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もちろんLASだけに限らず、エヴァネタだったら何でもOK。
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[373] 題名:あの子のことが僕は嫌い 15.かもめの居場所 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年10月07日 (木) 21時59分
「シンジ、何してんの」
自分の席で、それらを机に広げて、小首を傾げていると後ろから声をかけられた。
「ケンスケ。これ、貰ったんだけど、僕シールなんて使わないから困ってるんだ…」
「なんだこれ?ガキくさい柄のシールだなぁ。6枚もあんの?」
「うん。それにさ、なぜかこの列は全部使われてるんだよね。この空いた部分にあったシールは何なんだろう?」
使い終えたシールの丸い空白が右側の列に綺麗に並んでいる。
「ふーん?よーするにいらないもんだからお前にくれたんじゃん」
「何やそれ、いらんもんなんか?じゃあワシにくれや」
「そうだな。トウジの妹にやったらいいんじゃないの?」
「あほっ。最近の小学生は好みがうるさいから、ダサいのいらん、可愛くないと嫌って言いよるわ」
「じゃ、どーするのさ」
「これはな、こーすればいい思う」
一枚とって、船の絵のシールをひとつめくったトウジが、「おりゃ!」
「わあ!?」
僕のおでこにそのシールを貼付けた。
「何するんだよ!」
「うーん。10点!いや20点か」
「おお何をするんだねトウジ君!うりゃ!」
「うがっ」
今度はケンスケが一枚とって、トウジのほっぺたにペンギンの絵のシールを貼付けた。
「よし、一人二枚ずつとって、この昼休みで勝負だ」
「しょうぶ!?」
「おう。顔は20点、体の正面は10点、背中は5点でどないや」
「よし。絵柄で得点はどうする。」
「じゃ、逆転狙って、このでかいカモメは×10や。あとは小さいから×1。つまりそのまんまや」
「ラジャー!」
「二人とも、そんなことに使うなんて、それは…」
抗議したが、トウジとケンスケ二人ともがキロン!と僕を睨んで「ひゅーじょん!」とか叫びながら人差し指に乗せたシールを僕の両頬に貼付けた。
「ゲハハハハハ!」
※〜※〜※〜※〜
最初、僕が二人に集中攻撃を受けたが、トウジが僕を狙う隙にケンスケがトウジを攻撃。二人がいがみあってる隙に僕が二人にダメージを与えるというふうに、結果的には中々いい勝負が出来たと思う。
放課後、中庭。
僕たち三人は、顔と体じゅう、あっちこっちにシールを貼付けていた。
トウジのジャージの背中には、なぜかシールだけじゃなく、ガムテープの切れ端とか、「80円」の値段シールとか関係ないものも貼られてる。
「…90、…95…。今のとこトウジがリードしてるな」
眼鏡のレンズに浮輪のシールを貼付けたケンスケがカウントした。すごく変だよ。似合うけど。
「っしゃあ!あと何枚残っとる?」
「俺はもう…。お!シンジ、逆転狙いか!?」
「あ。」
僕のシートには、大きなカモメのシールだけが残っていた。でも、これ…。
「さてはお楽しみを最後にとっておくタイプだな!」
「よっしゃ。来るなら来てみい!ワシに隙はないで!」
とーうっ。と変なポーズをとるトウジの後ろに、忍び寄る影があった。
スパン!
「んがっ!?」
「あんたら、馬鹿?!」
眉をひそめたアスカが、筒状に丸めたノートでトウジの頭をはたいた。
「何すんねん!凶暴女!後ろからとは卑怯やぞ!」
トウジはアスカの方を振り返って怒鳴ってる。
「今だシンジ!トウジのほっぺたガラ空きだぞ!」
ケンスケが僕の肩を叩いた。
「う…うん!」
うなずいて踏み込もうとしたけど、「…っ」トウジの向こうにいるアスカと目があった。
アスカの目からははっきり言って、たまにビームが出てると思う。そのビームは僕の瞳孔から入り、心臓を活発にさせる。そして今のような場合は、腰に抜け、あそこが縮むような冷たい恐怖感をもたらす。だけど、最近。恐怖ではない、別のドキドキの血流までもが一緒にそこに流れこむことがある。アスカビームは日に日に強力になってる。困る。
「うお!しまったあぁ〜!!……?」
そう叫んで、オーバーアクションで僕をよけるトウジが、静かなのに気付き、不思議そうに僕を見た。
僕は人差し指にシールを乗せたまま、突っ立っていた。
「なんだシンジ、貼らないの?んじゃ俺が」
スタスタと前に出て、ぺーん。とケンスケがトウジの頬に自分のカモメを貼付けた。
「逆転勝ちだ!悪いね!」
「おっ!お前、もうないって言ってたやんけ!」
「ない。とははっきり言ってませーん。敵をあざむくのは当たり前だろ〜ん」
ヘヘへっと笑うケンスケ。でも、それまでだった。
パンパンパーン!!
鮮やかなアスカの平手に僕たちは薙ぎ倒された…。
※〜※〜※〜※〜※
「うう…ごめんアスカ」
「信じらんない!あんたなんかサイテー!せっかくあたしがあげたのに!」
「何やと!このダサいシールは惣流のセンスか!?」
がばっ。と起き上がった、シールまみれのトウジが叫ぶ。
「シンジなんでそれを早く言わないんだよ!写真と一緒に売れたのに!って…ごめんなさいすみませんもうしません」
二人は、アスカに再度報復された。
「シンジ、あんたって奴は…」
「あの、その、本当に、僕はこれだけは使わないでおこうって思ってたんだよ。ほんとう。」
シールを乗せた人差し指を強調する。首が苦しいよアスカ。あんまり衿を持ち上げないで。
「…ほんと?」
「だってアスカがくれたし、一枚ぐらいちゃんと使わないと…って。あ。」
せっかく機嫌を直しかけたのにまた下げてしまったかも…。
「ぼ、僕、このカモメ、携帯に貼ろうと思ったんだ。ほら、こうやって」
ポケットから携帯を取り出してみせた。
「…それならいいわ」
アスカはこっくり頷いた。
あらためて携帯を取り出し、カモメシールを貼った。
アスカは満足したみたいだった。
機嫌がいいときのアスカはかわいい。
「…これも、貼ってあげるわ」
自分の手帳から何かを出して、カモメの横に貼付けた。…あっ。
「錨のマーク…」
僕は、顔と体じゅうにカモメやイルカやペンギンの色んなシールを貼付けて、おまけに運動場の砂ボコリまみれの間抜けな姿だったけど、ジーッとそれを見つめて、閃いた。
「…アスカ!これ、僕だ!だってイカリのマークだもの!ねぇ。これ、僕だね!」
うれしくなって、アスカを振り返って笑いかけたら、アスカはなんだか真っ赤に
なって、くちびるを噛み締めてた。
「〜〜〜…っ…」
声にならないみたい。
…なんか、僕、そんなに変なこと言ったかな?
