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Dream On!

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ダレモイナイ コウシンスルナラ イマノウチ(ペ∀゚)ヘ
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[162]SS『Oldhome's Dreamer』≫灰羽連盟&北へ。: 武蔵小金井 2002年10月26日 (土) 10時48分 Mail

 
 
 目が覚めると、背中に小さな羽が生えていた。
 始めは冗談だろうと思った。医局の誰かが悪戯したんだろうと考え、そんな馬鹿なことをする人がいるわけがないと苦笑する。確かに、いやがらせにしても悪趣味すぎる。まさに冗談。
 でも、背中に羽が生えているというのはどういうことだろう。半身を起こした柔らかなベッドの上で、私はしばらく考え込んでしまった。確か、昨夜消灯する前はこんなものはなかったはずだ。だとすれば、私が寝ている間に誰かがこの部屋に入って来たことになる。嫌悪感を覚えつつ、次に私は問題の羽を確認しようと思った。背中に手を伸ばして触れてみる。柔らかな感触、そして。
 背筋が震える。私は思わず小さな声をあげていた。何というか……とても微妙な感覚だ。正中神経が刺激される、とでもいうのだろうか。私は涙目になって、ある事実を認識した。
 この羽は本物だ。
 そう、間違いなく本物の羽だった。何しろ、触れられた感触がこうして伝わるということは、そこに神経が通っているのだ。だとすればこれは悪趣味な付け羽などではなく、本物のそれに間違いない。私の背中に羽があるのだ。小さな羽が。
 天使?
 そう考えて、次の瞬間私は吹き出してしまった。何が天使だろう。いい歳をした私にとって、それこそもっとも不似合いな形容に思える。脳裏に浮かんだ自分の姿のこっけいさにそれが高まり、私は少しの間、ころころと笑い続けていた。
「あれ……起きたんだ?」
 横合いからの、寝ぼけたような声。驚いて見ると、部屋のテーブルに突っ伏していたらしい少女が、惚けたように顔をあげていた。長い黒髪の少女だ。こっちを覗く眠そうな目がまたたくと、特徴的な切れ長の視線が笑いかけてくる。
 私は言葉につまった。まさか、誰かいるとは思っていなかったのだ。そもそも、彼女はどうしてここにいるんだろうか。私の部屋に……
「……えっ?」
 思わず口を押さえる。見たこともない部屋……どこかの屋敷のような、西洋建築の大きな部屋だった。そこの壁際にある丸みのある大きなベッドに、私が寝ている。何もかも、初めて見る家具ばかりだった。
「大丈夫?もう痛くない?あんた、ずいぶんうなされてたんだよ。気分はどう?」
 黒髪の少女が私に私に尋ねる。どこかで聞き慣れた、なじみのあるような台詞だった。いや、言い慣れているのかもしれない。
 立ち上がった彼女は椅子をベッド横まで引いてくると、そこにドンと腰掛けた。胸元から小さな紙の箱を取り出して、思い出したように私に尋ねる。
「煙草、いい?」
 病室でなんてことを言うのだろう。私は思わずそう注意しかけて……そして、口ごもった。
 この部屋は、とても病院内の施設には見えない。かといって、決して私の部屋じゃない。
 私はどこにいるのだろうか。昨夜、何かあったのだろう。同僚の誰かと飲みに行った?意識不明で泥酔するまで?そんな記憶はないし、ありえない。数少ない友達やその他の関係にも思い当たる先はなかった。
 いや、そもそも私が今思った病院とは、どこの病院のことだろう。
 思わず彼女を見る。私の沈黙を了承と解釈したのか、彼女は煙草をくわえていた。ブランドはわからない。ゆっくりと吹かし、そして煙を吐く。私は少し刺のある雰囲気を彼女に感じた。
「あの……いいかしら。あなた、どこの人?私はどうして……」
「ストップ。とりあえずさ、何でもいいから巻いといたら?風邪ひくよ?」
 私は自分の格好に気が付いた。耳元まで熱くなる。そうか、そうだったのだ。
 慌ててシーツをたくしあげる私に、彼女が肩をすくめて煙草をくゆらせた。その仕草は余裕たっぷりで、何だか小憎らしかった。子供のくせに。
「あのね……言わせてもらうけど、いい?」
「どうぞ。」
「あなた、何歳なの?未成年じゃないでしょうね。それにしても、煙草は健康に良くないのよ。いえ、そもそもこの状況は何なの。どうして私がこんな所にいるのかしら。あなたは誰?」
 やつぎばやに言いたいことを並べて……そこで、私は気が付いた。整った彼女の顔……いや、その頭の上にある物を。
 輪、だった。光る輪。まさに天使の輪だった。それが、彼女のサラッとした頭髪の上に浮いている。
 私はまじまじと彼女を見た。いぷかしげに首をかしげる彼女の背に……羽があった。
 羽だ。頭に輪。背中には羽。私は絶句した。そんな、まさか。
