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ダレモイナイ コウシンスルナラ イマノウチ(ペ∀゚)ヘ
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[214]ミステリーSS『那由多・トゥルー』≫Mo想君: 武蔵小金井 2003年01月14日 (火) 22時08分 Mail

 
 
 青空の下、大きく傾く背。膝を屈していく、一人の乙女。
 そして、大きくそれを持ち上げます。
 広げられた両手は、大空を掴もうとするように。
 高く、天へと。
「やほー、ショーゴ!」
 北原那由多、十八歳。
 天真爛漫なその笑顔が、今日も太陽の下で輝きます。 



 憎かった。
 殺したいほど、憎かった。
 殺したいと思った。
 殺したかった。
 本気で、殺すつもりだった。
 絶対に、殺すつもりだった。

 許せるわけがない。
 許しはしない。
 楽しかった想い出の仇。
 優しかった姉の仇。
 何よりも、お母さんの仇。
 誰よりも、私自身の仇。
 あの男を、許しはしない。
 あいつを、許しはしない。

 毒を使おう。
 毒を盛った。
 微笑んでそれを勧める。
 笑ってそれを差し出す。
 私の作った料理を、手放しで喜ぶ男。
 芸術家より若奥さんの方が向いていると、誉めそやす男。
 何とでも言うがいい。
 どうとでも思うがいい。
 私は許しはしない。
 私は忘れない。
 あの言葉。
 あの声。
 お前が憎い。
 お前を許さない。 

 口に運ばれる食物。
 飲み込まれるカプセル。
 私の言葉を信じて。
 私が気遣っていると信じて。
 毎日、毎日。
 毎時、毎時。
 そのたびに、私の心が喝采をあげる。
 そのたびに、私の胸が心地よく躍る。
 今日も一つ。
 明日も一つ。
 待ち焦がれた日が、近付いている。
 仇を討つ日が、近付いている。
 そう、お前を許しはしない。
 そう、お前を生かしてはおかない。

 夢ばかり見る。 
 ずっと、夢ばかり。
 寮の記憶。
 学校の記憶。
 それは、黒い夢。
 必ず、黒い夢。
 去っていく人。
 離れていく心。
 嘲りの言葉。
 蔑みの視線。

 お前は汚い。
 私は汚い。
 お前は醜い。
 私は醜い。
 お前は存在するべきじゃなかった。
 私は存在してはいけないんだ。
 お前には生きる価値もない。
 私には生きる価値もない。
 お前は生きていてはいけないんだ。
 私は生きていてはいけないんだ。
 お前なんて、いらない。
 私は、いらない。

 どうして生きているのか。
 どうして死なないのか。
 どうやっても。
 どうしても。
 それが不思議だった。
 それが不可解だった。
 だけど、どうしてかに気付いた。
 やっと、どうしてかに気付いた。
 私には、まだやるべきことがある。
 私にしか、できないことがある。
 だから、死ねないんだ。
 だから、生きなきゃならないんだ。
 許さないこと。
 認めないこと。
 そう、決して許さない。
 お前を、決して許さない。

 最低の人間。
 最低の存在。
 不必要な生存。
 不必要な生命。
 不可解な関係。
 不可解な家族。
 不機嫌な貴方。
 不機嫌な自分。
 憎むべき相手。
 憎むべき自己。
  
 時が満ちるのが待ち遠しい。
 今から待ち遠しい。
 その日が来ることを願っている。
 ひたすら願っている。
 それだけでいい。
 それ以外はどうでもいい。
 何もいらない。
 何も欲しくない。
 今日も一歩。
 明日も一歩。
 時は刻まれ、その日が近付く。
 針が動き、回り続ける。
 いつだろう。
 もうすぐだ。
 ほら、時は刻まれ続けている。
 私の心に、刻まれ続けている。
 音が聞こえる。
 聞こえてくる音。
 私が見つめていると、時が動く。
 私がそう思うと、時が動く。
 早く来い。
 早く来て。

 でも、邪魔が入った。
 だけど、邪魔が入った。

 出会いは偶然。
 再会は必然。
 すぐに気が付いた。
 すぐに理解した。
 この人が好きなんだ。
 この人を愛している。
 恋をしたのは初めてだった。
 恋だと気付いたのも初めてだった。  
 彼の笑顔にときめく。 
 彼の姿にどきどきする。
 見ていると楽しい。
 話をするともっと楽しい。
 いっしょにいると楽しい。
 いつもいっしょにいたい。

 でも、戻ればひとりの家。
 他人がいる、私のじゃない家。

 そうだ、私はこの家の人間じゃない。
 そうだ、この家は私の家じゃない。
 この人は、私の姉じゃない。
 お前は、私の父じゃない。  
 そう、私は鳴海那由多じゃない。
 そう、私は北原那由多。
 
 夢が変わった。
 変わってしまった。
 黒い夢。
 輝く夢。
 お前を許さない。
 貴方が大好き。
 お前が憎い。
 貴方が欲しい。  
 私は鳴海那由多。
 私は北原那由多。
 苦しい。
 楽しい。
 裏切り。
 指切り。
 決別。
 決意。

