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投稿者:この作品はフィクションです
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投稿日:2025年07月22日 (火) 11時48分
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第六章:真犯人の姿
筍田良人──彼はかつて中川の会社に出入りする業者の一人だった。
仕事上のトラブルで中川に潰され、家族も職も失い、恨みを募らせていた。
事件当日、彼は中川の家を訪れ、家族を“社会に裁かせるため”に殺害。
しかし時効成立により、法の手は届かない。
その事実を知った影内雅光(=宮上直弘)は、真実を暴くために“自分が犯人”と名乗る方法を選んだのだった。
「──俺が、“殺人犯”になれば、あいつの名前を世に出せる」
最終章:告白の代償
記者会見の場で、影内は全てを語った。
「私は、殺していません。……けれど、真犯人を放っておけなかった」
「社会は、罪を風化させる。でも、記憶は消えない。だから私は、“あえて犯人になった”」
騒然とする記者たち。ネットは大炎上。筍田良人の名前が拡散され、彼は逃亡を試みたが、直後に失踪。
“真犯人”としての名は、記録に残った。
一方で、影内雅光は「偽計業務妨害」「名誉毀損」の罪に問われ、裁判となった。
元刑事・海中亮平は、判決の出た日、彼に面会した。
「──お前のやり方は、正しくない。だが、お前の“怒り”は……間違ってはいなかった」
影内は薄く笑った。
「人を殺してないだけで、“殺した”のと同じくらい、社会は俺を裁いた。──それで充分です」
海中は、彼の横顔を見つめた。
そして思った。
(正義とは、いつだって“誰かが踏みにじられた後”にしか現れないのかもしれない)
──真実は、いつも遠くにある。 けれど、誰かがそれを叫び続ける限り、社会は鈍くとも、変わるのかもしれない。
完 |
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