「あ、あなた……」
「誰?」
 それ以上言葉が出なかった私に、彼女が問い返すように呟いた。チラリと、窓の外を見やって。
「えっ……」
「誰だか、思い出せる?あんた、自分が誰だか。」
 何を言ってるんだろうか。私はもちろん……
 私は……?
 私…………
「無理しない方がいいよ。たぶん、思い出せないだろうから。でも気にしないで。あんただけじゃないの。あたしもあんたと同じ。ううん、あたしたちだけじゃない。灰羽のみんなもそれは同じ。」
 思い出せない?
 本当だった。どうしてだろう。私は途端に恐くなった。何もないのだ。ぽっかりと、頭の中に記憶がない。
 私は誰だろう。さっきまでは、自分が誰かおぼろげには覚えていた気がする。何か、場所や物の名前を呟いていた気もする。
 でも、もう何も思い出せなかった。何も。
 私は思わず白いシーツを握って、自分の肩を抱き締めるように身を強ばらせた。私はここにいる。確かにここにいる。だけど、私は誰?
「ほら、考えすぎない方がいいって言ったでしょ。大丈夫、すぐ慣れるから。それより……」
 彼女が立ち上がった。部屋のドアに向かって歩き出す。どこかに行ってしまうのだろうか。私は急に不安になった。肌寒さを感じる。
「ま、待って……」 
 煙草をくわえた彼女が、こっちに振り向いて小さく笑った。安心させるようなその微少に、私は安堵した。いい歳をして情けないとは思わなかった。それほど不安だったのだ。自分が誰かわからないのは。
 彼女が黙ってドアの前に立つ。どうしたのだろうか……と、彼女がそこでノブに手をかけ、ぐいっと扉を引いた。
「きゃああぁぁっ!」
 私は驚きに目を見張った。数人からの叫びと共に、誰か……何人かの姿が部屋に転がり込んで来る。
「い、イタたっ……あーあ、見つかっちゃった。」
 よく見ると、それは見知らぬ少女たちだった。転び、慌て、頭をかき……そして、並んで私に笑いかけてくる少女たち。
「まったく……あんたたちも大概にしな。この子が驚くだろ?」
「ごめんなさい、レキ。」
「だってー、その子のことが心配だったんだもん!」
「こんにちは!気分はどう?ゆうべは大変だったんだから。」
 笑い合い、そして互いに小突き合う少女たち。年齢はばらつきがあったが、仲がいいようで、私を興味深そうに見て笑う。私はなんとなく、ほほえみ返してしまった。
 ふと思う。煙草の子……最初に私と話した子は、レキ、という名前なのか。珍しい名前。どんな漢字を書くのだろう。
「まぁ、いいけどね。それじゃとにかく、自己紹介か。私はレキ。それで……」
「ソラ。空を飛んでる夢を見てたから。だからソラ。」
「空を見てる……夢?」
 聞き返すと、嬉しそうにうなずいて両手を広げる。
「そう。ここじゃね、自分の名前はそうやって付けるんだよ。誕生する前に見てた夢で、決めるんだ。」
「私は頭上に光が見えてたからヒカリ。それでこっちが……」
「カナ。河で魚みたいに泳いでたから。」
「こっちはネム。夢の中でも眠ってたから!」
「もう、人の自己紹介を勝手に……」
 空、光、河魚、眠……あまりに単純な名前だった。
 そこで思った。なら、私は何なのだろう。
「それで、あんたは……カオル。」
「えっ?」
 煙草の少女……レキの言葉に、私は目を丸くした。
「いい香りの夢を見たんでしょ?だから、あなたはカオル。」
 カオル。香……薫?
 そうか、確かに私はカオルだ。どうしてか、私はそう納得した。でも、いい香りとか、そういう話はしていない気がする。第一、そんな夢は見たことがない。私は口を開きかけ……そこで、ふっとあることが気になった。私の近くにいるレキを見上げる。
「もしかして、レキって……轢殺される夢を見たから?」
 彼女が目を丸くした。煙草がポロリと落ちる。
 そして、吹き出した。大笑い。
「違う違う。あーあ、カオルって顔の割にけっこう冗談きついんだ。あー、苦しい。」
 落ちた煙草を拾って、灰皿で消す。私の言葉がよほどおかしかったのだろうか。彼女は延々と笑い続けた。他の少女たちも顔を見合わせて、そしてクスクスと笑う。
 いつしか、部屋の雰囲気がとても和んでいた。何だか暖かさのようなものが満ちている。自然と、私も笑っていた。
 気が付くと、皆が笑っている。
「とりあえず、細かい説明は朝メシ終えてからにしよう。カオルもお腹減ってるだろ?準備するから、顔洗ってきな。それじゃ、みんな仕度!」
 一斉に動き出す女の子たち。皆の頭に輪、背に羽。私やレキと同じく。
 でも、どうしてだろう。何だかとても自然だ。ずっとこのままでいたような、そんな気までしてくる。
「さてと。ま、とにかくよろしくね、カオル。」
 一人残ったレキが、私に手を伸ばしていた。彼女なりの挨拶だろうか。私は笑顔で、それを握り返した。
 意味があって、なさそうな握手。ふっと、学生時代を思い出した。あの頃は、何度かこういう握手をしたことがあったっけ。確か……
 そこで、気が付く。学生時代……?


