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最終投稿:2024年11月24日 (日) 18時38分

[374] 君と歩む物語U 第六話 (リリカルなのは×ユーノ憑依) 
三日月 - 2007年12月20日 (木) 13時48分



















ユメを…ユメを見る。

暗い闇の中を歩くユメ。

右も左も分からない暗い闇をあても無く彷徨い続ける。

そして、長い闇の果てを歩き続けて辿り着くは幾つもの水晶が連なる泉。

そこに俺は立つ。泉に広がる波紋はどこまでも遠くの闇に消えていく。

泉はそれほど深くは無く、足を踏み入れても足首が沈む程度だ。

泉の水は冷たくもなく温かくもない、温度を感じられない不思議な感覚だった。

泉の中を進んでいく俺の姿が水晶に映る。まるで鏡の世界だ。

やがて泉の奥へ辿り着く、そこには他の水晶より一際大きい水晶が立っていた。

その水晶にも俺が映っている。

気がつけば辺りから水晶が消え、目の前の大きな水晶だけになっていた。

ふと、水晶に映っている自分が笑う。

俺は笑っているのか?手を口元に運ぶが水晶に映った俺に動きはない。

その事実に俺は一歩距離を取った。得体の知れない恐怖が俺の中に溢れる。

何故こんなにも怖いのだろう?何故俺はこんなにも逃げ出したい感覚に囚われているのだろうか。

俺の恐怖に反応するように水晶にヒビが入っていく、その光景を呆然と見つめていた。

そして、水晶が砕け散った。

砕け散った水晶の跡には……俺が立っていた。

早鐘のように俺の心臓が高鳴る、目の前の俺はただ俺を見つめて笑っているだけ。

怖い、身も心も凍えてしまう程に、だからこそ俺は問う。

否、問わずにはいられなかった。


「お前は誰だ?」


俺の問いに目の前の俺は笑みを消し、翠の水晶のような瞳をまっすぐ俺に向けて口を開いた。


『僕はユーノ・スクライアだ』


その言葉に世界にヒビがはいる、徐々に崩壊していく世界。

まるで崩れ逝く鏡の泡沫、崩れる闇の破片が美しい。

その中でも目の前の俺は俺を見つめる。

その光景はどこか幻想的で……どこか悪夢のような光景だった。

そして、世界が壊れた。



























自分自身の悲鳴に目を覚まし、ゆっくりと身体を俺は起こした。勢いよく身体を起こせば激痛で

悶え苦しむはめになるからだ。乱れた息をどうにか整える。

全身は汗まみれで、服はぐちょぐちょだ。身体に貼りついたシャツを摘む。

俺は大きく息を吐いた、この夢を見るのは何も一度だけではない。

小さい頃から思い出したようにたまに見る悪夢。

夢の内容は知らない闇を彷徨い歩き、その果てでもう一人のユーノに出会うといったシロモノだ。

ただ、ここ最近になって頻繁になって見るようになっている。

何故、こんな夢を見るのか、それは多分…罪の意識からだろう。

今この世界には俺という存在がいる。

なら本来存在していた彼はどこへ消えてしまったのか?

