京大国法研26期2回生の二杉です。8月6-8日に、代々木オリンピックセンターにて行われた、2010年度ジャパンカップの報告をさせていただきます。
今大会は、夏合宿での校内予選の結果を元に、
■原告(学年)
第1代理人:稲葉 優(1)
第2代理人:大串 雄朗(1)
補佐人:入江 悠介(1)
補助(非公式補佐人):乾 弘哲(2)
■被告
第1代理人:簗田 紗希(1)
第2代理人:高田 陽奈子(1)
補佐人:二杉 健斗(2)
をメンバーとして出場しました。
結果は、
■総合成績:優勝
予選:1位通過
準決勝:東北原告 v. 京大被告 ◯
決勝:東大原告 v. 京大被告 ◯
■書面成績
原告:2位
被告:1位
■個人弁論成績
原告:5位(大串 雄朗)
6位(稲葉 優)
被告:1位(高田 陽奈子)
2位(簗田 紗希)
最優秀弁論者賞:高田 陽奈子
となりました。
今年は、国際人権法と国際環境法との関係において、国家の不作為が注意義務違反として問題となる複雑な問題文でした。論証作成は大きな苦労が伴いましたが、最終的にこの成績を勝ちとることができたのは、その法的構造を真摯に追求しようとした姿勢が評価された結果だと考えています。
特筆すべきはやはり、1回生弁論者の活躍でしょう。難しい問題文・論証を理解し、知識を蓄え、圧巻の弁論でもって優勝をもぎ取って来てくれました。それはまた、1回生ながらカウンセラーを務めた入江の支えなくしては叶わないものでもあったことは疑い得ません。この夏で大きく成長した彼らが、これからの国法研をリードしてくれるであろうことを、そして今回は出場の叶わなかった1回生が彼らに続いてくれるであろうことを確信しております。
他方で、多くの反省点も受け止めなければなりません。まず校内予選の段階でどの論証も似たり寄ったりになってしまったことが挙げられます。不作為が問題となる本件で論証が多様性に欠けてしまったことが、後々に論証の幅を狭めることになりました。
また、ゲームとしての模擬裁判を意識しすぎた結果、「勝てる論証」ではあっても、現実の国家の主張としては非現実的な論証になってしまった嫌いがあります。特に被告については、「持続可能な発展」といった概念が論証から殆ど排除されてしまい、法的な論理として成立しても、万人に受け入れられる説得力という点では十分ではありませんでした(同時に、その立場を一貫できた点で弁論者は高評価を頂けたのかも知れませんが)。世界を念頭に置くと、これからの課題は「(法的に)通る論証」を組み上げることだけではなく、ダイナミックな論証を「通らせる」ことではないかと、個人的には感じました。
さらに、環境法特有の論点を論じきれなかったことも悔やまれます。他にも書ききれないほどの反省をしなければなりませんが、詳しくは会報や報告書などの形でお伝えしようと思います。
なお、今年は英語弁論の大会であるAsia Cupには京大としては出場せず、ジャパンカップに集中的に取り組むという形をとりました。法学部の試験が大会を挟む形で配置されたこと、英語弁論を指導する実力のある2回生がいないこと等の実際上の制約から、ジャパンカップ、Asia Cupの共倒れを防ぐことも考え、1回生の希望も踏まえた上で、やむなく行った苦渋の決断でありました。結果、ジャパンカップでは成果をあげることができましたが、大会を経験した1回生が例年に比べ少ない、英語弁論のノウハウを途絶えさせてしまうのでは、等の点でご批判もあるかと思います。9月から執行部として国法研を運営していく2回生としても、力ある1回生の活躍の場を奪う結果となったことはたいへん残念でなりません。これからの活動において、責任をもってその分を取り戻していく所存です。
長くなりましたが、最後に、モギモギやコモリ、弁論練習等で最大限のサポート・応援をして下さった先輩方、論証作成に大きく寄与してくれた2回生の皆、全ての方々にお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。