「……椎名先生?」
 軽く肩を揺すられて、私の意識が覚醒した。顔をあげる。なじみの看護婦の顔がそこにあった。
「先生、大丈夫ですか?最近、色々あって宿直が多いですから……身体に気をつけて下さいね。医者のなんとやらって、言われちゃいますよ?」
 私は瞬時に己を取り戻していた。鼻先まで落ちかけていた眼鏡を持ち上げると、つとめて自然に笑いかける。
「ごめんなさい。そうね、ちょっと疲れていたのかもしれないわね。うたた寝してしまって……ありがとう。老先生に見つかったら、またお小言だったわ。」
「どういたしまして。それじゃ先生、失礼します。」
 律義に一礼して、彼女は部屋から去っていった。手をあげてそれに応え、席を立とうとして……膝の上に開いてあった、大きめの本に気が付いた。それを持ちあげて、見る。
 本だ。字の大きさから子供のものだとわかる。文のスペースよりも絵の占めるそれが大きいような、そんな本だった。
 そして、そこに天使がいた。可愛らしい女の子の天使たち。
 私は本を閉じた。本の題名は知らなかった。誰かから借りたのだろうか。覚えがない。読んだ記憶もなかった。なら、この本はいったいどうしたのだろう。
 しばらくそれを考えて、私はクスッと笑った。
 いいじゃない。そんなこと、小さなことよ。起きたら見知らぬ場所にいて、背中に羽が生えてたなんて話に比べれば、遥かに些細なことじゃないの。
 本を、自分の机に置く。眼鏡も外して、その横に置いた。
 誰のものかはわからない。誰かが落としたのだろうか。だとすればこれを見つけて、勝手に持っていくだろう。そうでなかったら、持ち帰って一度読んでみよう。そうだ、今夜にでも。
 引き出しの手鏡で身なりを正すと、私はそう決めた自分に笑った。どうしたんだろう。妙な気分だった。でも、いい気分。
 準備を終えて、部屋を出る。静かで、そしてにぎやかな病院の午後。いつもと同じ、私の職場だった。
 歩き出そうとして、ふと窓の外を見た。晴れやかな秋の午後。読書がはかどりそうだった。そう考えて、さっきの本を読むのを楽しみにしている自分に気付く。苦笑した。子供の本なのに。
 いや、そんなことは関係ないか。心中で首を振り、私は笑った。子供や大人なんて関係ない。
物語はいい。どこにでも行けるし、何にでもなれる。そう、子供にでも、不思議な天使にでも。
 小さく伸びをして、私は午後の検診に向かった。
 