本来この肉体の主たる、ユーノという存在はどこへ行ってしまったのか。

この身体にはすでに俺という存在がいる。俺という存在が、魂がこの肉体の主となっている。

行き着く答えは二つ、俺と融和したか……もしくは俺の存在が上書きされた時に消滅したかのどちらかだ。

言ってしまえば俺がこの世界のユーノを殺したことになる。

だから夢を見続けるのだろう、罪の意識が俺の中に強く根付いているから。

まるで明けない夜を彷徨っている気分だ。

どんなに時が過ぎようとも朝日を拝む事が出来ないような迷い子の気持ちに俺は罪人のようにどこか

贖罪を求めるように深く溜め息を吐いた。

































あの戦闘から数日、俺は強引に退院した。

無論、医師は渋った。

だが、当座は戦線には出ないと約束し、週に二回は顔を出す事を条件に許可をもらった。

正直、身体はまだ苦痛に苛やまされている。

だが、こないだクロノからなのはとフェイトのデバイスにカートリッジ・システムが搭載されることを聞き、

このまま寝ている訳にはいかないと判断したのだ。

ムニンからの監視の報告では特に大きな動きはないとの事だ。

姉妹の使い魔がこそこそと動いてはいるらしいが。

そこは最初から分かっていた部分だから問題は無い。

こうして松葉杖をつきながら俺は海鳴町へと戻ってきた。









最初に顔を出した場所はフェイト達の新しい住居のマンションだ。

クロノから住所と部屋の番号は聞いている。

この時間ではフェイトは学校、アルフはおっさんのとこで稽古中でいないだろう。

リンディはおそらく本局の方、いるのはクロノとエイミィだけだ。

マンションの通路、そしてとある扉の前で俺は足を止める。


「ここ…でいいんだよな」


俺は扉の横に設置されている呼び鈴ベルを押した。

しばらくすると元気な返事とともに扉が開かれた。

声からするとエイミィだ。


「はいは〜い、どちらさまですか〜?」

「ああ、俺です」


俺の姿に目を丸くするエイミィ。

まあ、退院したことを伝えてないしな。

その反応に苦笑しながら俺は頭を下げた。








通されたリビングにて俺はクロノに説教を受けていた。

予想通りとはいえ、この年で説教はなかなか応えるものがある。

あ、一応肉体年齢なら年下か。


「まったく君は無茶しすぎだ、あれだけの大怪我なのに退院するなんて何を考えているんだ!」

「あ〜、分かってるって」

「全然分かっていない!いいかい、君の状態は…」

「まあまあ、クロノくん落ち着いて」


立ち上がりかけたクロノにエイミィが宥める。

正直、ここには説教をされに来た気分だ。

…とにかく部屋の手配をしてもらおう。

マンションなんだし、部屋の一つは余っているだろう。


「…すまん、僕も少し言い過ぎた、どうせ君のことだ、戻れといっても聞かないだろ?」

「まあな」

「部屋はこちらで手配しておく、マンションの一室が開いてるだろう」

「手数かけるな、ところで事件はどこまで?」


俺の問いにクロノとエイミィは互いに顔を合わせて渋い顔をする。


「特に進展は無い、被害は未だに出てはいるがな」

「……闇の書か」

「「!?」」


俺の言葉に驚きを隠せてないクロノとエイミィ。

それも当然だ、今回の件の内容は俺はまだ聞いていない。

リンディの判断で話されていないのだ。

怪我人の俺が聞けば無理して動きかねないと思ったのだろう。


「どうしてそれを君が……」

「…こう見えても考古学者だぜ?古の遺産や文明、その他もろもろの事にはそれなりに詳しいつもりだ。
あの封鎖結界にしろデバイスにしろ、あれはベルカ式だ、しかも古代ベルカの方のな、極めつけは自身を
ベルカの騎士と言い、リンカー・コアの蒐集…だとしたら出てくるのは闇の書だけだな」


