風化されて輪郭のはっきりしないオブジェは
いつの間にか誰からも忘れられて
孤独の空間で空を仰ぎ見るんだね
いつかまた
誰かが自分を振り返ってくれると
その望みを捨てないのだと密かに決心して
遥か上の高い空を仰ぎ見るんだね
多分もう寂しくないし苦しくもないのだろうけれど
それでも
今も心でうたっていた言葉を誰かに伝えたいとか
そんなことを思ったのかもしれない
きっとそのことに惹かれたから
私は立ち止まったんだ
あなたの前で・・
冷たい肌触りのオブジェの中に
いったいどれだけの温もりある言葉が
隠されているのかを知りたくて
手の平をあててみたよ
だってあなたがまるで自分のようだったんだ
必死に想い続けたものが
いつの間にかその形を失って
何がなんだかわからないものになって
あれだけの情熱を込めて綴ったうたが
もう口をついて出てこない
なのに未練がましく
今もなお心の内ではずっと
うたい続けているのだから
だけど疲れ果ててしまったら
このまま私の想いも
風化されていくのかな・・・
あなたのような力強くさりげないオブジェには
とてもなれそうにない