投稿日:2011年08月20日 (土) 16時16分
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有名な作品、古典的な名画だから観ておこうと言う気だったが、それ以上のものがあった。物語の太い筋のようなものはなく、個別の出来事の積み重ねによって時間が進行するから謎解きやハラハラドキドキのストーリー、つまりそれに慣れきってしまった者には多少の違和感を感じるかもしれない。しかし、実はそれこそがトリュフォーそしてヌーヴェル・ヴァーグの真価で、その瞬間の輝きを、その生々しさと瑞々しさとをそのままの状態でフィルムに収めようとしたかったのだろう。例えばドワネル(ジャン=ピエール・ルオー)が少年院で監察官と思われる女性と対話するシーンがあるが、実はあれは吹き替えで、本当はトリュフォー自身が質問し、ジャン=ピエール・ルオーがドワネルとしてではなく自分自身のことを話していたそうだ。娼婦を買った時の体験談などは確かに演技とは思えない、演技では出しえない微妙な照れの表情を見せている。3★ |
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