 


[163]夢オチっぽいあとがき: 武蔵小金井 2002年10月26日 (土) 11時14分 Mail

 
 えっと、咄嗟です。いえ、発作です。いつもの奴です。

 実は昨日、友人宅でホラー映画……でなく、幼い少女が背中から生えてくる羽の痛みに悶え苦しんで仲間に介抱されるという、恐いビデオを見せられました。しかも二本だてて一時間も。

 ……嘘です。恐くなかったです。ドキドキしました。何だかふわふわとして。それでいてほのぼのとして。同人誌が原作なんだよぉと教えられて、ふぅんと子供っぽく頷いて。

 で、翌朝起きたら……いや、起きる直前に、恐ろしい夢を見てしまったという。いやそれがとんでもない夢で。今思い出してもで。ドキドキ。
 それで、記憶が消える前に慌てて一筆。
 昨日はおざなりにしてしまった先生の誕生日祝いも兼ねて。私的開催な北へ。フェアっぽく(汗)。

 あ、中身と夢とは関係ないです。あまり。少し。全然。まったく。ほとんど。きっと。
 だから恥ずかしいので、どんな夢かは聞かないで下さいね。水晶のドクロが実は白い仮面をつけたお人形でなごやかに会話しながら薫先生とレキさんが煙草を吸いまくる横で羽が生えたレーxエちゃんやフxンチxスx嬢や灰羽のみなさんが輪になって歌って踊りながら自分だけ気が付くとオーバーロード作戦のためにオマハ海岸への上陸用舟艇の隅でガタガタブルブルと震えていたわけじゃないです。絶対違います。

 あ、遅ればせながら、薫先生お誕生日おめでとうございます〜♪
 歳のことはお互い言いっこなしです。今夜はとーんと飲んで祝いましょう。明日までつきあって下さいね。寝っかせませんよぉ〜(ドカバキグシャドスドスッ

 そ、それではっ。


[164]ハイバネティクス。: カントク 2002年10月27日 (日) 21時41分

さてどちらが本当のユメ・・・?

どうもこんちは。
いやあの皮膚の下で生える前の羽がぐりぐり動くシーンはしみじみ痛そうで、
ドキドキしましたが。(←えっ?

←そんな訳で灰羽な薫さん。

※私信
以前頂いた物は漸く裏サイトが準備できそうなので、
来週中になんとかお披露目できるかと思いマス。
長らくお待たせして申し訳ありませんデス。


[167]『白衣の天使は小悪魔なお姉様!?』の巻: 武蔵小金井 2002年10月28日 (月) 22時41分 Mail


 かわいいいいいいいいいいいいいいーっ!

