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最終投稿:2024年12月27日 (金) 21時36分

[750] ファイアーエムブレム スパークの剣 第一章【運命の足音……が聞こえた】
スパイラル - 2008年07月22日 (火) 11時32分

元サイバトロン戦士ライノックスと、少女剣士リン。
奇妙な出会いを果たした2人の旅がこうして始まった。

2人はまず旅に必要な物を十分に整える為、サカの交易都市である“ブルガル”へ向かう。
だが――この街での出会いがリンの運命を大きく変える事を、彼女はまだ知る由も無い。






辺りが闇に包まれ――獣の遠吠えが聞こえる時刻。
ライノックスとリンは焚き火を焚き、森の一角で野宿をしていた。
もう晩ご飯を済ませているので、後は疲れを取る為に寝るだけだ。

「ライノックスさん」

「ん? 何?」

「長旅で疲れてると思うけど、明日の昼ぐらいにはブルガルに到着すると思うわ」

リンがそう言うと、ライノックスはまだ見ぬブルガルと言う都市を思った。
どう言うところなのか、どんな発展をしているのか、非常に興味深い。

「そうかぁ。どんな都市なのか楽しみなんダナ」

「だから明日からは忙しくなりそうだし、今日は早めに休みましょう」

リンがライノックスが手に持つ本に視線を1度移し、再びライノックスに向けた。
彼が持っている本は、村を出る前にリンがよく呼んでいた有名な文献の一種である。
少しでもエレブ大陸の文化や文字を吸収しておこうと、ライノックスがリンから貰ったのだ。

「遅くまで本を読んでいると、疲れがあまり取れないわよ?」

「はは……そう言われればそうなんダナ」

苦笑しつつ、ライノックスが本に栞を挟んでゆっくりと閉じた。
いつもリンが先に就寝するので、彼は焚き火が消えるまで読み耽っている。

何時頃に気付かれたのかは知らないが、彼女は遅くまで起きている事を知っているらしい。

「それじゃあライノックスさん。お休みなさい」

「うん。お休みダナ」

修業中の剣士と言っても、リンはまだ少女である。
体力馬鹿のライノックスと比べれば、長旅での疲れはかなり溜まるらしい。
彼女はライノックスに声を掛けた後、横になるとすぐに寝てしまった。

最初、リンは女として少しライノックスの事を警戒し、あまり寝ていなかった。
しかし今は旅を共にしてきたお陰か、ライノックスの事を信じて無防備な格好で寝ている。

(まあ……嫌われちゃうよりマシなんダナ)

