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■ オルゴール
何の曲なのかは、わからないこれはかなり古いオルゴールだからあたしのお婆ちゃんが大切にしていて、あたしに譲ってくれたものなの。薄ピンク色の陶器のオルゴール小さな妖精が曲と共に動いてそれはそれは可愛らしくて時が経つのも忘れて聞いていたのそれはあたしが4歳のおはなし今ではあたしがオルゴールの妖精だけれど、時が経ちすぎて古くなったオルゴールの中はオイルが漏れ錆びて汚くなったからかしら誰も蓋を開けては、くれないの。今夜もまた、暗いオルゴールの中で息を潜めて。誰かが開けてくれるのを待ってるだって、誰かが開けてくれない限りあたしの存在には誰も気づいてくれないんだもの。