※〜※〜※〜※〜
後日、僕の携帯を見た洞木さんが、あさっての方向を見ながら
「ふーん。カモメと錨マークねぇ。…カモメはアスカかしら?飛ぶ鳥って書いて飛鳥って言うしね…」
ってつぶやいて、アスカに追いかけられてキャアキャア言っていた。
了
[372] 題名:あの子のことが僕は嫌い 14.くるしいときも楽しいときも 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年09月29日 (水) 22時11分
「むうう〜…うー」
「アスカったら、何さっきから唸ってるの?」
最近出来たばかりのお友達のアスカが、教室の机にスケジュール帳を広げて不機嫌そうに唸っていた。
向かいの椅子にかけたら、
「ヒカリぃ…もうすぐ来るのよ…地獄の一週間が!あああもう!」
そう言うと、頭を何回か振って机の上に突っ伏した。頭を振るたびに、長い豊かな髪もうねって、いつかみた洋画の女優さんが同じことをしてたっけ。と思った。
「何が?」
「…よ。」
「えっ?」
「耳、貸して…」
「あ、ああアレのこと…」
「どうして女にだけあるわけ?不公平だわ!」
「アスカ、重いほうなの?」
「他人と比べたことはないけど、も の す ご く イタイわ」
「そうなの…」
「あぁなんでこんなもんがあるわけ?破裂してなくなっちゃえばいいのに!!」
「えー!冗談でもそんなこと言っちゃダメよぅ」
「真面目ね。ヒカリ。」
「真面目とかそういうんじゃなくって…」
でも、アスカはほんとに憂鬱そう。よっぽど痛いんだろうな…
「あのさ…、アスカの痛いのを、本当にやわらげてあげられるわけじゃないんだけど。」
「なに?」
「お姉ちゃんに教えてもらったんだけど…、それの印を手帳につけるときにね、わざと可愛いシールとか、お気に入りのカラーペンを使うといいんだって。」
「なんで!意味わかんない!全然楽しくないのに!」
目を真ん丸にして驚いてる。目が大きいなあ。
「嫌なことだから、わざとそうするの。嫌だ嫌だって思い込み過ぎたら、余計にいやになっちゃうでしょ?ちょっとでも、気分よくいられるようにするための工夫なの」
「…へぇー…」
口を開けて感心している。
「でもあたし、シールなんて持ってないわ」
「じゃあ、今日の放課後買いに行く?」
※…※…※…※
「いっぱいあるわねー!あ、これ可愛いっ!これも、これも…」
「わたし、嫌だなって思う予定ほど、わざと1番好きなシール使うの。試験とかさ」
「1番好き…」
わたしもシールを見ていたんだけど、気がついたら、アスカはしゃがみこんですごく真剣な様子で選んでた。なんだか小さい子みたい。
「スカートが、床についてるよ」
「あ、うん。」
上の空で返事して、スカートの裾をくるっとお尻に巻き込むと、また一生懸命選びはじめた。
「どんなのにしたの?」
見てみたら、意外だった。
「…なんか、アスカっぽくない」
どっちかって言うと、小学生の男子が使いそうな…カモメとか、ペンギンとか、青とブルーばっかりのガキっぽいシール。他にも何枚かラメっぽいカラフルなやつも選んでるけど。
「えー!それ5枚も買うのー?!」
「いいじゃなーい!うちにはペンペンがいるしさ!」
「そっかそっか、ペットのイラストなら買いたくなるよね」
納得してレジを済ませた。
※…※…※…※
「アスカ、大丈夫…?」
「…」
休み時間、アスカは机に突っ伏して顔をあげないまま、手だけ弱々しくピースサインをしてみせた。無理しちゃって…。本当に重いのね。かわいそう。
「保健室行く?」
「これぐらい…耐えられるわ」
「言っとくけど、シールじゃ本当の痛みは消えないよ?」
「んなのわかってるっての!」
「手帳どうした?見てもいい?」
「うん…」
赤い手帳を開かせてもらった。
いっぱい貼ってるじゃん。
ペンギン、お船、カモメ、ぴこにゃん、ヘローキティ、ラメった向日葵。
そんなのよりも、なぜか「イカリ」。アンカー。船の「いかりマーク」のシールがカレンダーの色んな日にちに貼ってあった。…今日。明日。あさって。しあさって。毎週金曜。土曜日。日曜日。
「…!」
何かに気がついたのか、アスカがガバッと起き上がると同時にスバッ!てわたしの手から赤い手帳をひったくった。
しばらく沈黙して見つめ合う。
そうね。イカリの絵のシールなんて、中々無いもんね…。
だからあのダサいペンギンの絵のやつをまとめ買いしてたのか…
「…アスカって、嫌なことがほとんど毎日あるのね。
あっ、もちろん、うれしいことがある日にもシールは使っていいんだけどね!」
了
[371] 題名:AEOE@WEST 6 奇跡の価値がわからない 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年09月26日 (日) 22時55分
※これはギャグです※お笑いです※シリアスでスタティックな方は絶対読まないで下さい※60歳〜70歳のばあちゃんの会話文で進行します※孫のトンちゃんとお客さんのシンジ君が登場します※一応連載※
おはよう。
おはよう。早いなぁ。
今日はタマゴと牛乳が入荷したんやてな。お一人様一個ずつやから、はよ来て並んでおかんとな。
やっと少しずつ、食料やら電気やらが元に戻ってきてるなぁ…
まだまだ先は長いで。元通りになるには10年かかるゆうし。
戦後の話やら震災の後を思い出すな。
お客さんの子ぉはまだいてるの。
うん。部屋は余ってるからそれはええねんけど。でもな、耳こっち寄せて。…あの子ちょっとおかしいで。
えっ。まあ…情緒不安定な子なんやろ。
それもある。
うっとこ、もし夜中に息子やらひょっこり帰ってきたとき、入られへんかったら可哀相やからわざと裏口を鍵かけんと開けてるやんか。
そしたらな、それを見て、また大泣きしよるんよ。
うん。
「すいません、僕のせいです。僕がみんな悪いんですー!」言うて泣きよるんよ。
なんでその子のせいなん。
それがな、三回目のあれを起こしたんは、「実は僕なんです!!」ゆうの。
………。
………。
…その子、ココ(おつむ)は大丈夫なんか?