そう複雑に思いつつ、ライノックスはゆっくりと眼を閉じた。











翌日――予定通り、昼頃にブルガルへ到着したリンとライノックス。

着いた所は交易の町と言われるに相応しい町並みが印象的の場所だった。
レンガ作りの家、白壁に美しいデザインが模様された家々が立ち並ぶ街。

「思ったよりも大きいんダナぁ。色々と興味深い物があるかも……」

「ここはサカで一番大きな街だからね。色々と見て回って、旅に必要な物を揃えましょう」

リン曰く「ここに来るのは物凄く久しぶり」との事。
年頃の女の子らしく、色々と見て回りたいらしい。
ライノックスも見て回り、大陸の情報等も集めたかった。

リンの案内の元、歩き始めようとした時――、

「おお! なんて華やかな方なんだ!」

突如として後ろから声が聞こえ、2人が一斉に振り向く。
するとそこには騎士風の鎧を身に纏い、茶髪にこげ茶色のバンダナを纏った青年が立っていた。

「??? リンの知り合いか何か?」

「ううん。全く知らないわ」

ライノックスの問い掛けに対し、リンは首を横に振る。
知らない奴なら関わり合いになるのは御免と、2人は青年に背を向けた。

「あっ! ちょっと待って下さい! 美しいお嬢さん! もし宜しければお名前を、そしてお茶でも如何ですか?」

「…………貴方、何処の騎士?」

呆れ返っているリンに対し、青年は誇らしげな表情を浮かべた。

「よくぞ聞いてくださいました! 俺はリキアの者。もっとも情熱的な男が住むと言われるキアラン地方出身です!!」

「“もっとも馬鹿な男が”の間違いじゃないの?」

上手いと言わんばかりに、ライノックスが笑う。

「うっ……つ、冷たい貴方も素敵だ」

しかし青年は引き下がらず、そういって近づこうとする。
だがリンは相手にせず、ライノックスの手を取った。

「行きましょ、ライノックスさん。相手にしていられないわ」

そう言うリンに、ライノックスは笑いながら同意した。

「あ! 待って――」

「セイン! いいかげんにしないか!!」

尚も引き留めようとする青年を止めた、赤い鎧を着込んだ男。
彼の浮かべている表情から、怒っている事は一目瞭然だった。

「おお、ケント。我が相棒よ、そんな怖い顔でどうした?」

「貴様が真面目にしていれば、もっと普通の顔をしている! セイン! 我々の任務はまだ終わってないのだぞ!!」

「分かっているさ。だが、美しい女性を前にして、声を掛けないのは礼儀に反するだろ?」

「何の礼儀だ! 何の!!」

その言葉と共に、セインと呼ばれた青年にケントは拳骨を食らわした。
そんな中、眼の前で漫才のようなやり取りを見せられている2人からすれば――

「あのっ! どうでもいいけど、道をあけて。」

「道塞ぎは感心しないんダナ」

物凄く堪らないらしい。
リンとライノックスの苛々した声に、2人は視線を移した。

「すまない。すぐにここを退ける」

ケントはリンとライノックスに詫び、すぐに道を塞いでいる自身の馬を退けた。

「ありがとう。貴方はしっかりしてるみたいね」

「はは、それは光栄――」

刹那、ケントの表情が一変すると共に、言おうとした言葉が消えた。
彼が浮かべる今の表情はまるで信じられない物を見つけたような様子である。

「失礼……君とは何処かで逢った気が…………」

「え…………?」

ケントの言葉に驚いたのはリンだ。
だが――それを見逃すセインではない。

「おいケント! 俺が先に声を掛けたんだ。抜け駆けは無しだぞ!」

「――――なっ!」

セインの言葉を聞き、即座に気を悪くしたリンはライノックスを引っ張った。

「リキア騎士にはロクなヤツがいないのね……気分が悪いわ! ライノックスさん、行きましょ!!」

「わわっ……! り、リン……!?」

女の子らしからぬ力で自分を引っ張るリンに戸惑いつつも、ライノックスは何とか付いて行く。
その状態でもライノックスは2人に「しつこい男は嫌われるんダナぁぁぁぁぁ」と言い残した。







リンとライノックスに去られ、取り残されたセインとケント。
ケントは無視して去っていく2人に声を掛けたが、取り合ってもらえなかった。

「…………セイン、貴様……!!」

鬼のような表情でセインを睨みつけるケント
だが、当のセインはきょとんとしている。

「え? え? 違ったのか? お前もてっきり…………」

「貴様と一緒にするな! それよりも今の娘を追うぞ。彼女は多分……」

ケントの言葉にセインは眼を見開いた。

「まさか……俺達の“任務”か! マジかよ!!」

「ああ。もし見つけられなかったら貴様のせいだからな!!」

慌てて2人の騎士は己の馬に跨り、2人の後を追った。







「ライノックスさん……後を付けられてる」

「??? さっきのチャラ男か?」

「(チャ、チャラ男?)ううん、違うわ。殺気が凄い!」

悪くなった気分を晴らす為、街を歩いていた2人。
しかしリンが自分達が尾行されている事に気付き、ライノックスに伝えた。
ライノックスもまた、それを察し、2人で人気の無い広場へと入る。

