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ダレモイナイ コウシンスルナラ イマノウチ(ペ∀゚)ヘ
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[75]SS『Astonishing to...』≫北へ。: 武蔵小金井 2002年07月05日 (金) 00時08分 Mail

 
 
 ドッボーン!
 飛び散るしぶき。谷に囲まれた渓流の、深くて濃い緑に包まれたみなもが光る。
 白かった。まぶしいほどに。
「あははは!ねぇ、早く入ってきなよ!気持ちいいよ!」
 彼女が……桜町由子さんが僕に手を振った。はしゃいでいる様子が妙にあどけなくって、やっぱりどこかまぶしかった。
「う、うん……」
「あれ、なに赤くなってんの?ひょっとして、私のダイタンな水着に惚れちゃった?」
 水滴のこぼれる半身。それをキュッと反らせて、笑う由子さん。
 僕は赤くなった、と思う。もしかすると、とっくに真っ赤になっていたのかもしれないけど。
「もう!そんなことないよ。ただ、準備体操ぐらいした方が……」
 いいわけだった。やっぱり、白い水着は反則だと思う。
 みんな、この前のデートが原因だった。白いビキニがいい?と聞かれたから、悪ノリでうなずいただけなのに。
「だいジョブジョブ!ほらっ、早く早く!」
「よ、よーし……それっ!」
 なんだかせわしなくなって、僕も川に飛びこんだ。よく考えたら、この辺りには誰もいない。季節が外れている……というより、田舎の穴場だからだ。シーズンにはまだ早いし、今時、川で泳ごうとする人は少ない。
 水は少しにごっていた。足元も変な感じだ。子供の頃、網とかバケツとかを持って走りまわっていた夏休みを思い出して、妙になつかしい気分になる。
「どう?きっもちいいよね?」
 由子さんが嬉々として僕に聞いた。同意しなかったらどうなるだろう。この!とか言って水に引きずりこまれそうだ。
「う、うん。気持ちいいよ……水の感じ、やっぱり違うね。」
「だよね!プールとかと全然違うし……海ともまた違った感じだよね!ほら!」
「うわっ!」
 思いっきり水をかけられた。やるだろうと思っていたけど、いきなりとは思わなかった。
「あはは!藻がついてる!それそれっ!」
 目の前に何かがたれさがっていた。それを取ろうとする僕を見て笑い、また水をひっかけてくる由子さん。
 ちきしょう。僕は反撃した。このままだと徹底的に遊ばれる。そんなのはゴメンだった。
「お、やる気ですな!って……わあっ!」
 両腕の力をふりしぼって、水車のように水をかけ返した。由子さんの驚いたような声が……
 悲鳴に近いそれに変わったのに、気付かないまま。
「わ、ちょっとタンマ……きゃんっ!」
 変な音がして、腕を止めた。
 ふと見ると、由子さんがいない……いや、いた。水中だ。倒れたのかな。
「ははっ、どうしたのさ……」
 言いかけて、驚いた。由子さんは、あおむけに水没したまま動かない。しかも、顔のあたりに泡も出ていないように見えるし……え、ええっ?
「ゆ、由子さんっ!」
 頭を打ったのかもしれない。僕はあわてて由子さんに走り寄って……水の中に手を突っ込むと、抱き起こそうとした。
「由子さん、大丈夫!?」
 頭と、肩を……柔らかいそれを抱えて、腰に力を入れる。僕と同格の体躯を誇る由子さんだったけど、水の中ってこともあって何とか持ち上がった。
「ね、ねぇっ……」
 ザパッ。由子さんの上体があがった。水滴が散って、短髪が揺れる。
 だけど、目を閉じた由子さんはピクリともしない。
「由子さん!ね、大丈夫?」
 冗談かと思った。でも、それならもう動き出してもいいはずだ。バアッ、とか何とか、笑って……
「由子さん!」
 もしかすると倒れた拍子に、川底の石か何かで頭を強く打ったのかもしれない。僕は由子さんの後頭部に触れた。
 濡れた頭髪をさぐって、傷とかこぶがないか確かめて……な、なさそうだけど。
 でも、もしもってこともあるし……あ!
 僕は息を呑んだ。大変な事実に気が付いてしまったのだ。
 ここには由子さんのバイクで来た。いつものように、二人乗りで。
 由子さんがダウンして運ばなきゃならないとしても、僕には輸送手段がない。
 しかも、こんな山奥じゃ携帯も通じない。民家がある場所までは相当ある。
「ど、どうしよう……」
 その時、僕の腕の中の由子さんが呻いた。
「ゆ、由子さん!?」
 唇がかすかに震えている。僕は耳を近付けた。呼吸してるのかどうか……
「……い……き……」
 いき……?
「くる……し……から……いき……」
 くるし……息が苦しい!?
 僕は目を丸くした。どうしよう。由子さんは息が苦しいんだ。
 だ、だったら……
「うーん……」
 由子さんが苦しそうにうなった。その上半身を抱きかかえたまま、僕は……赤くなっていた、と思う。
 息が苦しいんだから、その、つまり、そういう時は……
「じ、人口呼吸しなきゃ……」
 人口呼吸。その単語を心中で復唱した。意味するところはあきらかだった。
 で、でも……
「ゆ、由子さん……?」
 悩ましげに……ち、違う、苦しそうに呻く由子さん。僕はまた周囲を見て……だ、誰もいないけど、どうしよう。
 だけど、そこでふっと思った。何を躊躇してるんだ。
 そ、そりゃ、由子さんとキスするのは、はじめてじゃないけど……でも。
 バカ!でも、も何もないだろ!冗談じゃないんだから、早くしないと!
「そ、そうだよね……」
 ゴクッ、と喉が鳴った。なんだか、すごく身体が熱い。水の中にいるのに。
「じ、じゃあ……由子さん……」
 えーっと、どうやるんだっけ。確か、喉に手をあてて、上を向かせて……
 テレビとかの見よう見まねで、僕は由子さんの……その、顔に近付いた。どうしよう、やっぱりドキドキする。
 でも、その時だった。
「ぷは……あっクション!」
「うわあっ!」
 由子さんが、いきなりすごいくしゃみをして……僕は腰を抜かしていた。ちょうど、体勢を変えようとしていた時だったから……その、つまり、僕は……
 由子さんから手をすべらせて、川の中に落としてしまったんだ。
「ど……わぷっ!きゃあっ!」
 途端に、由子さんが動き出した。あわをくったように身を起こして、それで、目を開けて……
「ゆ、由子さん!大丈夫?目がさめたんだね?」
 ショックで起きてくれたんだ。よかった。僕は心底ほっとした。よかった……
「ひ、ひどいよ……うぷっ、水飲んじゃった……」
「ご、ごめん!その、今、人口呼吸しようとしてて……ごめんね。大丈夫?」
 僕はまた赤くなった。あぁ、また余計なこと言ったかもしれない。
「えっ?あ……う、うん……って、あれ?わざと落としたんじゃないの?」
「え?そ、そんなことしないよ!由子さんが、その……クシャミしたから、手がすべっちゃって……」
 由子さんの目が丸くなった。
「うそ……!あーあ、なんだ!私、てっきり寝たふりがバレて、キミがわざと落としたんだと思った。」
 え……?
「寝た……フリ?」
 あ!というふうに口を押さえる由子さん。
 僕は、ようやく理解した。
「じ、じゃあ今の、気を失ったふりしてたの?」
「あ……うん。あ、最初に倒れたのは本当だけどね。えへへ、ゴメンね。」
 全身から力が抜けた。僕は、その場に……川の中に、今度こそしりもちをついていた。