頭パーちゃうか。ゆうんやろ。そやねん。うちもな、それを心配しとんねん。急におかしなって、放火でもされたらかなんから、早よ帰ってもらい。ってトンちゃんには言うてんけどな。そしたらまあ怒る。怒る。トンちゃんがあんまり怒るさかい、うちはもうなんも言わへんねんけど、心配やわぁ。
あれやな。きっと若い子がなる病気やな。落語の病気。
なんやソレ。
「郵便ポストが赤いのも、電信柱が高いのも、みんなわたしのせいなのよー」言うやつや。
そういやそんなんあったっけ。
若いときみんななる病気や。自分のせいで何もかも悪るなった。自分のこと皆が悪く言うてる。どこまで行っても自分、自分、自分が全ての、かいかいの季節病や。
ああ、うちもそんなん言うてみたいわ。腹が立ったら海を赤く変えてしまいたい。悲しかったら空が真っ暗になりゃええのに。そんなふうに若いときは思ったこともあるけども、世界は、ひとっつも変わらんな。にくたらしい。
そりゃそうや。国破れて山河あり。言う言葉があるやろ。国が破れても山河がある位やのに、自分ごときが破れたところで、世の中びくともせえへんわ。そのほうがよっぽど残酷やと思うときあるわ。ほんま、自然と世間ほど薄情なもんはないで。
…ま、そう思い上がれるだけ、若うて生命力がある証拠やわな。
そやな。あら、トンちゃん。おはよう。どないしたん。眠そうな顔して。
スーパーの列に代わりに並んどいたるから、婆ちゃんらは家で休んどけって?
どないしたん。えらいええ子やない。わしやない?えっ。シンジ君が言い出した。わしはほんまはまだ眠いんや。って。
あらまあ。
あんた、よう気がついて優しい子なんやな。
代わりに並ばんでええわ。それよりあんたら後ろに並んで。したら四つ買えるから。
「買いすぎやろ!」って、トンちゃん、何を言うてるの。あんた自分がどれだけ食べるか気ぃついてないんかいな。「せっかく来たのに。」って、だから「一緒に並んで。」言うてるやないの!だいたいあんたは…
また孫と喧嘩しよる。
おおきに。ありがとう。シンジ君、あんたせっかく男前に生まれて、気ぃも優しいんやから、早ぅかいかいの病気治してしゃんとしぃや。バスの運転も出来るんやし。
かいかいの病気ってなんやって?
みんな一度はなる病気のことや。
※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※ごめんね色々※10代とか20代の時期って自分で自分が嫌いになったりして辛いときもあるけど※「それはそういう季節のもんだから大丈夫」って言われたなら私なら安心できて嬉しいかなと思う※異論はあるでしょうけど※
[370] 題名:AEOE@WEST 5 地獄の乗りもん バンゲリオ 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年09月14日 (火) 20時22分
※これはギャグです※お笑いです※シリアスでスタティックな方は絶対読まないで下さい※まさかのチルドレン登場※すみませんね※60歳〜70歳のばあちゃんの会話文で進行します※
あぁ、食べた食べた。お腹いっぱいやわ。
焼肉ご馳走さまでした。
おおきにありがとう。
そんなんええて。
はー。今夜は星がようけ出とるなあ。あの子らの話がすむまで、ここの縁台で一服するから付き合うて。
はいはい。
アイス食べよ。うち、あずきバー。
わたいは宇治金。いただきます。トンちゃんの足は、残念なことやったな。
うん。ほんまを言うたらな、悔しくて悔しくて夜も眠れんぐらいでな。あの子の足をとったやつらを、どちくしょうめ、おんなし目に遭わしてやりたいてずっと思っとったんよ。
うん。うん。
でもな、あの子が諭すねん。婆ちゃん、それは違うでって。足を一本とられたから、わしは助かったんや。おかげであいつらと縁が切れた。もしも五体満足でおったら、あのまんま地獄でずっと働かされとったと思うって。
ずっとあっこで働き続けた他の仲間はな、命とられたり、心とられたりしたんやって。体がバラバラになった子もおるらしいわ。
そんな恐ろしい乗り物があるもんかいな。
さあ。
最初から乗っとった子はな、心のない子やってんて。せやから、心がないときは、あんじょうええ案配やってんけど、仲間もできて、だんだんと心が生まれてきた途端、連れて行かれてしもうてんて。
何に。
ばんげりおんゆう乗り物に。
で、なんやかんやあって、その子はまた戻って来てんけど、そのときにはまた心を失くしてもうててん。
はあー。なんやようわからんけど、恐いもんやなぁ。
だからな、あの乗り物は、乗り手の命やら心やら体の一部やら、とらんことには気がすまん因業なもんなんやと思う。わしは縁が切れたからええけれど、五体満足で最後の最後までお勤めせなあかんかったやつが実は1番つらかったはずや。そう言いよるんよ。最後まで乗ってた子は、ほんまは何をとられたのか、決して言わんけど、恐ろしい目にあったにちがいないって。
はあ〜、トンちゃんエライわ。
それはな、トンちゃんが大人やからそう言えるねんで。
うん。
あのお客さんの子ぉは関わりがあんねやろな。
うん。
でもな。誰があの子の足をとったか詳しいイキサツは知らん。知らんのがええのやと思うわ。
それにしてもバンゲリオて変な名前やな。
何回聞いても「バンゲリオやない」って言われるけどやっぱりうちには「バンゲリオ」か「ばんげりおん」かどっちかにしか聞こえへん。
わたいら、耳も最近聞こえにくいしなぁ…。結局どうゆう乗りもんなん?
それがなぁ、何回説明聞いてもわからへんねん。多分な、ごついバスみたいなもんやないかと思うてんねんけど。
バスの運転でそんな目にあうかしら。
高速バスかなんかで、ものっそい過労させられたんやないかと。
足とれるやろか?
