[654] 悠久の詩う世界 プロローグ |
- 龍鉄拳 - 2008年04月22日 (火) 23時37分
突然で悪いがぶっちゃけよう。
ぶっちゃけ俺は人間ではない、正確には半分は人だが残り半分は人在らざる者だ。
とは言っても見た目は人間そのものだし、特に変わった能力を有している訳でもない。
せいぜい身体能力が人並み以上に優れているくらいなものだ。
まあ、力が覚醒してないのもあるが…………。
父親は人外の化生、母親は人間、その間に生まれた俺はいわゆる忌み子の混血児。
そんな俺が祝福されるわけもなく、両親は俺を封印した。当時7歳の時の事だった。
いつか誰にも迫害されない平和な時代に生きられるようにと願いを込めて……そして俺は目覚めた、
この平和なそしてほぼ魔の存在が忘れさられた時代、現代日本に。
――――――――目覚めてから五年の月日が経った。
「では、次の席のかた自己紹介を」
教卓の前に立っている眼鏡をかけた優しそうな女教師が次の席の俺に自己紹介を
促した。その言葉に俺は静かに立ち上がる。
「……俺の名前は鹿波 八雲(カナミ・ヤクモ)、今年こちらに引っ越してきてました、前は ○県の公立の皆川小学校の卒業生、趣味は料理だ…和洋中いずれもある程度は作れる以上」
俺は一気にまくし立てるように紹介するとそのまま席に座った。
ふと前の席と横の席に座っている栗色のサイドポニーとピンク色のリボンでツインにしてる
金髪の少女が物凄く興味深げに見つめてくる。それを無視するように俺は机にうつ伏せた。
俺には家族がいない、目覚めたときに待っていたものは一体の人形だった。
長い黒髪を首後ろに纏め結び、背は大体198cm、容貌は美形といえる。その正体は人では無い。
妖呪式人形『古兵太』、両親が俺のために用意したものらしい……俺が封印されてから
数年後に作られたそうで、その後はずっと稼動したまま俺が目覚めるのにいい時代に
なるのを待っていたそうだ。最初に古兵太が俺を案内したのはとある森の奥にあった
墓所だった。
その墓所の奥に二つの墓石が長い年月を耐えたとわかるぐらい寂れさせていた。
それは両親の墓だった。俺は古兵太から両親達のその後を聞いた、それは悲惨な最期だったらしい。
その最後を聞きながら俺は静かに両親の墓の前で涙を流した、そして俺はそれから古兵太と一緒に
隣の県にある家に向かった。ただもう一度両親の墓に振り向く優しい空気に包まれた海の町、海鳴町の
郊外にある森を………
その後はイロイロあった、古兵太が突如鬼教師になって現代の同年代が得ている知識や
常識を俺に叩き込んできたのだ、他にも身を守る武術なども叩き込まれた。
ただ不思議なことに人間に両親の復讐をしようとは思わなかった。
おそらく古兵太も俺がそうしたいと言えば止めないだろう。でもそうしたいとは思わなかったのだ。
それは多分両親が望まないからだ、幸せになって欲しいと封印される直前に両親が言ったからだ。
……さて、俺は小学校に入り卒業、両親の墓がある町で暮らしたいと古兵太に相談したら
快く許可してくれた。
そして俺は海鳴町に引越し、適当な中学…私立聖祥大附属中学に入学することになったのであった。
「なあ…鹿波よお」
「ん?なんだ本条」
目の前で恨めしそうに俺を見る男、名は本条 信一(ホンジョウ・シンイチ)。いわずがなクラスメイトだ。
容姿はおそらく十人中五人以上が良いと言うくらいだろう。
「お前は何とも思わないのか?」
「思わないって…何をだ?」
「お前の座ってる場所にだ」
ふと俺は自分の座っている席を見る。教室窓際の一番後ろというベストな席だ。
ただ周りの席に女子が密集していて喧しいとは思うが……それを抜きにすれば日差しも好く、
風通しも好いポジションだ。
「まあ、居眠りするには良い場所だ」
そう俺が返すと本条は大きく溜め息を吐く。何かすごくムカつくのは気のせいだろうか?
「そいえばお前って最近引っ越してきたんだっけ」
「ああ、小学校を卒業してすぐにな」
「なら知らなくてもしょうがないか……」
どうも俺が座ってる場所にってよりも俺の周りの席に座ってる女子に問題があるようだ。
見たところ仲の良い友達…親友同士ってやつだ。おそらく同じ小学校のクラスメイトだったんだろう。
一応ここって附属校だし。
途中転校に近い俺が何も知らないのは当然であろう。
「お前の座ってる席の周りにいる五人の女子はだな……」
っと、こいつの説明を簡略すると以下の通りである。
まず俺の前の席に座ってるのが高町なのは、俗に言う能天気元気っ娘。
明るく前向きな性格で本条が言うには聖祥小学校の美少女ランク(なんだそりゃあ?)の上位十指に
入るそうだ。
次に更に前の席に座っているのが月村すずか、天然ぽわぽわ娘だそうだ。
おっとりとした天然っぷりが男子のハートに直撃するらしい。俺にはまったく理解が出来んが。
高町と同じく上位十指内。
高町の隣に座っているのは八神はやて、関西娘だ。
どことなくノリの良い性格をしているそうだ。やっぱり同じく十指内に入っている。
次、俺の隣の席に座っているのがフェイト・T・ハラオウン、物静かな感じの金髪娘だ。
スポーツ万能、物静かな割には暗くも無く、どちらかというと明るい方だ。
これまた十指内の美少女だ。
更にハラオウンの隣がアリサ・バニングス、一言で言うならツンデレ(ツンデレってなんだ?)。
この五人の中でもリーダー的な存在に近いらしい。きっぱりとした性格に面倒見のよい姉御肌の一面も
あるそうだ。そろそろ確認するのも飽きたが彼女も十指内に入るそうだ。
以上が本条信一氏による説明であった。追伸として、告白撃墜率も高いそうだ。
いや何故に俺にそれを伝える?
「というわけで、お前が座っている席は俺等男子にとっては楽園でもあり聖域なんだ、そんな席に座っている お前がクラスどころか学校内の男子にとって羨まれている」
「うぉい、別に俺のせいじゃねえだろうが(汗)」
とまあどうでもいい事実を俺は始業式が始まった一週間後に知ったのであった。
あとがき
ってなわけで書いちまった〜〜、なのは小説です。
時代設定はA.s後の3年後といった所です。主人公普通じゃない混血児、そんな彼がどんな状況に
巻き込まれるかは今後の楽しみ、そして一体何の混血なのかはまだ秘密。
拙い文章ですがこれからもよろしくです。
By龍鉄拳
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