すると現れた相手は、大勢のならず者達だった。
逃げ道を塞ぎ、リーダーらしき男が2人に近づく。

「ぐへへへ……可愛いお嬢ちゃん! あんた、リンディスってんだろう?」

男の呟いた言葉に、リンの表情が一変した。

「――――何者ッ!!」

リンの問い掛けに答えず、男は気持ちの悪い笑みを浮かべ、リンを見つめた。

「勿体ねえ……まったく勿体ねえが、これも金の為だ。死んでもらうぜ!!」

男は斧を、手下達は短剣を構え、ジリジリと2人に迫る。
リンは剣を、ライノックスは素手のまま構えた。

「思い通りにさせないよ。1人残らずぶっ飛ばすんダナ」

(ライノックスさんは強いけど……これだけの数、私達だけじゃあ……)

「あああああっ! み、見つけたっ!!」

一瞬即発の雰囲気の中、聞き覚えのある声が2人の耳に届く。
リンとライノックスは目を見開き、眉間に皺を寄せた。
一方のならず者達は驚いた様子を見せ、機嫌悪そうな表情を浮かべる。

「ハァハァ……な、何とか追いついた」

汗を流しつつ、セインが荒く息を吐く。
しかしならず者を見た瞬間、声を荒げた。

「貴様等! この方に何の用だ!! 女の子相手に、その人数は卑怯だぞ!!」

怒るセインに対し、呆れ顔のリン。

「貴方達はさっきの!」

「チャラ男達なんダナ」

2人は声に出さなかったが、何をしに来たと遠回しに言っていた。

「お話は後で。この者達は貴方達に危害を加えるつもりらしい。ならば我等がお相手しよう」

2人へ駆け寄ったケントは後ろ手にリンを庇い、剣に手を掛ける。

「下がっててください! パパッと片付けますので」

「ちょ、ちょっと待って! 私達が受けた戦いだわ。勝手な事をしないで!」

強情なリンに驚き、セインとケントが唖然とする。

「ええ……そんなことを言われても困るんですが」

渋るセインだが、このままでは埒があかない。
ケントが折れ、渋々と言った様子で口を開く。

「分かりました。しかし我等も加勢します。私はリキア騎士のケント、連れの男はセインです」

リンは溜め息を吐き、傍にいたライノックスを見やる。
ライノックスが良いとばかりに頷き、了承した。

「それじゃあやるわよ! パパッと終わらせるんだから!」











「小娘1人って話じゃ……なかったのかよぉ…………ゴフッ」

戦いはリンやセインの言った通り、パパっと終わってしまった。
チャラ男と侮っていたセインとケントだったが、2人の実力はかなりの物だった。
ライノックスとリンも彼等を見直し、順調にならず者達を倒す事が出来たのである。

「やったね! ライノックスさん!」

「大勝利ダナ」

身長差もあるせいか、リンは跳んでライノックスと掌をパチンと合わせた。
それを見守りつつ、2人のリキア騎士は己の得物を収める。

「それで……リキア騎士さん達。話を聞かせてもらえるんだったわね?」

リンの言葉にケントが答える。

「はい。我等はリキアのキアラン領より、人を訪ねて参りました」

「リキア……西南の山を越えた所にある国ね?」

リンの言葉に頷くケント。
ライノックスはサッパリな為、3人の言葉に耳を傾ける。

「そうです。16年前に遊牧民族の青年と駆け落ちしたマデリン様への使者として」

「…………マデリン?」

リンがゆっくりと首を傾げた。

「我等が主人、キアラン侯爵のたった1人のご令嬢です。ずっと消息が知れず、侯爵も娘はもう居ないものと諦めておられました」

ケントの紡いだ言葉をセインが続ける。

「しかし今年になって、初めてマデリン様より便りが届いたのです! 便りには『サカの草原で親子3人、幸せに暮らしている』と、記されてしまいした。
その事に侯爵はとても喜ばれ、『自分には15になる孫娘が居る。知らぬ間に御爺ちゃんになっていたようだ』と、それは幸せそうな顔で発表なさいました。
孫に付けられたと言う名前“リンディス”は、侯爵が早くに亡くされた奥方様のお名前だったのです」