無茶苦茶な使われ方したんやと思うわ。しとが来た、しとが来た。ってやたら言うてたから、えらいぎょうさんのひとが来て、引きもきらず やったんちゃうかしら。
江戸っ子は「ひ」がよう言えんいうから、そうかもな。なんで子どもに運転させててんやろ。
運転席が狭かったんちゃうかしら。
はあ。そんなことで。
気のきかんメーカーやな!!
あら、トンちゃん。
何よ。なんで婆ちゃんたちだけアイス食べとるねん。って?あんた栗饅頭食べたんか?
食べた。ほうか。口の中カラカラか。そやろな。
お客さんどないしたん?
スイカ切ってくれてんの。へー。…スイカ切りながらまた泣き出したって?
思い出し泣き?
…あんな情緒不安定な男前の子、うち、初めて見たわ。
※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※ごめんね色々※
[369] 題名:AEOE@WEST 4 焼肉ヘブン 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年09月14日 (火) 18時30分
※これはギャグです※お笑いです※シリアスでスタティックな方は絶対読まないで下さい※まさかのチルドレン登場させました※すみませんね※60歳〜70歳のばあちゃんの会話文で進行します※
こんばんはぁ。
あら、今夜はえらいご馳走やね。焼肉かいな。
いらっしゃい。
せやねん。孫の友達が遠いとこから来とんねん。
ほんまは寿司でもとろうか思ってんけど、手作りがええ。言うもんやから。
それに、肉料理はなんでか、りりっさん避けになるて言うし。きっと肉が嫌なんやろ。あんたも食べて行きんかいな。
ええの?おおきに。
トンちゃん、こんばんわ。えっ?その呼び方やめてやって、なんでやの。あんたの名前そのまんま呼んだらトウちゃんになってもうて、まるで、お父さんみたいやがな。小さいときからトンちゃんやない。あははは!
ちらし寿司もあるで。
焼肉とあわんやろ。
だってご馳走作れってこの子が言うから。
あら。こんばんは。はじめまして〜お友達どっから来はったの?第三東京?はぁーまあ遠いとっから。で、トンちゃん、足の具合どない?
この子ほんまおっちょこちょいやで。近所の悪ガキどもに体についたキズアト見せて、どや、すごいやろう。わしは、ばんげりおんに乗っとったんや。ゆうて自慢して得意になっとるねん。
ほうかいな。足は見せなや。小さい子は怯えるよってな。そんなん分かっとるって?
そら、えろうすんまへん。
あら、どないしたん。お客さん、箸が止まっとるで。
この肉とこの肉焼けとるがな。はようとりなはれ。
あら、あら?
泣き出しはって。どないしたん。お腹痛いんか?嫌いなおかずがあったんか?
ちがう。あら、そう。
トンちゃん、なんや。
わしら二人にさせてくれって…。シンジ、お前のせいやない、気にすんなって…
席外してくれ、ゆうのんか?
ほうか。
…。
ようわかった。
男同士二人だけの話しがしたいねんな。
あんたも、大人の男になろうとしとんのやね…。
けどな。
正味な話、肉も焼けとるし、あんたらがあっち行ったらええと思うわ。
うちら食べておいたげるさかい、ゆっくりしゃべっといで。な。
なんやなんや!何を怒っとるんや!失礼な!全部食べたりせえへんわい。ホルモンは残しといたる。
話は後や!はよう食え。婆ちゃんらは全部食べてまう気やで!ってなんやのん!
あんたシンジ君ゆうのんか。何があったかしらんけど、泣くなら食べてからにしなさい。
そこな肉焦げとる。
せや、デザートにはプッチンプリンと栗饅頭とスイカがあるで。どれにする?
あんたんとこの食事のセンスは、まあ、ほんまにバラバラやね。
※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※続きをすぐに投下します※
[368] 題名:あの子のことが僕は嫌い 13.翼をねだる以前の問題 夢の中みたいな 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年08月31日 (火) 22時29分
こんなの僕じゃない。
そう、僕らしくないよ。
忘れてたわけじゃないけど。僕とアスカが同居を始めたのは、「使徒」といわれるわけのわからないやつらをやっつけるためなんだ。そのために僕は呼ばれたみたい。認めたくないけど。
綾波は前からパイロットをしていて、アスカも小さいときから乗っている。
あんなものに乗るのは嫌なんだけど、僕たちにしか出来ないことらしいから仕方なくやってる。仕方なくだ。
なのに綾波とアスカは違う。
「絆だから。」「自分で自分をほめてあげたいから。」
二人ともそういって自分からエヴァに乗ってるみたいだ。
僕はダメだ。何故僕なんだ。どうしてなんだ。
そんな疑問が頭から離れない。でも。
「そんなの、あんたが『なんで僕なんだ。』って思う以上に、日本中の人に『なんでお前なんだ。』って言い返されてしまうわ。」
「……。」
本当に腹立つんだよ。アスカって。
僕の思考のなかに入ってこないで。嫌いだ。
ていうか、なんで僕はアスカにこんなことを打ち明けてるんだろう?
「そ・れ・に!」
いたい。爪を立てるのやめてよ!