 夕方。どこかでヒグラシが鳴いている。
 遊び疲れた僕たちは、帰り仕度をすませて……路肩のバイクのところに戻っていた。
「……バイクの免許、取るのは大賛成だよ!大学生になったら、二人でツーリングしたいね!」
 うなずいた僕。さすがに半日遊んで、かなり疲れた。ホント、由子さんは元気だ。
「ねぇ……」
 その由子さんが、ヘルメットを取り出しながら僕を見る。
「あのさ、さっき倒れてみせたの、ちょっとした悪ふざけのつもりだったけど……怒った?」
 気にしてるのかな。めずらしい。そう思って、僕は返事を考えた。
 なんであんなことするのさ。あの時、思わず本気で言おうかと思った台詞。それがまた、口まで出かかって、それで……僕は悪びれた顔の由子さんを見つめた。
 ふう、と息を吐いてみせる。
「あーあ、残念だったな。」
「えっ?何が?」
 由子さんに向けて、頬をふくらませる。
「あの時、無理にでも人口呼吸しとけばよかった。ぎゅーって。」
 僕の身振りに、由子さんが赤くなった。予想通りの反応だった。
「な、なによ……」
「だってさ、すっごーく心配したんだよ?どうしようかって思って……心臓バクバクいってさ。由子さん、苦しいとか何とか、わざとらしく演技するし……」
「だ、だから、それはゴメンって……」
「うん。だからお詫びの代わりに、キスの一つもしとけばよかったって思って。人口呼吸できてれば、帳消しになったのに……」
 由子さんのあわてぶりはめずらしいほどだった。
「だ、だから!それは、もともと私の計画で、くしゃみさえ出なきゃ……あ!」
「えっ?」
 口を押さえる由子さん。
「ねぇ、計画って……由子さん?」
「な、なんでもない!そ、それに第一、キミ!さっきから思ってたけど、人口呼吸って、字が間違ってるよ!」
「え……字?」
 僕はとまどった。ここぞとばかりに、由子さんが肘を曲げて肩をいからせる。
「人口じゃ、そのまんま……ううん、それじゃ人の数じゃない!人工呼吸!人がするから人工!」
「えっ、だって……そんな……」
 僕は赤くなった。いろんな意味で。
 で、でも、喋ってるんだから……う、ううん、それよりさっき、由子さん……
「由子さん、でもさ、計画って……」
「受験生が、そんなことじゃダメでしょ!ほら、帰ったらさっさと夏期講習再開!今夜もビシビシいくからね!」
「ち、ちょっと……!」
 由子さんが教官モードに入ってしまった。もう、口ごたえもできそうにない。
「とりあえず、戻ったら書き取り千回かな。人工呼吸って……はい!」
 ヘルメットを渡された。ふうっと息をついて、腕を組んだ由子さんを見る。もうダメそうだ。
「わかったよ……あーあ。こんなことなら……」
「こんなことなら、なに?」
 えらぶった響き。こうなった由子さんにはかなわない。僕は目を閉じて、降参したように両の手のひらをさらした。
「何でもないよ。じゃあ……!」 
 最後に僕が感じたのは……
 押しつけられる、柔らかい唇の感触だった。 
 
