[260] 君と歩む物語U 第二話 (リリカルなのは×ユーノ憑依) |
- 三日月 - 2007年11月28日 (水) 17時28分
激闘の末に赤い少女に敗れたなのは。
迫り来る鉄槌から救ってくれたのは、親友とパートナーだった。
半年前の事件にて出会った二人、優しい金色の少女と厳しくも信頼できるパートナーの少年。
「諦めずに良く頑張ったな」
そう言ってなのはの頭を優しく撫でるユーノ、その顔には優しい微笑が浮かんでいた。
その顔になのはの顔が沸騰したかのように赤く染まる。
後ろの方で赤い少女を牽制しているフェイトが羨むようにユーノとなのはを見ていた。
無論、ユーノは気づかない。彼の鈍感ぶりは某正義の味方を凌ぐかもしれない。
向かい側のビルの壁、その崩れた瓦礫の中に埋もれていた赤い少女が物凄い勢いで飛び出てくる。
ボロボロだった赤いドレスは更にボロボロ、帽子もボロボロに解れていた。
その瞳は爛々に光り、完全にブチ切れていた。吹き出ている魔力がその凄まじさを物語っている。
「フェイト、俺はなのはの治療に当たる、あの程度ならお前たちで充分だろ?」
「うん、任せて…なのはを任せるよ」
そう言うと迎撃に向かうフェイト、それを見送りユーノはなのはに癒しの魔法を発動させる。
「奏でるは癒しの福音、響き渡れ久遠の音色」
ユーノの手に淡い光りが収束し、なのはを包み込む。
徐々に消えていく傷、修復されていくバリアジャケットになのはは目を丸くしている。
ユーノが回復魔法を使えるのは知っていたが、ここまで強力だとは思っていなかったのだ。
実際、ユーノの回復魔法のレベルはかなりのものだ。シャマル程の癒しレベルは無いが、それに
追随するほどの実力は持ち合わせている。
ユーノは基本的にはオールラウンダー、様々な方面を扱う事が出来る。ただしその道のみに特化した相手
にはどうしても今一歩の差が出来てしまう。無論、それを補う奥の手を幾つか持っているので問題ない。
長所を持たない代わりに短所も無い、いわゆる万能型に近いスタイル、それがユーノの強みである。
「さて、状況が分からないな、移動するぞ」
「ふぇ?にゃあ!?」
ユーノは癒しを止めずになのはを肩に担ぎ上げ、屋上に向かって歩き始めた。
担がれているなのはの顔は完全に真っ赤だ。もちろんユーノは欠片も気づいていない。
まったくもって鈍感男である。
屋上に向かって歩いている途中、ユーノが駆けつけられた事の説明をする。
「裁判が無事に終わってな、フェイトは事実上無実、その喜びにフェイトがなのはに連絡を入れようとした 所で、海鳴町に結界が張られていた、なのはとも連絡が取れない、何やら危険な感じが匂ってきたから 慌てて戻ってきたって訳だ」
「ありがとねユーノくん」
「礼なら他の皆に言ってやれ、クロノ達もアースラの整備を一時保留して動いてくれたんだしな」
屋上に出るとフェイトと赤い少女との戦いが行なわれていた。
フェイトと赤い少女の戦いは、赤い少女の消耗もあってか、徐々にフェイトが押しつつある。
いくら一対一とは言え、不全では不利だ。
それでもなお引く事無く相手を圧倒できるのは、赤い少女の積んできた経験かそれとも秘めた想いゆえか。
だが一対一でこの状況なら二対一ではどうだろうか?