二人で並んでリビングのソファにかけてる。二人の間にある手は繋がれていて、お互いの指をクロスさせてる。お祈りする人みたいに。
「いい?あたしは誇りをもってエヴァに乗ってるのよ。そのあたしに向かって、よくもそんなことが言えたわね。」
繋いだ手はそのままに、僕と向き合い、僕の膝にまたがってきた。
もうひとつの片手で僕の耳を掌で包みこんだかと思うと、指の間で挟みこんだ。
どうでもいいけど顔が近いよ?そのまま、頬を撫でられる。
冷たい親指が唇をなぞって、僕は震えた。
「そんなことを思わないで。シンジ。」
静かにアスカが囁く。君の顔から目が離れない。
「あたしたちの使命は、使徒を撃退して、人類を守ることだわ。そのためにここにいるのよ。
地位や名誉、そんなものはどうだっていいの。
そんなのは、いらないと言っても向こうから嫌でも追い掛けてくるものよ。
自分で決められるものじゃないの。欲しいと言って手に入るものでもないし。
自分の意思で手に入れないかどうか決められると思ってる時点で馬鹿だわ。
それらは全て人から与えられるものよ。
あたしたちは、ただ力を尽くすだけ。悩んでいるひまなんてないのよ。」
「でも僕は、父さんに認めてほしいんだ。ほめてもらいたいんだ。」
「いつか、あんたがもうお腹いっぱいだって断っても、嫌でも褒められてほめられて仕方がないって時が来るかもね。今を生きるあたし達にさえ、望むものをくれない司令よ。全てをやりおおせたらほしいものをくれる保証なんてどこにもないわ」
「…でも…僕は…」
「シンジ、あたしを見て。あたしだけを見て。」
アスカの青い瞳に、小さな僕が閉じ込められている。
「いま、あんたの目の前にいる、あたしだけを見て。そうすれば」
僕の喉はカラカラだ。
シュー、ガチ
玄関のドアが開く音がした。ハッとしてそっちを振り向いて、もう一度お互いの顔を見あわせると、何か温かいものが僕の鼻の頭に触れた。
アスカは、ヒラリと僕の膝から降りると、なんでもないような平静な調子で「おかえり、ミサト」スリッパの音をぱたぱたとさせて、ミサトさんを出迎えに行った。
ぽうっとしたまま、後ろ姿を見た。
アスカ、足長いね。細くてスラリとしてるね。
そして、お尻は丸くて柔らかいんだね…
僕の膝はさみしくなった。
今、僕が闘う本当の理由がわかりそうな気がしてた。
アスカの瞳の中にいる僕なら知っているはずだ。彼にまた聞かなきゃ。
もう一度。
何度でも。
了
[367] 題名:AEOE@WEST 3 音楽はナントカの極み 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年08月31日 (火) 21時59分
※これはギャグです※お笑いです※シリアスでスタティックな方は絶対読まないで下さい※これはギャグです※お笑いです※つまらないというか下らないです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※登場人物は、関西のおばちゃんというかおばあちゃん二人組。彼女達から見たAEOE。※推定年齢は60歳〜70歳※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです
ちょう、今夜どない?
歌いにいかへん?
ええで。マリーさんとこかいな。
あそこで炒飯頼んだら晩ごはんいらんし。
うちらが歌うゆうたら、カラオケ喫茶やわな。
※※※
はー。歌ったらスッキリするわなあ。
あんたはほんまに歌が好きやね。
そういえば、りりっさんやけどな。ほんまは、夫婦(めおと)神らしいで。
はー。そら、女神がおったら男神もおるわな。
なんでも、夫の方はな、「たぶりっさん」言うねんて。
たぶりさんか。はあ。
前の三回目のとき、うちに現れたんは、たぶりっさんちゃうかと思うの。
ほんまかいな。
あんな、うち、りりっさんのことお断りしてもうたやんか。
あー。
「ひとつになったら、わたいの分がイッコ減るから嫌や。」言うたんやろ。
うん。だって嫌やんか。
したら綺麗な男の子が現れて、
「減るの嫌ですか?せやったら、僕の分イッコあなたにあげましょう。ふたつに増えますで。
お嬢さん、僕とふたつに増えましょう」
て、言われて、そら減るよりは増えた方がええわいな。思ったんよ。
はあ。はあ。
したらその男の子がニーっコリ笑ってやな。ヒッキーの若いときそっくりになってんやわ。
なんや体がぽっぽしてきてな。えらいええ気持ちやったわ。
ヒッキーて誰ね。
ヒッキー言うたら、氷川のきよしちゃんに決まっとるやない!
ああー…
わてはてっきり女の歌手の方かと…
うち、あんな子好かん。孫は好きみたいやけど。
あの子のお母さんが歌がうまかったな。
せやな。
で、ええ気分で歌ってん。ひばりちゃんもさぶちゃんも、イツキのひろしちゃんも現れて、豪華で楽しくて、あれは中々ええ夢やった。もっかい見たい。
音楽はなんとかの極みだよぉ!ゆうて、ヒッキーもご機嫌やった。
ふーん。
でも結局、夢は夢やろ。
それよりな、マリーさんとこの新しいボーイさん、ギター弾けるらしいで。
へー。お名前、なんておっしゃるの?
青葉シゲルさん?
芸名にしては地味やね。
「青葉が茂る」ゆう意味やろ。
芸名ちゃうって?
でもあんたギター弾きやろ?
言うたら悪いけど、あんた、名前も顔も地味過ぎて、華がないな。
ほっといて下さいって。
おばちゃんな、姓名判断が趣味でな。よっしゃ、うちが新しい芸名考えたるわ。
頼んでませんって。
ええから、ええから。
そやねぇ…
「花畑シゲル」いうのはどない?
意味はな、お花がしげる、言う意味やで。
説明せんでも意味はわかるけど、そんな名前嫌やって。
でも「お花」が「しげる」。
とは言わんわねぇ。
じゃあ、「木野実ミノル」はどやろ?
同んなじことや!嫌や!言うてはるわ。
よっしゃわかった。これで決まりや。「花畑ミツル」!どぉ?これええで。
意味はな、お花が満開になる。いうことや!
あら、どこ行きはるの?
裏に引っ込みはった。・・・。
あっ。マリーのママさん、あの子、ギター弾きやろ?
ギターやのうてベース?
似たようなもんやろ。
別に歌手や芸人目指してない?失職したから親戚頼って身を寄せてるだけ?
…。
…。
ま、客商売やからな。
せやな。しゃーないわ。
…あら!ギター持ってミツルちゃんが帰ってきたわ!
ぎゃー。生演奏してくれんの!
こらええわー。
ママさん、生中おかわりや!
ミツルちゃーん!
※※※
はあ、今夜も楽しかったなぁ。ストレス発散やで。
ほんまにな。音楽はなんとかの極みや。
夢も楽し、現実(ほんま)も楽しときがあって、ありがたいわ。
ありがたいありがたい。
うち、孫のお土産に、肉まん買うて帰るわ。ほな、オヤスミ。
※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※カヲル君がその気になったらマダム達もたらし込めると思いまして※カヲル君が関西弁なのは、彼女が説明しているせいです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※女性のヒッキーが好みでないのは、単に彼女のお歳のせいです。※
[366] 題名:AEOE@WEST ウィアーザチルドレン 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年08月26日 (木) 23時57分
※これはギャグです※お笑いです※シリアスでスタティックな方は絶対読まないで下さい※これはギャグです※お笑いです※しかもつまらないです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※このページ3人しか見てないし※
いやあ、こないだうちびっくりしたわ。
何がやの。
3回目のあれで、実はうちらみんな、一度は溶けてんねんて!