闇の書は第一級封印指定のロスト・ロギアだ。

その被害者は多い。多少の情報はこの世界に生きるものなら知る機会はある。

一応俺の両親もその被害者でもあるのだが、そこは伏せておこう。

このことは話しても意味がないしな。

俺には復讐という行為に身を焦がすほどの両親への愛を知らないのだから。

俺の言葉に納得したのか、現時点で分かっている事を二人は話してくれたがその時点での情報は全て

俺が知っている情報と変わりなかった。

しばらくしてからエイミィが部屋の手配をしてくれたので、俺は二人に休むと言ってハラオウン家を出た。











用意された部屋はクロノ達のとこと間取りは変わらない。

似た感じの構造だ。

あとでフギンに頼んで荷物を持ってきてもらおう。

俺は簡易ベットの上に座ると、懐からヒビだらけのコインを取り出す。

ユグドラシルだ、前回の戦いでのリミッター解除で激しく損傷したのだ。

AIの部分に損傷が無かったのは幸いだった。

そして、幾つか持ち歩いている整備用の道具を取り出してメンテを開始する。

この状態ではフルメンテ出来る隠れ家へ行くのは正直厳しい。

本局でやればいい?冗談、ユグドラシルは他人から見ればブラックボックスの塊だ。

俺が遺跡や古の文明の跡地で得た知識で満載なのだ。

下手したらロスト・ロギア扱いで取り上げられかねない。

ゆえに本局の方で提出しているユグドラシルのスペックデータはいろいろと改竄しているデータ。

市販されているやつより上等で高レベルなデバイスと評価されているはずだ。

ん?改竄は犯罪だって?そんなものバレなければ犯罪ではないのだよ。

……なんだろう誰かが言った気がするなこのセリフ。

















どれくらいの時間が過ぎただろう、こっちに来たのが昼を過ぎた頃だった。

窓の外を見ると既に夕焼け空だ。

うん、もう夕方だ。時が過ぎるのは早いな。

などと年寄りじみたことを抜かす俺、その時、家ベルが鳴った。

扉の覗き穴を覗くと扉の前にはなのはとフェイトが立っている。

二人の手にはそれぞれお見舞い品があった。

フェイトは紙で包まれた何か、なのはは翠屋のロゴの入った箱を持っている。

二人の顔は少し赤い……風邪かな?

まあ、いいか。

そう思うと俺は扉を開いた。































フェイトちゃんがこっちに引越してきてから数日、同じクラスになれ、アリサちゃんとすずかちゃんとも仲良く

なった。私、高町なのはは充実した日々を過ごしてます。

いろいろと懸案事項を抱えてますが、概ねに問題はありません。

ただ、不満…寂しい点はユーノくんがいないことです。

前回の戦いで大怪我を負ってしまい、現在は本局の医療施設で入院中。

一度見舞いに言った時にすぐに戻ると言っていた、だけどクロノくんの話だと全治には時間がかかると

言っている。

無理はして欲しくは無い、側にいないのは寂しいけど苦しそうなユーノくんの顔は見たくない。

だけどユーノくんは今日退院してきた。

それを喜んでしまう自分がいた、私は我が侭なのかな?

だから今は複雑な気分です。

フェイトちゃんから連絡を聞いた時は正直舞い上がっていた。

ユーノくんが帰ってきたって、でもユーノくんの身体はまだ治りきっていない。無理して欲しくない反面、

側にいて欲しいと思う気持ちもある。だけど会うのが気恥ずかしい。

こうしたモヤモヤした気持ちで私はフェイトちゃんと一緒にユーノくんが過ごすことになる部屋の扉の前に

います。























学校が終わって家に戻ると、難しいというか険しいというか、そんな顔をしているクロノがいた。

その隣ではエイミィが苦笑している。

何がどうしたのか分からない私は二人にただいまと言うしかなかった。


「ただいま…え〜っと、どうかしたの?」

「あっ、フェイトちゃんおかえり〜」

「…お帰り」


エイミィは笑顔で迎え入れ、クロノはむすっとした顔で返事した。

首を傾げる私にエイミィが事情を説明してくれた。

それは彼が退院し戻ってきたという言葉だった。

クロノは無理して退院してきた彼…ユーノに怒っているそうだ。

でも、私はそんなことよりもユーノが退院し、このマンションにいる事実に喜びを隠せなかった。

きっと鏡を見たら顔が真っ赤な気がする。何故だろうユーノの事を考えるとこんなにも嬉しくて

幸せな気分でいられるのだろう?

