[4353] 金麦妻の正体は |
- big - 2012年12月09日 (日) 20時33分
普通の妻が「待ってるから〜」って夫を送り出すだろうか。 新婚早々ならわかるが、二人で過ごす何度目の夏かという会話が交わされるので それはない。 たまにしか、やってこない”男”だからこそ、女は待ちに待ち、そして歓待するのである。
食べきれないほどの旬の魚介類や野菜をたっぷりとのせたカゴ。 まるで料亭のような食材ばかり。 日常の食事を山海の珍味で埋め尽くし料理する妻など存在しない。
何年経っても子供の陰はどこにもない。 子供を禁じられているからである。 友人も身内も訪れない。二人が暮らすことは秘密だから誰も知らない。
暖炉の火が赤々と燃え、部屋を暖めるが、家はまさにハリボテ。 ”形”だけのイエ。生活臭はまったくと言っていいほどない。
もうわかるだろう。 金麦妻は、ほんとうの妻ではない。
こぼれるような笑顔に深く隠された、限りない悲しみ。 男は、永遠に彼女を妻にする気のないことを知り尽くしている。 なんど懇願しても男は決して許さなかった。
男は、彼女が妻になったとたん、消え去ってしまうであろう至福の時間を失いたくない。 あんなにあんなに輝いて美しかった女は、妻になったとたんに豹変することを知っている。
女とはそういうものだ。
不安定な地位に置く事こそが彼に尽くす女でいさせる唯一の方法だ。 そのかわり二人だけのために、家も与え、海外のコテージも島ごと手に入れた。 年に何度かはファーストクラスで海外旅行にも連れていく。 財力の許す限り決して手放す気はない。 今のままが、あいつも俺も幸せだと、男は信じている。
そう、金麦妻は、まごうことなき、男の、愛人なのだ。
だけど、そんな金持ちがなぜに税金の安い第3種ビール?
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