無になりたいと。
切に願うのです。時に。
それでいて。
足枷のように。
何かがくるくると巡るのです。
無になりたいと。
誰かを傷つけるくらいならば。
無に帰したいと。
恐れは。
いっしゅん。
迷いは、
いっしゅん。
無になりたいと。
切に願いながら。
意識が。
有であるがために。
くるくると。
足枷のようにまとわりついて。
あたしを。
無にはさせないのです。
あたしは。
まだ。
有でいたいのだと。
心のどこかで叫びつつ。
いつまでたっても越えられない波に。
無を。
どこかで。
焦がれているのです。
無になりたい。
それでも有でいたい。
あたしは。
あたしは…。
ただそこに、
大きな、大きな、
温かな手が差し伸べられてくれる。
それだけが。
唯一の有であるが証拠なのです…。