 あっけない幕切れ。
 あっけない最期。
 許せない断末魔。
 許せない終焉。
 何もかもが終わった。
 何もかもが狂った。
 願い通りの結末。
 裏切りられた願望。
 お前は何?
 私は何?
 冷たくなった躯。
 暖かい躯。

 お前にはこの台詞を遺してやろう。
 お前にはこの台詞がお似合いだ。
 この日をずっと夢見てきた。
 この日をずっと待っていた。
 苦しむがいい。
 喘ぐがいい。

 だけど、その時気付いた。
 何も聞こえていないことに、気付いた。
 何の為の言葉?
 誰の為の言葉?
 もう誰もいない。
 もう何もできない。
 もう二度と、憎めない。
 もう二度と、殺せない。
 許さない。
 許せないから。
 憎い。
 憎めないから。
 永遠に。
 永久に。

 真相。
 真実。
 虚偽。
 虚脱。
 絶命。
 絶望。

 どういうことなのかわからない。
 どうしたいのかわからない。
 どうすればいいのかわからない。
 どうなればいいのかわからない。

 いてくれたのは彼。
 来てくれたのは彼。

 嫌いになる?
 嫌いにならない?
 それで決めよう。
 それで決めたい。
 たった一度だけ。
 最後に一度だけ。

 あなたが好きです。
 あなたを愛してる。
 
   
 

 ゆっくりと紙を置いて、彼がノートから顔をあげました。
 そこにある、彼女の顔をまじまじと見つめます。
「……ショーゴ、その……どうだった?」
 心配そうな、それでいてはにかんだように覗き込む姿。
 どこか彼女らしい、そんな表情でした。
「いいんじゃない……かな?」
 再びノートをチラリと見て、微妙なニュアンスの返事をする彼。彼女が首をかしげます。
「そう?本当におかしくない?ロッキー山脈に恐怖のあらいぐま人形チャッキーロックが出現するのと、どっちがおかしくない?」
「そ、それは……どっちかな。」
 焦る彼。難しい顔で、そしてノートをパタンと閉じます。
「でもさ、これ、いいと思うよ……なんだっけ……そうだ!なゆ、これってあくまでもさ、『序文』なんだよね?」
「うん、オフ・コース♪イッツ、プロローグ!だから、ちょっと文体に特徴があるでしょ?」
「う、うん。ちょっと……そうだね。でも、面白そうだよ。引き込まれる感じ、かな?」
「ホント?」
「うん。この先が読んでみたいって思う。」
「ホントにホント?」
「う、うん。」
 彼から顔を少し離して、ぐっと身構える彼女。彼が何事かと目をパチパチ。
 その前で、彼女は再び大きく……天を。
「キャッホー!」
「な、那由多?」
「うーん、ショーゴ!それ、もの、ものすごっ!もの、すっごい!嬉しいじゃん!エバーランドでパンピータンがホーキング船長をやっつける?もう、そんな感じだよ。はいここ、つまらないんじゃなく、つまるトコ!皆の者、サンキュ〜♪」
 彼の額に、また汗が浮かびます。それを知ってか知らずか、また彼女のオリジナル・スマイル。
「あははっ♪とにかく私、モースト・グラッド!ありがとう、ショーゴ。お礼にハッピー・ニュー・イヤー・バカンス七泊八日、佐渡金山温泉旅行の旅をプレゼント!ハーイ、カップル様一組ご案内〜♪」
 バッグから何やら怪しげなチケットを出して、彼の前でそれをパタパタと示す彼女。一瞬、その場に静寂が訪れます。
 ちょっぴり、不安げな彼女。その前で、笑う彼。その手から、ピッとチケットの一枚を取ります。
「オッケー、なゆ。それじゃ、そろそろ行こうぜ。バカンス前に、とりあえず約束の美術館だろ。」
「ほいさ!まだまだツッコミレベルが足りないけど、今日はそれでヨシとしてあっげましょう!それじゃ、ショーゴ。レッツゴ〜♪」
「こ、こら!危ないって……那由多、うぅわっ!」
「こらショーゴ、そんなことでは甘い!甘いのじゃ!一人前のコメディアンになるために、お主ももっと、ハリーアップ!」
 つんのめるように引っ張られる彼。どこまでも朗らかに、その手を握って駆け出す彼女。
 去っていく二人に、晴れやかな千羽谷の空。
 今日は、絶好のデート日和です。
 心地よい海からの風。それに揺れる、ベンチの上に残されたノート。



 やっぱり、私は北原那由多。 
 けれど、私は鳴海那由多。
 だけど、関係ない。
 もう、関係ない。 
 だって、私は那由多。
 そう、私は私。

 時計が止まった。
 時が止まった。
 寄り添うみたいに。
 重なるみたいに。
 たぶん、これは私の心。
 そして、これからも私の心。

 だから、動き出す。
 もう一度、動き出す。
 離れるかもしれないけど。
 通り過ぎるかもしれないけど。
 でも、きっと一つになる。
 また、きっと一つになる。

 ずっと、私と彼。
 いつまでも、あたしとショーゴ。


 お母さん。
 お父さん。
 こんな私だけど。
 寂しがり屋の私だけど。

 いつか、許してくれますか?
 いつか、誇りに思ってくれますか?
 