………とにかく、なのはに連絡を入れよう。

こないだ手に入れた携帯を取り出し、なのはの番号をダイヤルする。

お見舞い品はどうしようかな?男の人だから花よりも食べ物がいいかな。

そんな風に彼の部屋に今日中に行く事は私の中で確定事項になっていた。

ふと、視線を感じそっちを見ると、目を丸くしたクロノとニマニマと笑うエイミィがいる。

なんか凄く恥ずかしくなった。

別に悪いことをした訳ではないのに、顔の上気が止まらない。

なんでこんな気持ちになるのだろう。

とりあえずその視線から逃げるように私は二人に部屋に行くねと伝え、自分の部屋に逃げた。

最後までエイミィのニヤニヤ顔が送られたが、そもそもなんでこんなに恥ずかしいと思ったのかが

謎だった。



























顔を赤らめ逃げていくフェイトちゃん、その姿に私は面白いものを見つけたと思う。

あれはまさしく恋する乙女!

でも、あの感じからするとまだ自身の気持ちに気づいてない…自覚なしってやつだね。

う〜ん、なのはちゃんに続いてフェイトちゃんもか〜。

なのはちゃんはアースラにしばし滞在していた時に気づいた。あの様子で気づくなと言うのは

無理かな。時々ポォっとユーノくんを見ている姿はまさしく恋する少女だ。

流石ユーノくん、モテモテだね。

まあ、本人は気づいてないけど。あれはクロノくん並みの鈍感さだ。

だってほら、こんな風に………


「なあ、エイミィ」

「ん?何さ」

「どうして、フェイトは顔を赤くして逃げて行ったんだ?」

「……本気で聞いてるの?」

「?」


こんな感じでクロノくんも鈍い。

私は小さく溜め息を吐く。

未だに混迷の中にいるクロノくんを放置して私は先程やりかけていた報告書の続きを作成する

事にした。



















ぬぬ、どういう事だ?

何故エイミィは呆れた顔で僕を見ているんだ?

何か僕が悪いことを聞いたのか?

分からないぞ、どういうことだ。

う〜む、いまいち状況が読めん。

僕は後頭部を掻きながら、そのまま考えに没頭した。

こういった事は割かししょっちゅうあった。

訓練校時代でもそうだったし、仕官候補生の時もそうだった。

事、こういった状況に対してはいつも後手にまわっている気がする。

そういえば母さんもたまに『父さんに似たのかしらね』と溜め息を吐く。

ん?確かに僕は母さんの特徴より父さんよりの身体特徴だが。

多分そういう意味で言っている訳ではなさそうだ。

ならどういう意味で言っているのだろうか……駄目だ分からない。

そのうちユーノに聞いてみるか、彼ならもしかしたら知っているかもしれない。

そう結果をつけて、僕はやりかけていた作業に戻った。

執務官は多忙なのだ。




























扉が開き、中から彼が出てきた。

顔色はあまり良くない、だけど瞳に宿る彼の意志の強さは微塵も衰えていない。


「よお」


不敵な笑みだ。

彼はいつだって相手を心配させないためにその笑みを浮かべる。

どんなに辛くとも彼はそれを決して見せない。

それに二人の少女は気づく。

ゆえに少女二人は互いに顔を合わせ頷いた。

その日、彼…ユーノ・スクライアはある意味、一番疲れる日だったと後に言った。

その日、彼の身に何があったのかはいずれ語ることにしよう。

今は語らずにおこう。なぜならそれは無粋というもの。

これらは二人の少女の恋の奮闘記の一ページなのだから。
























あとがき

どうも三日月です。

明かされる主人公の闇、罪の意識と恐怖。

果たして彼はこれらとどう向き合うのか?物語はまだまだ始まったばかりww

何やらサーバーエラーで消えたのでバックアップに残してあった奴を再投稿いたします。























おまけ

本日の最強技

鈍感EX


恋愛モノの主人公の多くが保有するスキルである。

例を挙げるなら、投影少年、小太刀二刀の青年、死を視る学生、詠唱無効化青年などなどww

恐ろしいまでの鈍さを誇る。

その上、無自覚にモテるフラグマスターの持ち主たちでもある。














[699] わかってると思うけど気をつけて
悪・即・斬! - 2008年05月30日 (金) 20時48分

鈍感表現も、度が過ぎると某Y-1になってしまうので
くれぐれもご注意を。



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