 うわあっ、モノスゴク可愛らしくステキーなハイバネ薫さんをどうもありがとうございますっ!
 実は灰羽の名前を知ったのはカントクさんの某オエカキ掲示板なのですが(笑)、撮ってあるという友人に見せてもらって、いい雰囲気だなぁと思って。まさか翌朝の夢で出てくるとは思いませんでしたが(汗)。
 とにかく、本当にノリと吃驚メモリーだけでラクガキしたような文なので……読んでいただいておまけに素敵なイラストも見せていただき、本当にありがとうございました。
 そういえば今回、何だか古い話ですが……昨年の11月に、カントクさんに素敵な薫さん'sを描いて見せていただいたことを思い出してしまって。何だかなつかしいような、それでいてついこの前だったような……感慨深い、というとありきたりですが、本当に色々と嬉しかったです。これからも良きおつきあいのほどをお願いしたいですっ。<あ、何だかヘンな言い回しですね(笑

>私信
 ……………………ぽっ(大赤面)。
 そ、その。あれこそイキオイマカセーナ……ゴニョゴニョ(濁汗


 そ、それで……というか、いつもの悪ノリと言いますか。
 その、その場で瞬間的に思いついたネタで一筆。
 いえ、こっちこそ本当に駄文というか、ラクガキそのものなのですが……


[168]その場SS『オールドホームの北羽達』≫灰羽&北へ。: 武蔵小金井 2002年10月28日 (月) 22時44分 Mail

 
 
