つれなき手弱女(たおやめ)
作 詞・江邑 民部
作 曲・メンデルスゾーン
「ピアノ三重奏第一番」
編 曲・石川 皓也
ピアノ・和田 智子
歌 唱・河原 のりこ
あゝどうしたの 甲冑の騎士よ
独り青ざめ さまよう
額にユリを 頬に褪せたバラ
菅も枯れ 鳥さえ鳴かない
野原で乙女に逢った 美しい妖精の
長い髪 足軽く 眼には光帯び
乙女は誘う 魔法の洞窟
騎士のまぶたに 眠りの口づけ
夢をさまよう騎士が 眠りから醒めれば
乙女の姿は 跡形もなく
騎士は独り 枯草の野を
さまよい行けり 青ざめた魂
青ざめた魂
作者コメント
この歌は、元は「かわいそうな微笑(ほほえみ)」という題の歌で、NHKのみんなの歌(1973年頃)に歌われたものですが、今では音源もなくなっております。その歌の元の曲はメンデルスゾーンのピアノ三重奏第一番を石川晧也さんが編曲したものに、作詞家の東龍男さんが作詞されたものです。その曲に小生が別の歌詞を付けて、河原のりこさんに歌ってもらったものです。著作権を持っておられるHNK出版からは、勝手に別の歌詞で公表することは控えて欲しいと言われましたので、YouTubeなどには挙げられませんが、虹の音楽舎の皆様の中には、ご関心がおありの方も居られるのではと思い、徳田さんからアップして頂くことにしました。
実は、拙歌「つれなき手弱女」には原詩があり、それは19世紀イギリス・ロマン派の詩人ジョン・キーツ(John Keats)の手になる “La Belle Dame sans Meici”(「つれなき手弱女)ですが、小生が元の「かわいいそうな微笑」を偶々聴いたことから、そのメロディーにまさにぴったりの歌が、このキーツの詩だと思い、思わず、そのメロディーに合う訳・編訳を試みました。自分で歌っていたのですが、どうしても満足いかないので、いつもお願いする河原のりこさんに無理を言って歌って頂きました。ファム・ファタル(宿命の女)に誘惑された中世の騎士を歌ったものです。河原さんは、元々イギリス中世の楽曲がご専門の方なので、この歌は特に彼女によく合っているのではと、秘かに思っています。公けにはできないのですが、小生のお気に入りの一曲です。
どなたか、拙歌の歌詞を変更しないで、曲を別のものにして、歌詞の雰囲気を出せるメロディーを作ってくださいますならば、望外の幸せです。 江邑民部 拝