 


[215]できるだけニュースなあとがき: 武蔵小金井 2003年01月14日 (火) 22時14分 Mail

 
 
 ……えーっと、嘘です。
 完璧に、気の迷いです。
 つまるところ、引っかけです。
 もの、すごっ!もの、すっごく!ひたすら、ネタです(コラ

 ……ああっ!何だか無茶に謝ってばかりですよ、皆さん!
 とにかくなにとぞ、ごめんなさいでした。
 これは長編じゃないです。タイトルからして嘘です。
 ただただ、悪戯です。ラクガキです。

 その、昨年末よりのんびりこーんと想君をまったりプレイしていて。
 私的相変わらずのスロープレイペースで、ですが先日、いわゆる鳴海姉妹のお話が終わって。
 それで、もう妄想がひたすら走って。だっだっだーっと。
 腕がガタガタブルブル(笑)震えて、どうにかしたくなって。
 さらには、肝心の方までおろそかになりかけて(汗
 ならば一度ラクガキすれば楽になるだろうと、その結果がこれです。

 その、まだまだプレイ中です。未だ五人くらいです(汗)。
 そのため、巷で噂のトゥルーその他で補完されるべき部分が、まったく欠如しております。
 もしも(汗)そうであったりすれば(いやきっとあると思うのですが)、まことにごめんなさいです。
 あと、本来ならネタバレ大爆発ですのでその旨は前述すべきなのですが……
 そうしなかったのは、つまりは一発ネタで、さらにはそれすらネタで、ううっ……
 とにかく、色々とごめんなさいでした。読み返すとひたすら悪趣味な気が……あぁ、ものすごっ!もの、すっごく恥ずかしいですっ、ヤッパリ(大赤面

 とりあえず、笑って(笑えないような(汗))読んで下さると嬉しいです。
 細かい部分とか、あくまでも「ぎゃぐ」っぽくお願いします。

 重ねて、お読みになって下さった方にはありがとうございました。
 そして、素晴らしく想像力&創造力をかきたててくれた彼女たちに、乾杯。

 ……あ、その、もちろんそっちの方もちゃんとイロイロと。キチンと……全力投球って言ってなかった?<ボソッ


 それでは〜♪(片手をかざし、足は猛ダッシュで逃走) 
 
  


[216]ぉぅっ: こた 2003年01月15日 (水) 02時51分

いつも楽しく拝見してますっ

っと・・・これはまた某ベタねたのヒトが喜びそうなw

勢いがあって引き込まれました。

ぁ、もちろん"ミチル"連作はバッチシ拝読させていただいてます。
結局以前の「しおり」のつづき書きませんでしたが、本当に楽しく・・・いえ、ワクワク読ませていただいてます。

この勢いで、また今年も。


[217]くまんばぴ、大往生: 武蔵小金井 2003年01月15日 (水) 09時57分 Mail


 ご感想どうもありがとうございます。
 何というか喉元過ぎてから緩くプレイする性格といいますか…遅くて申し訳ない(?)感じです。
 しっかし……一夜明けて読み返すともう何というか(以下略
 脈絡がなくって……ネタ的にもまとまってない(オチていない)気が激しくします(汗)。まさに拙文です。

「アホね。」<ゆかりん風に(笑

 騙しの『トゥルー』のタイトルは現時点で耳に入っている(入ってしまった(泣))情報から察してみました。
 恥ずかしい限りですが、何というかもし鳴海姉妹の話があれで終わっているとすれば本当に脳内補完的長編を(以下大量略

 う、噂のカナタ&音緒トゥルーはその後の話だとかで……評判も高く、今からプレイにドキドキです。

>べたネタさん
 ……お噂はかねがね。Web上でもかねがね。某所でもかねがね(ぁ
 イラストや掲示板のアイコンがとてもプリティですよね。特に謹賀新年の倉成一家はもう私的魂の萌え大爆発でした。
 ……言えない……IZMIX2冊持ってるなんて言えない……ナス本、なゆ本もホスィーかったなんてもっと言えない……(大赤面

>ミチルタンハァハァ
 ……あ(大赤面
 ど、どうもそればっかりは本当にすべからくありがとうございますっ。
 Web上でのこういった形の連載でしかもジャンルでネタがという山のようなハードル(違)にめげず頑張りたいですっ。
 とりあえず……テンポが遅いとか思われていたらごめんなさい<ぁ、言い訳がましいゾ

>しおり
 ……!いえっ!というか何方か一人にでも読んでいただければっ!それだけで甲斐もあったとっ!
 
 本当にコメントありがとうございました。
 今年も相変わらずの自分ノリで続けていくと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 
 



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