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■ 墨色筆記帳
真新しい消しゴムは 初めて使う前にいちどだけ無垢鉛筆を削れば 尖った芯は光り真新しい筆記帳 最初の頁に走らせたひとすじの黒ふたすじめの線からはまろやかな芯をそぎ直しくり返し鋭い線をひく いちどを幾度も描いてしまえば筆記帳は最早漆黒の闇おろしたての消しゴム角を墨色にあて一条の光 射し込める真新しい消しゴムの不在
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一頁の紙に走らせるとき想いが架かる気がして汚れていない消しゴムを使うのを勿体無く感じたりそんな時が流れていくのが日差しと相まって鮮明に記憶の引き出しに入っている