その背景を思い描きます。▼洋子さんは、そこいらを、さりげなく、歌に詠む。もっと、もっと、勉強しなければならないと、何時も気づかせて頂く、有りがたい、憧れの先輩です。
[456] 題名:瀬戸内のメバルいただき甘辛く煮て煮こごりも大事に食べる≫小川洋子 名前:風太郎 投稿日: 2025/02/24(月) 10:02
今朝のY紙歌壇『栗木京子選』での彼女の作品です。偶然か私も昨日、「米川千嘉子選」に帰省の度に母が煮つけて待つ、内容の1首を出したところでしたので、読ませて頂き少し驚きました。今日はM紙歌壇でも、森川慶子さんが、掲載されていましたので、感慨深い想いが有ります。▼洋子さんの👆のお歌は、地味では有りますが季節のメバルを主題に、丁寧に詠まれ、主婦感覚にあふれた1首だと思いました。初句の『瀬戸内』の固有名詞も効果的だと、思いました。
[455] 題名:「アッ揺れてる」壁のカレンダー右ひだり娘(こ)の声に気づきし能登の地震は≫小林貴以子 名前:風太郎 投稿日: 2025/02/20(木) 15:02
NHK短歌の3月号の、お題『カレンダー』川野里子選の彼女の作品です。カレンダーと能登地震の意外な組み合わせと具体性が功を奏した1首だと思いました。初句の意表を衝いた「アッ揺れてる」も面白い入り方と思います。▼投稿者にとっては、作品のヒットが次への意欲へとつながることは、間違いのないこと、春爛漫となりますことを、祈っています。
[454] 題名:二十年あなたの齢(よわい)を超えた夜 父の形見の着物を羽織る≫池中健一 名前:風太郎 投稿日: 2025/02/16(日) 09:42
今朝の新聞歌壇『内藤明選』での1席の私の作品です。【評】・父の享年をニ十歳上回った夜、仕舞っていた父の着物を羽織ってみたという。亡くなった時は、着ることもなく、地味に思っていたのだろうか。父に語りかけることで、父の姿を彷彿とさせ、自らの老いが噛みしめられる。▼内藤明先生は、久方振りに採って頂きました。ちょっぴりと、上手く詠めたかなと、自信のあった1首でしたので、滅多に父を主題に詠みませんので、今回のヒットは、本当に嬉しかったです。父への供養にもなりました。
[453] 題名:岩肌を緑に包むアオサのり磯で始まる故郷の春≫多鶴子 名前:風太郎 投稿日: 2025/02/15(土) 22:50
👆の1首は、彼女の地元の自治体の故郷の短歌のお祭りに誘って頂いた、彼女の、今年度の入選の作品です。▼シンプルで有りますが、枯木灘の荒磯を知る人にとっては、涙のでるほどの景色の作品です。2月の冷たい潮を浴びながら、岩に張り付いた、海苔を摘む作業は、春の始まる季節とともに、貴重な暮らしの生活の資源でした。▼味噌汁の具であり、天日で干して、御飯のおかずと成りました。▼打ち寄せる冷たい潮の中で海苔を摘んだ感覚を、未だに、私も忘れることは有りません。▼宅の裏畑の梅の梢には、数えきれない、新芽が芽吹いています。都会の街の片隅にも、春のドラマが始まりました。
[452] 題名:トルコ艦の将士の眠る慰霊碑を没り日がいやす紀伊の大島≫池中健一 名前:風太郎 投稿日: 2025/02/14(金) 21:21
この度の、故郷の自治体が主催する短歌の催し大会で、去年んに続き、今年も採って頂きました私の1首です。朝日歌壇を通じ、是非参加と導いて下さった地元の短歌会の方も今回は、上位で入選を勝ち取り、早速にお祝いのお手紙を出させて頂きました。▼本当に多くの歌友からお誘いを頂き、こうして、自分の歌が日の目を見るのは、有りがたいことです。▼思いだせば、我がふるさとの、枯木灘、熊野古道で多くのヒットを勝ち得たことに、感謝しても仕切れない想いが有ります。▼我がふるさとも、大きな国家予算がつぎ込まれ、原形をとどめめ無いほど変わりましたが、枯木灘・熊野灘は、昔のままです。この原型がある限り、故郷への望郷は変わることは有りません。
[451] 題名:D51で共に来阪はたらいた級友(とも)の次郎やんいずこに老いる≫池中健一 名前:風太郎 投稿日: 2025/02/12(水) 10:14
今朝の新聞歌壇の『坂井修一選』での私の1席での作品です。【評】・いっしょに大阪に来て働いた級友。今は音信不通だが、私と同じようにどこかで齢を重ねているのだろう。「次郎やん」の響きとともに口語が生きた作。▼時は昭和百年、不思議なもので人生は卒後に一回も同窓会も来ない級友と必ず参加の友と分かれる。その陰にはそれぞれの来し方と生き方が恐らくは有るのでしょう。▼ちらほらと、年賀仕舞いと、訃報の届く昨今、歌が重くならないように、サラッと口語調に軽く詠んだのが功を奏したように思います。
[450] 題名:冷えびえと古墳の森の木々の間を洩れて来たりぬ夕つ光は≫森川慶子 名前:風太郎 投稿日: 2025/02/09(日) 10:56
今朝の新聞歌壇の「大辻隆弘選」での慶子さんの作品です。ちょうど、冬の真中の古墳の森の景色でしょうか、下句の景色の木漏れ日が洩れる、夕光の趣が良いですね。👀の前に浮かび上がる感があります。