答えは簡単だ。
「一般人への魔法行使および攻撃は軽犯罪ではすまされない、投降するなら……」
「グタグタ、うるせえ〜〜!!」
投降を進めていたフェイトに殴りかかっていく赤い少女。
その背後に隠れて待機していたのであろう、フェイトの使い魔。
主人に襲い掛かる外敵に使い魔は動く。
背後からの突然の一撃、咄嗟にシールドを張る赤い少女。しかし使い魔…アルフの持ち技の中には
ある技がある。それは……
「バリア・ブレイク!」
「チッ!」
シールドを破壊され、吹き飛んでいく赤い少女に追撃のフォトン・ランサーを放つフェイト。
それらを鉄球を召喚し、迎撃していく赤い少女。
その間を利用し間合いを詰めるフェイト。いったん距離を取ろうとするがアルフの邪魔によってやむなく
フェイトのハーケンを受け止める。倒すだけなら赤い少女の方が圧倒的に有利だ。
戦いにおいて赤い少女の持つ経験はフェイトの経験を圧倒的に上回っている。
だが、少女の目的は相手をぶっ潰す事ではなく、無力化すること。しかし今の状況ではそれは難しい。
フェイトに微笑が浮かんだ。次の瞬間、赤い少女の両腕両足にリング・バインドが決まった。
そう、フェイトにとって最初からこれが狙いだったのだ。
自分とアルフの連携なら倒すまでもなく、無力化くらいは出来る。ユーノも連携でいけば上位クラスの
魔道師とやりあえるとも評価してくれたほどだ。
無力化され動けなくなった赤い少女は黙ってフェイトを睨んだ。
フェイトもまたバルディッシュを構えながら赤い少女を見つめる。
「終わりだね、名前と出身世界…目的を教えてもらうよ」
勝負あり、ユーノはその光景を見ながら思った。それと同時に第二ラウンド開始か、とも思っていた。
突然発生した強力で…研ぎ澄まされた刃のような魔力、気づいたのはユーノだけではなく使い魔の
アルフもだ。
「何かヤバイよフェイト!」
アルフの言葉と同時に下から瞬時に現れた桃色の髪の騎士にフェイトが吹き飛ばされていく。
突然であったが、どうにか防御が間に合ったようだ。
「シグナム!」
剣を携えた騎士、桃色の髪が風にたなびき、その瞳はその手に持つ剣の刃と同じように鋭い。
赤い少女は目を丸くし突然来た味方にわずかだが嬉しさを滲ませていた。
吹き飛んでいった主人にアルフは駆けつけようとしたとこで、後方よりきた不意打ちを受けてしまう。
フェイトと同じように防御に間に合うが吹き飛ぶアルフ。
不意打ちしてきた者はアルフと似た獣人だった。
同じ狼を素体にしたのであろう、違いは性別だけ。
銀髪の髪から蒼い獣耳、筋骨隆々と表現していいほどの男だ。
その間にシグナムと呼ばれた騎士が吹き飛んだフェイトに追撃をかける。
剣から排出される薬莢、増幅される魔力、そして剣に炎が纏いつく。
「紫電…一閃!!」
『ディフェンサー』
バルディッシュの自己判断によりシールドが展開される。
しかし、それすらものともせず斬り裂く炎剣の一撃にフェイトは先程とは比にならない勢いで
吹き飛ばされビルに叩きつけられた。
「フェイト!?」
アルフの悲鳴がユーノ達のいるとこまで聞こえる。
すぐにフェイトの元に駆けつけようとするが獣人の男がアルフの前に立ちふさがる。
その光景になのははフェイトとアルフの心配をした。状況は最悪だ。
それを黙って見過ごすユーノではない。
「流石に拙いか…」
フェイト達が戦っている間、ユーノは周囲にエリア・サーチの魔法でシャマルを探索したが未だに
当たりは無い。
ユーノは小さく息を吐き、印を結ぶ。
「たえなる響き、光となれ。癒しの円の内に鋼の守りを与えたまえ」
なのはを中心に癒しと防御結界が展開されていく。
「回復と防御の結界魔法だ、なのははそこで待ってろ、俺はフェイト達の援護だ」
「ユーノくん……フェイトちゃんとアルフさんをお願い」
「OK、任せときな」
飛行魔法を構築し飛び立っていくユーノ、その背を心配気に見送るなのは。
戦いは始まったばかりだ。
「どうしたヴィータ?油断でもしたか?」
シグナムのその言葉に赤い少女…ヴィータと呼ばれた少女はふくれっ面で顔を背ける。
両腕両足はいまだに拘束されている。
「うるせえよ!ここから逆転するとこだったんだ!」
「そうか、それは邪魔したな。すまない」
そういってヴィータを拘束していた魔法を破壊するシグナム。
「だが、あんまり無茶はするな…お前が怪我したら我等が主が心配する」
「わーってるよ!もう……」
「それから……落し物だ」
返事を返すヴィータの頭に先程の白い少女と戦ったさいにボロボロに吹き飛ばされた帽子がキレイに
修復された状態でのせられた。
「破損は直しといたぞ」
「ありがとう、シグナム」
素っ気無く言ってはいるが、その顔にはかすかな微笑みが浮かんでいた。
素直でないなと苦笑するシグナム、次には真剣な顔で新しく来た敵を見据える。
「状況は実質三対三、一対一なら、我らベルカの騎士に…」
「負けは無え!!」
シグナムの言葉を繋げるようにヴィータが吼え、戦場へ突貫していく。
その後を追うようにシグナムも戦場へ突入していった。
いくつもの層を突き抜け、ビルの底部で倒れていたフェイトにユーノは回復と気つけの魔法を施す。
なかなか頑丈な少女だ。普通、ビルを貫通しながら落下したら防御魔法なんて意味成さないと思う。
流石、なのはと並ぶ馬鹿魔力だ。一瞬の防御だけならAAAを越えるじゃあ?