ぅえーっ!?
あら、あんた何食べてんの。
おかき。
うちにもちょうだいや。
んぁ。ほれ。
そうかなあ。でもうちにはアレ、ただの停電にしか思えへんかったで。ガスも水道も止まるし、往生したわ。またどっかで地震でも起こったに違いないと思った。
それがちゃうねんよ!
みんないっぺんお迎えが来てんて。で、知らん間にまたすぐ戻ってんて!
ほんまかいな。
またうまいこと言うて騙そういうてるやつらがおるんちゃうか!
いや、でもな。
人類はみんな一度溶け合ってひとつになってんて。せやから人類みな兄弟で仲良うしましょう。ウィアーザワールド。言うてるのよ。
そんなん誰が言うてたん。
24時間テレビ。
あんたそれテレビの宣伝文句や。
あんた溶けたときのこと覚えてる?
覚えてへん。
うち思い出したわ。
なんや貧相な、カリカリに痩せた女学生が街で声かけてきたんやった。見たことない制服着とった。変な色の。この辺のガッコやないわ。
はあ。それで。
それでやな…。
それでどないしたん。
それで…。
…その子が、急に、うちの頬っぺた触りに来たから、びっくり仰天して…そいで「私とひとつにならへん?」て言うて来たから
「嫌や!ひとつになったら、わたいの分、1コ減るやないか!!」
って言い返した…。
…。
…。
あんた、断ってもうてるやないの。
あらぁ?
おかしいなぁ。
あんたのことやから、どうせ他にもいらんこと言うてるわ。
そんなことないわ。
うちは仏教や。とは言うたけど。
今思えば、あの痩せっぽちの子がりりっさんの御姿のあらわれやったんや。
はぁ?!
あんたどないしたん急に。
りりっさん信じたら、御利益あるゆうて、広場の祈祷のおっさんから広まってんの。
広場のおっさんて、あの変な目ん玉つながりの眼鏡かけた外人のおっさんかいな。けーっ!しょーもな!
なんであんな怪しい外人の言うこと信じるねん!どうせなんぞ悪さして、自分の国におられんくなったからこないな場末の街に逃げてきただけや!あんた、やめやめ!どうせろくな勧誘ちゃうやろ!
りりっさん、御利益すごいねんて。
どうすごいねん。
宝くじ当たるねんて。
それ絶対に偽物や。
※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※うにおかき※
[365] 題名:AEOE@WEST 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年08月18日 (水) 22時07分
※これはギャグです※お笑いです※シリアスでスタティックな方は絶対読まないで下さい※アスカもシンジも出てきません※これはギャグです※お笑いです※しかもつまらないです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※こういうこともあるかなと思って※お笑いです※これはギャグです※そんなに本気じゃありません※どうせこのページそんな誰も読んでないし※
なんや最近とみに蒸し暑うてやっとれんわなあ。
常夏になってからこっち、快適な日ィいうのが一日もあれへんけどな。ほんま、わややで。
そういえば、角の薬屋のバァさんトコな、こないだ、りりっさん来たらしいわ。
うそ。ほんまに。
あそこのバァさん、もうすっかりボケてもうてて、おじいさん、はようお迎えに来てちょうだい。ってしょっちゅう言うとったやんか。
連れていかれたんかいな。
そらもう、影も形もあらへん。多分じいさんに化けて連れていったんやろなあ。
嫁のやな、ハルコさんが、赤い水に変わってもうてるからとりようがあらへん。
言いもってタオルで一所懸命拭いてから、絞り水なんとか集めて供養したる。いうとったわ。
はあー。
こないだうっとこも出よってな。
はあ。はあ。
それがあんた、トイレから出てきたとたんに、ぬぉーっと、気色悪い肌色で急にあらわれたもんやから腰抜かしたわ。とっさにやな、臭い消しのスプレー、思いくそかけたってん。んでな「なんやのあんた!出ていきさらせ!うちはあんたなんかお呼びやあらへんのや!」って怒鳴ったら「フギャー!」言うて消えよったわ。
そら間に合うてよかったなあ。
あれは慌てたり気ぃゆるめとったら調子乗って抱き着いてきよるさかいになあ。きっぱり断らなあかんねん。
それで、あんたにはどんな姿で見えよったん。
それがようわからんのよ。
死んだ旦那かなって思ったら息子のダイスケの小さいときみたいにもなって、ヤン様みたいな感じにもなりよった。
そらあんた数が多すぎてどれにしたらええのんか迷ったんやろ。
今思えばヤン様が1番よかったわ。あははは!
イヤァほほほほほ!