刹那、リンの表情が信じられないと言った物に変わる。

「娘夫婦の思いやりに、頑なだった心も、溶かされたのでしょう。何とか娘達に逢いたいと願われ、我等がここに来たんですが……」

「……マデリン様は手紙を出した直後に亡くなられていて……」

セインとケントが溜め息を漏らした。

「その事を数日前に到着した、このブルガルで知りました」

「ですが、希望は残されていました。娘は生き延びたと言うのです。1人で草原に残り、暮らしていると。私はすぐに分かりました。貴方こそ、リンディス様だと」

ケントの確信に、リンは冷めた様子で問い掛ける。

「…………どうしてそう思うの?」

「…………貴方は亡き母上にとてもよく似ておられる」

「――――ッ!! 母さんを知っていたの?」

「直接、お目に掛かった事はありません。ですが、キアランの城で絵姿を何度も拝見しました」

そのケントの言葉に、リンは静かに話し始める。

「部族での私の呼び名はリン。でも父さんも、母さんも、家族3人の時は私を“リンディス”って呼んでたわ」

そう言うと、2人の騎士にリンは視線を合わせた。

「なんか変な感じ。もう独りぼっちだと思ってたのに……御爺ちゃんが居るんだ。リンディスって呼ばれる事……もう無いって思ってた」

彼女の言葉に、この場に居る誰もが言葉を掛けられなかった。
しかしリンは何かを思い出したように、ハッとした表情を浮かべる。

「違う! さっきの奴も、私をリンディスって呼んだわ!!」

「――――ッ!? まさか……」

「ラングレン殿の手の者……だな」

セインの呟いた言葉に、ライノックスが首を傾げた。

「ラングレン? それって誰なの?」

「キアラン侯爵の弟君です。マデリン様はもう戻らないと誰もが思っておりました。その場合、ラングレン殿が次の爵位を継ぐ筈でした」

ケントの言葉をセインが継ぎ足す。

「リンディス様……つまり貴方の大叔父上は、貴方に生きていられては困るって事なんです」

「そんな……!! 私、爵位になんて興味ないわ!」

リンの悲鳴のような声に、騎士2人は首を横に振る。

「残念ですが……そんな言葉が通じる相手ではありません。これから先も、リンディス様の御命を執拗に狙い続けるでしょう」

セインの言葉にリンは戸惑う。

「…………私はどうすれば良いの?」

「我等と共にキアランへ。このままでは危険です」

ケントがそう静かに告げると、リンは首を縦にゆっくりと振った。

「……それしかないわね。分かった、キアランへ行く」

リンの言葉を聞いたケントとセインは、柔らかい笑みを浮かべた。
一方のライノックスは、事態の重さに顔を少しだけ顰めていた。











その日の夜――ライノックスはいつもと変わらず、本を読んでいた。
あの後、運良く宿を借りられた為、今日は野宿ではない。
焚き火の番も、見張りを遅くまでする必要も無かった。

そんな中、ライノックスに割り当てられた部屋の扉がノックされた。
そしてその後、聞き慣れた声が彼の耳に届く。

「あの……ライノックスさん」

「……リン?」

本を閉じ、扉を開けると、そこには気まずそうな表情を浮かべるリンの姿。
ライノックスは柔らかい笑みを浮かべつつ、口を開く。

「どうしたの? 眠れない?」

「あの……ごめんなさい。色々とおかしな事になっちゃって……」

リンがそう言いつつ、ゆっくりと頭を下げた。
彼を加えずに話を進めた事を気にしているらしい。

「ううん。気にしないで良いんダナ」

「あ……ライノックスさんはどうする? 好きにしても良いのよ。私達と一緒に来るのも、ここで別れるのも……」

リンの言葉は明らかに最後が暗かった。
短かったとは言え、ここまで旅をしてきたのだ。
馴染みの仲間が居なければ、誰でも寂しい。

「僕も一緒に行くよ。大陸を見て回るのが目的だし、色々な所を回っても損は無いしね」

そういって微笑んでやると、リンの顔から不安が消えた。

「本当に……? ありがとう!」

そう言った瞬間、リンはライノックスに抱き付いた。
笑顔が溢れ、嬉しくてしょうがないと言った様子だ。

「改めてよろしくなんダナ。リン」

「うん。こちらこそよろしく、ライノックスさん」

リンの言葉にライノックスは微笑んだ。



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