 ある朝目が覚めると、背中に羽が生えていた。
 どうしたんだろう。気のせいだと思ったけど、それでもやっぱり羽が生えている。
 僕は恥ずかしくなった。羽が生えてるなんて。これじゃ学校にも行けないや。
「気にしなくてもいいよ、お兄ちゃん。」
 ビックリして顔を上げると、そこにとびきり可愛い女の子がいた。屈託のないピュアな笑顔で、僕をニコニコと覗き込んでいる。
 僕の胸がドキドキし始めた。誰だろう、この子。学校とか、それに……お兄ちゃんって?さては、僕の血のつながらない妹なのかな。
「私はコトリ。小鳥みたいに可愛くパタパタ翔んでるから、コトリっていうの。」
 ふぅん。僕は思った。秘密戦隊のコードネームとか、そういうものなのかな。
「北羽には学校も、試験も何にもな〜い♪って?コトリ、あんたの名前は、ピィピィにぎやかすぎるからじゃないの?」
 別方向からの声。見ると、そこにショートカットの女の子がいた。コトリちゃんとはタイプが違うけれど、この子もとっても可愛い。
「あー、アユちゃんひどいよ!私、そんなにうるさくないもん。」
「まぁまぁ、とにかくよろしくね。私はアユ。川魚の鮎から。まんまでしょ?」
 僕はなんとなくうなずいた。アユちゃんがニコッと笑って、ウインクする。ドキドキが強まった。
「フン。野郎の新入りに、わざわざ自己紹介もないだろ。」
 窓際に、別の女の子がいた。長い黒髪の……くわえて吹かす煙草がとても似合っている。
 彼女は硬派だ。僕はどうしてかそう確信した。見た目以上に、タダモノじゃない気がする。触れたらスパッと切れる、カミソリみたいな。
「でも、ハヤカさん。最初が肝心、って言うし……ちゃんと、挨拶しようよ。」
 コトリちゃんに言われて、彼女は少したじろいだように……そっぽを向いた。そんな仕草が、妙に可愛い。また、僕の中でイメージが変わる。
「そうそう、北な羽持ち同士、仲良くいきましょうってね。こんちは、キミ。」
 次に出て来たのは、クセっぽいショートの女の人だった。ラフっぽい格好で、とても背が高い。
「あたしはユーコ。でね、あのシガレット・バーの彼女はハヤカ。意味はね、ハはxジキのハ、ヤはxッパのヤ、カはxチコミの……」
「てめぇ、ユーコ!ふざけたこと教えるんじゃねえ!こいつが本気にしたらどうするんだ!」
 煙草……シガレット・バーをプッと吹き捨てて、ユーコさんに飛びかかるハヤカさん。ユーコさんが脱兎の如く逃げ出すのを、そのまま一目散に追いかけていく。
「それじゃね!あっ、あたしはね……広げよう、ユーコーの輪!」
 ちょっと苦しいかも。笑いながら走り去る彼女……ユーコさんを見送りながら、僕は思った。
「じゃ、次は私?私でいいの?」
 ビックリした。部屋に置いてあるテレビの中に、女の子がいる。しかも、三つ編みでメガネだった。ソバカスは……ないみたいだけど。
「ちわー!やっぱり天使に限らずコスプレって言ったらユキちゃんだよね。あ、意味はねー、木々のコズエってことで、よろしくぅ!」
 意味不明だった。でも、僕が聞き返そうとする前に、テレビのスイッチがブチッと切れた。
「あいたたぁ……あー、コンセント抜けちゃったぁ!ご、ごめんなさい……」
 おかっぱの女の子が転んでいた。膝をすりむいて、泣きべそをかいている。
「気をつけてね。はい、消毒。少し我慢して……」
「イタイノ、イタイノ……トンデイケ。これ、オマジナイです。キキましたか?」
 どこからともなく現れた白衣の女医さんと、金髪碧眼を絵に描いたような薄幸のロシア人美少女。
 みんなみんな、背に羽が生えている。頭には天使の輪。
 僕は何がなんだかわからなくなった。でも、不思議とそれでいいと思ったりもする。
 みんな可愛い。とても素敵だ。だから、それでいいや。僕は、幸せだもん。
「そうかい、そうかい。ま、人間幸せが一番だよ。だから、今はそれでいいのかもしれないねぇ。」
 両肩に乗せられる手。首を回して見上げると、また新たな女性がそこにいた。
 無造作に束ねた髪。悪戯っぽい瞳。年の頃は……
「あ、あの……あなたは?」
「あたしかい?あたしゃ、ヨウコだよ。」
「ヨウコさんは……その、どういう由来の名前なんですか?」
 何の気なしに、僕はそう口にしていた。
「あんた、知りたいのかい?」
 キラッと彼女の目が光る。その口元がうっすらと、曲線を描いた。
「えっ、よ、よければですけど……」
 ヨウコさんの笑みがさらに強まった。何か危ない感じだ。僕の前髪が一本、縦に持ち上がりそうな。
「……い、いや、やっぱりいいかな。女性のプライバシーには、実を言うとそんなに興味が……」
 どもる僕の前で、ヨウコさんの瞳が妖しく輝いた。何だか、両肩に乗せられた手が重い。いや、爪が食い込んで痛いほどだ。え……爪?
「ヨ、ヨウコさん……?」
「ねぇ、アンタ。昔話に出てくる、キツネの妖怪を知ってるかい?尾がいっぱいある奴で、何百年も生きててね。噂によると、何にでも化けられるらしいんだよ。それが人の世界にまぎれて、まだ暮らしてるって言ったら……信じるかい?」
 ぺろん。彼女の赤い舌が見える。鳥肌が立った。膝がガクガクと震える。
「それがね、実は……こーんな顔をしてるんだってさ!」
「う、うわぁぁあああっ!」
 妖かしの狐。最後に僕の頭の中に浮かんだのは、そんな呼び名だった。
 
  


[169]北羽なあとがき+: 武蔵小金井 2002年10月28日 (月) 22時49分 Mail

 
 
 えーっと、カントクさんの絵を見た瞬間に「北羽連盟」という名称が脳内に浮かんで。
 瞬間的にレキさんが葉野香さんにつながって。

 ……それで、どうしてこんなみもふたもない内容になるのかは謎ですが(汗)。
 とりあえず、思いついたままにその場の勢いで一筆してみたのですが……あぁ、前のもそうですが、読み返すと一体何をしているのやら。オチとか、いらないような、付けても無意味なような、はうう。

 えっと、そ、その。そうですね。「北へ。」なつかしの、バーチャルホラーサウンド風にお読み下さい。

 ……って、ごめんなさい陽子さん(爆汗)。
 
 そ、それでは〜♪
 
 付記:えーっと、一夜明けて読んだらホントに情けないほど恥ずかしかったので、オチを消したりしました。はぅぅ(粛々)。



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