[603] 夢幻月譚 第一話 |
- はるば〜ど - 2008年03月29日 (土) 05時44分
突然だが昔話をしよう。 皆さんはアルクェイドという人物に子育てが出来ると思いますか? 答えは否である。 いや出来なくは無いだろう、だがうまく出来るかは別だ。 現に俺、遠野レキが直死の魔眼に目覚めているのが証拠である。 元々、親父の家系は繋がりやすい一族だったのだろう。 故にその息子である俺も繋がりやすい。そう『 』にだ。 生まれたときには俺の目も浄眼とよばれる瞳だった。 だが我が母君アルクェイド・ブリュンスタッドの子育てはある意味加減知らずだった。 まず問題一つ目、知識が妙に偏っている。 赤ん坊に牛乳を与えないで欲しい、しかもキンキンに冷えたのを。 問題二つ目、力加減がヘタ過ぎる。 俺が4,5歳の頃に母が高い高いをやってくれた。だがもう少し加減して欲しい。 街が見下ろせるほどの高さまで投げ上げられ落ちるさいの速度に死を感じたものだ。 問題三つ目、夫婦喧嘩は他所でやれ。 普段は仲が良い夫婦だが、たまに父さんがキレて盛大な喧嘩(殺し合い)が起きる。 無論、息子の俺はすぐさまに安全な場所に逃げ隠れる。それが安全対策だと知っているからだ。 それ以前は二人の喧嘩を止めようと割り込み、何度も死に掛けた。 その結果、俺は直死の魔眼に目覚めた。元々繋がりやすかったのにあの夫婦のもとで育ったがゆえに 目覚めるの必然だったのかもしれない。 結局のところ俺を子育てしたのは父さんだったと言っておこう。 おむつを替える父、抱っこしてくれる父、寝る時に絵本を読んでくれる父、その横には母がいるが寝てたり 遊んでたりテレビ見てたりと……… 昔の話だ。あれ?おかしいな涙が止まらないや。
少し昔を思い出しながら散歩していた。 月の綺麗な夜、海辺の砂浜を歩く散歩。 海風とともに薫る潮騒がレキを包む。 海風を身に受け、その感覚を楽しむように空を見上げた。空には満点の星空。 そこに広がる光景にようやくレキはこの町に来て良かったと思えた。 突然の引越し(母の我が侭)に当初は戸惑いを感じたがよくよく考えれば憧れの一人暮らしだ。 自由気ままで快適な一人暮らしライフ……悪くは無いとレキは思った。 思えば両親との生活は少し自由が無かった気がする。 父さんは遠野財閥の抱えている会社の一つにサラリーマンとして働き。 母さんは家で主婦……んな事はしないでゴロゴロとだれている。 気が向くままに生きている母の代わりに家の家事は全部レキが一手に引き受けていた。 たまに気まぐれに母さんが家事をすることがあるが、本当にたまにだ。 レキが家事をやるようになってからはほとんどレキがやっている。 それらを考えればこれからの生活に期待を抱いても良いだろう。 そうその瞬間まではレキはそう思っていた。 次の瞬間に訪れる運命の出会いが無ければ。
海辺の散歩を満喫し新しき我が家であるマンションに向けて足を進めている途中だった。 ふと違和感を感じた。 それは前に感じた事のある違和感だ。
「……結界か?」
そうそれは以前、母の姉であり自分にとって伯母に当たる人の家に言った時に感じた結界と似ているのだ。 確か人除けの類だろう。 それより弱い感じだが間違いない。 猛烈に嫌な予感がした。それは父と母の本気ギレ寸前夫婦喧嘩の予兆を感じた時と某正義の味方の師匠 と一緒に修行していた時に押しかけてきた師匠の師匠や後輩さんや妹?や姉やらと遭遇した時などに感じた 予感だ。 その的中率はほぼヒャクパー。全然嬉しくねぇ〜〜(泣)
「あっちから魔力を感じるな」
それも膨大な大きさだ。 まあ、ゼル爺さんやマジックガンナーの先生程ではないがそれでもかなりの大きさだ。 並みの死徒よりも大きい……理不尽な魔法使いの二人よりはマシだけど。
「はあ〜〜、やっぱし行かなきゃ駄目かな?」
どうもこの結界、人除けだけでなく出るのを阻害するタイプみたいだ。 眼を使えば出られなくないが、あまり使用したくないし。 何故なら使うたびに頭痛に際悩まされるのだ、父からはなるべく使わないようにと釘を刺されている。 とにかく行かない事には始まらない。
魔力を感じた方に行く。 近くのビルに隠れ魔力を感じた方に目を向け様子を見る。 ビル群の上空では激しい戦いが展開されていた。 桃色の燐光と紅の裂光がぶつかり合い、金色の雷光と紫の炎が火花を散らす。 その近くでは獣の耳を持つ男女が拳を交えている。
「ふむ、なんか場違いだな俺」
はっきり言って場違いもいいとこである。 あんな空戦を繰り広げている場所に踏み込むのは正直自殺行為。 レキは空を飛べない、故に関わっても正直狙い撃ちの的だ。 宙から引きずり落とせば何とか戦いようがあるが。 うむ、ここは話しかけてここから出してもらえないか交渉するか? いやいや問答無用で撃たれそうだな。 ふと戦いの途中だった紫の魔力を纏った騎士の視線と一瞬交叉した。 鋭い眼だ、あれは師匠が見せる眼と似ている。 強力な一撃で金色の魔力を纏った少女を弾き飛ばすとこちらに目がけて飛んでくる。 その光景にレキはただ一言呟いた。
「本気で?」
巻き込まれ決定ーー♪とそんな言葉が頭の中で某家政婦の笑顔とともに聞こえた気がした。 勘弁してくれ〜〜。
あとがき
始まりました第一話、更新が遅くて申し訳ない。 今回はレキくんの幼少が少し語られてます。 前回の感想で言われたのですがレキの魔眼は元々は浄眼だったんです。 ああ哀れなレキくん(泣) それではまた次回でお会いしましょうww
2016 6/19はるば〜ど ども一応生きてます。何か知り合いからお前の作品パクられてねって言われましたww 確認したところハーメルンで確かにパクられていたわ。一応細々と続きを書いてるんだけど。 仕事が忙しくて8年放置してた私が悪かったのだろうか。 とりあえずしばらく様子を見て削除されないようだったらハーメルン運営に要請します。 仕事をいつか辞めたらまとめて別のとこに完結まで出す予定。ここだともう投稿できないみたいだし。 それではいつかお会いしましょう。
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