 


[76]ハッピーバースデーなあとがき: 武蔵小金井 2002年07月05日 (金) 00時13分 Mail

 
 桜町由子さん、誕生日おめでとうございすま! <逆

 って、それなのに私は結局こんな文しか。あふれるボン脳しか。内容ないしか。うましか(赤面)。
 い、一応、白い少女フェアの一環ということで。いえ、ナニが白いかは聞かないで下さい。白いんです。 <キッパリ

 とりあえず北2も製作快調とか。Nocchi先生原画とか。さらには前作のキャラも登場するとかしないとかまで。ううっ、どうするんだろうとかどうなるんだろうとか。ドキドキドキドキ、色々な意味でコワイコワイ(ぁ)。

 ……とりあえず、前作のパラレル的なリメイクで新作カットや会話倍増だったらスゴイですね。キャラも二、三人増えて。あの伝説のゲームが甦る!とかうたって。
 (ソ、ソレハ某サクラのことでは。って一応、RxDつながりということで(汗))

 それはさておき東向き、落伍Fanというか出遅れな自分的に、まだまだ元祖「北へ。」はナチュラルピュアハート!(イミフメイのサケビ)
 そしてダイナマイトが五万トンな由子さんも不滅です〜っ!アレルギー性ビエ〜ン!

 そ、それでは(大赤面)。
 もう一度……お誕生日おめでとうございますっ!
 


[79]ハピバスディな遅レス(笑: カントクB 2002年07月08日 (月) 00時11分 Home

どぅもこんちは、久方ぶりなカントクBです。
やはりラブラブ由子さんSSはヨロシいデスよっ!
脳内由子さんとは365日ラブラブですが、誕生日はさらに特別。
白水着は絶対正義デス。

・・・衝動描き。実は某原稿の描きかけなのはヒミツ


[80]「暑いよ〜泳ぎ太陽〜♪」: 武蔵小金井 2002年07月08日 (月) 15時12分 Mail


 うわーい。お読みいただき&差し入れありがとうございますっ。
 白くて白くて目がさめるようでほんのり水彩っぽい部分がもう舞いフェアれでぃでReady Go!ですっ♪
 いやもうホントカントクBさんのトコ夏っぷりにはヤラレてしまっている自分ですが、今後も負けないようなボン脳パワー全壊(誤)でガンバッテいきたいです。トコ夏〜♪

 ホント、ありがとうございました〜♪



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