あれはあんまり頭が良うないみたいやね。
カズちゃんのとこにはほれ、あの飲むわ打つわ殴るわのしょおもない亭主おったやない。
銭湯行くゆうて、出て行ってもうてそれっきり行方知れずの。借金だけ山のように残しよって。
よりにもよってそいつに化けて「ただいま」って言うたらしいわ。
カズミちゃん、一瞬呆気にとられたらしいけど、次の瞬間、台所の包丁持ち出して
「あんた今更どの面下げてうちの前に現れたんじゃあ!ここであったが百年目じゃ!覚悟しや!」
て怒鳴って跳びかかってやってんて。したら「キャー!こわい!」言うて、パチーン!とはじけて消えよってんて。
それで、なんやあれ、亭主やのうてりりっさんやったんや。て分かってんて。
よりにもよってそんなもんに化けよって。ただですむわけあれへんやないの。
りりっさんは獲物のほんまに好きな人がわかるゆう人もいてるけどな。
カズちゃんはまだ旦那に未練があったいうことかいな。
1番会いとうて、1番会いたくない人を選びよるんちゃうか。
はあー。いやらしいやっちゃやで。ほんま。
まだまだうちら死ぬわけにはいかんしなあ。
ほんまに、葬式代のひとつやふたつ残したらんと、孫がかわいそうで死なれんで。
息子も嫁も、結局三回目のあれから帰って来んしなあ…。生き残ったんはうちと中学二年の孫だけやで。
せやなあ。
うちがおらんくなったらあの子ひとりぼっちになってまうやないの。
あの子がせめて成人するまでは、うち、死ぬに死なれんのよ。
せやな。せやせや。
せつないなあ。
ほんまに、せつないわ。
わややで。
わやや。
それはそれとして、三丁目の盛永のオッサンな、りりっさん来たときに「好きです」言うたらしいで。
したら、嫌そうな顔して消えてんて。
了
※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※お笑いです※これはギャグです※補完計画ってすごい発想だけど※ユダヤ人とか回教徒とかヒンズー教徒とか華僑とか※信じるものの全然異なる人々はどうなったの※これはギャグです※お笑いです※あくまでもお笑いです※暑いですがわやにならないようお気をつけてください※
[364] 題名:あの子のことが僕は嫌い 12.週末リビングルール 名前:ごまめ MAIL URL 投稿日:2010年08月15日 (日) 00時43分
こないだ、シンジと手を繋いだ。
タナバタの日に横断歩道を渡ったあと、シンジの方から手を握られて、なぜか拒めなかった。
本当に訳がわカラナイワ。何故カシラ。(棒読みなのは誰にもばれはしないと思う)
ある週末のことだった。
いつものことなんだけど、夕食の後、シンジはすぐに自分の部屋に引きこもる。
これではいけない。パイロット同士の連結と仲間意識を高めるためにも、共にいる時間は大切だ。よって、あたしは、部屋に戻ろうとするシンジの手を引っつかみ、命令、いや宣言した。
「夕食の後はリビングでくつろぎなさい!あんたとミサトとあたし、三人でよ!」
シンジはきょとんとしていたが、「なんで?」と質問してきた。
「なんでですって?あたし達は同居しているし、仲間だし、コミュニケーションをとるのは当たり前のことなんじゃないの!」
「用事もないのに?」
「ばっ…」
今こそあたしがこの台詞を言うタイミングだろう。
「あんた馬鹿ぁ?!用事があるときしか話さないなんて、失礼だわ!何もなくても、そばにいるの!一緒にいるの!」
ハッとした。何をこんなに力いっぱい主張しているんだろう。しかも結構恥ずかしい内容のような。
コイツはポケーっとあたしの話を聞いていたが、また「いいの?」と質問してきた。
「…あんたが嫌なら別にいいのよ!こっちだって!」
そっぽを向いてやった。
「ううん、嫌じゃない。嫌じゃないよ」
慌ててそう言うと、部屋からSDATをとってきた。「ただ、アスカ赤くなってるから、恥ずかしいのかなって…」
バシっ!!
黙ってシンジのももを蹴ってやった。
「痛い!」
ふん。ももなんて後にひびきゃしないわよ。
リビングに戻った。
「あらシンちゃん、戻ってきたの?」
ミサトはキッチンのテーブルで晩酌中。
ミサトもこっち来て飲んだら?と言おうとしてやめた。酒くさい。それに、今日のおつまみはゲソらしい。イカくさい。
「…ミサト、飲み終えて歯を磨いたらこっち来てもいいわ」
「何よそれ!ここは私の家なんだから、どこでも飲みたいとこで飲むわよ!」
椅子を蹴るみたいに立ち上がったミサトが、片手にビール、片手におつまみの袋を持って、ゲソを口にくわえたまま突進してきた。
「おりゃおりゃおりゃうらー!」
「キャー!!」
きゃあきゃあ言ってミサトから逃げまわる。ソファに逃げ込むように座ったら思いきり体を押し付けられた。
「あっははは、やめて椅子から落ちる!いえ潰れちゃうわ!キャー!」
「シンちゃんもこっち来て座ったら?もぐもぐ」
あたしと反対側の空いたスペースをぽんぽん叩きながらミサトが誘った。
こっちの盛り上がりについていけず戸惑う感じだったシンジだけど、「は…はい」恐る恐るといった感じで座った。
「シンちゃーん、お姉さんとポッキーゲームする?んー!」
「ぎゃあ!何してんのよっ」
ミサトがくわえたイカゲソの端をシンジの口に突き出したからすかさず止めた。
ちょっと実力行使が入ったかもしれない。
「もう!シンジはこっち!」
あたしが真ん中に来てシンジを奥にした。
「あいたた…あらあらぁ〜、アスカったらシンちゃんを独り占め?」
「何言ってんのよ!自分のやったこと振り返りなさいよ!」
「…それで、何するの?」シンジがおずおずと聞いてきた。
「何もしないわよ。各自好きなことすればいいの。あっ、あたし映画みよう」
「なんの映画ー?もぐもぐ」
「シンジ、あんた音楽聞くんでしょ?聞けば?」
「テレビついてるのに落ち着いて聞けるわけないじゃないか!」
「じゃ映画みたら?」
「もう…何言ってるのかわかんないよ」
「電気消したら映画館みたいだわ!あっ。あたしもジュース飲もう。シンジ作ってきて」
「じゃああたしもビールおかわり!よろしくシンちゃん」
「えーっ!」
テレビでやってる映画なんてたいしたことないと思っていたけど、面白かった。
右にいるミサトはビールをちびちび飲みながら見入ってる。
あたしはクッションと自分の膝を抱えてソファの上にいた。
クーラーが部屋をほどよく冷やしている。冷たい空気の中、三人でいたら温かい。特に、あたしの右にいるミサトが温かくて気持ちよかった。シンジの足元にはペンペンがいた。ミサトがあたしに頭をもたせ掛けてきた。あたしもちょっとだけ支えてあげた。
恋人の男は土壇場で逃げ出したけど、最後には戻ってきた。到底許せないと思っていたヒロインだけれど、もう一度やり直すことを決心する。彼の心が伝わったから。
「ねぇミサト…こんな風に何もかもうまく行くことってあるのかしら?」
「そうね…映画だからね」
「そうよね。こんなもの嘘に決まってる。」
あたし達はどうなるのだろう。もちろん使徒は殲滅する。絶対だ。でもそうなるまでには、色々なことが起こるのだろう。乗り越えてゆけるかしら。どんなことがあっても、最後の最後がハッピーエンドならいいと思う。
隣のシンジを見たら、ペンペンを自分の足の甲に乗せて、翼をつかんでいじくっていた。バンザイするみたいに上げたり、下げたり。いかにも手持ち無沙汰な感じ。ペンペンはシンジの膝下を自分専用の椅子みたいにもたれて、好きにさせている。次は首を撫でられて「グェーエェ」気持ちよいのか喉を鳴らしている。
シンジは、あたしとミサトがくっついてるのがうらやましいのかしら?
