[192] 君と歩む物語 第十一話 (リリカルなのは×ユーノ憑依) |
- 三日月 - 2007年11月20日 (火) 14時31分
私、高町なのはは小さい頃は、よく一人だった。
父さんが事故で大怪我を負い、その負担を家族が背負った。
始めたばかりの喫茶店はまだ軌道に乗ってなかった時だったため、お兄ちゃんもお姉ちゃんも
店の手伝いに行き、お母さんも朝早くに行って夜遅くまで帰ってこなかった。
その結果、私は家では常に一人ぼっちだった。
別にお母さんやお兄ちゃんやお姉ちゃんが私に冷たくしたわけじゃない。
みんなそれぞれやることが忙しくて私に構えないだけなんだと幼いながらに私は理解していた。
だから我が侭を言わなかったし言えなかった。それが寂しかった事は今でも覚えている。
そして父さんが怪我から復帰し店も軌道に乗り、ようやく余裕が出来た頃、家族のみんなが私に構って
くれるようになった。それが嬉しかった事も覚えている。
だから私は一人ぼっちの寂しさを知っているし、誰かといる喜びも知っている。
ふと、一時期だけ私は自分の未来を考えたことがあった。
ごく普通に学校に行って、大学に行って、店を継いで、素敵な出会いをして、結婚して、
子を持って、概ね問題なくいけばごく普通の生涯を過ごす、そう思っていた。
だけど私は出会ってしまった、そう……彼と。
塾への近道、森の道を抜ける途中。ふと聞こえた呼び声。
そして出会ったのは傷だらけのフェレット、その出会いによってもたらされたのは魔法の力。
もたらした者はユーノ・スクライア、与えられた魔法はレイジング・ハート。
最初は困ってる人を放って置けなかったから、でも気がつけば目的が変わっていた。
手伝いだけと思っていたし、ユーノくんもいざって時は俺一人でもどうにかすると言ってたから、だから
私は出来る限りの事をしようと思った。だけどそれは町を覆った大木の事件をきっかけに考えが
変わった。私は事を軽く見ていた。魔法の力は様々な事を可能にする力でもあり、多くの災厄を
撒き散らすことが出来る力でもあることを認識してなかったのだ。
幸い、町は大きな被害を被らなかったがそれでも被害が無いわけではない。
だから思った、このままただの手伝いで甘んじているだけではいけないと。
色んな人に迷惑をかけた、気づいていたのに気がつかないフリをして、その結果が町に大木が溢れ
被害をだした。魔法使いになっての初めての失敗、それが悔しくて悲しかった。
だから決めたんだ、出来る限りではなく全力で、ただの手伝いではなく自分の意思でジュエル・シード
集めをしようと。
誰かに迷惑をかけないように、誰かが辛い目に会わないように、もう絶対にこんな事にならないように。
そして間を置かずに出会った寂しい瞳をした金髪の少女、フェイトちゃん。
どこか孤独で優しい目をしているのにその中には寂しさが宿っている。
フェイトちゃんと幾つかの戦いをして、そして気づいたの、私はこの子と友達になりたいんだと。
そして最後決闘を終え、友達になろうと手を伸ばした時、空から降ってきた雷光が邪魔をした。
私はユーノくんに突き飛ばされ、ユーノくんがフェイトちゃんを庇うようにシールドを展開。
雷光が消え去った後には九つジュエル・シードは消え去っていた。
裏で糸を引いていたのはフェイトちゃんのお母さん。
明かされる真実。
そしてジュエル・シード事件の終わりが近いことを私は肌で感じた。
出会いは偶然だった、塾の途中で私は誰かに呼ばれそしてその呼びかけのままに出会う。
もしあの近道を通ってなかったら出会うことは無かったと思う。だから偶然の出会い。
だけどどこか必然の出会いだと思う私がいた。それが何故かはわからなかったがそう思う自分が
いたのは確かだった。
小さな出会いはより大きな出会いへの布石だった。
魔法、ジュエル・シード、私と同じ魔法を使う少女、時空管理局、パートナーが実は人間だったなどの
驚きや困惑のオンパレード。それでも私は歩みを止めなかった。
そして私は今ここにいる。
時空の庭園、その駆動炉には沢山の魔道機兵が待ち受けていた。
私もユーノくんもここに来るまでかなりの魔力を消耗した。
このままだと駆動炉を封印するだけの余力が残るかどうかと、そう考えていると。
ユーノくんが私の前に出て、不敵に笑いながら言った。
「俺が盾になってやるから、なのはは駆動炉の封印をしろ」
その心強い言葉に私は疲れきった身体に活力が満ちていくのを感じられた。
私の背には心強いパートナーがいる。背中が温かくて心地よくて…だから戦える、だからどんな無茶でも
出来る。守ってくれると信頼できる人がいるから。
だから私は全力全開で動ける!!
「うん、任せて」
「おし、いい返事だ…全力全開で片付けるぞ!!」
私の返事に力強く頷き返してくれるユーノくん、その顔がかっこいいと思ったのは私だけの秘密だ。
だけど……さっきユーノくんがフェイトちゃんの頭を撫でた時、胸がチリチリ痛かったのは何だったんだろう?
何というかムカムカというかイライラとかそんな感じだ。
ふとユーノくんが珍しく見せてくれた笑顔が頭に浮かぶ。
それと同時に顔全体に熱を帯びた。あわわ、なんだろう…すごく胸がドキドキして恥ずかしい。
もし形に出来るなら、きっと蒸気が吹き出ていたかもしれない。
その気持ちを私は理解できず、あとでゆっくりと考えようと決めて、今この瞬間を全力で行こうと手に持った
レイジング・ハートに魔力を込めた。レイジング・ハートも私の魔力に答え輝きを増す。
今、自分に出来ることをするために私は駆動炉の制御装置に向かった。
その背中の温かさを信じながら。
あとがき
どうも三日月です。
う〜〜ん、人の心理描写ってけっこう難しいですね。こう書きたいのに何故か別の文になってしまう。
とまあ言い訳を上げればキリがないので、ここで区切ります。
うおぉぉぉ〜〜!!俺の手がラストへつっつぱしれと唸り叫ぶ!!、でもそれでも執筆スピードは変わらない。
おおう!?タイピングしている手の指が攣ってきたww
それではまた次の話でww
おまけ
Fate風 ステータス表(As編)
真名・八神はやて
属性 秩序・善
筋力C 敏捷E
魔力S 宝具EX
耐久D 対魔力S
幸運A+
技能 信頼(A)、料理(B)、カリスマ(A) 魔法(S+)
宝具 闇の書<夜天の魔道書>(ランク・EX)
元は健全な資料収集本だったのに、どこぞの馬鹿が勝手に改造。
その結果、性質の悪い呪われた魔道書になってしまった可哀想な本。
蒐集した存在の質によって書のランクは変動する。リンカー・コアさえあれば何でも蒐集できるが
同じ相手には二度は出来ない。
特筆するべきは蒐集した相手の能力や魔法を使用できるという点だ。
高度な魔道師のみに限定すれば最高の書として起動するだろう。
ただし起動すれば高確率で狂化(S)し、あたりに破壊を撒き散らす。
そしてその果てに待っているのは自身の破滅だ。
起動するのに必要なページ数は666ページである。
次はシグナムww
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