「おい、大丈夫か?」
「あ、うん…大丈夫だよ、ありがとうユーノ」
特に酷い外傷が無いので大丈夫そうだ。座り込むように倒れたフェイトの手を取り立ち上がらせる。
少し顔が赤いのは…まあ、気にしないで置こう。
傍らには無残にも折れたバルディッシュが転がっている。
「バルディッシュの破損が酷いな」
「大丈夫、本体は無事」
その言葉に宝石の部分が光り輝き、修復されていく。
新品同様に直ったように見えるがダメージが消えた訳ではない。
見えない傷が蓄積されているのだ。
「…ユーノ」
「分かってる、この結界内からの全員の転送だろ?」
「うん」
「正直言えば厳しいな、アルフの協力があっても難しい」
ユーノのその言葉に小さな驚きを見せるフェイト。
ユーノなら自信満々に頷くと思ったからだ。
その表情から読み取ったように苦笑するユーノ。
「さっきこの結界を突破する時に解析をしたんだ、そしたらミッド式でなく、ベルカ式の封鎖結界だった 結界の基点を見つけない限り破壊するのは難しい」
「そんな…」
「もちろん、方法が無いわけじゃない、なのはのスターライト級の魔法なら結界を抜くことも可能だ」
「でも、なのはは……」
「分かってるさ、他の方法を使う、少し時間かければ俺でもどうにか破壊できる魔法を持っている」
お互いに頷き返し、行動を開始するユーノとフェイト。
飛行魔法でビルから出ると上空からはシグナムとヴィータがこちらに向かってきている。
「俺があの赤い奴をどうにかする、フェイトは桃色の剣士をどうにか抑えておけ」
「うん、わかった」
ユーノはヴィータへ牽制し、フェイトがシグナムを誘導するように誘いのハーケン・スラッシュを射出。
戦いは三対三の勝負へと移行された。
シャマルを探索するエリア・サーチの維持をしつつ、結界の基点を探しながら俺はヴィータの相手をしていた。
正直、今のヴィータは然程脅威では無い。なのはとフェイト&アルフの戦闘後でそれなりに消耗しているのだ。
カートリッジの弾薬のストックも僅かだろう。とりあえず油断せずシャマルを警戒しながら相手をする。
俺のリンカー・コアを抜かれるわけにはいかない、蒐集されでもしたら下手したら最悪の方に物語が進んでしまう。
使い方次第では危険な魔法を幾つも持っている俺は、一番に警戒しなければいけない。
コラコラ!そこ、危険人物言うな!?
「さて、どうしたものか」
見た目は愛らしい少女でも、長き時を渡って修羅場を越えた猛者だ。万全な状態の彼女を相手にして勝つ自信はない。
それだけ強力な相手、消耗していても油断すれば咽喉笛を噛み切られかねない。
右手を懐に入れ、一枚のコインを取り出す。
それを宙に弾いた。
「セット・アップ」
『起動、我が身は智を守りし賢樹』
コインからデバイス・モードに変化する俺の相棒ユグドラシル。
俺はユグドラシルを握ると不敵に笑いヴィータを見る。
無論ハッタリだ。それでも効果はある。
現にヴィータは警戒を強め、一定の間合いから近づいて来ない。
その間にこっそりと周囲に設置型の魔法を構築、あとはシビレを切らしたヴィータが突っ込んでくれば一丁あがりだ。
うまくいくかは分からないが、抑える分には問題ないだろう。
数百から数千に増やしたエリア・サーチも順調に結界内を探索していく。
「……(ヒット!)」
俺は内心でニヤリと笑う、おそらくはやての携帯にクラールヴィントを使って交信していたのだろう。
その魔力に反応して俺のエリア・サーチに引っかかった。
後はシャマルの動きを警戒しながら、ヴィータを潰して、基点破壊するだけだ。
なんせシャマルがどこにいるか分からない状態で戦うのはハイリスク過ぎるからだ。
速めにヴィータを倒そう、そう判断すると俺はユグドラシルの機能の一つを起動させる。
「ユグドラシル・枝葉の槍<ランス・モード>…グーングニル」
『チェンジ、グーングニル・スタンバイ』
俺の手に握られたユグドラシルが<賢杖>から<神槍>に形態変化をする。
その造型はまさしく神の槍と呼ぶに相応しいほどの造りだ。
久方ぶりの接近戦用に俺は高揚を隠さず、槍を回転させてから様になるように構える。
俺とヴィータの初戦闘がこうして始まった。
あとがき
どうも三日月っす。
SSを更新しようとし、インターネットに接続……あ〜〜、ネットが…止められてるorz
慌ててお金の支払いに行きましたよ(苦笑)
おお、やっとユーノのデバイスの機能が使用されたよww
無印ではロクに使われない機能が今回のAs編で使いきれるようにしたいっす。
次の話でユーノVSヴィータ、フェイトVSシグナム、アルフVSザフィーラのバトルを書く予定ww
戦闘描写が苦手な私はこれを機会に細かく書けるかを挑戦して見ます。
それではまたお会いしましょう。
おまけ
Fate風 ステータス表
真名・ザフィーラ
属性 中立・中庸
筋力AA 敏捷B
魔力A 宝具‐
耐久AAA 対魔力A
幸運D
技能 格闘(A)、忠義(A)、痛覚無視(B)、守護獣(A)
魔法(A)
宝具 なし
ベルカでは主を守る獣を使い魔では無く、守護獣と呼ぶらしい。
盾の守護獣と呼ばれることから守りにおいてはかなりの実力を誇る。
仲間を守るためなら己が身が傷つく事すら厭わないほどの漢だ。
次は……ネタが切れたww
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