チラチラこっちを窺ってる。部屋は暗いけど、ちゃんとわかってるんだからね。
ミサトが温かいのを分けてあげたいけど、必要以上に二人がベタベタするのは嫌。断じて嫌。絶対嫌。ミサトはやる。絶対の絶対にやる。
しかたない。
左手を少し伸ばしてやった。
「えっ…」
「シーッ!」
ミサトに気付かれるでしょ!目に力を込めた。アイコンタクトよ。
嫌ならいいのよ。
シンジはあたしの手と顔を交互に見つめる。
ナニ迷ってんの!?まさか嫌とか言うわけ?信じらんない。許せない。
腹立ったから思いきり手を引っ込めた。そうしたら、釣られたのか反射のようにあたしの手がシンジにつかまえられた。んっ。少し強い。
『イ・タ・イ』
口パクで伝えた。表情もしかめてやった。
『ゴメン…』
同じように口だけ動かして返事された。ちょっと緩められた。
ふん。
これでよし。
これで三人一緒だわ。
あたしは正面を向いた。
肩がくっついてるから伝わるけど、ミサトが細かく震えてるわ。映画は今、滑稽なシーンだわ。だからか。
…どうしてかシンジと繋いだ左手からぴりぴり電気を感じるのはなんでかしら。
電気は手のひらからあたしの腕を伝って、首筋と顔、耳、そして心臓に伝わる。
Evaとシンクロしてるときの感覚にも似ている。でも、こっちの方が、もっと、ずっと…。
映画が終わった。
「さて、あたしは自分の部屋で晩酌の続きするわ」
ミサトが立ち上がった。
ハッとして、繋いだ手を離した。
電気が点いた。
「ペンペンもあたしといらっしゃい。」
「グキュウ」
シンジの足元から立ち上がったペンペンは、ぺったぺったと足音をさせてミサトの後を付いていく。
「二人とももう寝なさいよー」
「はい」
「はーい」
バタン。
ミサトが自分の部屋のドアを閉めた。
「………」
「じゃ、あたしも寝るわ…」
「あ。…うん…。」
ちょっとの間、見つめ合って視線がからんだけど。
「おやすみなさい。シンジ」
「おやすみ。アスカ」
アスカは洗面所に消えた。
ソファに一人残されたシンジは、しばらくの間、握ったり開いたりして、自分の手の平を見つめていたが、唇の端をぐぅっとあげて、右手を握りしめて、左の手のひらで右手のこぶしを大切なもののように包みこみ、自分の胸に押し当てた。
そして自分の体を二つ折りにした。両膝の間に自分の頭を入れこむように曲げた。
「くっ…くくく…プクク…ハハ…」
声はあげず、一人で笑いを押し殺した。
一方ミサトの部屋。
扉を閉めた途端、ミサトは大きく息を吸い込んだ。そして
「ぶーーーっわっ!
はっはっはっはぁ!あーおかしいあーおかしい!ペンペン、あんたちょっとこっち来なさいって!
あれで、ああああれで二人ともバレてないつもりなのよーっ!キャーーッ!
アハハハハハハハハーっ!ぐはっ、ぐはっ、ぐはあーははははは!苦しい、苦しい、お腹イタイー!ヒー!ハハハはっはっははー!知らんぷりするのがどんだけ大変なことかぁー!
我慢の、我慢の限界よぉぉぉおおお!!ハー!ぐはははははははーっ!」
布団の上を転げ回ってそこらへんをばんばん叩き回っている。
利口なペンギンはそそくさと暴れ回る主人から退散した。
次の週末。
しまった。
あたしの温情と公平な仲間意識が思いもかけずシンジを調子に乗らせてしまった
のではないだろうか。
最近、シンジとよく手を繋ぐようになった。
正確には手を繋ぐ。ではなく手を貸してあげている。かもしれない。
夕食の後、シンジはもう自分の部屋にこもることはしない。
リビングで宿題をすることもあるし、音楽を聴きながら本を読んだりする。もちろんあたしもそう。
お互い好きにしている。
今はリビングに腹ばいに寝転がって雑誌を読んでいて、シンジは音楽を聴いてる。
あっ。
油断していた。
ページをめくる手をつかまれた。
「…読めないじゃない」
「だって」
「こっちの手にして」
「うん」
左手を貸してあげる。
何もないのよ。どうってことないの。
シンジはあたしの手を自分の手で包んでじっとしているときもあるし、珍しいものみたいに、まじまじと観察して、あたしの指をつまんで伸ばしたり曲げたりするときもある。
ふと思う。もしかしたら誰かと手をつなぐということをしたことが無いんじゃないかしら。
「…どうしてこんなに柔らかいのに、ちゃんと動くんだろ?」
不思議そうにつぶやいてる。
「それ、前も言っていたわ」
「それにすごくすべすべしてる…」
「撫でないで」
本のページをめくる。
でもね。シンジ。
あたしだって本当の本当に好きな人と手を繋いだことは遠い昔のような気がするわ。
あんたもきっと、うんと小さいときにはあったはずよ。小さすぎて覚えてないのよ。
シンジはあたしの手を見つめて何かを思い出そうとしてるのだろうか。
寝転がって、あたしの左手を両手で捧げ持つようにしながら
「アスカ、今夜も映画があるよ」
「ふーん。そう。」
「一緒に見よう?」
「でも、今夜はミサトは遅いって…」
「二人で。だめ?」
上目遣いしてねだられる。
あれは、元々、三人でいることのために、ミサトの温かさを分けたいために手を貸しただけなんだけど…
「あっ…」
少し強く握られた。
指をとられる。
「ちょっと。あたしはお人形じゃないわよ?」
「知ってるよ。さっきから震えてるし」
コイツむかつく!
「あいた」
むかついたからギュウッて握り返してやった。
でも笑ってる。
シンジもあたしも。
二人で床に寝転がってる。
シンジの手はあたしより少し大きくて、手のひらは渇いた感じがする。
だからあたしの手が吸い付いてしまうのかな。
あたしの水を分けたくて。
「今夜の、映画は何?」
「たいした映画じゃないけど…」
「何よ」
「ホラー映画。」
「あたし観ない。」
「なんで。一緒に観てよ。」
「もしかして、あんた怖い映画一人で見るのがヤダからあたし誘ってんの!?」
「えっと…」
やっぱり嫌いよ!ガキなんて!!
了
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今回はちょっと長いです。
アスカの心ミサト知らず。